datafile04-2000・2001 中央区議会・議事録(関係部分の要旨)

まちづくりデザインワークス

 

中央区議会における審議(関係部分の要旨)

 

第1 2000年3月7日 本会議 (一般質問)

委員 次に、都市再開発行政の幾つかの問題について、質問と提言をい たします。
 中央区の人口が減少から増加に転じたことは、中央区の活性化にとって喜ぱしいことであります。いろいろの要因があると思いますが、要因の大きな一つに、区内における区立住宅、公団住宅や、特に民間開発企業によるマンション建設の入居者の増加があります。しかし、人口増加の「負の部分」として、ごく少数の建設を除いて、周辺環境を無視した無秩序な建設ラッシュによって、近隣住民との間でトラプルが多発しています。行政として事態の深刻さを重視して、対策を立てねばならない段階に入っていると考えます。
 95年から98年の4年間で、マンションの新築棟数は177棟であり、これに伴う近隣住民とのトラプルによる相隣調整は、98年に69件と、95年対比でトラプル件数は約3.5倍と急増しています。昨年来、勝どき6丁目のリクルート、月島1丁目の日本新都市開発、そして佃2丁目の丸紅など、相次ぐ開発企業の大規模マンション建設計画が出され、近隣関係住民の激しい反対運動が起きています。

 私自身も、地域の活性化という視点から見て、かつての地上げで荒廃した跡地がそのままでよいとは思いません。しかし、中央区が都心であること、また、「定住人口回復の基本方針」によって、住環境、生活環境の保全の見地が薄れ、結果的には周囲の環境を無視した無秩序の開発企業の乱開発の多発を許すことになっているのではないでしょうか。
 再開発促進地区、再開発誘導地区の決定、バプルの崩壊、その後一定の時期を経て用途別容積型地区計画、そして街並み誘導型地区計画、そして機能更新型高度利用地区の創設に進んできました。この経過は、行政の意図に反して、規制緩和によるメリットを開発企業が最大限に利用し、今日の中央区の住民とまちの住環境、生活環境を被壊するマンション乱開発へと流れているのではないかと危惧をしています。
 だからこそ、今この時期に大切なことは、区民の住環境、生活環境を守るためにはどうしたらよいのか、区民の目線という原点に帰って中央区のまちづくりを振り返り、真剣に考えてみることです。そのことによって、地区計画を蘇生させることができるのではないかと確信します。

 以上の立場から幾つかの問題を提起し、質問します。
第1に、私の述べました分析と指摘について、御見解をお示しください。
 その第2は、「区長所信表明」で「市街地開発事業指導要綱」をさらに強化することが述べられており、そのことは歓迎するものであります。しかし、その強化、改正の視点は、区民の住環境、生活環境を保全する立場での、今日の現状に即した大胆な改正を断行することが必要であることであります。(中略) さきに述べました提言に基づき、現行の中央区市街地開発事業指導要綱の大胆な改正を断行するお考えがないのかどうか、御見解をお示しください。
 その第3に、中央区のまちづくりに対するマスタープランに関する問題でございます。(中略) いろいろの視点はありますが、紛争の続発というこの現実から見て、マスタープランをできるだけ具体的に見直すことが必要だと考えます。そして、住民参加を基本に、必要な専門家、行政関係者の共同の努力で、新しいマスタープランを作成すべきであります。そこで、現行の中央区のマスタープランそのものについての認識と、提言いたしました立場での新しいマスタープラン作成に取り組むお考えはないか、それぞれお答えください。

区長 これまで本区が行ってきた地区計画や高度利用地区などの都市計画は、高地価の中で建ちにくい住宅や生活関連施設の建設を誘導し、住・商・工などの各機能が調和した、秩序ある市街地を形成するために決定したものであります。これらの都市計画の目指すところは、第1に、区民が住み続けられるよう住宅建設を促進することであり、第2として、耐火耐震建築物への建替えによって、まちの安全性を高めることであります。このような当初の目的は、今日においてもいささかも変わりないと思われますが、主として民間事業者による過度の住宅供給に制度が利用されている現状は、何らかの改善が必要だと思われます。
 このために、市街地開発事業指導要綱の改正強化や、地区計画の詳細化など、具体的な対応策を新年度から検討してまいります。御提案されている荒川区とは、用途地域や容積率においても大きな差があるため、直接参考にはできませんが、改善、検討においては、まちづくり協議会や住民集会など、積極的に住民参加を求める姿勢で本区の特性が十分反映され、またきめ紬かなものとなるよう作業を進めてまいります。

