すばらしいワタル紀行 1999年11月10日(水)

『創』プレゼンツ 有害指定と自主規制 「完全自殺マニュアル」と「放送禁止歌」


7.波及を食い止めるには?

ワタル これ以上のねえ、じゃあ、あの今9県ぐらいオレ確認できたんですが、広がりを食い止めることが可能なのかと。食い止める方法があるとしたら、じゃ、どうすりゃいいのか? ってのは、オレはもうお聞きしたいですねえ。

にしかた まあ、あのさっき言ったみたいな請願とか陳情とかを都議会に出す。あるいはダイヤル青少年にバンバン電話をかける。あの、反対だって電話をかけるっていう方法ももちろんありますけれども。

篠田 しかしその電話するってのちょっとわざとらしいような気もするな。

にしかた うーん。

ワタル ただ、ただインターネットなんかだったら都庁宛のね、あれを簡単にパソコンでやって送れますよね。

にしかた ええ。

篠田 でもさあ、だけどその「鶴見さんの本を絶版にするな!」っていう声って、どのくらいあるのかなあ? あの、マンガの場合はね、単純なんですよ。自分が読みたいのにそれを禁止されんのは「けしからん」っていう主張だったから。

にしかた うん。

篠田 すごく単純だったんです。

ワタル でも、

篠田 今回のさあ、『完全自殺マニュアル』絶版にすんのに反対だっての論拠は何なの?

ワタル 絶版にならないんじゃないかっていう風な……

篠田 ま、いいや、出版禁止ね。

ワタル うーん。何となく楽観的……

篠田 ちょっとさあ、この会場に来てる人で、あのー、その『完全自殺マニュアル』の出版禁止に反対だっていう人ってどのくらい? 半分ぐらい? 賛成の人っているかな? ああいう本はなくした方がいいっていう人います? 手挙げにくいぞ。だけどそりゃ(笑)。

ワタル いや、全然そういう人を攻撃したりとかする気はないですよ。もちろん。民主主義ってそういうことだもん。

会場から えーっと、括弧つきで賛成。

篠田 括弧って何?

会場から 心情的にはそうだけど、公権力ではこういうことやるのは反対。

ワタル ああ、それは健全な発想。

篠田 や、でもさあ、今回うちの雑誌で鶴見さんの先月やってたでしょ? で、だいたい『創』の読者って、あのーだいたい規制は反対とかそういう人なんだけども、投書の中にね、「だけどあれ問題じゃないか」ってのも来たんですよ。

ワタル ああ、手紙にもあります。

篠田 だからあれはねえ、けっこうありますよ。あのー、やっぱり今の子どもが自殺するのはマズイっていうことから、

ワタル ほんとに多数派はどっちのなかって決めて、決めればいいだけのことですよね。

篠田 うーーーん。

にしかた ま、多数だからってことじゃないと思いますね。

ワタル あ、そっか、そっか!

篠田 ま、多数決とっちゃうと難しいところですね。難しいとこだけども、

ワタル そうだ、そうだ。多数決で決められちゃ困るよね。

篠田 うーん。だから、あの、たぶんほら、

ワタル 少数意見を反映することが重要だから。

篠田 あのー、そう。未成年者の自殺の問題ってだけでけっこう意見分かれると思うんですよ。たぶん。突きつめていくと。あの、規制の問題とは別にしてね。

ワタル うん。でも、にしかたさんどういう運動を具体的にされたんですか?

にしかた あ、「有害コミック」の?

ワタル そうっす。

にしかた ま、「有害コミック」の時と児童ポルノの時とあげますけど、まあ、まずなんていうかな? あのー「この件は一体どうなっているんだ」っていうのがよくわからないで、混乱しちゃってる状態だったわけですよね。

ワタル ええ。

にしかた だから実際はこうなってるんだってことを。まあ、もちろん『創』なんかでもほとんどやってて、僕の書いた記事なんて『創』のだったりするんですが。そういう、ま、実際こうなってるんだってことをまず整理する。

ワタル うんうんうん。

にしかた で、その上でたとえば働きかけるならば、まあ、うーん、あのー……議会に働きかけ始めたのは青少年条例でも淫行処罰の、

ワタル はいはいはいはい。

にしかた 前回のコギャルのあれです。

ワタル ええ、ええ。

にしかた 3年ぐらい前ですか。そん時たまたま、

ワタル 淫行条例。

にしかた ええ。そん時たまたまなんかあのー、都議会議員とたまたま知り合いになってですね、それでまあ始めたというのが。

ワタル へー。議会に働きかけるの有効でした?

