条例改定までの軌跡
東京都青少年の健全な育成に関する条例
ー平成13年3月改定ー
<平成13年3月改定までの軌跡>
1999年
7月21日
『産経新聞』(夕刊)に「自殺マニュアル本 「有害図書」指定を要請 参考に中1女子ら死亡 警視庁都に通報」という記事が掲載される。記事によると、警視庁少年育成課は7月10日に自殺した中1女子や4月に自殺した専門学校生の少年が『完全自殺マニュアル』を読んでいたことなどから、「自殺の具体的な方法が描かれ、少年に悪影響を及ぼしかねない」と判断。同書を少年への販売などを禁ずる「有害」図書に指定するよう都に要請したという。7月26日
『東京新聞』が「「捜査現場無視」募るいら立ち 警視庁の「完全自殺マニュアル」通報」という特集記事を掲載。警視庁による『完全自殺マニュアル』の通報を「都の姿勢に対する不満にとどまらず、有害図書指定の現状に一石を投じようとする意欲の表われとも受け取れる」などと評価。8月26日
警視庁から通報を受けた都は、条例の指定事由が性と残虐性に限定されていたため、指定は拡大解釈になると判断。「不健全」指定の審査、判定を行う青少年健全育成審議会への諮問は見送った。しかし、審議会委員から意見を聞くという形で『完全自殺マニュアル』について意見交換を行い、審議会は「条例の見直しを含む適切な対応」を都に要望するという会長コメントを発表した。
▼「第471回東京都青少年健全育成審議会の審議結果」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/1999/08/4098R200.HTM(東京都)
▼「第471回 東京都青少年健全育成審議会」(議事録)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/471giji.pdf(東京都)
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▼Adobe Acrobat Readerのダウンロード
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep2.html(Adobe)9月3日
『毎日新聞』に「東京都「有害図書」指定を見送り」という記事が掲載される。内容は8月26日に行なわれた東京都青少年健全育成審議会の模様や、『完全自殺マニュアル』著者、鶴見済氏へのインタビューなど。9月11日
『東京新聞』に「都審議会が条例見直し含む異例の注文 「完全自殺マニュアル」規制に動き」という特集記事が掲載される。『完全自殺マニュアル』の規制を求める活動家の意見などが紹介されている。
2000年
5月11日
第196回東京都青少年問題協議会が開催され、石原慎太郎・東京都知事は「不健全」図書類の指定事由追加や効果的な規制のあり方などを諮問。協議会は専門部会を設置し、深谷昌志・東京成徳短期大学教授を部会長に選任した。<専門部会委員名簿> ★は中間答申(案)の起草委員
阿部謹也・共立女子大学学長
大塚明子・文教女子短期大学講師★
川畑友二・精神科医師
齋藤範子・地域活動推進員
桜木 敬・東京商工会議所事務局長
佐藤洋子・(財)東京女性財団理事長
鈴木光司・作家
武川行男・子どもの性教育研究ネットワーク代表★
濱田純一・東京大学大学院情報学環学環長
深谷昌志・東京成徳短期大学教授★
堀内比佐子・新宿区立東戸山中学校校長
前田俊房・弁護士★
三浦 展・都留文科大学非常勤講師★
谷茂岡あけみ・東京都地域婦人団体連盟青少年部専門委員<専門部会および起草委員会の開催状況>
5月31日 第1回専門部会
6月21日 第2回専門部会
7月12日 第3回専門部会
7月25日 第4回専門部会
8月 9日 第5回専門部会
8月29日 第6回専門部会
9月19日 第1回起草委員会
10月 3日 第2回起草委員会
10月24日 第7回専門部会
11月13日 第8回拡大専門部会
11月28日 第3回起草委員会専門部会では、委員による議論だけでなく、業界や学識経験者からのヒアリングも実施された。
起草委員会は、専門部会での議論を踏まえて答申案を作る「建前」だが、長船里美氏(出版・産業対策部出版の自由委員会)は次のように記している。「議論はごく謙抑的に進められ、第六回(八月二九日)での総括審議をもって議事は起草委員会に委ねられた。傍聴を続けていた私たちは、“コンビニエンスストア等での区分陳列を進める”といった内容でまとまるだろうという感想をもった。(中略)しかしこれは甘かった。一〇月二四日に第七回で提唱された中間答申(案)は、夏の議論とは別物だった」(長船里美「強まるメディアへの法的規制と私たち 三回目の都条例規制強化反対運動を取り組みながら」『出版レポート』2001年3月号)
拡大専門部会では、専門部会会長の深谷昌志・東京成徳短期大学教授が都議会選出の青少年問題協議会委員に対し、答申案の説明を行った。
12月20日
東京都庁で第197回東京都青少年問題協議会総会(写真)が開催される。青少年問題協議会は、(1)「不健全図書」の指定事由に「著しく自殺、犯罪を誘発するおそれがあり」の文言を追加する、(2)書店・コンビニにおける成人向け雑誌の区分陳列を明確に規定し、違反者には制裁措置を課す、(3)雑誌自動販売機には届出制、距離規制等を採用し、指導に従わない業者は公表する――などの規制を青少年健全育成条例に盛り込むべきだとする中間答申をまとめ、都に提出した。