 次に、マスタープランの作成についてであります。本区のマスタープランは、あくまでまちづくりの目標であり、その具体的内容は各地区の街並み誘導型地区計画で実現することとしております。これらの地区計画も、都市計画決定以来3年を経過し、さまざまな課題も明確になってまいりました。そこで、地域の実情をきめ細かに反映した地区計画の詳細化が必要だと認識しており、新年度以降、住民参加の地区計画改善に取り組んでまいります。

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委員 これとの関係でありますけれども、勝どき6丁目リクルートの問題についでは、現状の認識と今後の流れについて、御答弁いただきたい。
 もう一つ、月島1丁目の日本新都市開発並びに佃2丁目の丸紅の大規模マンションですけれども、総合設計を利用するということです。総合設計というのは、私がここで行政の関係者に言うまでもなく、建築制限の例外的な許可、土地の有効的利用を図り、あわせて敷地内の公開空地を積極的に確保されることによって、市街地環境の整備、改善を図ろうという制度、この例外許可なんですけれども、 現実にこの方向で、佃2丁目にしても月島1丁目にしても、市街地環境が十分に改善されているかどうか。 つまり、この2つの開発事業者は、この例外措置を悪用している。乱用している。それを行政が認めるのかどうか。これは非常に重大な問題ですよ。
 この例外許可の問題についても、正確な見解をぜひお示しいただきたい、そのように思います。

都市整備部長 勝どき6丁目リクルート開発につきましては、教育環境にも配慮しながら、総合的まちづくりを推進すべきという視点で昨年から取り組んでまいっているところでございます。この件の抜本的解決につきましては、当該用地について、公的団体が取得し、あわせて隣接地 と総合的なまちづくりをするということで臨んでいったわけでございますが、なかなか公的団体による用地取得も困難な面がございまして、現在は民間レベルでの用地取得の検討を行っており、近々これについて方向性が出るというふうに考えてございます。そういう方向で、総合的なまちづくりを何としてもしていきたいと考えているところでございます。
 次に、月島1丁目、佃2丁目の開発でございますが、これは建築基準法の59条の2による総合設計制度を活用して進められているものでございます。これにつきましては、東京都の都知事の権限、最終的には知事の判断になると考えてございますが、現実に事業者と住民の皆様方の問で相隣紛争が起きているわけでございますので、区としては公正中立な立場で事業者と往民の調整を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 

第2 2000年3月8日 本会議 (一般質問)

委員 大都市の発展は、地方都市や農村からの人や環境の収奪の結果でもあったのではないでしょうか。中央区を含む都心部はもとより、地方都市や農村はすっかり人の気配が絶え、住んでいるのは高齢者ばかりとなり、海や山、川もコンクリートで覆われてしまいました。都市と農村の様相は正反対でありますが、共通する点もたくさんあります。それは、家族内で、そして地域で、さらに都市規模で、人と人との関係が希薄になっているということであります。都市でも農村でもひとり暮らしが増え、助け合うことがない社会環境ができ上がってしまったのではないでしょうか。コミュニティの崩壊は、都市の最も重要な「安全」や「安心」といった機能を根こそぎ奪い取ってしまったと思われてなりません。(中略)

 都市づくりは2つの個面を持つと考えます。一つは、これまでどおりの高いビルを建て続ける方法であり、この高層ビルは、需要を喚起することによって下落をとめるという地価下落対策、ビルを建てて人を集めるという都市空洞化対策というように、先ほどとは正反対の文脈や意味づけを与えられながら生き続けているのであります。
 もっとも、都市を経済の対象にすることだけは、バブル期もバブル崩壊後も全く変わっていません。この考え方が、我が中央区でも支配的であると思えてなりません。
 もう一つは、安全や安心という機能を最重要な価値と考え、「低い建物」を中心としながら街をつくるというものであります。これらの都市では、経済的なメリットは期待できませんので、家族が団結し、コミュニティを生き生きとさせて互いに助け合っていく以外 に生き延びる方法が見つかりません。大都市の便利だが孤独な生活に不安を覚えた人々が、続々と参入していくでありましょう。この流れは、これからの主流になるのではないでしょうか。(中略)
 かつての中央区というか、今までの中央区は、この両面をあわせ持つ地域でありました。しかし、現在その流れは急激に変化してきたように思えてなりません。