にしかた あのー、少なくとも反対……なんつーかな? 行政の方としては、特に東京都の場合は、あの、ガンガン規制一方っていうんじゃなくて、どっちかっていうと落とし所を求めてるようなところもありまして。

ワタル はいはいはい。

にしかた で、まあ、あのー、何も言わなければガンガンいってしまうところを、落とし所程度に殺すことはできたかなあと。

ワタル あー、なるほどね。うまく……

篠田 や、でも、あのね、行政なり議会ってねえ、賛成にしても反対にしても意外と声が出てないんで、あのーそれなりに効くこともあるんですよ。

にしかた ええ。

篠田 やってみるとね。

にしかた ええ。あります。

ワタル これ、でも一体誰が決めてるんでしょうかねえ? あのー、たとえば神奈川県の

にしかた ええ。

ワタル 「有害図書」指定。東京だったら、まだ公立でもってますけど、これだって、

にしかた 神奈川県の場合どうでしょうね? 東京都の場合は、どんな「有害」指定であっても、とりあえず公にある青少年健全育成審議会の、ま、審議会ににかけなきゃいけないわけですけども、神奈川県の場合は緊急指定っていう条項がありますんで。行政の専権でできるはずです。

ワタル や、でも今回は、えーっと、児童ナントカ審議会かな?

にしかた たぶんそれが神奈川県の健全育成審議会だと思いますけども、

ワタル うん、うん。そうですね。それの人っていうのは、その人たちとダブらないんだろうかと。これって結局都民じゃないですから。

にしかた ああ、はいはい。

ワタル で、清水さんなんていうのは、神奈川県民ですよね。

にしかた はいはいはい。

ワタル 当然そういう審議会に清水さんがいるんじゃないかと、オレは思うんですけど。

にしかた 僕は名簿まであれですけども、たぶんいないんじゃないかと思いますね※10。

ワタル そうっすか。

にしかた ええ。あの東京都の「有害」指定だけ、ま、『創』なんかでいつも詳しく載ってますけど、ちょっと特殊ですんで。つまりそこで捨てちゃうと取次に移ってしまいますから。

篠田 でもさあ、たぶんそこに、審議会に出てくる、まあ年配の人ね。あのー、だいたい60過ぎたりする人なんだけども、その人たちにとって子どもの自殺の方法書いたものってのは、割と有害だっていうのは通っちゃってますよ。たぶん。あのー、発想としては。こういう本をなくして子どもの自殺少なくしようっていう。

にしかた うん。

篠田 だからたぶんね、規制が条文に照らしてどうかってとこで審議になってんだけども、あの本が悪いっていうとこではね、たぶん一致……たぶんね、一致しちゃってると思う。

ワタル うーん。そうかもね。

篠田 だからたぶんね、そこんとこね、崩していくっていうのは、けっこう大変な作業だとは思いますよ。

ワタル うーん。

にしかた それはそうですね。

篠田 だから、

ワタル でもこれ中心メンバーは、

篠田 乱暴な規制はいけない、っていう反対の論拠ってそういうことと思うんだけども、じゃあ、あのー、自殺についてどう思うのかって切り返されると、少なくともその60、70のじいさんたちは、もうそんな本ない方がいいんじゃないかっていうふうに、たぶん思ってると思いますよね。

にしかた ま、結局そこのところを、あのー、自分自身のそれ道徳の判断ですよね。それと法的な市民としての判断っていうか、そこを分離するってのは自由主義の根本の根本なんですけど。

篠田 ま、道徳とも……ま、確かにほら今、あの去年っての自殺件数ドーンと伸びたんですよね。ほとんど高齢者なんだけども。そのリストラにあった。少年の自殺もちょっと増えてて。あのー、それなりの深刻な問題であるんですよ。これね。

ワタル これ誰かが暗躍してるんじゃないかと思うんですけど。

篠田 暗躍って?

ワタル や、そういった、

篠田 その暴力系?

ワタル 決めてる、実際に決めてる人間は我々には見えない人間なんじゃないか。あるいは、我々がそうだと認識してない人間が実質的に2つの顔を持っていて、表では「言論の自由を守る」といい、片方では両方の意見を代表する形でやってるんじゃないかなーと。

にしかた ここらへんの人が?

