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「青少年健全育成基本法案」

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2000年分

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2003年分

2004年

1月9日
『読売新聞』に「決断の年 治安回復への道筋 無防備社会からの脱却が急務」という社説が掲載される。この社説では、
犯罪対策閣僚会議がまとめた「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」や青少年育成推進本部が策定した「青少年育成施策大綱」について、「今年は、行動計画や大綱に盛られた各種の施策を実行に移す年だ」と主張している。また、少年犯罪については、「少子化もあって、少年の検挙者数こそ横ばいだが、少年人口千人当たりでは増加傾向が顕著だ。検挙率の落ち込みを考えれば、数字以上に深刻化している可能性もある」と指摘している。
▼「
[決断の年]「治安回復への道筋 無防備社会からの脱却が急務」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040108ig90.htm(読売新聞)
【関連リンク】
▼犯罪対策閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/(首相官邸)
青少年育成推進本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seisyonen/(首相官邸)
【関連情報】
1.
政府の青少年育成推進本部(本部長、小泉純一郎内閣総理大臣)は2003年12月9日、青少年の育成にかかわる政府の基本理念と中長期的な施策の方向性を示した「青少年育成施策大綱」を決定した。大綱では、各種メディアにおける「有害」情報対策として、事業者・業界団体に自主規制の徹底を要請することや、関係法令による取り締まりの強化などが掲げられている。また、インターネットの「有害」情報対策については、フィルタリングサービスの普及や技術開発の支援、さらには児童ポルノやわいせつなデータの送信に対処するための刑事実体法の整備などが求められている。大綱の全文は、内閣府「青少年健全育成ホームページ」などからダウンロードすることができる。
▼青少年健全育成ホームページ
http://www8.cao.go.jp/youth/index.html(内閣府)
2.荒木伸怡・立教大学教授は、書評「統計は犯罪の実像を示しているか」(『法学セミナー』第553号、116頁)で、「検挙人員やその内訳は、検挙活動へのエネルギーの注ぎ方に依存する」のであり、重要な事件にエネルギーを使う場合には、「残るエネルギーは、検挙が容易で検挙率を上げることのできる犯罪に注がれることとなろう」と指摘している。
 読売新聞の社説では、「検挙率の落ち込み」を理由に少年犯罪が「数字以上に深刻化している可能性もある」と指摘している。だが、検挙率が落ち込んでいるからこそ、「検挙が容易で検挙率を上げることのできる」少年犯罪にエネルギーが注がれ、結果として、統計上の少年犯罪が実態以上に深刻化している(ように見えている)可能性もある。

1月10日
『朝日新聞』に「孤独 殺人に走る心の奥底」(連載「にっぽんの安全」第9回)という記事が掲載される。記事には、「犯罪本やビデオに影響を受け、醸成される無自覚な『殺人』への欲動」などの表現があるほか、諸沢英道・常磐大学教授(被害者学)の「孤独さで、本などの影響が抑えられなくなり、自分を見失う」というコメントがあるなど、殺人事件の動機と犯罪に関する本を結びつける内容となっている。
【関連情報】
 犯罪社会学とメディア論が専門の村上直之は『アウトサイダーズ ラベリング理論とはなにか』(ハワードS.ベッカー著、村上直之訳、1978年)の解説で、「異常」な行動や事件とその「動機」の関係をラベリング理論の観点から説明している。この説明によると、人々は日常、他者の行為の「動機」を問題とせず、その行為の意味を自動的に理解しているが、「異常」な行動や事件が起きると意味の理解が困難となり、「私たちは『異常』な行為者の『動機』を理解しようとする」(263頁)という。そして、この「『異常』な行為者の『動機』」の理解には、次のような機能があるという。

ベッカーが「逸脱動機が逸脱行動を導くのではなく、まったく逆なのだ」(本訳書六〇頁)と述べ、また彼と同様にエリクソン、J・I・キッセらが、「逸脱は行為の内在的性質ではなく、社会の聴衆によって付与された性質である」と語る時、彼らは、行為者の「内的属性」と見做されている「動機」が、他者(あるいは自分自身)の行為を説明し理解可能なものにするために仕組まれた一つの概念装置だということを明らかにしているのである。つまり「動機」は行為者の内部に発見されるのではなく、外部から「付与」されるのであり、この「動機付与」によって、わけのわからぬ行動や出来事の「異常」さをその行為者自身の「内的問題」として処理し、私たちの認知的秩序の均衡を回復するのである。(264-265頁)

 一般的に「動機」とは、行為に先立つものと考えられている。しかし、そうではなく、事後に「他者(あるいは自分自身)」がその行為を解釈した結果だというのである。この考えを踏まえて朝日新聞の記事を読むと、殺人事件を理解可能なものとし、「私たちの認知的秩序の均衡を回復する」ためにこそ、犯罪本やビデオの「影響」という「動機」が事後的に「付与」されたといえそうである。
 「犯罪本やビデオ」を規制すれば、「犯罪本やビデオに影響を受け」といった「動機」は語られなくなるかもしれない。だがそれは、同種の事件が減ったことを意味するのだろうか。同じような事件に今度は別の「動機」が「付与」されるだけではないだろうか。

1月31日
『毎日新聞』(夕刊)に「日本は差別やいじめをなくせ 国連子どもの人権委 「一層の改善を」2回目の勧告」という記事が掲載される。記事によると、国連「子どもの権利条約」委員会は30日、日本への勧告内容を公表したという。勧告は、昨年策定された「青少年育成施策大綱」について、子どもや市民社会の意見が十分反映されていないと指摘。継続的な見直しを求めているという。
『読売新聞』(夕刊)にも「競争教育また宿題に 子どもの権利国連委員会 日本に2度目勧告」という記事が掲載された。
【関連情報】
1.「
青少年育成施策大綱」とは、政府の青少年育成推進本部(本部長、小泉純一郎内閣総理大臣)2003年12月9日に決定したもので、青少年の育成にかかわる基本理念や中長期的な施策の方向性が示されている。具体的には、各種メディアにおける「有害」情報対策として、事業者・業界団体に自主規制の徹底を要請することや、関係法令による取り締まりの強化などが掲げられている。また、インターネット上の「有害」情報対策として、フィルタリングサービスの普及や技術開発の支援、さらには児童ポルノやわいせつなデータの送信に対処するための刑事実体法の整備なども盛り込まれている。
2.大綱の全文は、内閣府「青少年健全育成ホームページ」などからダウンロードすることができる。
▼青少年健全育成ホームページ
http://www8.cao.go.jp/youth/index.html(内閣府)
3.『読売新聞』2004年1月9日付の社説「決断の年 治安回復への道筋 無防備社会からの脱却が急務」では、犯罪対策閣僚会議がまとめた「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」や青少年育成推進本部が策定した「青少年育成施策大綱」について、「今年は、行動計画や大綱に盛られた各種の施策を実行に移す年だ」と主張している。
▼「
[決断の年]「治安回復への道筋 無防備社会からの脱却が急務」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040108ig90.htm(読売新聞)
【関連リンク】
▼犯罪対策閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/(首相官邸)
青少年育成推進本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seisyonen/(首相官邸)

2月6日
『日本経済新聞』に「未成年の犯罪被害深刻 連れ去り・わいせつ最多 昨年虐待死42人に増加」という記事が掲載される。ほかにも「少年、加害も深刻 凶悪犯11%増 14歳未満、16年ぶり200人越す」という記事が掲載される。
『朝日新聞』にも「凶悪少年事件 検挙者1割増 03年、警察庁まとめ」という記事が掲載された。
『毎日新聞』にも「03年、性犯罪の少年被害 過去最悪の7376件 警察庁まとめ」という記事が掲載された。
『読売新聞』にも「殺人、強盗…凶悪犯 少年摘発2212人 昨年」という記事が掲載された。
『東京新聞』にも「少年の凶悪犯1割増 強盗最悪、殺人16%増、放火17%増 被害も深刻、性犯罪最多 昨年、警察庁まとめ」という記事が掲載された。
▼「凶悪少年事件、検挙者1割増 03年警察庁まとめ」
http://www.asahi.com/national/update/0206/010.html(朝日新聞)
▼「犯罪状況:少年の性被害、過去最悪の7376件 03年」
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200402/06/20040206k0000e040001000c.html(毎日新聞)
▼「殺人などの凶悪犯、昨年の少年摘発2212人」
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040206i502.htm(読売新聞)
▼「少年の凶悪犯1割増 昨年、警察庁まとめ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040206/mng_____sya_____006.shtml(東京新聞)

2月7日
『毎日新聞』に「2歳までテレビ我慢を 小児科医会が提言 言葉発達に悪影響 親と視線合わさず」という記事が掲載される。
『読売新聞』にも「2歳未満はテレビ控えて 小児科医会呼びかけ 対人関係や言葉に遅れ」という記事が掲載された。
『日本経済新聞』(夕刊)にも「「2歳まではテレビ控えて」 小児科医会が提言 「外遊び」の機会奪い心身の発達に悪影響」という記事が掲載された。
『東京新聞』(夕刊)にも「2歳まではTV控えて 日本小児科医会が提言 『言葉や心の発達妨げる』」という記事が掲載された。
▼「テレビ:2歳までは控えめにと提言 小児科医会」
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200402/07/20040207k0000m040054003c.html(毎日新聞)
▼「2歳まではTV控えて 日本小児科医会が提言」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040207/eve_____sya_____000.shtml(東京新聞)
▼「TV見ながらの授乳は発達に影響 小児科医らが提言」
http://www.asahi.com/national/update/0206/032.html(朝日新聞)
【関連リンク】
▼社団法人 日本小児科医会のホームページ
http://jpa.umin.jp/index.htm(社団法人 日本小児科医会)
【関連情報】
1.暴力場面等が子どもに与える影響については、以下の文献にまとめられている。
(1)H.J.アイゼンク;D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア マスコミの影響力についての真実』岩脇三良訳(新曜社、1982年)
(2)佐々木輝美「テレビ暴力番組に関する実証的研究の概観」『教育研究』第28号(1986年)、127-153頁
(3)岩男寿美子「テレビ暴力画面とその影響」堀江湛編『情報社会とマスコミ』(有斐閣、1988)、209-255頁
(4)小平さち子「欧米にみる“子どもに及ぼす映像描写の影響”研究」『放送研究と調査』1996年9月号、2-21頁
(5)長谷川倫子「社会生活とマス・メディア」春原昭彦、武市英雄編『ゼミナール 日本のマスメディア』(日本評論社、1998)、155−191頁
(6)
坂元章「10代の青少年と電子メディア ―心と体への影響―」『学術の動向』第6巻第9号(2001年)、22-25頁
2.『放送研究と調査』2003年4月号に掲載された服部弘「高まる“メディアの影響・効果”への関心 〜子ども大規模追跡調査の世界潮流〜」という記事によると、日本、アメリカ、イギリスなど世界各地で生活環境が子どもに与える影響を調べる大規模調査が開始されているという。これらの調査の中には、映像メディアが子どもに与える影響を重要な調査項目に位置付けているものもあるという。