 地域の誇りは、ほかと違っていることであります。それを自分たちでつくり出した心意気こそが元気のもとであります。誇りを持てる地域は力を持っています。この力の総和が、地域全体の強さになると確信しております。
 かつて区長は、中央区を「ダイヤモンドのようにさまざまな個性が光る街」と言われました。しかし、今の中央区の全体施策を見るときに、経済的観念を最優先させた同じような大型ビル開発だけが中心になっているように思えてなりません。時代が工業と開発の世紀から環境と情報の世紀へ転換していることをもっと認識すべきだと思います。先人たちが守り続けてきた中央区 の「心」をどこかに置き忘れてきたのではないでしょうか。

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 大型開発だけがいいわけではなくて、昔からの下町の人情というか、そういうものを大切にしたまちづくりというのは必要なのだろうと思っています。(中略)
 土地というものを、地域というものを経済に置きかえた考え方が、そのまま中央区の中で流れている。そうではなくて、それ以外の部分を大切にするという考えが少しでもあらわれていれば、逆に施策も全体的に変わってくるんじゃないかなと思っていますので、その部分を強調していただいて、質問にお答えいただければありがたいと思います。

区長 開発重視を続けているのではないかという御指摘ですけれども、そうではございません。
 人口回復を区政の大きな柱に据えましたのも、バプル期の経済効率第一主義、これからの転換を図ろうということで、、夜間人口と昼間人口とのバランスのとれた町をつくろうではないか、そういうところに力点を置いてきた。これは何も中央区内に人口だけ増えればいいということではございません。思い切り詰め込めぱいいということではなくて、バランスのとれた町、つまり住環境の整備に主根を置いたのが、この十年間ぐらいの施策、人口回復を軸とした展開であった、そういうふうに思っているわけです。したがって、区民の心を第一に中心に据えたまちづくりが今日まで来た、そう認識しているわけでございます。

 「中央区は小さくても、きらりと光り揮くダイヤモンドのような町である」と、私はよく表現するのでございますけれども、東京の全体の0.47%ですから、1/200ぐらいの面積しかない。10平方kmですからね。しかし、そういう中で、ダイヤモンドのようにいろんな町がある。築地は築地らしく、また日本橋、銀座、そういうダイヤモンドのカットのような町の地域らしさに磨きをかけていこうということで、まちづくり協議会も12あるわけですから、その地域、地域の特色に合ったまちをつくっていこうということで、今度、市街地開発事業指導要綱もそれに見合うように強化していこう。そういう観点で対応していこう、こういうことでございます。
 ですから、銀座のように高容積が必要なところ、そういう方が喜ぱれるものはそうやっておく。そんなに容積が要らないところ、そういうところは、それほど高いものをつくる必要はないんじゃないか。つまり、きめ細やかなまちづくりを推進していこう、こういうところに主眼があるところでございます。
 「あすか」に、「町はどんどん変わってくる。産業もどんどん変わりつつある。200年、300年続いた老舗はつぶれる。しかし、そのかわりに、また新しいものが出てくる。そういう移り変わりを見ながらも、京都の心が大切なんだ。京都の心がずっと続いていくことが大切である」というおかみさんの言葉がございましたけれども、本区も江戸の心といいますか、やっぱりこれまでも、江戸以来日本のリーダーとしてきた町でございますから、そうした私たちの心を大事にした町をつくっていきたいな、今後もそういう思いでいっぱいであるわけでございます。

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委員 所信表明の中でも、「定住人口10万人の推持回復を最大の行政課題として取り組んでまいりました。いよいよその努力が実り、対前年比を3年連続して増加となり、人口の増加傾向が定着し、目標達成への展望が開けてきた」との受けとめ方をされておりました。
 確かに人口回復の面では一定の評価を惜しむものではありません。ただ、最近の各地区におけるまちづくり協議会、あるいは再開発事業、そしてマンションの建設の増加によって、さまざまな問題や地域紛争が起きております。

