条例改定までの軌跡

大阪府青少年健全育成条例

ー平成15年3月改定ー


 太田房江・大阪府知事は2002年3月4日、府議会で青少年健全育成条例についての質問を受け、「自殺や犯罪を誘発するような情報やインターネット等新たな媒体への対応については、より一層の取り組みが必要」「今後、法制面を含めさまざまな角度から検討をし、平成十四年度内を目途に条例改正など必要な対策を講じてまいります」と発言。今年度中に条例を改定・強化する方針であることを明かにしている。

追加情報
 『毎日新聞』(大阪版)2002年7月6日付「府が健全育成条例改正へ諮問 インターネット普及などで」という記事によると、大阪府は5日、府青少年問題協議会に条例改定を諮問。現行の青少年条例で規制対象とされていないインターネット、自殺や犯罪を「誘発」しかねない書籍、出会い系サイト紹介誌などを規制すべきかどうか議論するという。(2002/8/13)
▼参考リンク
「大阪府青少年問題協議会会議内容(平成14年7月5日開催)」
http://www.pref.osaka.jp/osaka-pref/seishonen/seimonkyo/20020705.html(大阪府)

★参考情報★
 『朝日新聞』2002年9月30日付・夕刊に「山本襄治さんと読者が考える 自殺は罪か」という特集記事が掲載される。記事によると、朝日新聞が「自殺は罪か」をテーマに意見を募集したところ、10代〜90代までの読者から180通の投稿があり、「罪ではない」とする内容が多かったという。(10/1)

追加情報−2
 『全国書店新聞』2002年11月11日付「青少年条例改定について大阪府と懇談 大阪組合」という記事によると、大阪府書店商業組合は10月23日、青少年健全育成条例の改定について大阪府生活文化部青少年課の担当者と懇談。包括指定の基準を「総ページ数の3分の1以上」から「5分の1または20ページ以上」に強化することや、東京都や神奈川県を参考にした区分陳列規制を考えていることを伝えられ、「書店ではとてもチェックしきれず不可能」「書店の実情を把握していない」と反論したという。なお、大阪府は12月をめどに最終案をまとめ、インターネットなどを通じて広く意見を集めるという。(2002/11/29)

追加情報−3
 『毎日新聞』(大阪版)2002年11月23日付「府青少年問題協 “犯罪本”有害図書類に 2月議会で条例改正へ」という記事によると、府青少年問題協は22日、殺人や薬物使用などの方法を詳細に記した図書類を「有害図書類」に含めるべきだとする答申をまとめ、府に提出したという。一方、自殺のマニュアル本については、「自殺は本人の心の問題」などとして「有害図書類」とすることを見送ったという。このほか答申では、インターネット上の「有害情報」について、受信者側で情報を遮断できるフィルタリングに関する情報を府が府民に提供するよう求めているという。(2002/11/29)

追加情報−4
 大阪府は「有害図書類」の指定事由追加や包括指定の強化などを盛り込んだ「大阪府青少年健全育成条例」改定案について意見を募集中。所定の「意見提出用紙」に必要事項を記入し、郵便、ファクス、電子メールのいずれかの方法により提出する。募集期間は平成14年12月4日(水)〜平成15年1月6日(月)。なお、府内に住所がなくても意見は受け付けるという。(2002/12/11)
▼「大阪府青少年健全育成条例の改正に対する府民意見の募集について」
http://www.pref.osaka.jp/seishonen/kenzen.html(大阪府)

追加情報−
 大阪府は「大阪府青少年健全育成条例(案)」および「大阪府青少年健全育成条例の改正案の概要に対する府民意見募集の結果について」を発表。「大阪府青少年健全育成条例」改定案に対しては、15個人・団体から37件の意見が寄せられたという。(2003/2/20)
▼「府民意見募集結果」
http://www.pref.osaka.jp/seishonen/pubcomkekka.html(大阪府)