2月17日
『読売新聞』1面に「男は男らしく 女は女らしく 日本の高校生最低 日米中韓調査」という記事が掲載される。また、社会面に掲載された「男女・善悪の区別ちぐはぐ日本 高校生調査 親、学校"軽さ"反映?」という記事には、
日本の高校生は他国に比べ、結婚前の純潔を重視していない、という調査結果に対し、大日向雅美・恵泉女学園大教授(心理学)の「メディアに性や暴力がはんらんし、日本の大人が命や性の大切さを若者に示していない現状が表れているのでは」というコメントが紹介されている。
▼「「男らしさ・女らしさ」日本の高校生は意識希薄」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040217it01.htm(読売新聞)

『読売新聞』(夕刊)に「ネットの危険性 低い親の意識 PTA調査「有害サイト遮断」7割知らず」という記事が掲載される。

2月20日
『朝日新聞』に「テレビに頼らぬ育児って 小児科医ら「2歳になるまで控えて」 無理せぬ範囲でまず実践」という記事が掲載される。

2月21日
『読売新聞』に「子どもとテレビ 接しすぎは× 心身の発達に影響 ルール作り大切」という記事が掲載される。

2月27日
『毎日新聞』に「子どもはテレビを見ちゃいけないってホント? 「2歳まで」、「1日2時間まで」の謎」という記事が掲載される。

『朝日新聞』が「脳の謎 科学が迫る 応用進む 医療現場」という特集記事を掲載。2月7日に開催された公開シンポジウム「未知への探求――脳科学最前線」で議論されたゲームが脳に与える影響等について報じている。

3月2日
『毎日新聞』(夕刊)に「映倫のボカシ問題を考える」という記事が掲載される。
【関連情報】
 海外で行われている映像倫理規制については、以下の文献が詳しい。
(1)大條成昭「映像倫理規制の各国事情」『総合ジャーナリズム研究』第141号(1992年) 54-59頁
(2)小平さち子「テレビにおける暴力描写をめぐる各国の動向」『放送研究と調査』1994年1月号 22-31頁
(3)清水英夫・大條成昭「映像における暴力表現の問題性 映像表現の基準に関する第四回国際会議から」『総合ジャーナリズム研究』第159号(1997年) 39-44頁
(4)向後英紀「アメリカにおける番組ランクづけシステムと"V-Chip"の導入 〜性・暴力番組からの青少年の保護(1)〜」『放送研究と調査』1997年5月号 2-11頁
(5)森口 宏、伊藤恭子「アジア地域における衛星放送と青少年の保護 〜性・暴力番組からの青少年の保護(3)〜」『放送研究と調査』1997年7月号 38-45頁
(6)村瀬真文「ヨーロッパ国際機関の青少年保護法制 〜EU(欧州連合),欧州評議会,EBUの原則の背景をさぐる〜」『放送研究と調査』1997年6月号 68-77頁
(7)総務庁青少年対策本部『諸外国における青少年施策等に関する調査研究報告書 −有害環境、幼児虐待及び児童買春からの青少年保護を中心に−』(1998年
(8)古城ゆかり「テレビの暴力描写はどこまで許されるのか 〜カナダの先駆的試み〜」『放送研究と調査』1998年12月号 22-29頁

『朝日新聞』(夕刊)に「民放連の放送基準に「知る権利への奉仕」 5年ぶり大幅改正」という記事が掲載される。
【関連情報】
1.民放連が行っている子どもとテレビに係る取り組みについては、『月刊民放』2002年8月号の特集「子どもとテレビ」にまとめられている。なお、こうした取組みとは別に、民放連会員放送局の一部は、「有害」図書指定などを行う「青少年健全育成審議会」(青少年健全育成条例に基づき各都道府県が設置)に委員として参加し、公的規制のプロセスに組み込まれている。
青少年条例による「有害」規制の当事者であるメディアが、青少年条例について公平・公正な報道を行えるのだろうか。
2.
メディア関係者が政府や自治体の審議会に参加することは、ジャーナリスト倫理に反するという批判がある。例えば、塚本みゆき氏(報道の自由を求める市民の会)は『誰のためのメディアか』(花伝社)で次のように述べている。

私たちが見ていていちばん気になるのはメディアの上層部の人たちです。たとえば、政府の審議会とか委員会にこぞって参加しています。そのことがなぜ疑問に思えるかというと、結局はそこで出した結論には、メンバーの一人として共同責任を負うことになるからです。そうなれば批判できるはずがありません。そういうところで政府にとり込まれている様子が、私たちにはありありと見えてしまうのです。(p36-37)

 メディア関係者の審議会参加には、様々な弊害が考えられる。メディアに依存する記者や文化人、さらにはメディアを敵に回したくない人々が審議会問題について書けるのだろうか? 放送基準に「知る権利」を明記するより、審議会への“原則不参加”を徹底する方が「知る権利」への奉仕につながる可能性がある。
3.メディアと審議会の関係については、以下の文献が詳しい。
(1)天野勝文「「取り込まれる」ジャーナリスト」『総合ジャーナリズム研究』第128号(1989年) 46-52頁
(2)天野勝文「「取り込まれる」マスコミ人 =全国版=」『総合ジャーナリズム研究』第144号(1993年) 72-79頁
(3)天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号 296-303頁
(4)天野勝文「新聞人の各種審議会への参加について」新聞労連編『新聞記者を考える』(晩聲社、1994年) 187-211頁

3月7日
『読売新聞』の「編集委員が読む」欄に、「脳の発育のために テレビよりも人と触れ合って」という記事が掲載される。

3月10日
自民党ホームページ「デイリー自民」に「「若年者の性行動の現状」について議論 青少年特別委員会」という記事が掲載される。
▼「「若年者の性行動の現状」について議論 青少年特別委員会」
http://www.jimin.jp/jimin/daily/04_03/10/160310c.shtml(自民党)

『毎日新聞』1面に「テレビを長時間見る子ども 言葉の発達遅れ2倍の割合で 1歳半1900人調べ裏付け」という記事が掲載される。
▼「テレビ視聴:長時間見る子ども 言葉の発達に遅れ」
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040310k0000m040112000c.html(毎日新聞)
【関連記事】
(1)『毎日新聞』2004年2月7日「2歳までテレビ我慢を 小児科医会が提言 言葉発達に悪影響 親と視線合わさず」
(2)『読売新聞』2004年2月7日「2歳未満はテレビ控えて 小児科医会呼びかけ 対人関係や言葉に遅れ」
(3)『日本経済新聞』2004年2月7日・夕刊「「2歳まではテレビ控えて」 小児科医会が提言 「外遊び」の機会奪い心身の発達に悪影響」
(4)『東京新聞』2004年2月7日・夕刊「2歳まではTV控えて 日本小児科医会が提言 『言葉や心の発達妨げる』」
(5)『朝日新聞』2004年2月20日「テレビに頼らぬ育児って 小児科医ら「2歳になるまで控えて」 無理せぬ範囲でまず実践」
(6)『読売新聞』2004年2月21日「子どもとテレビ 接しすぎは× 心身の発達に影響 ルール作り大切」
(7)『毎日新聞』2004年2月27日「子どもはテレビを見ちゃいけないってホント? 「2歳まで」、「1日2時間まで」の謎」

3月11日
自民党ホームページ「デイリー自民」に「
青少年健全育成基本法案を了承 内閣部会」という記事が掲載される。
▼「
青少年健全育成基本法案を了承 内閣部会
http://www.jimin.jp/jimin/daily/04_03/11/160311d.shtml(自民党)
【関連情報】

1.新聞社やテレビ局などの一部メディアは、「有害」図書の審査などを行う「青少年健全育成審議会」(青少年健全育成条例に基づき各都道府県が設置)に委員として参加し、公的規制のプロセスに組み込まれている。さらに、規制強化を促す報道を行ってきた「実績」もある。
 条例による「有害」規制の当事者である新聞・テレビが、「青少年健全育成基本法案」についてどのような報道を行うのか注目される。
2.メディアと審議会の関係については以下の文献が詳しい。
(1)天野勝文「「取り込まれる」ジャーナリスト」『総合ジャーナリズム研究』第128号(1989年) 46-52頁
(2)天野勝文「「取り込まれる」マスコミ人 =全国版=」『総合ジャーナリズム研究』第144号(1993年) 72-79頁
(3)天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号 296-303頁
(4)天野勝文「新聞人の各種審議会への参加について」新聞労連編『新聞記者を考える』(晩聲社、1994年) 187-211頁
3.メディアによる規制強化キャンペーンについては以下の文献が詳しい。
(1)諸橋泰樹「コミック本規制の構造と報道の陥穽」『「有害」コミック問題を考える』(創出版、1991年) 208-219頁
(2)長岡義幸「『完全自殺マニュアル』悪書キャンペーンの陥穽」『創』第29巻第10号(1999年) 22-28頁
(3)西河内靖泰「「有害図書」問題と図書館の自由」『図書館評論』第42号(2001年) 69-82頁