 リバーシティ21や晴海1丁目地区の再開発は、近隣や周辺への環境対策も万全とは言わないまでも、大きなトラプルに発展するということは少なからず避けることができました。そのため、超高層のビルの出現によって人口回復の面では大きな要素となり、地域の再整備と居住環境の整備にも非常に大きな成果を上げたと思います。こうした背景には、共通して近燐に街並みがなく、また、周辺に対する悪影響の心配も少なく、十分な容積率を消化することができたことが最大の要因と思います。
 ところが、他のまちづくり協議会、あるいは再開発事業の取り組みを見ると、従前の街並みが形成されている地域で、まして地区計画を定めておきながら、敷地の性格や中身はどうあれ、大規模な敷地だからと言って、その地域の都市計画とは全く別に、再開発の名のもとに、近隣、周辺の街並みとはどう見ても整合性のとれない超高層のビルの建設を計画しております。

 これはもう区長さんが、「人口回復を目指したまちづくりが、往宅という箱づくりで終わってはならず、住宅を中心として生活しやすい総合的な環境づくりでなけれぱならない」と言われるとおり、まちづくりは住宅もさることながら、環境づくりでなけれぱなりません。
 区内の各地域でまちづくり協議会を設けこれまで努カを重ねてきたことは、十分認識と評価を借しむものではありません。平成12年度も再開発事業への取り組みが14カ所ほど継続して推進するように伺っていますが、その中にも計画地と隣接して従前からの街並みが形成されているところが数箇所あろうかと思います。地域の地区計画の区域に入れず、当該敷地にのみ超高層のビル、100メートルを優に超す建物を建てることが決して再開発ではないはずであります。当然、そこには近隣とのトラプル、周辺に与える環境の悪化は避けることができません。

 私は、大規模な開発だけがまちづくりではないという認識のもとに、こうした再開発への促進地域の指定を解除し、一日も早く周辺の地区計画の区域に戻し、同じ街並みのまちづくりをぜひとも進めるべきだと御提案をいたします。
 良好なまちづくりを自指す区長さんの決断をひとつお聞かせいただきたいと思います。

 次に、マンション対策についてお尋ねいたします。昨年の第3回定例会において、私は、区内におけるマンション建設は、底地買いの未利用地などを活用した建設が目立ち、相隣問題を初め、まちづくりという観点から見れば、乱立とまでは言わないまでも、往民運動の大きな広がりを引き起こすケースも出てきたと指摘をいたいました。
 さらに、人口回復の大義名分のもとに、住宅が増設をされ人口が増えればよしとするまちづくりであってはならず、そこには当然公共施設や近隣との融和を求め、行政としての指導、誘導を積極的に進める必要が出てきたとして、区の考えを質しました。
 区長はその際、「区民の意向を集約して、市街地開発事業指導要綱や地区計画などの都市計画を適宜見直すことが重要であると考えており、さらに区民の意向を反映したまちづくりに努力してまいります」、このように御答弁をされました。

 しかしながら、現在まで、勝どき6丁自の事例のように、話し合いは平行線をたどり、住民側も一歩も引かない決意でいるものの、その対策に苦慮されているようであります。
 そこで、改めてお尋ねをいたしますが、区長の答弁に現在も変わりはないと思いますけれども、再度、区の6丁目開発などに関する決意のほどをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
 また、こうした教育施設に隣接する敷地でのマンション建設などによるトラプルは、過去に何件か苦い経験を中央区は持っております。しかし、その後の平成11年4月、教育環境に関する基本条例を制定したものの、強制力はなく、同じことを繰り返してきました。
 教育環境を守り児童生徒の健全な育成を願うのは当然のことであり、そうした意味から、教育施設に隣接する周辺の規制や行政指導をより強化するべきだと思いますが、どのようにお考えになりますか、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。

区長 まちづくりは、長期の展望のもとに地域の合意を得て実施すべき息の長い事業であると考えております。
 また、拠点的再開発ばかりでなく、地区計画を利用した建て替えの積み重ねも重要なまちづくりであると認識しております。御指摘のように、区内には10を超える大規模開発プロジェクトがございますが、地域の皆様の御意向を慎重に検討し、拠点的開発で進むべきか、地区計画で進むべきかを都市計画として整理させていただきたいと考えております。

