すばらしいワタル紀行 1999年11月4日(木)

秋の大講演会 鶴見済−対談−宮台真司 in大隈講堂


6.質疑応答 その1

シンジ 手、挙がってますよ。

司会 あ、じゃ、そちらの方。

質問者1 あの、宮台さんにちょっとお聞きしたいんですけれど、先ほど、その選挙権、あ、今の選挙についてお伺いしたいんですが(中略)選挙に誰に投票するかっていうのを、おそらく選んでる意味がないのかなっていうのを、僕はその、実感として持ったんですよ。

シンジ 根拠はね、いくつかありますね。まず、そのー、僕はテレクラ的フィールドワーカーでもあったわけですが、そのテレクラの分布密度は、都会ではなくて田舎であればあるほど濃密なんですね。で、簡単に言えば、これは理解する方は、ま、他にもいろんな材料があるんですが、ただ一つしかなくて。基本的に言えばですね、昔ながらの田舎のような光景が続いているような見えながら、しかし、若い世代であればあるほど、その感受性や想像力っていうのが田舎を超えて広がっちゃってるんですね。ですからそういう人間たちが、自分たちの、ま、人によっていろんな思い出とか違いますけれども、最近になればなるほど、そのような匿名メディアを使って、その共同体的部分の、共同体的な同調によっては展開できない、スタートできない感受性や想像力をそこで展開するということが一般に起こっていることです。
 で、さらに言うならば、もう一つの新しい、いい材料はですね、今般の盗聴法や台帳法の運動のプロセスで、Eメールの検閲可能性が現実的になった途端にですね、インターネットではですね、ものすごい反盗聴法運動が盛り上がりました。今、日本でのインターネットの普及率って11%です。人口で言う11%です。で、スウェーデンや北欧諸国は40%越えています。アメリカは33%です。ぼくはですね、もし、これが日本でもですね、インターネットの普及率が3割以上展開しているような状況であるならば、今般の盗聴法・台帳法を巡る運動は、まったく違ったということを断言していいというふうに思います。
 あともう一つ、このインターネットが普及した国々での政治投票行動の動機づけは、多くの場合インターネットによって与えられている。インターネット上では数多くのNPO団体が存在して、自分たちが投票した政治家が議会内でどのような議席行動を行ったのか、どのような質問行動を行ったのか、あるいはどのような質問主意書を構想したのかということを全てネット上でフィードバックをして、それをもとに、つまりそのようなフィードバックが投票行動に大きな影響を与えているわけです。えー、日本ではですね、面倒をみてもらったとか、恩義があるとか、名前があるとかですね、そういうまったく下らない動機づけで、つまり共同体的な動機づけでですね、投票行動が行われるわけですが、昔は、ただ、日本以外の先進国だって多かれ少なかれそういうものがあったわけです。ところが、都市化によってですね、日本以外の先進国の多くが共同体的ではない動機づけに移行したんですけれども、日本の場合、なかなかそういうふうにはいかない。であればあるほど、このインターネットのようなですね、共同体に依存しないコミュニケーションネットワーク、そこでコミュニケーションチャンスや様々な動機づけが得られるようになるということは、日本の政治的な動機……ま、もっと具体的に言えば政治的な動機形成のシステムに、大きな変化があるというふうに予想をするわけです。

司会 他に質問のある方? あ、じゃあ、そちらの……まず、そちらの方お願いします。

質問者2 それじゃえっと、さっき鶴見済先生が最後まで言わんとしていたことをお聞きしたいんですけど、いかんでしょうか?

ワタル どうもありがとうございます。

司会 手短にお願いします。

ワタル えーっと。そう、あのー、なんでオレとか宮台さんが浮上してしまうのかってのは、単純にいってそれ、子どもの代弁者だからでしょ、っていうことなんですよ。それだけ子どもっていうのは、未成年っつーのは、声を封じられてる、ってことをみなさんよくわかっておいて欲しい。そして、もし、子どもの声を封じなければ、なんとなくこの社会が問題にしているあらかたのことっていうのは、概ね解消できるような、オレは感じがしています。それでですね、うーん。一ついいエピソードがあって、えーっと、どうして、えー、ある小学生が「どうして教室で子どもばかりが怒られるんですか?」っていうふうに先生に聞いたら、先生はグッと詰まって答えられなかった。これに答えること、どうして先生が、なんで子どもは先生を怒ったり叱ったりできないのか? これ山崎浩一さんの『早熟のカリキュラム』っていう本に載ってるんですけども、山崎さんもこれ答えられない。山崎浩一さんも答えられないと言っている。これに答えること。

シンジ 答えは簡単です。それは。だから、「怒る/怒られる」ってのは、それ役割だから一般的に存在するわけですけども、釣り合いをとるためにね、日本以外の先進国では、例えば担任制の学校に行くかどうかを選ぶことができるし、担任、あるいはユニットのですね、チューターっていうのを子どもたちが選べるわけです。どの担任が、ユニットやクラスに入るかって子どもたちが選ぶことができるのは常識ですから、あのー、そういう意味で言うとですね、例えば怒る役割を与えられている大人を選ぶ、そういうイメージを子どもに与えることができれば、力を子どもに与えることができれば、ま、当然のことながら、子どもを怒る大人を子どもが動機づける。ま、怒るっていうのはやっぱり違いますが、そういうことができる……