3月12日
『日本経済新聞』(夕刊)に「わいせつ映像罰則強化可決 米下院」という記事が掲載される。

3月16日
毎日新聞ホームページに「青少年育成法案:自民、公明両党が了承 今国会提出へ」という記事が掲載される。
▼「青少年育成法案:自民、公明両党が了承 今国会提出へ」
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20040317k0000m010073000c.html(毎日新聞)

3月18日
『日本経済新聞』(夕刊)に「少年非行対策で研究会 警察庁設置へ」という記事が掲載される。記事によると、警察庁は18日、非行少年の早期発見・保護や再非行防止策などを検討する研究会(座長:前田雅英都立大教授)の設置を決めたという。研究会は今月23日に第1回の会合を開催し、9月をめどに提言をまとめるという。

3月23日
『自由民主』に「青少年健全育成基本法案を了承 内閣部会」という記事が掲載される。この他、「低年齢化する若者の性行動 青少年特委 診療所院長が講演」という記事によると、3月10日に開催された自民党青少年特別委員会(委員長・小此木八郎衆院議員)の席上、議員からは「性の氾濫する雑誌、テレビ・ビデオ、インターネットの規制強化はできないのか」といった、新規制を含む対策を検討すべきだという意見が出たという。
▼「
青少年健全育成基本法案を了承 内閣部会
http://www.jimin.jp/jimin/daily/04_03/11/160311d.shtml(自民党)
▼「「若年者の性行動の現状」について議論 青少年特別委員会」
http://www.jimin.jp/jimin/daily/04_03/10/160310c.shtml(自民党)

4月6日
『THE JAPAN TIMES』に「TV may spur attention disorder in kids」という記事が掲載される。

4月7日
『東京新聞』に「暴力に負けない 教育現場に広がるCAP」という特集記事が掲載される。記事によると、具体的な場面を想定したロールプレイなどを通し、子どもが暴力から身を守る方法を学ぶ学習プログラム・CAP(チャイルド・アソールト・プリベンション)が、自治体や学校に広まりつつあるという。この他、「米の子供の肥満、メディアが原因!? 食品CMやり玉 議会、規制に及び腰」という記事も掲載されている。

『日本経済新聞』(夕刊)に武居正郎・日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会委員長の「小児科医会「2歳までテレビ抜きで」 心身の悪影響防ぐ 言葉遅れや集団不適応 米国でも同様の提言」という記事が掲載される。日本小児科医会は、「乳幼児期からメディア漬けの生活を送るとコミュニケーション能力の欠如を招き、心身の発達に影響を及ぼすこと」や、「暴力的な映像に長時間接すると、後々暴力的な行動や事件につながりかねない」ことを懸念しているという。
【関連情報】
1.メディアの悪影響をめぐっては、「メディア上の性・暴力表現が、受け手である青少年を暴力や性的逸脱に向かわせるという『強力効果説』は、社会学者のジョセフ・クラッパーらをはじめとする数多くの実証的な調査研究の結果、現在までに、ほぼ否定されている」(斎藤環「条例強化というお節介には断固抵抗する」『中央公論』2004年1月号、44頁)といった意見がある。
 だが、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア マスコミの影響力についての真実』岩脇三良訳(新曜社、1982年)や佐々木輝美「テレビ暴力番組に関する実証的研究の概観」『教育研究』第28号(1986年)などを読む限り、悪影響論が「現在までに、ほぼ否定されている」と主張することは、かなり無理があると思われる。
 これらの文献に紹介されている「脱感作理論」(暴力場面等をくつろいだ状態で見るうちに暴力と弛緩状態が結合。暴力に対する抑制が弱まってしまうという理論)や「観察学習理論」(暴力場面等に接することにより暴力行為を学習。模倣的暴力行為が増加するという理論)、そして悪影響を示唆する個々の研究結果はどういった理由から「ほぼ否定」されるのだろうか。

2.田宮裕「わいせつに関するアメリカ大統領委員会の報告書について(一)(二)」(『ジュリスト』第477号、第478号、1971年)によると、「J・T・クラッパー(以前に大学教授などをつとめたことのある社会学者で、現職はCBSの社会調査所長)」は、「わいせつとポーノグラフィーに関する大統領の諮問委員会」の委員に任命されている。同委員会が1970年にまとめた本報告書は、悪影響の証拠がないこと等を理由に、「同意のある成人に対する性的物件の販売、提示、配布を禁止する法はすべて廃止すべき」と勧告している。一方、未成年については、

「成人よりも調査は不十分であり、デイタの信用性も低い。そればかりか、実験のためには性的刺激物を見せる必要があるが、そういう実験じたいが困難だという事情もある。また、世論調査の結果によると、多数は成人の制限の撤廃に賛成しつつ、青少年は別だという意見をもつ。これは無視できない。さらに、未成年者についてはその親が子供の監督上妥当かどうかを自己決定すべきであって、立法はそれを援助するという基本的態度を堅持するのがのぞましい。いくらこのような立法をしても、未成年者から隔離しおおせるかは疑問だし、見せることが利点になる場合もある。こうした事情を総合判断して自らコントロールする権利が親にはある」(田宮裕「わいせつに関するアメリカ大統領委員会の報告書について(二)」『ジュリスト』第478号、1971年、116頁)

といった理由から、「州は、一定の性的物件を未成年に対して商業的に販売しまたは販売のため陳列することを禁止する立法をすべきである」勧告しているという(本報告書の問題点や本報告書の後に刊行された技術報告書については、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア マスコミの影響力についての真実』岩脇三良訳(新曜社、1982年)が詳しい)。
 ただ、この勧告には、禁止される物について、「委員会としては写真や図画に限るのがよく、文章は除外すべきだと考えている。文章は性教育用に有用なものがあるばかりか、そのうち妥当なものとそうでないものを選別するのは至難のわざで、結局全面的禁止という不当な結果になるおそれもあるからである」というコメントがついているという。

3.3月に改定・強化された東京都青少年健全育成条例では、性表現に限らず、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現なども「不健全」指定することができ、写真や絵だけでなく、文章も「不健全」指定の対象となる個別指定が強化されている。
【関連リンク】
個別指定の強化に異論なし 第4回起草委員会(2004/1/13)
条例改定を答申 青少年問題協議会総会(2004/1/23)
諮問のあり方見直しへ 文教委員会(2004/3/20)
分量基準は是か非か 文教委員会(2004/3/23)

4月8日
『読売新聞』に「「治安悪化」94% 「警察信頼」65% 過去最悪 本社世論調査」という記事が掲載される。読売新聞社が3月20日と21日に行った治安に関する世論調査によると、「未成年者による犯罪が増加していますが、次の中から、あなたがその原因だと思うものを、いくつでもあげて下さい」という質問には、「しつけなど家庭の教育力の低下」を選ぶ者が76.1%と最も多く、以下「手本となるべき大人のモラルの低下」61.3%、「犯罪を誘発するインターネットや携帯電話サイトの増加」50.0%、「暴力シーンを強調したテレビ番組やゲーム、出版物の増加」47.2%などが続いているという。

5月26日
『日本経済新聞』(夕刊)に「「伝説作る」中学の放送室占拠 大田区で今年3月 容疑の10少年逮捕」という記事が掲載される。記事によると、警視庁少年事件課などは26日までに、映画の音楽などを全校に放送し、授業を妨害したとして、当時中学3年生だった少年10人を威力業務妨害などの容疑で逮捕したという。少年らは、映画「バトル・ロワイアルU」をみて感激し、「同じことをやろう」と計画したという。
『朝日新聞』(夕刊)にも「中学放送室立てこもり 「卒業式を前に伝説作る」 容疑の10少年逮捕」という記事が掲載された。
『毎日新聞』(夕刊)にも「放送室を占拠、授業妨害 3月中3男子10人逮捕 大田区立中」という記事が掲載された。
『東京新聞』(夕刊)にも「放送室占拠で10人逮捕 3月当時の中3 教師に暴行も 大田区」という記事が掲載された。
▼「大田区の中学校で放送室ジャック 少年10人逮捕」
http://www.asahi.com/national/update/0526/020.html(朝日新聞)
▼「中学校の放送室占拠、授業を妨害…少年10人逮捕」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040526i305.htm(読売新聞)
▼「放送室占拠で10人逮捕 3月当時の中3」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040526/eve_____sya_____006.shtml(東京新聞)
【関連情報】
 『視聴覚教育』2001年5月号に掲載された対談「メディアの暴力について考える 〜映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに〜」では、メディア暴力研究の専門家である佐々木輝美・獨協大学教授と
坂元 章・お茶の水女子大学大学院助教授がメディア暴力の影響や教育の必要性について語っている。(2004/5/27 00:10)

6月4日
『日刊スポーツ』に「成人図書を封印 出版界自主規制」という記事が掲載される。記事によると、日本雑誌協会などでつくる倫理対策委員会は3日、出版社が青少年に見せるべきでないと判断した本については、表紙と裏表紙をつなぐ帯状のシールを張って出荷する方針を決めたという。
 この他「加害女児カッターで首切るシーン見て決意 水野真紀ドラマをマネ 長崎・小6女児死亡事件」という記事も掲載されている。
【関連情報】
 犯罪社会学とメディア論が専門の村上直之はハワードS.ベッカー『アウトサイダーズ ラベリング理論とはなにか』村上直之訳(1978年)の解説で、「異常」な行動や事件とその「動機」の関係をラベリング理論の観点から説明している。この説明によると、人々は日常、他者の行為の「動機」を問題とせず、その行為の意味を自動的に理解しているが、「異常」な行動や事件が起きると意味の理解が困難となり、「私たちは『異常』な行為者の『動機』を理解しようとする」(263頁)という。そして、この「『異常』な行為者の『動機』」の理解には、次のような機能があるという。

ベッカーが「逸脱動機が逸脱行動を導くのではなく、まったく逆なのだ」(本訳書六〇頁)と述べ、また彼と同様にエリクソン、J・I・キッセらが、「逸脱は行為の内在的性質ではなく、社会の聴衆によって付与された性質である」と語る時、彼らは、行為者の「内的属性」と見做されている「動機」が、他者(あるいは自分自身)の行為を説明し理解可能なものにするために仕組まれた一つの概念装置だということを明らかにしているのである。つまり「動機」は行為者の内部に発見されるのではなく、外部から「付与」されるのであり、この「動機付与」によって、わけのわからぬ行動や出来事の「異常」さをその行為者自身の「内的問題」として処理し、私たちの認知的秩序の均衡を回復するのである。(264-265頁)

