ドキュメント
『完全自殺マニュアル』規制騒動


1999年以前 2000年 2001年

2002年(平成14年)

3月4日
 太田房江・大阪府知事は府議会で青少年健全育成条例についての質問を受け、「自殺や犯罪を誘発するような情報やインターネット等新たな媒体への対応については、より一層の取り組みが必要」「今後、法制面を含めさまざまな角度から検討をし、平成十四年度内を目途に条例改正など必要な対策を講じてまいります」と発言。今年度中に青少年健全育成条例を改定・強化する方針であることを明かにした。

5月1日
 『教育と医学』2002年5月号に高岡健・岐阜大学医学部精神科助教授と高田知二・岐阜大学医学部精神科講師による論文「青少年に映る「うつ」の時代」が掲載される。『完全自殺マニュアル』を愛読する青年の例が紹介されている。なお、青少年の自殺企図について、「絶望のみが含まれているとは必ずしもいえず、希望への契機もまた見出すことができる場合があることを、忘れてはならないだろう」と指摘している。

6月4日
 『朝日新聞』(夕刊)に「乗用社爆発 男が死亡 火薬臭 爆発物か 自殺・誤爆の両面捜査 東京・江東」という記事が掲載される。記事によると4日未明、東京・江東区の路上で乗用車が爆発。車内からは「自殺のマニュアル本や自己啓発本」などが見つかったという。

6月5日
 テレビ朝日「スーパーモーニング」は、4日に東京都・江東区で起きた爆発事件について、車内から『完全自殺マニュアル』(太田出版)が見つかったと報じる。さらに「3ヶ所にフセン」などと、本と事件を結びつける報道を展開。

7月5日
 太田房江・大阪府知事は府青少年問題協議会に対し、「時代の変化に対応した青少年育成環境の整備について」諮問した。

7月6日
 『毎日新聞』(大阪版)に「府が健全育成条例改正へ諮問 インターネット普及などで」という記事が掲載される。記事によると大阪府は5日、府青少年問題協議会に条例改定を諮問。現行の青少年条例で規制対象とされていないインターネット、自殺や犯罪を「誘発」しかねない書籍、出会い系サイト紹介誌などを規制すべきかどうか議論するという。

9月30日
 『朝日新聞』(夕刊)に「山本襄治さんと読者が考える 自殺は罪か」という特集記事が掲載される。記事によると、朝日新聞が「自殺は罪か」をテーマに意見を募集したところ、10代から90代までの読者から180通の投稿があり、「罪ではない」とする内容が多かったという。

11月20日
 大阪府青少年問題協議会が開催され、協議会に設置された青少年育成環境問題特別委員会のまとめた報告書について協議した。公表された会議要旨によると、次のようなやりとりがあったという。

○P2の「A自殺の方法を詳細に記した図書類について」の中の「もっとも、自殺の方法は〜留意する必要がある。」とあるが、この点について、特別委員会でどのような議論があったのか、説明してほしい。

○有害図書類としての取扱いについては、犯罪の方法を詳細に記した図書類と自殺の方法を詳細に記した図書類とでは、委員の中でも意見が異なった。犯罪の方法を詳細に記した図書類と比べて、自殺の方法を詳細に記した図書類が直接自殺に結びつくとも言い難い。また、自殺件数も犯罪件数と比較にならない。犯罪が低年齢化していることなどから、犯罪の方法を詳細に記した図書類についての見直しをメインに考え、今回は、自殺の方法を詳細に記した図書類については有害図書類の中には入れないが、今後の社会情況によっては検討の余地があると考える。

○犯罪を誘発する本や自殺の方法を詳細に記した本を子どもから規制で隠すのは、いたちごっこだと思う。幼い頃から、子どもにそれらを見せて、それらを題材に議論する教育方法が青少年の育成環境としてよいと考える。その点、特別委員会でどのような議論があったのか。

○特別委員会での議論の中でそのような意見もあったが、そういった教育方法だけでなく、規制も必要であると考えている。

なお、報告書「時代の変化に対応した青少年育成環境の整備について」のうち、「自殺」にかかわる部分は次のとおり。

 A自殺の方法を詳細に記した図書類について

 自殺の方法を詳細に記したマニュアル本については、それが必ずしも自殺に結びつくとはいい難く、むしろ、自殺は本人の心の問題とも考えられる面があり、現在、青少年の自殺が大きな社会問題となっているという状況ではないということや、自殺は法的には犯罪とまではならないことも考慮すれば、そのようなマニュアル本を青少年健全育成条例上の有害図書類とするコンセンサスは現時点では得られていないと考えられる。

 もっとも、自殺の方法は殺人等に転用できることから、そのような内容が掲載されている図書類は犯罪を誘発するような図書類と位置づけられる可能性があることに留意する必要がある。

 自殺については、それ自体が犯罪というものではないが、生命を断つ行為として否定されるべきものであり、自殺の方法を詳細に記したマニュアル本は、生命の尊厳を軽視しているものといえることから、青少年や社会に及ぼす影響などについて今後とも注視していくことを求めたい。

11月23日
 『毎日新聞』(大阪版)に「府青少年問題協 “犯罪本”有害図書類に 2月議会で条例改正へ」という記事が掲載される。記事によると、府青少年問題協は22日、殺人や薬物使用などの方法を詳細に記した図書類を「有害図書類」に含めるべきだとする答申をまとめ、府に提出したという。一方、自殺のマニュアル本については、「自殺は本人の心の問題」などどして「有害図書類」とすることを見送ったという。このほか答申では、インターネット上の「有害情報」について、受信者側で情報を遮断できるフィルタリングに関する情報を府が府民に提供するよう求めているという。

12月4日
 大阪府は「有害図書類」の指定事由追加や包括指定の強化などを盛り込んだ「大阪府青少年健全育成条例」改定案について意見の募集を開始した。意見は、所定の「意見提出用紙」に必要事項を記入し、郵便、ファクス、電子メールのいずれかの方法により提出する。募集期間は平成14年12月4日(水)〜平成15年1月6日(月)。なお、府内に住所がなくても意見は受け付けるという。
▼「大阪府青少年健全育成条例の改正に対する府民意見の募集について」
http://www.pref.osaka.jp/seishonen/kenzen.html ※リンク切れ

2005年(平成17年)

2月23日
 愛知県は「有害図書類」の指定事由に「自殺」を追加することなどを盛った「愛知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」案を平成17年2月定例県議会に提出した。

3月18日
 愛知県議会は「愛知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」を可決。施行は2005年7月1日から。

7月8日
 愛知県で『完全自殺マニュアル』が「有害図書」に指定される。

2009年(平成21年)

2月10日
 長崎県で『完全自殺マニュアル』が「有害図書」に指定される。

10月30日
 福島県で『完全自殺マニュアル』が「有害図書」に指定される。

2010年(平成22年)

5月25日
 宮城県で『完全自殺マニュアル』が「有害図書」に指定される。

2014年(平成26年)

1月14日
 京都府で『完全自殺マニュアル』が「有害図書」に指定される。

9月16日
 大分県で『完全自殺マニュアル』が「有害図書」に指定される。


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