 次に、勝どき6丁目の問題でございますが、本区としては、あくまで総合的な開発によって、学校を初めとする地域全体の環境を改善していきたいと考えており、現在、マンション建設用地の第三者による買い取りを進めているところであります。このような教育施設周辺の開発計画について、どのような規制と行政指導が可能かについては、現在、鋭意検討を進めているところでありますが、現行15日の計画の事前公開期間を3ヶ月程度に延長するなど、市街地開発事業指導要綱の強化改善も含め、具体的な対応策を検討してまいります。

 

第3 2000年11月9日 本会議 (一般質問)

委員 来る21世紀は、人間主義を基調とする平和、人権、共生の時代ととらえ、あくまでも生活者としての区民の立場に立って、活力と安心の健康都市中央区を構築していかなければなりません。21世紀の希望あふれる中央区像を描きながら、「だれもが住める、生涯住み続ける町」「環境と調和した町」「均衡のとれた都市構造」「文化の息づく都市生活の実現」などを柱に、豊かな生活と都市の発展を支えるまちづくりに、積極的かつ意欲的な行政を区民は望んでいると思うのです。

 (中略)問題の克服に努められていることには敬意を表します。しかしながら、今相隣問題の件数は、過去5年間、毎年増え続けております。ちなみに申し上げますと、96年は37件、97年は51件、98年は69件、99年は93件、2000年は9月までに47件となっており、年度末には前年度並み以上になると関係当局は予想しております。
 この現象は、周辺に居住している区民の皆さん、本区における建築行政の理解度が不十分なのでしょうか。それとも、まちづくりの手法が納得を得られていないのでしようか。相隣問題の増加について、区長はどのような現象とと らえておりますか。率直なる御所見をお伺いいたします。

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 指導要綱の改正についてお尋ねいたします。街並み誘導型地区計画による民間の集合住宅の建設に伴う問題を検証しておく必要があると思うのです。この地区計画は、将来にわたって、より快適に住み続けられるためのまちづくりの一環であり、特に2項道路に面した敷地や狭隘の敷地に二世代、三世代家族の同居が可能になる建て替えを容易にするため定められたルールのもとに制限を緩和し、現在より広い住宅を設けられるとともに、良好な街並みが形成されるよう考え、地区の特性に応じた規制と誘導のまちづくりを目的としていたはずであります。
 しかし、これを逆手にとった集合住宅の建設計画が創出され、少なからず地域住民より批判の声が上がり、相隣紛争が起こっております。
 問題なのは、住環境水準の向上や居住水準の向上を目標に容積率を緩和し、少なくとも世帯向けの往宅の創出を想定したにもかかわらず、最近の民間デペロッパーによる集合住宅はその目的を反映していない計画が相対的に多く、40u未満の単身用住宅が年々増加の傾向にあるのが現状ではないでしょうか。これでは、定住人口の促進や住環境の向上に水を差すばかりではなく、開発業者に手を貸してしまう結果になりはしませんか。
 そこで今回、本区中高層建築物の指導要綱を改正する際に、事前公開等の改正だけではなく、第10条2項「附置住宅の専有床面積は、一戸当たり40u以上のファミリー向け住宅であること」の「40u以上」を「55u以上」に改めるとともに、第10条の6「供給戸数の30%以上」を「60%以上」に改めることが必要と考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
 さらに、第14条は努力目標になっていると思われます。災害対策や清掃事業の円滑化や環境対策の観点から義務化しなけれぱならないと考えますが、この点についても御所見をあわせてお答えください。

 次に、敷地の形態が変形している土地を建て替えする際の問題点についてお伺いいたします。
 現行法は広い道路に2m以上敷地が接していれば広い幅員道路を基準として、高さや容積の緩和を受けられることとされていますが、これもよく考えると矛盾していると言わざるを得ません。これを許し続けれぱ、良好な街並みの形成は崩れると同時に、この敷地に隣接しているが狭い道路のみに隣接している場合、高さの緩和や容積の割り増しは受けられません。従前より居住する者にとって、著しく公平性に欠けてしまうと思われます。少なくとも、狭い道路の接道部分の1/2以上接していなくては、広い道路の幅員の特例を受けられない原則の確立が必要だと考えますが、御所見をお尋ねいたします。