 一般的に「動機」とは、行為に先立つものと考えられている。しかし、そうではなく、事後に「他者(あるいは自分自身)」がその行為を解釈した結果だというのである。殺人事件を理解可能なものとし、「私たちの認知的秩序の均衡を回復する」ためにこそ、テレビの影響という「動機」が「他者(あるいは自分自身)」によって、事後的に「付与」されているのかもしれない。(2004/6/4 07:45)

『読売新聞』(夕刊)に「「ぶりっ子」書かれ殺意 佐世保・小6事件 HP掲示板に」という記事が掲載される。記事によると、長崎県佐世保市の事件で家裁に送致された女児は、ホームページに小説「バトル・ロワイアル」をなぞった自作小説を掲載していたという。

6月5日
京都新聞ホームページに「裏DVD自販機業者を逮捕 大阪府警 約1万点を押収」という記事が掲載される。
▼「裏DVD自販機業者を逮捕 大阪府警 約1万点を押収」
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004060500011&genre=C1&area=O10(京都新聞)

『毎日新聞』に「殺害手法「バトル・ロワイアル」に酷似」という記事が掲載される。記事によると、小6同級生殺害事件で家裁に送致された女児は、事件の約1ヵ月前、佐世保市内のレンタルビデオ店で「バトル・ロワイアルU」のDVDを借りていたという。15歳未満への貸出は禁止されていたが、女児は姉の会員カードを使っていたという。また、小説「バトル・ロワイアル」は図書館で借りていたという。
▼「長崎・佐世保の小6女児殺害 本と映画の「バトル・ロワイアル」に酷似」
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/06/05/20040605ddp001040015000c.html(毎日新聞)
【関連情報】
1.佐々木輝美・獨協大学教授は、『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)
で、次のように指摘している。

「メディア暴力への対応にはメッセージを送るメディア側における対応と、メッセージの受け手側における対応が考えられる。番組の中の暴力シーンを減らしたり、暴力番組の放送時間帯をずらすなどの対策は前者にあたる。このようなメッセージの送り手側からの対応は即効性があり必要不可欠であるが、メッセージの受け手側における対応も同時に考えていく必要があるだろう」(180頁)

 この「メッセージの受け手側における対応」には、具体的には、親子でテレビを共同視聴し、親が暴力シーンに否定的なコメントをする方法や、学校教育でメディア暴力の現実性や適切性に対する子どもたちの態度を変える教育的介入などがあるという。これらは過去の研究結果から効果を期待できるが、効果を高める工夫や逆効果が生じる可能性を減らすための研究も必要であるという。

2.同書には、海外で行われた教育的介入に関する研究がいくつか紹介されている。この中でもとくに興味深いのがヒューズマンらが小学生を対象に行った実験である。この実験では、まず、テレビ暴力は現実的でないこと、普通の人間は問題を解決するために暴力以外の方法をとること――などが教えられた。ところが、事後テストではテレビに対する態度に有意な変化は見られなかったという。
 この9ヶ月後に2回目の実験が行われたが、

「今回は第一回目の実験のように、どちらかというと一方的レクチャーを行うというような教示的な方法をとらなかった。自ら参加しているという気持ちにさせるために、実験者たちは子どもたちにビデオ作りのボランティアを募るという形式をとったのである。そしてそのビデオは、テレビ暴力の害を受けたり、テレビ暴力をまねてしまったために困っているシカゴの子どもたちに見せるためだと説明された。さらに、実験者は、「もちろん君たちはテレビで見たことを信じるほど愚かではないし、見たことをまねすることはよくないとわかっていますね。でもそのことを知らない子どももいるのです。」という説明を行った」(165頁)

という。そして、「何故テレビの暴力をまねすることが悪いのか」などのエッセイが課せられ、その朗読や質疑応答の録画が行われたという。この2〜3ヵ月後に事後テストを行ったところ、テレビに対する態度が望ましい方向に有意に変化していたという。
 佐世保市の事件を契機に、単なる規制や「一方的レクチャー」ではなく、「自ら参加しているという気持ちにさせる」といった工夫を施した教育的介入を幅広く実施することが望まれる。また、メディアについては、いつまでも「殺害手法「バトル・ロワイアル」に酷似」、「カッターで首切るシーン見て決意」といったセンセーショナルな報道を繰り返すのではなく、共同視聴や教育的介入の重要性を報じるなど、青少年問題解決に向けた情報と多様な視点の提供という報道の使命を果たすことが望まれる。

3.『視聴覚教育』2001年5月号に掲載された対談「メディアの暴力について考える 〜映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに〜」では、佐々木輝美・獨協大学教授と坂元 章・お茶の水女子大学大学院助教授がメディア暴力の影響や教育的介入の必要性について語っている。(2004/6/5 19:40)

『東京新聞』(夕刊)に「映画『バトル・ロワイアル』参考に 小6殺害補導女児 HPに“殺人小説”」という記事が掲載される。
▼「長崎小6殺害 映画『バトル・ロワイアル』参考に」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040605/eve_____sya_____000.shtml(東京新聞)

6月6日
『毎日新聞』に「加害女児 HPで「殺し合う?」 B・ロワイアルのアンケ」という記事が掲載される。記事によると、小6同級生殺害事件で家裁に送致された女児は、自分のホームページで、「バトル・ロワイアル」についてのアンケートを行っていたという。最後の1人まで殺しあうことになったらどうするかを尋ねる内容だったという。
『東京新聞』『日本経済新聞』などにも同様の記事が掲載された。
▼「加害女児、自分のHPで「殺し合う?」アンケ」
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/06/06/20040606ddn041040027000c.html(毎日新聞)

『朝日新聞』に「「バトル・ロワイアル」 前月、DVD女児借りる」という記事が掲載される。
▼「女児、映画「バトルロワイアル」DVD借りる 小6事件」
http://www.asahi.com/special/sasebo/OSK200406050023.html(朝日新聞)

6月7日
『朝日新聞』(夕刊)に「佐世保・小6事件 「アイスピックも考えた」 加害女児方法3通り計画」という記事が掲載される。記事によると、長崎県佐世保市で小学生が死亡した事件で家裁に送致された同級生の女児は、カッター以外にもアイスピックで刺すか、首を絞める方法も考えていたという。県警は女児が関心を持っていた小説や映画が行動に影響を与えた可能性があるとみて、調査を進めているという。なお、女児が関心を持っていた「バトル・ロワイアル」の映画には、鎌で首を切りつけるシーンが、原作にはアイスピックで刺す場面があったという。また、女児は自分のホームページで、首を切るシーンを演じた女優を「好きなタレント」として挙げていたという。
▼「「アイスピックも考えた」加害女児、3通りの方法を計画」
http://www.asahi.com/national/update/0607/016.html(朝日新聞)
【関連情報】
 
メディアの影響については以下の文献が詳しい(「有害」規制監視隊が確認したものに限る)。
(1)岩男壽美子「゛テレビ暴力"批判に物申す」『Voice』1978年10月号、87-100頁
(2)H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)
(3)岩男寿美子「テレビ暴力画面とその影響」堀江湛編『情報社会とマスコミ』(有斐閣、1988)、209-255頁
(4)小平さち子「欧米にみる“子どもに及ぼす映像描写の影響”研究」『放送研究と調査』1996年9月号、2-21頁
(5)佐々木輝美『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)
(6)佐々木輝美、坂本 章「対談 メディアの暴力について考える 〜映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに〜」『視聴覚教育』2001年5月号、30-39頁
(7)
坂元 章「10代の青少年と電子メディア ―心と体への影響―」『学術の動向』第6巻第9号(2001年)、22-25頁
(2004/6/7 18:30)

6月9日
『毎日新聞』(夕刊)に「同級生殺害 暴力サイト頻繁閲覧 加害女児内容別に整理・保存」という記事が掲載される。記事によると、長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件で少年審判開始の決定を受けた女児は、自宅のパソコンで「バトル・ロワイアル」などの殺人、暴力をテーマにした愛好家のホームページを「お気に入り」に登録し、頻繁にアクセスしていたことが長崎県警の調べでわかったという。

『東京新聞』(夕刊)に「小6殺害女児HP 殺人物語サイトにリンク 動脈切る内容酷似 事件の参考に?」という記事が掲載される。記事によると、長崎県小6女児事件の加害女児のホームページには、男子生徒が背後から動脈を切られて死亡するというホラー物語サイトへのリンクがあったという。

6月12日
『東京新聞』に「わいせつ写真掲載で逮捕」という記事が掲載される。記事によると、警視庁保安課と牛込署は、わいせつな写真を掲載した月刊誌を取次店などに卸したわいせつ図画頒布の疑いで、出版社の社長ら5人を逮捕したという。同社は4年前にわいせつ図画頒布容疑で社長らが逮捕されたため、写真にモザイク処理を施したところ売り上げが半減。「売り上げを伸ばすためにモザイクを薄くした」と供述しているという。
『毎日新聞』にも「わいせつ月刊誌販売容疑で逮捕」という記事が掲載された。
【関連情報】
1.田宮裕「わいせつに関するアメリカ大統領委員会の報告書について(一)(二)」(『ジュリスト』第477号、第478号、1971年)によると、「J・T・クラッパー(以前に大学教授などをつとめたことのある社会学者で、現職はCBSの社会調査所長)」らが委員に選ばれていた「わいせつとポーノグラフィーに関する大統領の諮問委員会」
は、1970年に本報告書を発表している。この本報告書では、悪影響の証拠がないこと等を理由に、「同意のある成人に対する性的物件の販売、提示、配布を禁止する法はすべて廃止すべき」と勧告しているという。一方、未成年については、

