■総務省
発言者の氏名は原則公開 取扱方針を各府省で統一
総務省は2005年8月4日、各府省統一の取扱方針として、「懇談会等行政運営上の会合の議事録等における発言者の氏名について、特段の理由がない限り、発言者が公務員であるか否かを問わず公開する」ことなどを申し合わせたと発表した。
総務副大臣主宰による「情報公開法の制度運営に関する検討会」は2005年3月にまとめた報告書で、議事録における氏名の取扱いが公務員か公務員以外かで異なるのは「不合理な状況」だと指摘。「公務員の氏名に準じて原則公開する方向で統一すること」を求めていた。公表された資料によると、今回の申し合わせは、この検討会報告や、議事録の原則公開などを定めた「審議会等の整理合理化に関する基本計画」(平成11年4月27日閣議決定)を踏まえたものだという。
一方、「不健全図書」の審査などを行なう東京都青少年健全育成審議会の議事録では、公務員以外の発言者はすべて黒塗りとなっている。また、その他の道府県では、審議会の議事録はおろか議事要旨さえ公開していないケースがある(注)。こうした自治体でも情報公開や審議会の運営改善が進むのか注目される。
【関連リンク】
▼「情報公開に関する公務員の氏名・不服申立て事案の事務処理に関する取扱方針(各府省申合せ等)」
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050804_2.html(総務省)(注)「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」では、審議会等の運営を改善するために、「審議会等の運営に関する指針」が定められている。この指針では、議事録などの公開について次のように規定している。
(4) 公開 1 審議会等の委員の氏名等については、あらかじめ又は事後速やかに公表する。 2 会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。
ただし、行政処分、不服審査、試験等に関する事務を行う審議会等で、会議、議事録又は議事要旨を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合は会議、議事録又は議事要旨の全部又は一部を非公開とすることができる。3 議事録及び議事要旨の公開に当たっては、所管府省において一般の閲覧、複写が可能な一括窓口を設けるとともに、一般のアクセスが可能なデータベースやコンピュータ・ネットワークへの掲載に努めるものとする。 本文の「審議会の議事録はおろか議事要旨さえ公開していないケースがある」とは、議事録や議事要旨を「一般のアクセスが可能なデータベースやコンピュータ・ネットワーク」に掲載していない、という意味で使っている。
【関連情報】
1.『朝日新聞』(佐賀版)2005年7月10日付35面に掲載された「情報公開や議会改革 実践例を交えて説く 片山・鳥取県知事が講演」という記事によると、片山善博・鳥取県知事は2005年7月9日、佐賀市で情報公開や議会改革などをテーマに講演したという。情報公開については、条例を変えただけでは開示文書の多くが「黒塗り」にされる実態は変わらなかったが、「黒塗り」を知事決裁にしたところ、そうした文書が激減したケースを紹介していたという。2.伊藤祐一郎・鹿児島県知事は2005年3月28日の定例記者会見で、「審議会等の会議の公開に関する指針」を改正したと発表した。改正の内容は、(1)非公開の会議を開催する場合も原則として会議開催を周知する、(2)公開・非公開にかかわらず会議結果の概要を開催後1週間以内に公表する、(3)会議結果に関する資料をホームページなどに掲載する――の3点。定例記者会見の内容は次のページで確認することができる。
▼「平成17年3月28日定例知事記者会見」
http://www.pref.kagoshima.jp/home/kohoka/chiji/teirei/050328.html(鹿児島県)3.佐賀県では「審議会等の委員の異年齢構成の推進に関する指針」(2003年12月11日施行)に基づき、40歳代以下の委員の割合を30%以上にする、という取り組みを進めている。2005年7月4日に発表された資料によると、2004年3月31日に19.4%だった割合は2005年3月31日現在、25.7%にまで増えているという。公表された資料は次のページで確認することができる。
▼「審議会等委員の年齢構成について」
http://www.pref.saga.lg.jp/at-contents/kenseijoho/koho/kisha/data1707/4-6.html(佐賀県)4.滋賀県は2004年2月、「委員名簿や議事録等をインターネットで公開すべきである」という「有害」規制監視隊の意見に対し、
図書等や興行、がん具等を推奨または有害指定、指定解除を行う場合や広告物の内容の変更または除去の措置命令を行う場合は、滋賀県社会福祉審議会児童福祉専門分科会図書等審査部会に諮り、意見を聴いて決定することとしております。
本部会につきましては、滋賀県情報公開条例第6条第5号に基づき、非公開としております。
ご意見を踏まえまして、非公開ではありますが、会議終了後には、可能な範囲におきまして、開催状況や概要等の公表に努めたいと考えます。と回答。2004年1月に開催された審議会から議事要旨を公開している。このほか鳥取県なども審議会の議事録等の公開に前向きな考えを示している。今後、多くの自治体に議事録などを公開する動きが広まることを期待したい。
5.「有害」規制監視隊は2005年2月、東京都に対して、「「会議は非公開、議事録は委員名を伏字にして公開する」としても、発言者の氏名を一律に伏せる必要はない」「東京都青少年問題協議会が公開で行われている以上、東京都青少年健全育成審議会についても、指定候補となっている図書類の審査、判定以外の部分は発言者の氏名を公開すべき」という意見を提出している。しかし、2005年7月までに公開された議事録では、公務員以外の発言者は黒塗りのままである。「発言者が公務員であるか否かを問わず公開する」という各府省統一の取扱方針が確認された以上、東京都においても、公務員か公務員以外かで氏名の取扱いが異なるという「不合理な状況」が改善されることを期待したい。
(2005/8/5 18:25)