★参考情報−2★
 「有害」規制監視隊の
意見に対しては「今回の改正は、一般的な薬品に関する情報までを規制しようとするものではありません。薬物犯罪の手口をことさら詳細に記している図書類を有害図書類に指定できるようにするものです」という奇妙な回答がなされた。「薬物犯罪の手口をことさら詳細に記している図書類」がどのような図書類を意味するかは施行規則に明示されるため、今後は施行規則の動向に注意する必要がある。
 なお、『諸外国における青少年施策等に関する調査研究報告書 −有害環境、幼児虐待及び児童買春からの青少年保護を中心に−』(総務庁青少年対策本部
1998年)や『世界のマス・メディア法』(榎原猛編、1996年)によると、青少年保護を目的に「薬物犯罪の手口をことさら詳細に記している図書類」をことさら規制している国はない。(2003/2/20)

★参考情報−3★
 『ジュリスト』第1160号に掲載された後藤啓二・警察庁生活安全局生活安全企画課理事官による論文「インターネット上の誹謗中傷、詐欺その他違法・有害情報の現状と対策について(上)」では、少年に「有害」な情報の具体例として「薬物、毒劇物の販売広告(合法な薬物の販売広告や毒劇物の説明・解説等を装い違法薬物や毒劇物を販売しているものも少なくない)」との説明がなされている。つまり、少年に「有害」な情報とは、違法薬物や毒劇物の「販売広告」だという。
 大阪府の回答にある「薬物犯罪の手口をことさら詳細に記している図書類」という定義では、違法薬物や毒劇物の「説明・解説等」まで含まれてしまう可能性がある。(2003/2/23)

追加情報−6
 太田房江・大阪府知事は2003年2月19日、平成15年2月定例府議会に提出した青少年条例改定案について「最近のインターネット等の新たな情報媒体の普及や、犯罪の誘発につながる図書類の増加などに対応するため、インターネット上の有害情報から青少年を保護する規定を追加するなど、「青少年健全育成条例」を改正いたします」と説明。(2003/3/4)

追加情報−7
 大阪府議会は2003年3月13日、平成15年2月定例府議会に上程されていた大阪府青少年健全育成条例一部改定案を原案通り可決。新条例は2003年7月1日から施行される。(2003/3/20)

追加情報−8
 大阪府は「大阪府青少年健全育成条例・施行規則改正リーフレット」および2003年7月1日から施行される改定版「大阪府青少年健全育成条例」に対応した「大阪府青少年健全育成条例施行規則」を公表。なお、公表された施行規則(2003年4月30日公布)には、改定により追加された第13条第1項第3号「青少年の犯罪を著しく誘発するおそれがあり、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの」に係る基準は定められていない。(2003/5/2)
▼「大阪府青少年健全育成条例及び同施行規則の改正リーフレットを作成しました。」
http://www.pref.osaka.jp/koseishonen/joreikaisei.html(大阪府)

追加情報−9
 大阪府は2003年6月20日、「大阪府青少年健全育成条例施行規則の一部を改正する規則」を公布した。改定により、「大阪府青少年健全育成条例」第13条第1項第3号の「青少年の犯罪を著しく誘発するおそれがあり、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの」に係る基準が定められた。公布された基準は次の通りである。

【大阪府青少年健全育成条例施行規則  第4条第3項】

 条例第13条第1項第3号の規則で定める基準は、次に掲げるとおりとする。

(1) 殺人、傷害、暴行、窃盗その他の刑罰法令に触れる行為を行うようそそのかすような表現をするものであること。

(2) 殺人、傷害、暴行、窃盗その他の刑罰法令に触れる行為(これを直接の目的とする準備行為を含む。)の方法であって、青少年が模倣するおそれがあると認められるものを詳細かつ具体的に表現するものであること。

 なお、この規則は2003年7月1日から施行される。(2003/8/17)

★参考情報−4★
 『学校保健研究』第43巻第1号(2001年)に掲載された勝野眞吾・兵庫教育大学生活健康系教育講座による論文「学校における薬物乱用防止教育 ―研究の動向―」によると、アメリカでは、薬物乱用の危険を認識させる「知識のみを重視した旧来の教育手法はたばこ、アルコールを含む薬物乱用の防止には有効でないと考えられるようになった」といい、現在はこれに代わって、「危険なもの、自分に都合の悪いと考えられるものを拒否したり、それに抵抗したりする能力・方法(スキル)を教える」、「ロールプレーイングなどの手法により、友人・仲間、家族などからの誘いの手口とそれを断る方法を学ぶ」などの「児童、生徒参加型のプログラム」が主流になっているという。なお、こうした参加型プログラムは、薬物乱用防止教育の有効性を分析する研究により、不参加型プログラムに比し有効性が高いことが示されているという。
 大阪府青少年健全育成条例施行規則の「その他の刑罰法令に触れる行為」という規定により、青少年が薬物による実害から身を守るために必要な情報まで規制されないよう、慎重な運用が望まれる。(2003/8/19)