当日の議事録および中間答申の全文は次のページで確認することができる。
▼「審議会等」
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm(東京都)
2001年
2月21日
平成13年第1回定例都議会が開会。
▼「条例案概要(平成13年第1回都議会定例会)」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2001/02/60B2G200.HTM(東京都)3月21日
都議会文教委員会が「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」を審議。
▼「文教委員会の記録 平成13年 3月21日」
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/bunkyo/d3030037.htm(東京都議会ホームページ)3月23日
都議会文教委員会で「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」が原案通り可決される。3月29日
都議会本会議で「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」が可決される。改定に反対したのは福士敬子議員(自治市民’93)のみ。
▼「東京都における青少年条例の改定(平成13年3月改定)」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/taisyohyo/tokyo/H13-3.htm(「有害」規制監視隊)なお、各会派の構成は次の通りであった。
自 民 党 49人
日本共産党 26人
公 明 党 23人
民 主 党 13人
無 所 属 3人
ネ ッ ト 3人
社会民主党 1人
自治市民 1人
都民の会 1人
合計 120人
7月1日
改定版「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(区分陳列に係る規定は除く)が施行される。
▼「東京都青少年の健全な育成に関する条例」
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/ikuseijyourei.htm(東京都)
▼「東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則」
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/ikuseikisoku.htm(東京都)7月10日
東京都は改定版「東京都青少年健全育成条例」に対応した「東京都青少年の健全な育成に関する条例第5条、第8条及び第14条の規定に関する認定基準」を決定。
▼「東京都青少年の健全な育成に関する条例第5条、第8条及び第14条の規定に関する認定基準」
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/nintei.htm(東京都)10月1日
改定版「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の区分陳列に係る規定が施行される。
<平成13年3月改定を考えるための参考文献>
(1)鶴見済「『完全自殺マニュアル』のどこが「有害」なのか」『創』1999年11月号 14-20頁
(2)長岡義幸「『完全自殺マニュアル』悪書キャンペーンの陥穽」『創』1999年11月号 22-28頁
(3)清水英夫「図書規制強化をめぐる最近の動き」『創』1999年11月号 29-31頁
(4)長岡義幸「『完全自殺マニュアル』拡大する規制の動き」『創』1999年12月号 96-103頁
(5)長岡義幸「少年犯罪続発で動き出したメディア規制法案」『創』2000年7月号 116-123頁
(6)清水英夫「東京都青少年健全育成条例改正に関する意見」『出版ニュース』2000年8月中旬号 6-9頁
(7)長岡義幸「規制強化に出版界でも第三者機関構想浮上」『創』2000年12月号
(8)長岡義幸「東京都「不健全」図書指定に宝島社の反撃」『創』2001年1-2月号 110-117頁
(9)長岡義幸「宝島社「不健全」指定雑誌、読者直販で抗議」『創』2001年3月号 118-123頁
(10)長船里美「強まるメディアへの法的規制と私たち 三回目の都条例規制強化反対運動を取り組みながら」『出版レポート』2001年3月号 45-52頁
(11)長岡義幸「規制強化の改定青少年条例が都議会で成立!」『創』2001年5月号 130-135頁
(12)長岡義幸『出版時評』(ポット出版、2002年)
【関連リンク】
▼「ドキュメント『完全自殺マニュアル』規制騒動」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/suicidemanual/1999.htm(「有害」規制監視隊)