ワタル そうしないとね、うん。そうそう。清水さんとか。

篠田 (笑)

にしかた (笑)

ワタル えーっと、だって、この中心人物って東京都と関係ない人たちですよね?

にしかた うん、まあ。

ワタル それで、関東圏でたとえば審議会集める場合、全部の県が違う人間を集める方がかえって不自然じゃないですか?

にしかた や、だからたぶん神奈川県とか埼玉県とかの場合、まあ、こういったらあれですけど、こういう、あのー……これは全国的な団体はそうですよね。出倫協とか。

ワタル ええ。

にしかた そうでない人を、集めてるんじゃないんでしょうかね。

ワタル うんうん。だけどやっぱり適切な、ほんとに適切な審議、青少年審議を行うんであれ……行おうとするのであれば、当然ダブってきちゃって当然。

にしかた 結果的にそこはどうなるかっていうと、あの東京都以外だと少なくとも適切な審議は行われていないと。

ワタル うーん。

にしかた 東京都はわかりませんけど。

ワタル ええ。

にしかた もうそれ以外の、他の道府県、

ワタル うーん。

にしかた ま、長野県だけ条例ないんですけど、45道府県を覆ってるんじゃないかと僕は思ってます。

ワタル でも、その審議会を作るにあたって、じゃ、どういう人を選んだらいいのかっつーは、これ出版関係者です。みんなね。割と出版関係……

篠田 いやいや、業界、日本の代表なんですよ。

ワタル そうそうそう。

篠田 新聞の代表とか、出版の代表とかってあるんです。

ワタル だってこういうの行政側から、行政側の人が考える範囲では、わからないのに。誰かに相談しなくちゃいけなくって、たぶん

にしかた たぶん、あのー、

ワタル 誰かがアドバイスしなくちゃいけないんじゃないかと。そういう人間っていうのは、実際ここに載ってない人間じゃないか? そういう人間は一体誰なのか?

にしかた あのー、出版関係者はわかりませんけど、これ僕の予想ですけれども、たぶん出版関係者以外は警察の外郭団体。

ワタル ええ、ええ、ええ。ここらへんなんかはね。あのー、ケーサツ、ケーサツの

篠田 いや、たぶんね、それは業界団体に要請があるんですよ。誰か出してくれって。で、朝毎読の代表なんかは、たぶん会社に来て、会社で選んで、まあ割と安易……安直に決めてると思いますよ。それ。あの、だいたいどんな政府の諮問機関ってそういうふうになってるから。

にしかた うん。そうですね。

篠田 や、でもあのー、あれだから、ちょっとせっかく会場に来た人でなんか発言ある人ちょっと……

ワタル いやいや。

篠田 や、そのー今後どうするかっていう。

ワタル オレはですね、ロビー活動っていうのは、

にしかた はい。

ワタル 最終的にそういう人たちに裏で働きかけたという……えーっと、働きかける方法しかないんじゃないかと思ったんですけどねー。

篠田 や、別に裏って言われても(笑)。

にしかた まあ確かに裏でもないんですけど、まあ、

ワタル まあ、表と裏と、

篠田 裏って言われるほど深いもんでもないんだけど(笑)

ワタル 表と裏でも有効な発言。

にしかた まあ少なくとも、ここに一応都議会の代表って4人いますけれども、まあ、あのー、都議会の各党がどう思ってるのかぐらいは、ちょっと調べた方がいいかもしれないですね。たぶん慎重な党もあると思うんですよ。ま、考えてない党と慎重な党の2つだと思います。

