「有害」規制法案・条例の状況

岩手県青少年のための環境浄化に関する条例


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1.岩手県が発表した岩手県青少年環境浄化審議会の議事録によると、2006年2月6日の第312回審議会では、委員から「出会い系サイトで青少年に被害者が出ているわけですから、ゆくゆくは環境条例で規制したらいいのではないか」という意見があり、事務局は「環境浄化条例については、情報系については対応できていないところがあるので、条例改正か何かで規制を強化できないか、罰則までは難しいにしても、インターネット規制を努力義務でできないか検討していました。大筋ができた時点で審議会でも協議申し上げて、18年度中には条例改正したいと考えています」という方針を示している。議事録は次のページから確認することができる。
▼「審議会等の会議」
http://www.pref.iwate.jp/~hp020501/kaigi/index.html
2.「有害」規制監視隊が2006年1月までに確認できた範囲では、青少年のインターネットの利用に関する努力義務は東京都、大阪府など18都府県で導入されている。青少年条例におけるインターネット関連規定は次のページを参照。
▼インターネット関連規定
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/ichiran/internet.htm
(2006/2/21 07:20)

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1.岩手県が2006年5月15日までに公表した岩手県青少年環境浄化審議会の議事録によると、5月12日の第315回審議会では、「岩手県青少年のための環境浄化に関する条例」の「改正の背景、改正時期、改正の方向性」について情報提供が行われたという。また、委員からは「審議会で見た雑誌で特定の会社の雑誌が3ヶ月連続で指定されたならば、その会社の本を岩手県内で販売する場合にはクリップや包装ができるような条例にするのが良いと思う」「他県で指定したものは岩手県でも不健全図書になるような規程はできないか」などの意見があったという。議事録は次のページから確認することができる。
▼「審議会等の会議」
http://www.pref.iwate.jp/~hp020501/kaigi/index.html
2.東京都や福岡県などでは「有害図書(不健全図書)」を陳列する場合、区分陳列するとともに、ビニール包装やひも掛けなど、規則で定める方法により包装しなければならない。また、東京都や岡山県、愛知県には、個別指定と連動した勧告や公表、指定手続き簡素化の仕組みがある。(2006/5/26 07:10)

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1.岩手県が2006年10月12日に公表した岩手県青少年環境浄化審議会の議事録によると、10月10日の第320回審議会では、ビニールテープで留められた雑誌について、「中が見られなくても表紙だけで十分過激だし言葉もひどいのが載っているので、表紙も見えないように何らかの覆いをすべきだと思う」「その辺のところを条例の改正案には盛り込んでいったほうがいいと思う」という意見があったという。
2.1とともに公表された第320回審議会の次第には、「開会」「情報提供」「審議会成立宣言」……という順序が示されている。一方、議事録では「開会」の直後に「議会成立」が報告されている。つまり「情報提供」の部分が削除されているのである。「情報提供」の内容は不明だが、おそらく「条例の改正案」について何らかの説明があったのではないかと思われる。なお、事務局は2006年2月6日の第312回審議会において、「18年度中には条例改正したい」という方針を示している。18年度中となると、条例案は平成18年12月定例会か平成19年2月定例会に提出されることになる。(2006/10/13 07:00)

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 岩手県は「青少年のための環境浄化に関する条例(案)の概要」について意見を募集している。公表された資料には、包括指定基準の引き上げや、区分陳列基準の設定、インターネット利用に関する努力義務の新設などとともに、深夜連れ出し等・古物の買い受け等・入れ墨の禁止、罰則の強化など13項目が示されている。県はこれらの規制強化により、情報化社会の急激な進展や、24時間型社会の進行などに対応するとしている。募集期間は平成18年11月20日(月)〜平成18年12月19日(火)。意見の提出方法や関係資料などは次のページで確認することができる。
▼「「青少年のための環境浄化に関する条例」の一部を改正します。」
http://www.pref.iwate.jp/~hp0313/kankyoujyouka/joureikaisei/pabukomehp.htm
(2006/11/20 07:00)

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1.岩手県は2006年12月13日までに第322回岩手県青少年環境浄化審議会の議事録を県ホームページに掲載した。これによると、事務局は2006年12月11日の審議会において、指定要件に「「著しく犯罪、自殺を誘発、助長するもの」を加えた方がよい」という意見を取り上げ、審議会に意見を求めている。委員からは「表現の自由以前の問題」などの意見があり、会長は「「著しく犯罪・自殺を誘発するもの」という条文はあった方が良いという意見です」とまとめている。