追加情報−10
 大阪府は「有害」図書類の審査などを行う大阪府青少年健全育成審議会の委員(2名)を募集している。応募資格は、府内に在住、在勤または在学する満20歳以上68歳以下の者で、青少年問題に関心があり、審議会総会と部会(2〜3ヶ月に1回程度)に出席できる者。希望者は、履歴書と「青少年と地域の有害環境」と題する作文(1600字以内)を大阪府生活文化部子ども青少年課に郵送または持参により提出する。募集期限は平成16年4月9日(金)。詳しい応募要領は次のページで確認することができる。(2004/4/4)
▼「大阪府青少年健全育成審議会委員を募集します!」
http://www.pref.osaka.jp/koseishonen/shingikai-iin.html(大阪府)

★参考情報−5★
 大阪府は2003年3月に府青少年健全育成条例を改定し、第8条「府の基本施策等」に、「青少年が情報社会において自律性や自主性をもって対応できるようにするための取組を推し進めること」を追加している。また、2004年1月には青少年のメディアの利用実態やメディア教育の取り組み状況などをまとめた『青少年メディア環境調査報告書』を公表し、「メディアリテラシーの教材を作ったりし、普及に努めたい」(『大阪日日新聞』2004年1月13日付「中学生の7割ネット経験 有害情報選別 保護者の意識低く 府メディア調査」)という方針も示している。青少年の能力を育む、という視点に立った大阪府の取り組みは、規制に偏りがちな青少年条例のあり方を問い直す試みとして注目される。なお、同報告書は次のページで確認することができる。(2004/4/4)
▼「青少年メディア環境調査報告書目次」
http://www.pref.osaka.jp/koseishonen/media/index.html(大阪府)

 

【関連報道】 ※「有害」規制監視隊が確認したものだけです。
(1)『読売新聞』(大阪版)2002年3月4日・夕刊「漫画喫茶 ポルノコミックを規制 大阪初の試み 条例改正、18歳未満対象」
(2)『毎日新聞』(大阪版)2002年7月6日「府が健全育成条例改正へ諮問 インターネット普及などで」
(3)『全国書店新聞』2002年11月11日「青少年条例改定について大阪府と懇談 大阪組合」
(4)『産経新聞』(大阪版)2002年11月18日・夕刊「アダルトビデオ "寸止め"許さん 大阪府 「有害自販機」規制強化へ わいせつ映像 裏技締め出し」
(5)『読売新聞』(大阪版)2002年11月21日「“犯罪解説書”有害指定に 大阪府青少年問題協議会答申 来年4月条例改正へ」
(6)『毎日新聞』(大阪版)2002年11月23日「府青少年問題協 “犯罪本”有害図書類に 2月議会で条例改正へ」
(7)『読売新聞』(大阪版)2002年12月2日「有害本の自販機 秘策"規制逃れ" 「カメラで年齢チェック」販売認めて 揺らぐ条例 行政困惑」
(8)『熊本日日新聞』2002年12月18日・夕刊「有害HP 条例で規制 青少年の健全育成 大阪府が初の方針 フィルタリング 成人サイト締め出し」
(9)『新文化』2003年4月24日「青少年健全育成条例を改正 大阪府」
(10)『毎日新聞』(大阪版)2004年1月10日「有害情報遮断ソフト 保護者の4人中3人知らず 府内青少年と保護者 メディア利用実態調査」
(11)『大阪日日新聞』2004年1月13日「中学生の7割ネット経験 府メディア調査 有害情報選別 保護者の意識低く」

【関連リンク】
▼「青少年メディア環境調査結果について」
http://www.pref.osaka.jp/fumin/html/01879.html(大阪府)


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