■東京都

個別指定の強化に異論なし 第4回起草委員会

 青少年条例の改定について検討している都青少年問題協議会は2004年1月9日、第4回起草委員会を開催し、一部の委員が提出していた答申原案の修正案を審議しました。議論は4時間半に及んだものの、修正されたのはごく一部。個別指定の強化については議論さえありませんでした。

 図書の規制をめぐっては、指定図書の包装義務に議論が集中。原案の「罰則を設けて義務づけるべき」という表現に対し、「罰則については議論していない」などの批判が相次いだことから、「罰則を設けて」の部分は削除されました。

 ただ、図書への影響が最も大きい小委員会を常設機関とし、指定の迅速化を求めている部分には、修正案の提出も意見・質問もありませんでした。このため、包括指定よりも厳しい個別指定強化案が答申案に盛り込まれることとなりました。答申案は1月19日の総会で都に提出される見通しです。


<個別指定と包括指定について>

1.他の道府県が導入している包括指定では、「卑わいな姿態等」を被写体とした写真または描写した絵が一定の分量に達していた場合、自動的に「有害」図書とみなされる。
 これに対し、個別指定では、1点1点審議会で審査を行うものの、性表現に限らず、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現なども「有害」指定することができる(個別指定の規制対象はこちら。包括指定の規制対象はこちら)。さらに、個別指定では、写真や絵だけでなく、文章表現も「有害」指定の対象となる。また、秋田県は2003年10月に包括指定を導入しているが、「有害」規制監視隊の意見に対し、「包括指定の基準に至らない図書類については、従来どおり「個別指定」により行う」と回答している。つまり、個別指定は包括指定と比較してより厳しい規制を行うことが可能なのである。
 一般的には、包括指定の方が個別指定よりも問題が多いと言われている。たしかに包括指定は、具体的な雑誌名・書籍名が示されないため、「どの図書が有害図書なのかは、もはや誰も明確に知る由がなく、青少年から有害図書を隔離するという指定の目的を実現するための前提が失われてしまっている」(安光裕子「有害図書規制の現状と課題」『図書館学』第80号、23頁)など、問題点は多い。
 だが、東京都の個別指定は出版業界の自主規制(後述)と連動している。この自主規制が適用された雑誌は休刊に追いこまれる可能性が高く、これは「青少年から有害図書を隔離するという指定の目的」を大きく逸脱している。しかも、個別指定は包括指定よりも厳しい指定を行うことが可能である。
 第4回起草委員会では、ある委員が「一番議論のあった包括指定については、導入しないというのが結論」と述べている。しかしながら、包括指定よりも厳しく、指定の目的を逸脱するおそれのある個別指定強化案こそ、最も時間をかけて議論すべきだったのではないだろうか。

2.出版界の業界団体・出版倫理協議会(日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会の4団体で構成)には、東京都の「不健全」図書指定を連続3回または1年で5回受けた雑誌に対し、次の号から「18歳未満の方々には販売できません」という帯紙をつけるよう通知する自主規制(帯紙措置)がある。帯紙をつけない雑誌は取次で扱われず、たとえ帯紙がついていても書店から注文がない限り送品されない。この帯紙措置を適用されると、「流通部数が極端に減ってしまうために、休刊(実質的な廃刊)を余儀なくされてしまうのが通例」(長岡義幸「東京都「不健全」図書指定に宝島社の反撃」『創』2001年1-2月号、115頁)だという。
 したがって、東京都の個別指定が強化されれば、3回連続または1年で5回「不健全」指定を受け、「休刊(実質的な廃刊)」となる雑誌が増える可能性がある。

3.宝島社の雑誌『DOS/V USER』と『遊ぶインターネット』は2000年9月〜11月にかけて、東京都で連続3回「不健全」指定を受け、出版業界の自主規制(帯紙措置)により書店・コンビニでの販売が不可能となった。
 このため宝島社は東京都を相手取り、「不健全」指定の取消請求訴訟を行ってきたが、東京地方裁判所は2003年9月25日、請求を棄却した。この判決に対し、同社は10月7日に東京高等裁判所に控訴する一方、都の認定基準や指定プロセスの恣意性を立証するためだとして、「不健全」図書指定を受けた人や会社から、証言・証拠などを募集している。情報は、宝島社「不健全図書指定処分取り消し請求訴訟」のページから送信する。なお、地裁で下された判決の主文なども同ホームページで公開されている。
▼「不健全図書指定処分取り消し請求訴訟」
http://www.takarajimasha.co.jp/no/(宝島社)


【関連リンク】

▼「有害」規制法案・条例の状況 ■東京都「青少年健全育成条例」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyoukyou/tokyo.htm(「有害」規制監視隊)


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