「成人よりも調査は不十分であり、デイタの信用性も低い。そればかりか、実験のためには性的刺激物を見せる必要があるが、そういう実験じたいが困難だという事情もある。また、世論調査の結果によると、多数は成人の制限の撤廃に賛成しつつ、青少年は別だという意見をもつ。これは無視できない。さらに、未成年者についてはその親が子供の監督上妥当かどうかを自己決定すべきであって、立法はそれを援助するという基本的態度を堅持するのがのぞましい。いくらこのような立法をしても、未成年者から隔離しおおせるかは疑問だし、見せることが利点になる場合もある。こうした事情を総合判断して自らコントロールする権利が親にはある」(田宮裕「わいせつに関するアメリカ大統領委員会の報告書について(二)」『ジュリスト』第478号、1971年、116頁)

といった理由から、「州は、一定の性的物件を未成年に対して商業的に販売しまたは販売のため陳列することを禁止する立法をすべきである」勧告しているという(本報告書の問題点や本報告書の後に刊行された技術報告書については、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)が詳しい)。
 ただし、この勧告には、禁止される物について、「委員会としては写真や図画に限るのがよく、文章は除外すべきだと考えている。文章は性教育用に有用なものがあるばかりか、そのうち妥当なものとそうでないものを選別するのは至難のわざで、結局全面的禁止という不当な結果になるおそれもあるからである」というコメントがついているという。

2.各都道府県は、青少年条例に基づき、販売店などに青少年への販売禁止や区分陳列義務などを課す「有害」図書指定を行っている。「有害」図書の指定方式には、個別指定緊急指定包括指定があるが、このうち個別指定緊急指定では、性表現に限らず、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現などを規制することもできる。また、写真や図画だけでなく、文章を規制することもできる。(2004/6/12 06:00)

『東京新聞』(夕刊)に「暴力映画、年齢確認を レンタルビデオTSUTAYA 小6事件で徹底指示」という記事が掲載される。記事によると、小6女児殺害事件を受け、レンタルビデオ店「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブは12日までに、映倫のR-15(15歳未満の観賞制限)、R-18(18歳未満の観賞制限)指定の作品を貸し出す際には、会員の年齢確認を徹底するよう全国の店舗に指示したという。
【関連情報】
1.
メディアの影響については以下の文献が詳しい。
(1)岩男壽美子「゛テレビ暴力"批判に物申す」『Voice』1978年10月号、87-100頁
(2)H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)
(3)岩男寿美子「テレビ暴力画面とその影響」堀江湛編『情報社会とマスコミ』(有斐閣、1988)、209-255頁
(4)小平さち子「欧米にみる“子どもに及ぼす映像描写の影響”研究」『放送研究と調査』1996年9月号、2-21頁
(5)佐々木輝美『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)
(6)佐々木輝美、
坂元 章「対談 メディアの暴力について考える 〜映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに〜」『視聴覚教育』2001年5月号、30-39頁
(7)坂元 章「10代の青少年と電子メディア ―心と体への影響―」『学術の動向』第6巻第9号(2001年)、22-25頁

2.メディアの影響をめぐっては、「メディア上の性・暴力表現が、受け手である青少年を暴力や性的逸脱に向かわせるという『強力効果説』は、社会学者のジョセフ・クラッパーらをはじめとする数多くの実証的な調査研究の結果、現在までに、ほぼ否定されている」(斎藤環「条例強化というお節介には断固抵抗する」『中央公論』2004年1月号、44頁)といった意見がある。
 だが、
H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)や佐々木輝美『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)などによると、悪影響を支持する証拠は多く、「現在までに、ほぼ否定されている」のは、むしろ悪影響はないとする立場である。たとえば、坂元 章・お茶の水女子大学大学院助教授は、佐々木輝美・獨協大学教授との対談で、次のように述べている。

「先ほど、映像の表現者に、いろいろな研究の知見が知られていないことが問題であるという話がありましたが、これは、研究者側にも責任があることなのです。実は佐々木先生は、『メディアと暴力』という著書を1996年に出されておられるのですが、それが日本においては非常に画期的だったんです。それで、メディア暴力の影響がかなり実証されていることを1996年の段階で、日本の研究者がかなり知るようになったのです」(佐々木輝美、坂元 章「対談 メディアの暴力について考える 〜映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに〜」『視聴覚教育』2001年5月号、35頁)

 また、アイゼンクとナイアスは、暴力シーンなどに影響力がないとする人々を次のように批判している。

「彼らは、証拠と理論が全く存在していないかのように、それらをすっぽり無視している。これは難点を処理する単純なやり方ではあるが、そんなことをしていたのでは、都合の悪い議論に対して適切な処理をした偏りのない批評家という印象を与えはしない」(H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳、1982年、46頁)

 たしかに、悪影響を否定する人々は、都合の悪い証拠と理論を「すっぽり無視している」ように思われる。悪影響を否定するのであれば、『メディアと暴力』や『性・暴力・メディア』などに示されている証拠と理論に適切な批判をすべきではないだろうか。
 悪影響をめぐる議論は、何十年も前から延々と続けられてきた。その結果、規制は弱まったのだろうか? 一定の悪影響はあることを認めたうえで、教育的介入の必要性や、規制のあり方を議論する方法もあるのではないだろうか? 少なくとも、「都合の悪い議論」を避けていては、規制強化の歯止めにもならないことは確かだろう。(2004/6/13 07:00)

6月14日
『毎日新聞』(夕刊)に「同級生殺害 約10人と交換日記 バトル・ロワイアル記述も」という記事が掲載される。記事によると、長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件で観護措置中の女児は、死亡した女児を含む同級生約10人と交換日記をしていたという。日記には「バトル・ロワイアル」に関する記述もあったという。
【関連情報】
1.毎日新聞社の瀬戸純一論説委員は、「不健全」図書(
個別指定)の適否を判断する東京都青少年健全育成審議会の会長代理である。瀬戸会長代理は2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。3月30日に改定された東京都青少年健全育成条例では、瀬戸会長代理の主張通り、包括指定の導入に代えて、帯紙措置とも連動した個別指定が強化されている。
 なお、
東京都青少年健全育成審議会の委員名簿や近年開催された審議会の議事録等は次のページで確認することができる。
▼「審議会等」
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm(東京都)

2.毎日新聞社が発行する『サンデー毎日』2004年4月25日号や2004年5月23日号には、東京都による青少年条例の改定・強化を批判する(かのような)記事が掲載されている。ところが、これらの記事は、「不健全」指定の適否を判断する東京都青少年健全育成審議会に、毎日新聞をはじめとする新聞社の人間が委員として参加していることには、まったく触れていない。また、彼らが審議会で規制強化の方向性を議論していたことにも触れていない。
 メディア関係者が取材者ではなく、委員として審議会に参加することには、「『原則不参加』の方針を打ち出すべき」(天野勝文「現代日本のマス・メディア」天野勝文、松岡由綺雄、村上孝止編『改訂版 現場からみたマスコミ学』(1996年)、9頁)という意見もある。原則不参加が不可能ならば、せめて、審議会を通じた「癒着の関係を“自ら”公開すべきではないだろうか。

3.メディアと審議会の関係については、以下の文献が詳しい。
(1)天野勝文「「取り込まれる」ジャーナリスト」『総合ジャーナリズム研究』第128号(1989年) 46-52頁
(2)天野勝文「「取り込まれる」マスコミ人 全国版」『総合ジャーナリズム研究』第144号(1993年) 72-79頁
(3)天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号 296-303頁
(4)天野勝文「新聞人の各種審議会への参加について」新聞労連編『新聞記者を考える』(晩聲社、1994年) 187-211頁
(2004/6/15 06:30)

6月16日
『毎日新聞』に「DVD発売延期 バトル・ロワイアルU特別編」という記事が掲載される。
▼「発売延期:バトル・ロワイアル2特別篇 同級生殺害に配慮」
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/cinema/news/20040616k0000m040148000c.html(毎日新聞)

『朝日新聞』(夕刊)に「「華氏911」のR指定緩和要請 米の映画配給元」という記事が掲載される。

6月17日
『日本経済新聞』に「人気TV番組は「トリビアの泉」 親子ともに上位」という記事が掲載される。日本PTA全国協議会が16日にまとめたテレビ番組の評価調査について報じている。この他、「バトル・ロワイアルU 特別編DVD発売を延期」という記事も掲載されている。
『朝日新聞』にも「ロンドンハーツ見せたくない TV番組保護者調査」という記事が掲載された。

『毎日新聞』に「健全育成法案が廃案」という記事が掲載される。この他、「「華氏」指定緩和を」という記事も掲載されている。

『読売新聞』(夕刊)に「「バトル・ロワイアルU」特別篇 ビデオ発売無期延期 佐世保事件配慮」という記事が掲載される。
【関連情報】
 海外におけるテレビや映画の暴力描写対策は、次の文献にまとめられている。
(1)大條成昭「映像倫理規制の各国事情」『総合ジャーナリズム研究』第141号(1992年)、54-59頁
(2)小平さち子「テレビにおける暴力描写をめぐる各国の動向」『放送研究と調査』1994年1月号、22-31頁
(3)清水英夫・大條成昭「映像における暴力表現の問題性」『総合ジャーナリズム研究』第159号(1997年)、39-44頁
(4)総務庁青少年対策本部『諸外国における青少年施策等に関する調査研究報告書 −有害環境、幼児虐待及び児童買春からの青少年保護を中心に−』(1998年)
(5)古城ゆかり「テレビの暴力描写はどこまで許されるのか 〜カナダの先駆的試み〜」『放送研究と調査』1998年12月号、22-29頁
(2004/6/17 18:35)

6月18日
『日刊スポーツ』に「「バトル・ロワイアルU」DVD発売延期 長崎小6女児死亡事件 加害女児が好きだった小説の映画化」という記事が掲載される。

『東京新聞』(夕刊)に「バトル・ロワイアルU 小6女児事件でDVD発売延期」という記事が掲載される。

6月20日
『毎日新聞』に「10代の心なぜ捕らえた バトル・ロワイアル 殺し合いの荒涼世界」という記事が掲載される。記事では、小6同級生殺害事件で鑑定留置中の女児が「バトル・ロワイアルU」のDVDを借りていたことから、「「バトル・ロワイアル」(BR)の世界が女児の心を捕らえ、凶行に影響を及ぼしていた」と主張。また、監督や小説家、漫画家に対して、「作品の作り手は事件後、口を閉ざす」と批判している。