2.岩手県が募集している「青少年のための環境浄化に関する条例の改正方向(案)」に対するパブリック・コメントの受付期間は平成18年11月20日(月)〜平成18年12月19日(火)である。したがって、1の意見は募集期間中に取り上げられ、審議会のお墨付きを得たことになる。なお、『岩手日報』2006年11月26日付1面に掲載された「健全育成へ罰則強化 県、環境浄化条例改正へ」という記事によると、岩手県は「来年の二月県議会に条例改正案を提案する方針」だという。

3.「著しく犯罪、自殺を誘発、助長するもの」が指定要件に追加される場合、この件について意見を提出する機会はあるのだろうか。条例の内容を左右する項目に意見を述べられないとすると、パブリック・コメントを募集したのは何だったのか、ということにもなる。この点を審議会委員が指摘しなかったのは問題だ。
 1の会議録によると、委員の一人は「兵庫県条例のように、犯罪と自殺と、号を別にして書くのも分かりやすくて良いと思う」と述べている。こうした“用意周到”な発言をしたり、さまざまな意見を聴かずにお墨付きを与えるより、審議会委員にはやるべきことがあったのではないだろうか。(2006/12/19 07:10)

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 岩手県は2006年12月11日の岩手県青少年環境浄化審議会において、指定要件に「「著しく犯罪、自殺を誘発、助長するもの」を加えた方がよい」というパブリック・コメントへの意見を求めた。「有害」規制監視隊はこの件に関する質問を12月19日に青少年・男女共同参画課へ送信し、21日に回答があった。
 まず、この意見を取り上げた理由は「寄せられた意見について検討するに際し、参考までに審議会の意見を聴いたもの」だという。また、意見を提出する機会がない段階で特定の意見を審議会で取り上げることはある種の誘導(議論の誘導、世論の誘導)にならないか、という質問には「議題として取り上げたのではなく、図書類の審議の後に参考意見を聞いたもの」と説明している。ただ、指定要件が追加される場合における意見募集の有無については、「パブリック・コメントで出された意見等について、更に県庁内で検討した上で条例を固め、県議会に提案する」ので、再度募集することはないという。(2007/1/4 07:00)

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1.岩手県は2007年2月16日に開会する平成19年2月定例会に「青少年のための環境浄化に関する条例の一部を改正する条例」(案)を提出する。定例会は3月15日まで開かれ、最終日に条例案の採決が行われる。
▼「定例会の記録」
http://www.pref.iwate.jp/~hp0731/teireikai/teireikainokiroku.html
2.平成18年度岩手県青少年問題協議会の資料によると、指定要件には「犯罪又は自殺を誘発・助長するもの」が追加されるという。
 岩手県が2006年11月に公表したパブリックコメントの資料には、指定要件の追加に関する記述はなかった。ところが、パブリックコメントの受付期間中である2006年12月11日、審議会で「「著しく犯罪、自殺を誘発、助長するもの」を加えた方がよい」という意見が取り上げられ、「「著しく犯罪・自殺を誘発するもの」という条文はあった方が良い」という判断が示されている。
 審議会で取り上げられた意見が「やらせ意見」ではなかったという保証はない。形式的には一般からの意見を受けて指定要件が追加されたように見えるが、当初から追加する方針であり、一般の意見を反映させた、という状況が演出された可能性がある。そう考えると、審議会委員の用意周到な発言や、事務局のやり方に異論が出なかった理由も解しやすいように思われる。(2007/2/16 07:40)

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 岩手県は残虐な行為や犯罪を誘発・助長するなどとして2007年10月16日、コミック2冊、書籍1冊の「有害」指定を告示した。指定されたのは『多重人格探偵サイコNo.1』『多重人格探偵サイコNo.2』『GEKIDAS 激裏情報@大辞典VOL.3』の3冊。岩手県が公表した県青少年環境浄化審議会の議事録によると、指定の適否を審査したのは2007年10月12日の審議会。出席した委員5人全員が指定に賛成したという。「犯罪自殺」を要件に指定が行われるのは岩手県では初。なお、『多重人格探偵サイコ』は2006年3月6日に茨城県が1〜5巻を個別指定している。(2007/10/17 07:40)


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