篠田 考えてない方が多いぞ。きっと。

にしかた そうでしょうね。

ワタル それにこの中において議員の発言権って、そんなには強くないんじゃないかと思うんですけど。

にしかた うーん、ただ、あのー、行政がああいうふうに知事を公選にしちゃってる以上、

ワタル うん。

にしかた で、まあ行政のトップは石原慎太郎としかならないわけですから、

ワタル 知事の名のもとにリーダーシップを奪われるわけですからねえ。

にしかた ええ。だからそれをチェックする機関ってのは、実質的には議会しかないのが実情ですよね。

ワタル うーん。

にしかた 今のシステム上。行政システム上。

ワタル うーん。

にしかた もしくは、あの、これ都議会ですけれども、まあ、国会で誰かに質問させちゃうとかいう手も、たとえばあるかもしれないですね。

ワタル うーん。正攻法ですよねー

にしかた ま、それは正攻法です。あのー、うーん。位置としては正攻法になっちゃう。

ワタル でもある程度、ま、それでも成功すると。

にしかた ええ。

ワタル 正攻法でも成功する。

にしかた まあ、ある程度歯止めにくらいはなります。落選……こっちの方にいて落選にはならないかもしれない。

ワタル うん。

にしかた もちろんそれはもうほんとに、ものすごいガーッて全部の教育の問題だとかにならないと。

篠田 いや、ちょっ、ちょっと会場から意見聞こ。はい。ちょっと、あの意見ある人ちょっと手を挙げて。

ワタル けど清水さんを丸め込んじゃえば全て収まるような気が。

篠田 いやいや、清水さん一人の力じゃダメ。

ワタル 清水さんと篠田、篠田さんは昔からの知り合いなんですよね。

篠田 (笑)なに?

ワタル 清水さんと、清水さんと篠田さんはものすごい仲いいんですよねえ?

篠田 うーん。仲がいいっていうか親しいですね。

ワタル 親しいですよねえ。

篠田 あー、うん。

ワタル じゃあ、篠田さんはポジションってのはどういう?

篠田 いやだからね、清水さんは審議会には、たぶん反対に近いんで入ってますよ。きっと。

にしかた あのー、それは、あのー

篠田 でも、これはね、大多数がね、まず自殺いけないってとこから出発してんですよ。この論議ってのは。だからそうなると、えーっと、自殺を手助けするような本はけしからんっていうことで割と一致しちゃってんですよ。

にしかた 今のあれで言うとそうですね、まえ都議会議員をやってた人に聞いたことあるんですけれども、この青少年健全育成審議会入ってた人ですね。あのー、まあ、ちょっと誰とは言いませんけれども、そん時の出版業界団体の関係者はいつもその「有害図書」指定に、常に反対だったって言ってましたね。

ワタル それは自分らでも、その境界が引かれちゃうことになりますからね。

にしかた うん、まあ。

篠田 ま、まあ、一応業界団体だから規制に対しては、一応反対なんですよね。だから、割とロクでもないのが新聞の代表だよね。あんまちゃんと考えてないで、あのー、規制派に組しちゃうっていうのは。

ワタル オレは何の確証もないのに言うのは控えたいですけれども、なんとなくきな臭いんだなーというのは感じられませんか?

にしかた いや、きな臭い?

ワタル 誰かが、誰かが2つの顔を持って暗躍しているような気がしません?

にしかた もしやってるとしたら、今ありましたけど警察か新聞ってことになるんじゃないんでしょうかね? 新聞はやっぱり政治改革について……

ワタル や、でも2つの顔じゃないんじゃないすか? やっぱり、

会場から 新聞はそこらへん……

ワタル あ、そうそう。

にしかた うーん。

ワタル 新聞の2つの顔は、まあだいたい読めますよね。

にしかた うん。

ワタル ま、いいや。

篠田 いや、だから2つってさ、あの自殺はいけないって前提で話、出発してんですよ。きっと。審議会は。だから、あのたぶん多数……なんか清水さんも規制には反対って言ってるけども、そこのについては同調してる可能性はあるよ。

にしかた それはそうかもしれないですよね。

篠田 うん、うん。

ワタル この審議会の議事録で司会進行役と見られる人って、名前が……これ誰なんです? 司会役らしき人物。これ会長ではなさそうですね。

にしかた 会長じゃないですよ。

ワタル うーん。男の人みたいなんですけど。

にしかた じゃあ、会長代理ですよね。

ワタル あ、会長代理か。ふーん。

にしかた それはわからないですよね。あの、ま、こんなかに誰か味方を入れないとわからないです。

●注
※10 神奈川県が発表した資料によると、『完全自殺マニュアル』の「有害」指定を決めた1999年10月18日の神奈川県児童福祉審議会文化財部会には、上田滋(少年補導員連絡協議会会長)、内山絢子(科学警察研究所防犯少年部補導研究室長)、梅沢健治(委員長/神奈川県議会議員)、影山秀人(弁護士)、日浦美智江(知的障害者更生施設「朋」施設長)、平松雄造(神奈川新聞社写真部長兼論説委員)、渡部近司(部会長/県青少年指導員連絡協議会会長)の7人が委員として出席していた。


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