6月23日
『毎日新聞』(夕刊)に「突き落とし中2少女 母と口論 保護も 攻撃的な性格 過去にトラブル」という記事が掲載される。記事には、「同級生殺人と共通」という作田 明・聖学院大講師(犯罪心理学)の話も掲載されている。この中で作田氏は、「現代社会はテレビやインターネットに攻撃的な情報があふれ、人が人に危害を加えることへの抵抗が薄まっていく恐れがある」などと述べている。

『東京新聞』(夕刊)「男児突き落とし 「今は後悔している」 補導少女、聴取に淡々と」という記事が掲載される。記事には、福島 章・上智大名誉教授(犯罪心理学)の話なども掲載されている。この中で福島氏は、「少年非行の低年齢化の象徴だろう。最近はインターネットやテレビなどの情報化によって犯罪に関するさまざまな情報に触れる機会が増えたのが大きい」などと述べている。

6月24日
『朝日新聞』に「「華氏911」R指定決定 米協会、緩和要求を却下」という記事が掲載される。
▼「「華氏911」、米でR指定決定 ムーア監督の求め却下」
http://www.asahi.com/culture/update/0623/006.html(朝日新聞)

6月25日
『毎日新聞』に「メーカーとNPOが協力し「安全教室」 親子で危険性学ぶ 「特性理解して利用を」」という記事が掲載される。親子でネットの危険性などを学ぶ「ネット安全教室」やインターネット協会が作成した「インターネットを利用する子供のためのルールとマナー集」について紹介している。
【関連リンク】
▼財団法人インターネット協会
http://www.iajapan.org/

6月26日
『毎日新聞』(夕刊)に、井上由美子氏(脚本家)の「子どもとテレビ 引き算より足し算の議論を」(週刊テレビ評)というコラムが掲載される。

6月28日
『読売新聞』に「佐世保・小6事件1か月 全国の小学校は・・・ 命の尊さ力説/教員がメールチェック/カッター持参禁止 再発防止策 手探り」という記事が掲載される。記事には、「懸命さ評価するが対症療法的な印象」という尾木直樹・法政大教授の話も掲載されている。この中で尾木氏は、「判断力の未熟な子どもたちが、パソコンでチャットをしたり、ホームページを開いたりすることについては、ガイドラインを設けるなど、一定の規制が必要な時期にきていると思う」などと述べている。
【関連情報】
 『朝日新聞』2004年6月27日付朝刊「「心の教育」どこへ」という記事では、長崎県で「心の教育」に取組む人々を取材している。また、「事件のたびに充実訴え 文科省」という記事では、97年の神戸児童連続殺傷事件をきっかけに「心の教育」がクローズアップされているが、「その後も事件は絶えない」「事件が起きると「心の教育」の充実を訴えることが続いている」と指摘している。
(2004/6/28 07:35)

『毎日新聞』に「「伝説作りたい」・・・放送室を占拠した生徒たち」という記事が掲載される。東京都大田区の中学で今年3月、生徒10人が放送室を占拠し、映画「バトル・ロワイアル」のせりふを校内に流したとされる事件について詳しく報じている。この他、「ネット教育 民間IT技術者派遣 「モラル」指導の教員増目指す 文科省 推進組織設立へ」という記事も掲載されている。

7月6日
『東京新聞』に「子どもの有害サイト接触 親の8割が「不安」」という記事が掲載される。

7月14日
『毎日新聞』に「たばこ自販機「従業員から見える所に」 財務省が改正案公表 意見募集」という記事が掲載される。記事によると、政府の青少年育成施策大綱に未成年者へのたばこの販売防止が盛り込まれていることから、財務省は13日、たばこの販売に関する規制強化案を公表したという。
 この他、都内版には「都の万引防止協会 行動計画まとめる 来月実施 「見つければすべて通報」」という記事や、「万引き犯 都内の書店やレコード店 高校生までが6割」という記事も掲載されている。
【関連情報】
 政府の青少年育成推進本部(本部長、小泉純一郎内閣総理大臣)は2003年12月9日、青少年の育成にかかわる政府の基本理念と中長期的な施策の方向性を示した「青少年育成施策大綱」を決定している。大綱では、未成年者へのたばこの販売について、次のように定めている。

(酒類・たばこの未成年者に対する販売等の防止)
 未成年者が酒類やたばこを容易に入手できるような環境をなくすため、関係業界への働きかけを強化する。また、未成年者の飲用に供することを知って酒類・たばこを販売する行為などについては、所要の捜査を行うとともに、適正な処分を行う。

 なお、大綱の全文は、内閣府「青少年健全育成ホームページ」からダウンロードすることができる。(2004/7/14 18:00)
▼青少年健全育成ホームページ
http://www8.cao.go.jp/youth/index.html(内閣府)

7月27日
『法律時報』2004年8月号に、特集「青少年保護と表現の自由」が掲載される。

7月28日
『東京新聞』に「浸透するネット 中 残虐映像 反復で脳裏に蓄積 暴力を学習し、行動の台本が・・・」という記事が掲載される。佐世保市の小6女児同級生殺害事件をテーマに、メディア暴力研究の専門家である佐々木輝美・国際基督大学教授らを取材している。記事の中で佐々木教授は、「映像を見ることがすぐ行為に結びつくわけではない」と断ったうえで、「子どもの頭の中に映像が蓄積されることが心配。佐世保の事件は蓄積が実際の行為を招いた典型例に見えた」と話している。
▼「子どもを守ろう 浸透するネット (中) 残虐映像 反復で脳裏に蓄積」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040728/ftu_____kur_____001.shtml(東京新聞)
【関連情報】
1.佐々木教授は、『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)で、ヒューズマンの「メディア暴力の長期的効果の循環モデル」を紹介し、次のように説明している。

「このモデルの中心となっているのはスクリプトという概念である。スクリプトとは、人々が行動を起こす時のいわば台本にあたるものである。我々の日常生活において何か問題が生じた時、常識的に考えれば暴力以外の平和的な方法で対処することがほとんどである。しかし、暴力番組では問題解決方法として安易に暴力をふるうシーンが描かれる場合が多く、そのような番組に多く接することで、視聴者が問題解決の主な方法として暴力があることを記憶してしまう。これが繰り返されると人々の脳の中にスクリプト(行動の台本)が形成されるのである。このような攻撃的なスクリプトが形成されると、何か問題が生じた時に問題解決の手段として暴力を行使する可能性が高くなるのである。従って、攻撃的スクリプトの形成を抑制するためにはメディア暴力を減らすことが必要となってくるのである」(181頁)

 同書では、暴力シーンを減らすというメディア側における対応だけでなく、受け手側における対応も重要であると指摘されている。具体的には、親子でテレビを共同視聴し、親が暴力シーンに否定的なコメントをすることや、学校教育でメディア暴力の現実性や適切性に対する子どもたちの態度を変える教育的介入を行う必要があるという。これらは過去の研究結果から効果を期待できるが、効果を高める工夫や逆効果の生じる可能性を減らすための研究が必要であるという。

2.『視聴覚教育』2001年5月号に掲載された対談「メディアの暴力について考える 〜映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに〜」では、佐々木教授と坂元 章・お茶の水女子大学文教育学部教授がメディア暴力の影響や教育的介入の必要性について語っている。

3.佐々木教授と坂元教授は文部科学省が平成13年度から実施している青少年とメディアに関する調査研究の協力者である。この調査研究により、平成13年度は「テレビ」、平成14年度は「インターネット」、平成15年度は「テレビゲーム」をテーマにした報告書がまとめられている。これらの報告書は次のページで確認することができる。
▼青少年の健全育成
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/main4_a7.htm(文部科学省)

4.佐々木教授の『メディアと暴力』のほか、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)などメディアの影響について詳細に論じている。(2004/7/28 07:40)

7月30日
『日本経済新聞』(夕刊)に石原一彦・大津市立瀬田小学校教諭の「子どもとネット 中 情報モラル 実地で学ぶ チャットの「荒れ」擬似体験 危険気付かせ対処法を探る」という記事が掲載される。この中で石原教諭は、「授業でネットを活用するなら、危険への対処法も必ず同時に指導しなければいけない」と指摘。また、「『やってはいけないこと』を羅列して禁止するだけでは意味がない。実際にネットで情報をやり取りしながら危険に気づく場をいかに設定するかが指導では重要になる」と主張している。

7月31日
『東京新聞』に「たばこ吸える? 見分ける自販機 韓国、身分証投入型に改修」という記事が掲載される。
【関連情報】
 1999年7月1日から施行された韓国青少年保護法については、安部哲夫・金 容世「韓国青少年保護法(仮訳)」『北陸法学』第7巻第4号(2000年)で、日本語訳されたもの読むことができる。(2004/7/31 23:50)

8月5日
『読売新聞』(夕刊)に「少年凶悪犯 4人に1人補導5回以上 有識者会議 補導の法的権限明確化提言」という記事が掲載される。
『東京新聞』(夕刊)にも「非行防止、刃物預かりも 警察庁研究会提言 補導手続き明確化」という記事が掲載された。
『日本経済新聞』(夕刊)にも「少年非行防止へ法整備 警察庁研究会中間報告 街頭補導に裏付け」という記事が掲載された。

8月6日
『日本経済新聞』(夕刊)に「子どもとネット 下 情報教育、必要性で両論」という記事が掲載される。情報教育に対する読者からの意見が掲載されている。

8月10日
『読売新聞』に「「小学六年生」自主回収 アダルトサイト接続記事掲載で」という記事が掲載される。
『東京新聞』にも「アダルトサイトにつながるHP掲載 「小学六年生」抗議受け回収へ」という記事が掲載された。
『朝日新聞』にも「「小学六年生」小学館が回収 サイト紹介指摘受け」という記事が掲載された。
『日本経済新聞』にも「「小学六年生」自主回収」という記事が掲載された。
▼「「小学6年生」で大人のHP紹介、小学館が最新号回収」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040809i215.htm(読売新聞)
▼「「小学六年生」に出会い系サイト情報 小学館が回収へ 」
http://www.asahi.com/national/update/0809/026.html(朝日新聞)
【関連情報】
 「小学六年生」編集部による「おわびとお知らせ」によると、次号の『小学六年生』では、ネット社会の危険性やつき合い方を特集した「ネット社会 安全教室 =PC・ケータイ危険地帯=」を予定しているという。(2004/8/10 06:45)
▼「学習雑誌「小学六年生」9月号ご購入のみなさまへ おわびとお知らせ」
http://netkun.com/magazine/sho6/index.htm(小学館)

