2002年2月17日


 14日、東京都国立市の高さ44メートルのマンション建設を巡って、建築主が高さを20メートル以下に制限した条例の無効確認と損害賠償等を求めた訴訟に対して、東京地裁は、条例の無効確認は却下したが、市に4億円の支払いを命じた。

 この判決では、建築計画を知ってから市は積極的に建設を妨げようとしたと指摘し、建築主が多額の投資をしたことを無視できないという考え方を示した。規制の無効を認めないのは当然だとしても、「後出し」規制に対して、補償もまったく認めないというのでは不公平のように感じられる。

 しかし、一方で昨年12月に同じ東京地裁は「駆け込み着工」だとして、違法建築の是正を命じずに放置した都の対応を違法とする判決を言い渡している。

 確かに、高さ制限を目的とする地区計画が告示されてから、実際に建築制限が発効する条例が施行されるまでの1ヶ月の間に、都から建築確認を受けて着工したというのだから「駆け込み」には違いない。

 都の「放置」が違法かどうかは微妙な問題だとは思うが、先の損害賠償請求訴訟との関係で言えば、規制が実施され完成後には違法とされるのを承知で着工し工事を継続した建築主の責任は問われてしかるべきである。

 判決は「条例制定で20メートルを超える部分について建て替えが認められないなどマンションの市場価格に影響を与えた」ことまで認定したようだが、都の対応はどうあれ、建築主が着工前あるいは工事中にでも自らの判断で建築計画を変更すれば当然に回避することができたはずの損害まで完成時に至って賠償を認める必要はない。規制が後出しになったことを、判決は「行政としての怠慢を原告に転嫁するに等しい」と指摘しているが、逆に「原告の怠慢を行政に転嫁する」ところはないか、この点も公平な判断が必要だろう。

 ともあれ、この事件に関する結論は、他の訴訟も含めて、さらに上級裁判所の判断を待たねばならないが、最後に、こうした問題に対処するためのルールづくりの試案として、3点ほど提案したい。

 第1は、都市計画の変更が明らかに直前に迫っている場合、建築確認の留保とか着工の禁止をルールとして確立する。もちろん変更前後を通じて適格である建築計画なら問題はない。

 第2は、確定した設計図書を有する建築主が都市計画の変更に伴って設計を変更する場合、設計変更に必要な費用は都市計画行政庁が負担するルールを確立する。建築確認申請前はもちろん、工事中であっても、建築主が設計変更しようとする場合には行政で設計料を負担しなければいけないようにする。

 第3は、工事中の建築物が変更後の都市計画に適合しない場合、都市計画行政庁は是正を命じることができるようにするが、命令の履行に必要な工事費は補償しなければいけないようにする。たとえば、全部取り壊す必要があれば、そこに至る工事費と除却に必要な費用は行政で負担する。

 こうすれば、多少なりとも紛争を未然に防止し、混乱を回避することができるように思うが、どうだろうか。


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