区長 相隣紛争が年々増加していることは、御指摘のとおりでございまして、この原因は、平成8年を境にマンション建設が増加していることにあると認識しております。新たに提出されたマンション建設確認申請件数は、平成7年に28棟であったものが、平成8年には42棟、その後も年間40棟前後で推移しているのが現状で、それに合わせて相隣紛争も増加しております。
 マンション建設は、地区計画による一律の高さや高容積によって周辺に圧迫感を与えており、また、ごみや放置自転車で代表される管理上の問題などさまざまな景観悪化が懸念され、地元の方々に不 安を与えている事実は否定できません。
 このような現状を踏まえて、事前公開制度の改正や地区計画の改善を行うとともに、相隣紛争調整を住民の立場に立って積極的に行い、紛争のスムーズな解決に努めてまいります。

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 次に、指導要綱改正についてのお尋ねであります。定住型住宅の面積につきましては、都心居住の大きな流れの中で、都市住宅そのものの評価が多様化しているのが現状であります。面積一つで定住型と言えるかどうか判断が難しくなってきておりますので、今後の社会動向を見ながら、その面積等について検討してま いります。
 また、御提案の定住型住宅の割合につきましては、現在行政指導の中で何とか30%の割合で合意している状況でございまして、住宅附置義務を超えるようなこれ以上の規制は、開発事業者の財産権の側面からなかなか難しいと考えております。御提案の趣旨につきましては、今後の検討課題としてまいります。
 さらに、指導要綱第14条の「環境への配慮」につきましては、行政指導の中で合意書として明記し、実質的には義務化しているものであります。御指摘の要綱の明文規定につきましては、今後前向きに検討してまいります。

 次に、敷地形態の変形した土地の建築ルールについてのお尋ねであります。地区計画の中では、前面道路の幅員と指定容積率に応じて建築物の最高限の高さを定めております。御指摘の変形した敷地の建築物の高さの最高限度について、敷地が接している長さが短くても、最大幅員の前面道路からの制限が適用になり、裏通りに面したところでも高い建物が建つことになるという問題があります。
 このような現行制度の運用が、裏通りでの相隣紛争の主要な争点となっていると認識しております。そのため、地区計画の詳細化の中で複数の道路に面した建築物の高さを調整するなど、地域の実情に合った高さの制限を検討しております。年度内に地区計画の詳細化の素案をまとめ、議会を初め広く議論をいただき、平成13年度に都市計画としてまとめてまいります。

 

第4 2001年3月5日 本会議 (一般質問)

委員 古くからの住民とマンションの住民の方々とは、決して敵対するものではないにもかかわらず、ともすればお互いに好感を持つことができない状況が生まれてきてしまう。その一つの要因が、マンション建設時の業者と地域のトラプルで、これが尾を引いてしまうことがあります。
 現在は、よほどひどいものでない限り、マンションの建設に対して絶対反対は、地域ではかなり少なくなってきています。自分たちの何倍 もの人々が一気に町に入ってくることに抵抗はあっても、現実を見ているのです。
 街並み誘導型地区計画の後、これは各ゾーンで少しの違いはありますけれども、多くの民間の業者の方たちが、今まで考えられな かったほどの高さの建物を建て始めたころに、町の方々から、何でこんなことを中央区は決めたのだというおしかりを受けました。

 「これは皆さんが御自分の土地を活用するときに、今までもよりずっと有効に、そして有利に建物を建てられるようにという計画なんですよ」と、どれだけ説明してきたことでしょう。 しかし、そのような中で、業者が、 あちこちで集合住宅建設を始めました。中には売り逃げのようなものも多く、町とのトラプルが後を絶ちません。
 「現行法にのっとってやっている」、または「中央区の人口回復に協力をしている」のだから、「自分たちのしていることはどこにも問題はない」という強気の姿勢。 そして、説明会を開くように要望いたしましても、なかなかそれすら応じないところもあります。
 地域としては、どのような建物が建つのだろうか、そこに住む人たちはファミリータイプなのかワンルームなのか、ワンルームだとしたら建った後、事務所に転用されることはないだろうかと、多くの疑問と心配が生まれてきます。
 きちんと町との意見交換が事前にできた上で建てられた建物は、 駐車場の出入り口の場所とかごみ集積場所など、建ち上がった後も、入居者と町とのトラプルも比較的少なく、時間をかけても交流が生まれてまいりますが、建設時からの問題を引きずっているところは、住民のせいではないにもかかわらず、その後のトラプルが生まれる ケースが多いのです。