8月16日
『産経新聞』に「有害図書・ビデオから子供守る コンビニなどに巡回員 来年度からPTA、教職員ら参加」という記事が掲載される。
▼「有害図書・ビデオから子供守る コンビニなどに巡回員」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040816-00000019-san-soci(Yahoo!ニュース)
【関連情報】
1.東京都には、2004年3月の条例改定で導入され、7月1日から施行されている「東京都青少年健全育成協力員」制度がある。これは、各区市町村などから推薦された協力員が個別指定された図書(指定図書)や18禁表示のある図書(表示図書)の区分陳列状況を調査し、東京都に報告。都はこの報告をもとに立ち入り調査を行い、指導するというものである。

2.『読売新聞』(横浜版)2003年11月26日付「少年犯罪抑制 条例見直しへ 市長と知事 川崎市長 市職員に立入調査権」という記事によると、中田宏・横浜市長は25日、松沢成文・神奈川県知事、阿部孝夫・川崎市長との懇談会で、県条例を改定し、「有害」図書を陳列する店舗への立入調査権を横浜・川崎の両市長が指定する者にも認めることなどを提案したという。この提案に対し、松沢知事は「立ち入り調査を両市職員に認めることは可能だ。実現方法については、県条例を改正するのか、あるいは市条例を独自に作ったほうがいいのか、三県市で議論したい」と述べたという。

3.八都県市では青少年条例による規制の強化・共通化を進めている。「有害」規制監視隊が入手した2004年7月13日開催の埼玉県青少年健全育成審議会で配布された資料によると、規制の強化・共通化の内容は、(1)「有害」図書等の区分陳列基準の設定、(2)青少年の深夜立入制限施設の追加など、(3)生セラの規制、(4)スカウトの規制――の4項目である。(2004/8/24 04:35)
▼「八都県市 区分陳列基準や深夜立入制限施設を共通化 独自の規制も検討中」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/33.htm(「有害」規制監視隊)

8月21日
『東京新聞』に「授業でネットマナー 佐世保事件受け文科省 小中高60校指定へ」という記事が掲載される。記事によると、文部科学省は来年度から、インターネットを使用する際の情報モラルについてのモデル授業を指定校で実践し、効果のあった取り組みを全国に普及させるという。また、優れた取り組みは教員向けサイト「“情報モラル”授業サポートセンター」で紹介するほか、教員が指導に迷った際にメールでアドバイスを受けられる質問箱を同サイトに設置するという。
『毎日新聞』にも「ネットマナー 教員に指導支援 同級生殺害事件受け 文科省、来年度から」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼“情報モラル”授業サポートセンター
http://sweb.nctd.go.jp/support/index.html(文部科学省)
【関連情報】
 文部科学省は平成13年度から青少年とメディアに関する調査研究を実施している。平成13年度は「テレビ」、平成14年度は「インターネット」、平成15年度は「テレビゲーム」をテーマにした報告書がまとめられており、これらは次のページで確認することができる。(2004/8/21 07:05)
▼青少年の健全育成
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/main4_a7.htm(文部科学省)

9月7日
『毎日新聞』に大石泰彦・東洋大教授の「「青少年法案」に潜む鋭い牙」という論説が掲載される。この中で大石教授は、「青少年健全育成基本法案」などを「根底においてファシズムつながるのではないだろうか」「国家主義的な言論統制につながらないと、誰も言い切ることはできない」と批判している。
【関連情報】
 『日本/権力構造の謎』や『人間を幸福にしない日本というシステム』などの著作で知られるカレル・ヴァン・ウォルフレンは、日本の知識人には次のような伝統があると指摘している。

「外見上はまことにラジカルな、既成秩序への反対がそれだ。この姿勢はあらゆる実際的現実からあまりにもかけ離れており、またあまりにも形式儀礼主義的なものであったため、既成秩序には痛みらしい痛みは全く与えなかった。しかし、このおかげで学者たちは、まるで自分が政治的に活発であるかのような幻想にひたることができた」(カレル・ヴァン・ウォルフレン『日本の知識人へ』西岡公・篠原勝・中村保男訳、1995年、17頁)

 「青少年有害環境対策基本法案(素案)」がまとめられた2000年以降、学者らによる「有害環境」規制への批判は繰り返し行われてきた。しかしながら、こうした批判が「既成秩序には痛みらしい痛みは全く与えなかった」からこそ、今なお、全国各地で青少年条例の改定・強化が進められているのではないだろうか。
 自らの主張は「あらゆる実際的現実からあまりにもかけ離れ」た「あまりにも形式儀礼主義的」なものとなってはいないか? かえって規制強化の流れを利する結果になってはいないか?――変わりばえのしない主張を繰り返すより、こうした問題を検証する方が、条例強化や法案成立への有効な歯止めとなるのではないだろうか。(2004/9/7 07:40)

9月16日
『東京新聞』に「加害少女 自立支援施設へ 佐世保小6事件 2年間行動制限 家裁支部決定 「ホラー小説影響」」という記事が掲載される。記事によると、長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件で、長崎家裁佐世保支部は少女を自立支援施設に送致することを決めたという。小松平内裁判長は「少女に精神病性の障害はない。傾倒したホラー小説などの影響で、攻撃的な自我を肥大化させた」と指摘したという。
 また、『毎日新聞』に掲載された「「妥当な決定」 加害女児の付添人弁護士」という記事によると、加害女児の付添人弁護士3人は記者会見で、「事件の重大性や精神的な未熟さなどから考えると妥当な決定だったと思う」と家裁支部の決定を評価。さらに、「現実感に乏しく、怒りの処理に乏しさを感じる子供たちにメディアが与える影響についても、この事件を機に実のある議論がなされることを願う」と訴えたという。
『朝日新聞』にも「佐世保・小6事件 女児を自立支援施設送致 家裁支部 2年間行動制限」などの記事が掲載された。
『読売新聞』にも「佐世保小6殺害 女児 自立支援施設へ 家裁決定2年間行動制限」などの記事が掲載された。
『日本経済新聞』にも「佐世保小6事件加害女児 自立支援施設へ 家裁支部決定」などの記事が掲載された。
『The Japan Times』にも「Killer,11,to be placed in institution Threat of time in solitary」という記事が掲載された。
【関連情報】

1.『東京新聞』2004年7月28日付「浸透するネット 中 残虐映像 反復で脳裏に蓄積 暴力を学習し、行動の台本が・・・」という記事は、佐世保市の小6女児同級生殺害事件をテーマに、メディア暴力研究の専門家である佐々木輝美・国際基督大学教授らを取材している。記事の中で佐々木教授は、「映像を見ることがすぐ行為に結びつくわけではない」と断ったうえで、「子どもの頭の中に映像が蓄積されることが心配。佐世保の事件は蓄積が実際の行為を招いた典型例に見えた」と話している。
▼「子どもを守ろう 浸透するネット (中) 残虐映像 反復で脳裏に蓄積」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040728/ftu_____kur_____001.shtml(東京新聞)

2.佐々木教授は、『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)で、ヒューズマンの「メディア暴力の長期的効果の循環モデル」を紹介し、次のように説明している。

「このモデルの中心となっているのはスクリプトという概念である。スクリプトとは、人々が行動を起こす時のいわば台本にあたるものである。我々の日常生活において何か問題が生じた時、常識的に考えれば暴力以外の平和的な方法で対処することがほとんどである。しかし、暴力番組では問題解決方法として安易に暴力をふるうシーンが描かれる場合が多く、そのような番組に多く接することで、視聴者が問題解決の主な方法として暴力があることを記憶してしまう。これが繰り返されると人々の脳の中にスクリプト(行動の台本)が形成されるのである。このような攻撃的なスクリプトが形成されると、何か問題が生じた時に問題解決の手段として暴力を行使する可能性が高くなるのである。従って、攻撃的スクリプトの形成を抑制するためにはメディア暴力を減らすことが必要となってくるのである」(181頁)

 同書では、暴力シーンを減らすというメディア側における対応だけでなく、受け手側における対応も重要であると指摘されている。具体的には、親子でテレビを共同視聴し、親が暴力シーンに否定的なコメントをすることや、学校教育でメディア暴力の現実性や適切性に対する子どもたちの態度を変える教育的介入を行う必要があるという。これらは過去の研究結果から効果を期待できるが、効果を高める工夫や逆効果の生じる可能性を減らすための研究が必要であるという。

3.『視聴覚教育』2001年5月号に掲載された対談「メディアの暴力について考える 〜映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに〜」では、佐々木教授と坂元 章・お茶の水女子大学文教育学部教授がメディア暴力の影響や教育的介入の必要性について語っている。

4.佐々木教授と坂元教授は文部科学省が平成13年度から実施している青少年とメディアに関する調査研究の協力者である。この調査研究により、平成13年度は「テレビ」、平成14年度は「インターネット」、平成15年度は「テレビゲーム」をテーマにした報告書がまとめられている。これらの報告書は次のページで確認することができる。
▼青少年の健全育成
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/main4_a7.htm(文部科学省)

5.佐々木教授の『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)や、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)は、メディアの影響を検証した数多くの研究を概観し、関連する理論について詳細に論じている。(2004/9/16 06:45)