ワタル 怒る、怒る……やっぱり変じゃないですか。生徒が、小学校の児童が教師を怒る。

シンジ だって、怒るっていうのは一つの……

ワタル 叱り。

シンジ 問題を……

ワタル だから、そこんところで、近代的社会っていうのは曖昧にして避けてきた問題の焦点っつーのがそこにある。叱る……本来、その両者、大人・子どもっていうのは、平等で対等っていうことになってるのかなってないのかってこと。なってないですね。なってない。

シンジ だって、なってないから義務教育があるわけで。

ワタル 一応ね、最高法規において、

シンジ だから、なってない。

ワタル 最高法規においてなってないという結論ですか? 宮台さん。

シンジ そうですねー。だから、理念としてはなってるけども……

ワタル 子どもには、平等の中に子どもは入ってない?

シンジ 入ってない。

ワタル 人権を、ということはですよ、ここで保障されている人権を、基本的人権を、自由も、平等も、身の安全も、全部子どもたち……

シンジ 先ほど申しあげたように、

ワタル 言論の自由も、

シンジ 女性やブラックの方々が勝ち取っていったように、その権利概念を……

ワタル そう!

シンジ 自明性を確証せよっていうときに、闘いとっていくしかないんですよ。

ワタル そうなんです! それを言いたかった! だから、あのー、オレはマルコムXになりましょう。みなさん。子ども、未成年のためにね。あのー、キング牧師にはなりたくねぇからね(会場笑)。あのー、そういう状況にいるんですよ。みんな、黒人よりヒドイよ。黒人なんかさー、一応喋れるんだもん。代表者が出て、オレたちさー、オレたち人権……「オレたちに人権よこせ!」とか、「オレたち身の安全を保証しろ!」とか、「オレたちに福祉よこせ!」とか言えるのに、みんな声まで塞がれてるんだから。えー、黒人よりヒデエと思って。

シンジ でもねー、だからそれはねー、闘い取るしかないんですよ。つまりね、みなさん方若い世代は

ワタル 暴れろ!

シンジ 小さい頃からね、西洋的公民としてのね、そのつまり、政治に抗議する力を了承するようになったのに、どうしてやらせないのかっていうと、あるいは選挙権をなぜ下げないのかっていうと、それは要するに若い連中であればあるほど日本の場合共同体に所属してませんから。年長になればなるほど共同体に所属しますから、年齢を下げて、みなさんが意思表明を自由に行ったりするようになって、それが政治に影響力を行使したりするようになると日本のですね、パワーストラクチャーが変わっちゃうんですよ。で、ですからこれを抑止しようとする。つまり、年齢の低いみなさん方を政治的民度の低い、政治的なバカな状態においておこうとするんですね。そういう利害が明らかに存在するってことです。

ワタル だから、もう少し、もっと言えば、最後に、あのー、未成年に言いたいんですが、あなたたちはですね、あのー、さんざんな仕打ちを受けていると。もう、いいように使われて、権利も奪われて、口を封じられて、子どものためだなんて言われて、自分らのもの取り上げられてね。自分らがやりたいこともやらされない。文句も言えないでしょ。で、文句を言おうとする経路すらない。もうこうなったら、あのー、自分の生存の権利を堅持するためには、あらゆる手段を使いなさい、とオレは言いたいですね。

司会 他に質問のある方? じゃ、そっち。

ワタル 暴力を通じても可! 以上です。

質問者3 えーっと、ぜんぜん今日のテーマに関係ない話題なんですけど、

シンジ あんまり関係ないと困るんです。

質問者3 ホントに関係ないんですけど、いいですか?

ワタル やたらクスリと関係あったりして。

質問者3 いや、ないんですよ。

ワタル またまた〜(会場笑)

質問者3 ミレニアムはどこに行く予定なんですか? 教えて下さい。

ワタル え?

質問者3 教えて下さい。

シンジ 千年紀、ミレニアムはどこにいますかって。

ワタル え? オレ?

シンジ 世紀の変わり目にはどこにいますかって。

質問者3 ふたり……お願いします。

ワタル えーっと、たぶん日本だと思います。

質問者3 ありがとうございます。

シンジ どこも渡らないでしょうね。ぼくはどこも渡らないと思います。ただミレニアムっていう時にですね、ま、2000年に主としてやられるんですけども、一番盛り上がるのは鶴見さん、どっちなんですか? やっぱり2000年の12月31日ですか?

ワタル や、この2ヵ月じゃないっすかね。

シンジ やっぱりこの2ヵ月。

ワタル この2ヵ月がなーんも盛り上がらなかったら、あとはダラダラ行くんでしょうね。だから、もう、原発とか、はっきりいってみなさん安全だと思ってるかもしんないけど、全然安全じゃない。

シンジ 今回言いたかったことは、21世紀を迎える、これ重要なんですね。ま、世界的通常の伝統ではそうなりますよね。はい。


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