 ここ数年間のマンション建設と相隣問題発生件数を見てみますと、 1995年、建設数28件に対し相隣件数20件、96年は建設42件、相隣37件、97年は建設68件、相隣51件。しか し、1998年は建設39件に対して相隣69件となり、1999年には、何と53件の建設に対し93件の相隣という数字が出ております。この数字だけで判断することは危険ですが、問題発生が多くなっていることは考えられます。
 住民の多くの方々は、町会を通して交渉をするとか、相隣に相談に来るとかの方法があるわけですが、相隣というと何となくトラプルに関することと身構えてしまうことがあります。一時的にでも個人で相談できるようなわかりやすい窓口などは考えられないのか、お尋ねをいたします。

 さらに、これは第2ゾーンでのまち協の説明の折に、「これはもろ刃の剣にならないか、住民にとって有利なものであると同時に、業者にとっても有利なものなのでは」と御質問をしますと、「その部分は運用で十分に対応できる」というお答えでした。現在の状況を見て、 どのように運用面での工夫、対応がなされているのか、お尋ねをいたします。
 そして、この計画の中で、この制度を利用できれば良好な住宅建設ができるとありますが、良好な住宅というのは基本的にどのよう なものと行政は考えておられるのでしょうか。同時に、現在まで許可をおろした建物に関しては、この良好な住宅に当たるのか、お尋ねをさせていただきます。
 また、区内にマンション等を建設する場合の指導条件等を明文化するなどして、本区内によりよい住宅建設が行われるよ うな方法がとれないであろうかも、お尋ねをいたします。

 この問題の最後に、本区において現在、市街地開発事業指導要綱や街並み誘導型地区計画などが運用され、まちづくりが進められておりますが、こうした制度はまちづくりのルールとしてどのように機能しているのか、お尋ねをさせていただきます。
 都心居住の流れや人口回復対策によるマンション建設など、今ある意味では、町全体がきしむような痛みを感じているのです。この痛みを少しでも和らげてあげることが、やはり行政としての重要な役目と感じられますので、御見解をお聞かせください。

区長 次に、集合住宅の建設と住民とのかかわりについてのお尋ねでございます。集合往宅の建設においては、相隣紛争をできる限り防止し、集合住宅とその新しい住民が地域の中に溶け込むことが重要であると考えております。
 お尋ねの窓口設置については、その対応を改善するとともに、今後わかりやすい総合的窓口の設置についても検討してまいります。

 また、地区計画の運用に当たっては、計画後、建築物が地域の実情に合ったものとなるよう、開発指導要綱の運用もあわせて、指導、助言を行っているところであります。

 さらに、区が考える良好な住宅についてのお尋ねでありますが、地域の不燃防災化に寄与する定住型を中心とした住宅が基本であると考えております。また、ごみ処理や放置自転車などの問題が生じても、周囲の住民が即座に連絡し、改善できるなど、管理体制が明確で、その住宅に居住する住民の地域参加も行われているものであると考えております。
 そうした観点のもとに、住宅建設を指導しておりますが、これらの指導の中には、財産権等私的な権利を制限するものもあり、一定の限界を有しているため、事前公開から確認、許可に至る期間において、粘り強い協議が重要と考えております。こうした行政指導と相隣調整の状況を見定めながら、建築物の確認や許可を行っているのが現状であります。
 行政指導の明文化についてば、既に開発指導要綱の中で管理体制の明確化やコミュニティへの参加要請、周辺環境への配慮などを一 般的に定めており、計画や地域の実情が多様であるため、これ以上の具体的な明文化は難しいものと考えております。

 本区のまちづくりのルールである開発指導要綱や地区計画は、住宅建設の誘導には十分機能しておりますが、反面、それらの開発による土地の効率的高度利用が突然行われる印象があるため、さまざまな問題が生じていることも十分認識しております。
 したがって、今後は、事前公開の期間の見直しや説明会等の義務づけを含んだ要綱改正や地区計画の詳細化の取り組みもあわせて、総合的なまちづくりのルールを確立し、区民一人一人の生活と調和したまちづくりを進めてまいります。