9月17日
『日刊スポーツ』に「金沢の夫婦惨殺17歳無職少年 自宅から残虐ビデオ 相当量を押収」という記事が掲載される。記事によると、金沢市で17歳の少年が夫婦を刺殺した強盗殺人事件で、石川県警が少年の自宅から、残虐なシーンのあるテレビゲーム、ビデオ、コミック本などを押収していたことが分かったという。
 また、少年は刃渡り約30センチのナイフをインターネットで購入していたという。業者は18歳未満への販売を自主規制していたが、年齢確認は自己申告のため、事実上誰でも買うことができたという。

9月24日
『朝日新聞』に「胸露出 米TV網に罰金55万ドル」という記事が掲載される。

10月1日
『出版ニュース』に、長岡義幸氏(インディペンデント記者)の「文科省規制構想」という記事が掲載される。『産経新聞』2004年8月16日付で取り上げられた文部科学省による「有害情報」対策について報じている。

10月3日
『サンケイスポーツ』に「エ!? エロ本所持で補導デス 警察庁が「不良行為少年」の定義に」という記事が掲載される。
▼「エロ本所持は補導?!警察庁「不良行為少年」定義盛り込む」
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200410/sha2004100304.html(SANSPO.COM)
【関連情報】
1.記事には「有害」規制監視隊のコメントが一部紹介されている。全体の要旨は次のとおり。

 そもそも「有害図書」指定とは、買う青少年ではなく、売る業者の責任を問うもの。「各都道府県の青少年保護育成条例で販売が制限されている」のもこのためだ。
 「不良行為少年」の定義に「有害図書所持」が盛り込まれるとすれば、売る側の責任を問うはずの「有害図書」指定が、買う側の青少年を「不良」とみなすために利用されかねない。これは「有害図書」指定の目的を逸脱している。また、「有害図書」に興味を持つこと自体が非行の始まり、という印象を広める可能性もある。
 これまで規制強化を訴えてきた人々でさえ、そこまでの規制を望んでいたかは疑問だ。「有害図書」の定義が分かりにくい、ということも考え合わせると、所持を補導対象とすることには反対せざるをえない。

 実際、『神奈川県青少年保護育成条例の解説』(2002年4月発行)では、「有害図書類の指定及び販売等の禁止」を規定した第7条の要旨を次のように説明している。

「本条は、図書類の青少年に及ぼす影響の大きいことに鑑み、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類を有害図書類として指定し、これらの図書類を青少年の周囲から排除するよう規制措置を講じるための規定である」(20頁)

 このように「有害図書」指定は、「有害図書」を「青少年の周囲から排除する」ために行われるものである。所持している青少年を補導するための指定ではない以上、所持を理由に補導されるとすれば、指定制度が別の目的に利用されている、といえるだろう。(2004/10/3 07:40)

2.記事には、「有害定義の範囲が今後広がり残虐・暴力などあらゆる本が対象になりかねない」という意見も紹介されている。ただ、青少年条例を持つ全ての都道府県において、既に粗暴性または残虐性、残忍性を誘発・助長する表現が規制対象となっている。しかもこれは、分量に関係なく指定でき、文章やゲームソフトも規制することができる個別指定の対象である。
▼「有害」指定の判断基準
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/ichiran/handan.htm(「有害」規制監視隊)

3.記事には、「ゲームソフトを有害指定する動きもありエロ本だけにとどまらない状況」という指摘もある。ところが、ゲームソフトの「有害」指定は10年以上前から行われている。
 ゲームソフトの「有害」指定については、ソフトの製造販売を行う業者が個別指定を取消すよう宮崎県を訴えたことがある。一審(1994年1月)、二審(1995年3月)ともに業者側が敗訴し、最高裁も1999年12月に上告を棄却した。
 最高裁はこの判決で、個別指定の定義を「不明確であるということはできない」としたのだが、浅野博宣・神戸大助教授は次のように批判している。

「個別指定の定義は、包括指定に比べより概括的であり、一審・二審ともに一致して「それ自体を見る限りにおいては、規制対象が明確であるとは必ずしもいい難い」とし、一審は審議会の内規が定められ公表されていることから、二審はみなし規定の要件から類推できるとすることによって、帳尻を合わせる努力をしていた。にもかかわらず、最高裁が何ら理由付けをすることなく定義が不明確ではないとしたのは、大きな問題であろう」(浅野博宣「パソコンゲームソフトの有害図書類指定」『法学教室』第246号別冊付録「判例セレクト’00」、8頁)

 一般的には、包括指定の方が個別指定よりも問題が多いと言われている。だが、浅野助教授が指摘しているように、「個別指定の定義は、包括指定に比べより概括的」だ。また、秋田県は2003年10月に包括指定を導入しているが、「有害」規制監視隊の意見に対し、「包括指定の基準に至らない図書類については、従来どおり「個別指定」により行う」と回答している。つまり、個別指定は包括指定と比較してより厳しい規制を行うことが可能なのである。
 このように、個別指定は包括指定よりも強力な規制だ。にもかかわらず、個別指定の実態・問題点はほとんど報道されない。また、包括指定を批判する人に比べ、個別指定を批判する人は非常に少ない。これは、個別指定の適否を判断する審議会にメディア関係者が加わっていることと無関係なのだろうか。(2004/10/3 10:10)

10月15日
『日刊スポーツ』に「アダルトサイトを突かれた ライブドアの急所 苦しい弁明 堀江社長劣勢」という記事が掲載される。記事によると、プロ野球に新規参入をめざすライブドアと楽天に対する日本プロ野球組織(NPB)の2回目のヒアリングが14日に行われ、ライブドアについては、青少年の健全育成に影響があるとして、アダルトサイトの運営やアダルトゲームソフトの製造販売が問題になったという。
『日本経済新聞』などにも同様の記事が掲載された。

『毎日新聞』に「官の情報独占に風穴 与野党メディアに介入」という特集記事が掲載される。自民党が準備する「青少年健全育成基本法案」と「青少年有害環境自主規制法案」をめぐる動きなどを報じている。
【関連情報】
1.
自民党の中曽根弘文議員ら2004年3月に国会へ提出し、6月に審議未了のまま廃案となった「青少年健全育成基本法案」には次のような条文が盛り込まれていた。

(地方公共団体における社会環境の整備等)

第18条 都道府県は、条例で定めるところにより、その区域において、青少年にとっての良好な社会環境の整備及び青少年の健全な育成を阻害する行為の防止について必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 市町村は、条例で定めるところにより、その区域において、青少年にとっての良好な社会環境の整備及び青少年の健全な育成を阻害する行為の防止について必要な措置を講ずることができる。

 都道府県が定めた青少年条例に基づき、「有害」図書の審査などを行う審議会には、様々なメディア関係者が委員として参加している。たとえば、毎日新聞社の瀬戸純一・論説室副委員長は、東京都青少年健全育成審議会の会長代理である。
 瀬戸会長代理は2003年11月の第524回東京都青少年健全育成審議会で、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきと主張していた。2004年3月に改定された東京都青少年健全育成条例では、瀬戸会長代理の主張通り、包括指定の導入は見送られ、性表現に限らず、暴力表現なども規制することができ、写真や絵だけでなく、文章も規制対象となる個別指定が強化されている。ところが、瀬戸論説室副委員長が会長代理の立場を“利用”して、規制強化を後押しした事実はまったく報道されない。
 「有害」規制の当事者である新聞社が、紙面では形式儀礼主義的な批判を繰り返す――。こうした問題の検証・改善こそ、形だけの“批判”より、はるかに重要なのではないだろうか。

2.瀬戸会長代理の前に東京都青少年健全育成審議会の会長代理を努めていたのは津山昭英・朝日新聞東京本社編集局記事審査部長(当時)である。津山氏が会長代理であったころ、朝日新聞は2001年1月25日に「有害情報規制 どういう結果を招くか」という社説を掲載している。この社説では、自民党が準備していた「青少年社会環境対策基本法案」について、「メディアを政府や行政の監視下に置く」「メディアリテラシーの能力を育てることが大事だ」などと批判していた。ところが、2001年3月に改定・強化が予定されていた東京都青少年健全育成条例については一言も触れていない。
 「有害」規制の当事者である新聞社が、紙面では形式儀礼主義的な批判を繰り返す――。こうした問題の検証・改善こそ、形だけの“批判”より、はるかに重要なのではないだろうか。(2004/10/15 07:40)

10月16日
『日刊スポーツ』に「ライブドア1日でアダルトサイト修正」という記事が掲載される。

『朝日新聞』(夕刊)に「迷惑客引き全面禁止 都内の歓楽街抜け道封じへ 警視庁、条例改正の方針」という記事が掲載される。記事によると、警視庁は路上での悪質な客引きやスカウトへの規制強化を検討しているという。現行の都青少年健全育成条例では、18歳未満を性風俗店の接客役などにスカウトすることを禁じているが、都迷惑防止条例を12月の都議会で強化し、年齢にかかわらず規制する方針だという。

12月9日
『東京新聞』(夕刊)に「少年補導を法規定 警察庁提言まとめ 保護者責務も明確に」という記事が掲載される。記事によると、警察庁の「少年非行防止法制に関する研究会」が9日にまとめた提言では、喫煙や深夜はいかい、「有害図書」を持つ少年を「不良行為少年」と定義しているという。
【関連情報】
1.「不良行為少年」の定義に「有害図書」の所持を盛り込むことを検討していた「少年非行防止法制に関する研究会」については、『サンケイスポーツ』2004年10月3日付「エ!? エロ本所持で補導デス 警察庁が「不良行為少年」の定義に」という記事が詳しい。なお、この記事によると、「有害図書」の所持について警察庁少年課は、これまでも「不健全娯楽として補導対象になりえた。補導例? 把握していない」と話しているという。
2.『読売新聞』(横浜版)2004年6月29日付「有害図書業者を家宅捜索 県警など 泉区で自販機1台押収」や『東京新聞』(横浜版)2004年10月19日付「有害図書自販機の摘発増加 罰金刑に抑止効果なく 業者と“いたちごっこ”状態 県条例見直しも「隣県と統一必要」」という記事によると、5月末に住民から、「自販機の周りに子供がたまっている。何とかしてもらえないか」と要望があり、泉署が捜査したところ、高校生が「有害図書」を購入しているのを署員が発見。この高校生は補導されたという。
(2004/12/9 20:30)

 

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