まちづくりデザインワークス


       

要するに好き嫌いの問題だが・・・・・・・・かっこ悪いのである。

 区域南側 崖下から

  超高層マンションというと、一般に「開発業者が利潤を最大限に追求した結果」と思われがちだが、実はそうではない。
 ましてや、業界を代表するトップカンパニーともなれば、「建築法規をきちんと守っている。適法な建物を建てて、なぜ悪い」などと見苦しく開き直ったりできるものではない。まっとうな商売の基本を踏まえて、なお、より良いものを創造していくのが、トップカンパニーたる者の社会的使命であろう。それを十分に意識し、実行した結果がこの建物なのである。
 しかし、私は、「もっと高く、空へ」という都心居住の有り難い思想にも、世界最高の免震超高層の技術力にも、感心できなかった。ただただ、かっこ悪いのが気になってしまう。とにかく立地が悪い、というか地域に似合わない。なぜ、この場所に建てなきゃいけなかったのか・・・ 

「がま池」南側隣接駐車場から

かっこ良く見えるところはないかと、探してみた。

 

  • とにかく、かっこ良く見えるところはないかと、一回りしてみると、「がま池」の林を手前にしたアングルが、一番良いように思った(もっとも、この「がま池」も北側隣接地のマンション建設によって、大半が埋め立てられてしまうそうだが)。

区域南側 氷川神社近く

 

  • あとは、計画地南側の氷川神社の鳥居越しに境内の桜とからめて望む図とか、北側の長傳寺から望む図はどうかと思ったが、古いものと新しいものとのコントラストの妙、外国人観光客向けの土産物屋のような胡散臭い物珍しさはあっても、美しいとは言い難い。
  • 建物の足周りは工事フェンスに囲まれているので、生み出された公開空地の豊かさは完成後でなければ評価できないが、近くに寄れば寄るほど、周囲の建物との差が際だって、ことさら醜悪に見える。周囲を全て超高層にするような都市の成長・変容を信じろと言うほうが無理で、たぶん、このギャップはずーーーと変わらない。

区域南側から 隣接するマンションは4階建て

(旧)住宅基本計画では「住宅地環境保全ゾーン」?

 

  • 1993年に策定された「港区住宅基本計画」は、「無秩序な業務地化を抑制し、地域の長い歴史のなかで培われてきた居住機能を維持・増進するために、『住宅市街地整備ゾーン』を設定し、港区における住宅市街地の形成の方向を明らかにしていく」として、この地区を「住宅地環境保全ゾーン」に位置づけていた。
  • 「住宅地環境保全ゾーン」は、「緑の豊富な寺社、斜面緑地、学校等が周囲に位置し、比較的住宅敷地の規模が大きく、良好な住環境が保全されている地区」として、「住宅の建替えにあたっては、周辺環境に配慮し、低層の集合住宅への再生を図り、住宅地環境を計画的に維持・保全する」とされていたのだから、巨大なマンション計画は、これを真正面から否定する目的で計画されたのかと思うくらいだ。


 

西側区道・宮村児童遊園方面から

多数決で優れたデザインが生まれるわけではないが。

 

  • 渋る近隣の地権者を説得して計画に取り込む、いわゆる再開発型の事業は、一朝一夕にできるものではなく、それなりに事業者の努力が必要になるが、大きくなった計画は、設計の自由度を増し、市街地環境を改善していく好機を与えることになる。
  • もちろん、計画地内の等価交換は、反対者を説得するため、従前資産の評価は高く新資産の評価は原価に近くなり、事業採算上も必然的に高容積が必要になるのだが、それだけで超高層が計画されるわけではない。
  • この場合も、開発者の強い意図があったと思う。部外者からすると、これだけ恵まれた条件で自由に設計したのだから、デザイン監修の大先生はこれが良いと考えていたのだろう。私が学生時代に見た作品などは、不本意なものであって、本当は、こういう物が造りたかったのか・・・・
  • ところが、計画地内では住民の多数合意でも、外の住民からすれば開発事業者の単独開発と同じである。「隣にどんな建築物が建つのかわかってる」はずの街に出現した超高層マンション計画は、「とにかく戸数。定住人口が増えればよい」という少数の商店主以外に賛成者がいない状況で、進行していったようだ。

善福寺参道から

これじゃ、なにやら「天上天下唯我独尊の図」・・・・

 

  • 丘のふもとに社寺仏閣は多く、ふもとの参道から丘の上の社殿までを景観の軸とする造り方をよく見る。
    この善福寺もそうしたものだが、背後に超高層マンションが出現し、寺門や社殿は、この新たなランドマークの飾りになってしまった。
  • 下から見上げると丘の高さ約26mが加算されるので、余計に大きく見えるが、この図を宣伝に使っているところもあるのをみると、かっこ良いと思う人もいるのだろう。
  • しかし、こうしてみると、古くからある地域の環境資源を自分たちのために利用するだけ利用する、なにやら「天上天下唯我独尊の図」かしらと思ってしまった。私などは、企業エゴだとかデザイナーの独善だとかを非難するよりも先に、その強烈な意思表示、常人からは伺い知ることもできない(他人から見ると根拠のない)自信のほどが怖いくらいだ。それでいて「地元のみなさんには最初は抵抗があるかもしれないが、この特徴的な形で、いつか地域のシンボルになりたい」と開発事業者は謙虚に意欲をみせたようだが、事後承諾で許されるものだろうか。
  • 私など、他人事ながら、願わくは、これが「盛者必衰の理を現すの図」にならないよう、早めの方針転換をお薦めする次第である(2002.3.20)


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