委員 マンションの建設は、区長がおっしゃるように、人口は増えてまいりましたし、人口回復施策としては大成功なんですね。ただ、今、町できしみが出ていると申し上げたようにそういうところは否めないと思うんです。
 なぜ問題が多く発生するかといいますと、多分民間の業者の開発は、バプル期の開発とは全く違うんですよ。お金がないんです。お金がないから、なるべくいろんなことはやりたくないんですね。町から、「ちょっと設計変更して、こうしてくれたら町もいいんだけれども」と言っても、そういうことをするとまた経費がかかってきてしまうから、なるべく町の人とも余り接したくないんです。自分たちで営業採算の一番合う建て方でマンションを建てていくんですね。

 そういうことを考えますと、私なんかは企業も入れて150世帯の小さな町なんですけれども、その町で、ここ3年間で5棟のマンションが建ったのです。そのうち3棟はワンルームです。ワンルームで、しかも、管理会社が又貸しをするときの家賃設定までしているんですよ。中に誰がいるかも全くわからない。建ち上がって1年の間に、消防車を3回呼ぶような騒ぎがあっても、誰がいらっしゃるかわからないという状況があるんですね。
 やっぱり中央区が人口回復を本当に目指すのであれぱ、どういうふうに中央区にプラスになる建物がそこに建つかということを考えていかなければいけないと思うんです。
 ですから、「中央区にマンションを建てるなら、このぐらいの条件をクリアしないとなかなか建たないんだよ」と業者の人が思い込むぐらいなハードルをつくって、そういう意味で、「明文化」と申し上げましたけれども、今よりももっともっとそういう条件というか、そういうものがつくれるかどうか、もう一度これはお尋ねさせていただきたいと思います。

区長 集合住宅が増えてきている。また、それによる問題も随分出てきているというお話がございました。そういう点があるのであろうというのはよくわかるわけでございますが、また、住民が増えるということ、人口の維持、回復は、メリットがまだまだ明白になってきていない、そういう御指摘でございました。
 しかし、メリットも徐々に出てきているなということも、私自身、感じているところでございまして、先日、あるデパートだったんですけれども、トップの方と懇談する機会がございまして、ちょっと話していたんですけれども、そのデバート、売り上げがどんど ん伸びてきているというんですね。「いや、いいことですね」と言った。そうすると、区の住民が増えていることと随分かかわりが出てきている。区の住民がこの5年間に国勢調査で見ても8,623人、13.49%という伸びを示した。これは23区どころか、東京都内63ある自治体の中でトッブ。また、国で見ても4番目ということで、そういう伸び率がデパートの売り上げにも如実に出てきているという御指摘をいただきまして、大変うれしく思ったんです。

 だから、これがデバートだけじゃなくて、地域商店街、こういうところにも如実に売り上げが伸びている、活気が出てきているということの評価につながっていただきたい、そういうふうに大いに期待しているわけですけれども、商工課の方はそこら辺どういうふうに把握したか、私、まだちょっと聞いていないところですが、また、そういう商店街の活性化、地域の活性化、さらに防災、あるいは先ほど来お話がありますようなボランティアのすそ野といった点にも連なってくるといいなと期待しているところでございます。
 そういう意味では、そういった点をよく踏まえて、施策の展開を行っていきたいと思いますし、また、マンションの管理人の皆様方とのアクセス、私たち、しっかりと強力に繋げて、住民の皆様への協力を求めてまいりたいと思うわけです。

 答弁になったかどうかわかりませんけれども、そういうようなことを感じているところでございますが、いろいろまた各議員の、また各地域の御意見等をよく踏まえて、住民の増加がその地域のためにもなるように心がけてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。

委員 いろいろと御答弁をいただきまして、考え方が多少違うなと思うところもありますが、これはまた別の機会で質間させていただこうと思っています。[注:一般質問・答弁は、ここに抜粋したマンション問題だけなく多岐にわたる]
 区長はきのうの発言で、21世紀は人類の責任の時代という言葉をおっしゃいました。確かにそうだと思います。中央区だけを考えてみましても、行政にも各種の責任があります。施策を行っていく責任、説明をしなくてばならない責任、そして、私どもの議会も、チェックをしていく、議決をするという責任があります。

 質問をした以上は、ちゃんと推移を見守っていくのも私の責任かなと思って、今後見守らせていただくわけですが、お互いが責任をきちっと果たしていけば、中央区のあしたが違う方向に向くわけはないということを確信いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

 


詳細は、中央区議会の会議録(中央区役所本庁舎情報公開コーナー又は各区立図書館)を