2002年3月18日


 現在、国会では政官癒着の構造改革が大きく取り上げられている一方で、あまり目立たないが、今後の都市政策にとっては重大事である都市再生関連法案(特別措置法の制定、都市再開発法及び建築基準法等の改正)の審議が始まろうとしている。 これらの法案をみると、まちづくりに関する都市計画の提案制度の創設など、実務的にも有意義な改良点は少なくないが、より多く盛り込まれているのは、政府の「都市再生」のセールスポイントである「迅速な規制緩和」を図るための制度改正である。

 いったい誰の何のための「都市再生」であるのか、国会では、根本に戻った骨太の論戦を期待したいが、ここでは論点として大きく2点ほど取り上げたい。

 第一は「総需要との関係で、さらなる容積率等の制限の迅速な緩和が必要な状況かどうか」である。

 現在、大都市で超高層マンションの建設が続いているが、これらの多くはバブル期に計画が始まったもので、いずれも現行の都市計画制度の下で計画されたものである。はたして、今後も超高層住宅の建設ラッシュは続くのか、それは現行制度をさらに迅速に緩和しなくてはならないほど急激かつ広範囲なものなのか。

 商業業務系の需要について言えば、あれだけの基盤整備を行った東京湾臨海部ですらビルドアップは大幅に遅れ、大規模小売業は既存店舗の整理縮小を行っている時代である。

 「迅速な緩和」という発想は、主として個別開発事業者との関係でしか捉えていないようで残念だが、現在のような経済情勢のもとで限りある建設投資を有効に活用していくためには、未来を見据えた計画当局の腰を落ち着けた取り組みのほうが、より今日的に重要な課題だと思う。

 第二の論点は「個別都市開発事業に国がお墨付きを与えるようなことで、計画の事前確定性が向上し、円滑な事業実施が可能になるのか」という点である。

 私たちが隣近所で眼にするのは、具体の建築計画が明らかになってから、予想外に規模が大きいことがわかって近隣住民と紛争になるケースである。容積率制限等の建物の形態規制はプロには意味があるのだが、一般の地域住民にはかえって規制の強さがわかりにくい。その結果、建築法規上は適法である建物を地域住民が受け入れてくれないために、設計者や工事業者は近隣説明に「余計な」手間を取られることになる。

 本来、地域には地域毎に「まちづくりのルール」があって、その中から法制度になじむものを、法定都市計画上の具体的な建築制限とする、というのが筋道のはずである。

 ところが、既定の都市計画ですら地域住民のまちづくり意識とギャップがあるのが普通で、時間をかけて本当の意味での住民合意を造ってこなかったツケを、当初案の設計変更とか工期の遅れいう形で個別の開発事業者が支払わされているというのが現状である。

 それは、国が後押しをして自治体が手続きを自動化すれば解決する問題だろうか。適法だからと強行突破すれば、地域だけでなく、結局のところは民間事業者も傷つくのである。法律は手続きにすぎないので、関係者が適切に運用すれば問題は生じないはずだが、昔のリゾート法のように、新たな法律が時の勢いで重大な問題を引き起こすことも少なくないのである。


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