datafile02-20010611 新宿区神楽坂「プロジェクト」・新宿区職員措置請求・監査結果

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新宿区職員措置請求・監査結果の要旨

 

請求書の提出  平成13年4月18日
監査結果公表  平成13年6月11日

第1 請求の内容

1 主張の概要

(1)  新宿区長は平成12年11月15日、新宿区告示第323号、第324号により、神楽坂五丁目に所在する区道5路線の廃止処分と新たな区道2路線の認定処分を行った。この区道の廃止処分は、区道利用者の同意を適正に得ていない違法な処分である。

(2) 新宿区長は、この区道廃止部分を藤和不動産株式会社の所有地と交換することを予定しているが、これは次のような違法、不当な処分にあたる。

    ア 区道廃止処分は違法であり、違法な処分を前提として区道を廃止した上での公有地の交換は当然違法である。

    イ 区有地の交換によって可能になる超高層マンションの計画は、@新宿区マスタープラン・神楽坂区域街なみ環境整備事業に照らし、当該地域の地域性を著しく逸脱し、長期的都市計画の視点に矛盾するものである、A都市計画道路との関係で、将来既存不適格となることが確実である。このような計画実現のために区有地を交換により一私企業に供する行為は、仮に違法でないとしても、著しく不当である。

    ウ 区道部分は、交換によって実現する土地の利用価値の上昇に見合った価格で売却すべきであるが、区長は単に等積交換を予定している。これは、区民の財産を安価に処分されることにより差額相当の損害を被ることになり、財務上違法、不当な結果をもたらす。

2 措置要求の趣旨

(1)  特別区道廃止処分の取り消しを求める。

(2)  区有地と藤和不動産所有地の交換の差し止めを求める。

第2 請求の要件審査

1 特別区道廃止処分の取り消しを求めることについては、地方自治法(以下「法」という。)第242条所定の要件を具備しているものとは認められない。

2 区有地と藤和不動産所有地の交換を差し止めを求めることについては、要件を具備しているものと認めた。

第3 監査の実施

    監査対象事項は、区有地と藤和不動産所有地の交換が財務会計上、違法・不当な財産の処分か否か。監査対象部は、総務部、環境土木部、都市計画部。請求人からの証拠の提出及び陳述を受けて、監査対象部の職員の事情聴取を平成13年5月16日に実施した。

第4 監査の結果及び理由

   特別区道廃止処分の取り消しを求めることについては却下し、区有地と藤和不動産所有地の交換の差し止めを求めることについては棄却する。

(1) 特別区道廃止処分の取り消しを求める請求について

(理由) 住民監査請求は、財務会計上の違法または不当な職員の行為により、当該地方公共団体の財産的損失を生じ、または生じさせるおそれのある場合において、当該行為の執行を未然に防止すること、または当該行為を是正することを目的としてなされるものである。本件特別区道廃止処分は、行政財産から普通財産への区有地の用途変更にとどまるものであり、法第242条に規定する財務会計上の行為に該当するものとは言えない。よって、特別区道廃止処分の取り消しを求めることについては、同条所定の要件を具備したものとは認められない。

(2) 区有地と藤和不動産所有地の交換を差し止める請求について

(事実関係の確認及び監査対象部の説明)  略

(判断) 次のとおり、請求人の主張のそれぞれについて、請求人の主張は認められない。よって、「区有地と藤和不動産所有地の交換を差し止める」とする請求には理由がない。

        特別区道廃止処分が違法な処分であったか否かについては、@議会の議決を経て告示されており、道路法に定める所定の手続に基づいて行われた、A利用者の同意は法定要件とされておらず、道路管理者の裁量にゆだねられているため、本件特別区道廃止処分が直ちに違法とはいえない。

        今回の開発行為が新宿区の都市マスタープランあるいは神楽坂区域の街なみ環境整備事業の整備方針等に反するという主張については、新宿区都市マスタープランは都市計画に関する基本的な方針であり、神楽坂区域街なみ環境整備事業の整備方針は、まちづくりの目標、テーマを定めたものであるが、これらは基本理念であり、これによって区に財務会計上の具体的な義務を課するものではない。

        放射街路25号線(大久保通り)は、昭和21年3月26日付けで都市計画道路として決定されたものであるが、都市計画道路の一般的な進捗状況からみて、具体的な事業計画の策定されていない都市計画道路について、その事業完成時点を確実に予測することはできず、本件建築物が既存不適格となることが確実であるとは認められない。

        本件土地交換は、都市計画法に基づく開発行為の進行中に行おうとするものであり、すでに都市計画法第32条に基づく公共施設管理者として同意をしている。したがって、当該開発工事が完了し、その旨公告され次第、当然に土地の帰属が変更になるものである。それにもかかわらず、区において、交換契約により早期に所有権の帰属を決定しようとするのは、長期にわたる開発工事の完了を待つことなく公共施設の整備を進めることにより区民生活の安定を図ること、及び法的安定性を確保することにある。
     このような経緯によれば、予定されている土地交換契約は、都市計画法第40条による土地の帰属変更と同視して差し支えないものと考える。
     同条における公共施設の用地に供する土地の帰属変更は、地方公共団体の財産の処分に関する法令についての特例を定めたものであり、同条第1項にいう「従前の公共施設に代えて」とは、従前の公共施設の機能にかわる機能を果たすもので、その構造、規模等が同一であることを要せず、また必ずしも新旧が等価であることを要しないと解される。
     本件については、行き止まり道路の解消、狭隘な道路の拡幅、地域防災機能の向上という側面もあり、さらに、交換対象物件は、ほぼ隣接した位置にあり、いずれも現在供用されている特別区道と接する状況にある。
     以上の諸事情を勘案すると、公共施設を整備するために、土地を同一地積で交換することは必ずしも不当であるとは言えない。
     法第149条第6号によれば、財産を取得し、管理し、及び処分することは、区長の権限に属するものである。
     すでに予定される土地の帰属変更について、公共施設管理上の問題で、その期限到来以前に、都市計画法第40条と同じ効果を実現する交換契約を結ぶことは、区長の裁量を逸脱した違法、不当な結果をもたらす財産処分とは言えない。