■静岡県

審議会が申請を却下 形骸化する指定取消し制度

 図書館問題研究会は2001年1月22日、静岡県に対し、1999年7月に「有害」指定された『タイ買春読本・全面改訂版』『タイ夜の歩き方』について、青少年条例の申出制度に基づく指定取消し申請を行いました。

 申請では、類似図書が指定されていないにもかかわらず、静岡市立図書館に廃棄要求が出されていた同書が指定されたことは「図書館資料への介入」だと批判。これを受け、県青少年環境整備審議会は2001年9月18日、指定の是非について再審査を行いましたが「出版物の自由、言論の自由はこの問題の論点ではない」「絶版であっても青少年の目にふれる可能性はある」などとして、取消し申請を却下しました。

 なお、『タイ買春―』などを「有害」図書に認定した審議会には読売新聞静岡支局長が、申請を却下した審議会には共同通信社静岡支局長が、それぞれ委員として参加していました。

 

【関連情報】

1.西河内靖泰氏は『図書館評論』第42号に掲載された論文「「有害図書」問題と図書館の自由」で、「毎日新聞は図書館への廃棄要求報道の時から、要求団体の後押しをするような報道を続けていた」として、『タイ買春―』などの「有害」指定は「新聞社による意図的なキャンペーンである」と批判しています。

2.「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」に規定する申出制度

(一般からの申出)
第19条 何人も、第7条第1項若しくは第8条第1項の推奨、第9条第1項、第10条第1項若しくは第12条第1項の指定又は第11条第1項の取消しをすることが適当であると認めるときは、知事に対し、その旨を要請することができる。

 第7条は「優良」興行および「優良」図書類の推奨、第8条は「優良」環境の推奨、第9条は「有害」興行および「有害」図書類の指定、第10条は「有害」がん具類等の指定、第11条は推奨および指定の取消しに係る規定です。

訂正(2003/7/17)
×「第11条は「有害」広告物の指定」

〇「第11条は推奨および指定の取消し」

 

【関連リンク】

▼図書館問題研究会ホームページ
http://www.jca.apc.org/tomonken/

▼「審議会等の概要調書 静岡県青少年環境整備審議会」
http://www2.pref.shizuoka.jp/ALL/shingi.nsf/gaiyou_sosiki/64122F0FDA8FAC6549256B3C003052CF
(静岡県)

▼「静岡県 マンガも包括指定の対象に 審議会が答申」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2002/03.htm(「有害」規制監視隊)
※この時の審議会には、静岡第一テレビ報道制作局長、共同通信社静岡支局長らが委員として参加していました。

▼「静岡県 青少年環境整備条例を改定 「絵」も包括指定の対象に」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2002/04.htm(「有害」規制監視隊)

 

【参考情報】

 メディア関係者が政府や自治体の審議会に参加することは、ジャーナリスト倫理に反するという批判があります。例えば、塚本みゆき氏(報道の自由を求める市民の会)は『誰のためのメディアか』(花伝社)で次のように述べています。

私たちが見ていていちばん気になるのはメディアの上層部の人たちです。たとえば、政府の審議会とか委員会にこぞって参加しています。そのことがなぜ疑問に思えるかというと、結局はそこで出した結論には、メンバーの一人として共同責任を負うことになるからです。そうなれば批判できるはずがありません。そういうところで政府にとり込まれている様子が、私たちにはありありと見えてしまうのです。これは現場の記者たちがどんなに頑張っても、どうにもならないところです。
(p36-37)

 また、原寿雄氏(ジャーナリスト)も『ジャーナリズムの思想』(岩波新書)で、次のような指摘をしています。

審議会は各界有識者の意見を広く政策作りに反映させる建前だが、実態を見れば人選から答申案作りまですべて官僚主導で進められている場合がほとんどのようで、民主主義の偽装といっても過言ではない。「政策作りには十分世論を反映しています」という形で、マスコミ人が利用されていることは歴然としている。
(p109-110)

「審議会に参加しても論調や報道姿勢にはなんの影響も受けない」という釈明も聞かれるが、これは形式論、建前論である。本人の個人的善意や意図を越えて役所にとってプラスの効果が確実にあるからこそ、中央政府も地方政府(自治体)も、審議会へのマスコミ人の参加実現に熱心になるのである。
(p112)

 これらのことからも、メディアが政府や自治体を監視するには、メディアに携わる人々がそれらと距離を保つことが必要だといえそうです。

 なお、各都道府県が設置する青少年健全育成審議会には、以下のようなメディア関係者が委員として参加しています(既に任期満了となった者を含む)。

<東京都青少年健全育成審議会>
朝日新聞東京本社編集局記事審査部長
毎日新聞東京本社論説委員
読売新聞社論説委員
東京新聞編集局文化部長

<静岡県青少年環境整備審議会>
読売新聞静岡支局長
共同通信社静岡支局長
静岡第一テレビ報道制作局長
SBS静岡放送報道制作局長

(その他の自治体については現在調査中)


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