すばらしいワタル紀行 1999年11月10日(水)

『創』プレゼンツ 有害指定と自主規制 「完全自殺マニュアル」と「放送禁止歌」


8.質問コーナー(3)

篠田 はい。なんか、会場からなんかない? えー、その規制の……あ、はい、はい。規制の話だけど自殺の話でもいいよ。

質問者9 や、ここのとこでもし自殺の話を具体的に持ちだしすると、たぶん議論の中身が大幅に変わってしまうんじゃないかなと。あの、規制の問題と自殺の話と、

篠田 うん。

質問者9 これをなんかちょっとゴッチャにして語ることは、今できないんじゃないかなということは考えられるんですけど。

篠田 それはそうだけど、割と隣接してるテーマではありますよね。

質問者9 いや、あのー具体的にだからここで自殺の話にして持っていくのか、それとも出版規制の話で、

ワタル 非常にいい質問ですね。

質問者9 議論を進めている事柄をはっきりさせる必要はあります。

篠田 うん。や、基本は規制ですよ。基本は。

ワタル あの、司会は篠田さんなんで、篠田さんは

篠田 基本は規制の話ですよ。

ワタル 会場に、会場に意見を求められたということは、一応第2部終了ってことでいいですか?

篠田 や、ちょっと待って。第2部ってのは第3部があるって意味?

ワタル いや、ちがうちがうちがう。あのー、一応オレがなんか全体的な話をした後で、今後の話をしようかなと思ったんですが、それはし終わったってことでいいんですか?

篠田 いやいやいや、そうじゃな……別にいい、いいけども、ちょっとなんか、あの意見かなんかあります?

ワタル いや、いいのいいのいいの。彼が聞きたいことも、そんな感じのことじゃないかな。

篠田 っていうことだね。

質問者9 ここで自殺を是か非かという話を持ち出しするんだったら、そこで自殺は是か非かというので、あのー、会場内議論をきちんとしておいた方が、

ワタル でも質問コーナーですから、それも、それも可だし、篠田さんが決めてもらう。

篠田 いや、でも自殺の是か非かってのは、あんまりこの……生産性な議論じゃないような気がするな。

質問者9 そのテーマは、

ワタル いや、でも質問をする人だから、

篠田 いや、だから、だからいいよ。

ワタル 質問、質問コーナーに入んのか入んないのかどっち? どっちですか?

篠田 いやいやいや、だからちょっと質問を聞きましょうってことで、

質問者9 例えばあの自殺のテーマについて言えば、ロフトプラスワンではけっこう以前から

篠田 うん。

質問者9 集中的にやってきたってっていうのも確かあるんで、

篠田 はい、ええ。

質問者9 そういったもんでもう1回いいんじゃないですか?

篠田 うん? なに?

質問者9 や、だからそういった話にもっていくのは、そういった方向で、そのー、議論を進めていっても面白いんじゃないかなとは思ったんですよ。ここに座っていて。

篠田 ええ。

ワタル オレはそういう両者をつなげる答えもできると思うし。

篠田 うん、だからそういう意見があればいいですよ。それは。

質問者9 じゃあ、あの会場にここで自殺についての意見、まあ聞いてみて、あのー他の……私の個人的な意見をベラベラ喋るのもなんですんで。他の方の意見も一応聞いてみたいんで。

篠田 や、でも君の意見も言っていいよ(笑)。

ワタル いやいやいや、とりあえずじゃあ、うーんとー……まあ、この、これに即した意見じゃなく意見を求めていいんですか? いいですよね。

篠田 はい。いいですよ。はい。

ワタル じゃ、質問コーナーってことで。

篠田 はい。ちょっ、ちょっと、なんか手、手挙げたの? いま。

質問者6 あ、いや、はい。えーっとー

篠田 手短にね。

質問者6 あ、はい。いや、あのー、どっちの

ワタル なるべくたくさんの人に意見を、

質問者6 じゃあ、オレがいいます。

ワタル 2回目の人は……

篠田 ま、まあいいや、ちょっと手短に。

質問者6 えっとさー、あのー、その、未成年者の代表になるって鶴見さんが言われて、でさー、ずっと思うんですけど、あのー、鶴見さんが未成年者の代表になるってのはすごい不幸で異常なんじゃないかって。もちろん、不幸で異常なことじゃないかって。あのー『自殺マニュアル』読み返しても、なんか今でもやっぱ引っかかるんですよ。なんかイヤな感じがどうしてもして……あの、やっぱり「有害」なんですよ。未成……特に未成年者には。

ワタル 少なくとも育成しないよね(会場爆笑)。

篠田 なんかいきなり、いきなり結論出てるような気が(笑)。

ワタル 育成しないよね(笑)

篠田 ま、つまり「有害」だと。

質問者6 や、あのー

ワタル 功罪だって言われるのもやだね。

質問者6 今さんの『家出マニュアル』っていうのが出て、あのー、

篠田 ああ、今さんね。

質問者6 こういうのがあるんだから、もう『自殺マニュアル』は、基本的にいらないんじゃないかって。いや、絶対いるはずですよね。あのー、家出じゃ救われない、そういう自殺の処方箋を持たないとダメだいうガキが。それはものすごくわかる。でも、あのー……うーん。なんだろなー、だからやっぱり本屋にあった方がいいなとは思いますけど。

篠田 うーん。なるほどね。いやいやでも、あなたのその子どもじゃない方がいいって、まあ、大人としてっていうことなわけね。いや、つまりあれを求めてる人とは、要するに自殺したいなーと思ってる人には必要で、それ以外の人には必要ないっていう、まあ割とわかりやすいよね。

ワタル だけどさあ、自分がそれに反対してるからといってさあ、自分がイヤだからといってそれをなくせなんつーことは、大それた意見だよ。それは違憲だからね。じゃあ、あんた憲法……個人の発言の自由とかそういうの認めない覚悟でやってもらおうじゃないか。

質問者6 や、だから、そういうのは認めるっていってるでしょ。

篠田 はい、規制、規制は反対だと。

質問者6 うん。個人的……

ワタル 軽々しく言っちゃダメだっつーの。

篠田 「有害」だけども規制は反対と。

ワタル それがこういう結果になってんだから。

篠田 (笑)

ワタル そのぐらいわかんないんだったら、発言する権利……権利はあるけど、発言するべきじゃない。

篠田 えーっと、他にいますか?

質問者10 あ、すいません。あのー、この間『フライデー』かなんかに載ってたんですけど、『青木ヶ原』っていう写真集が出ましたよね?

篠田 ええ、さっき見せたやつだよね。

質問者10 ええ。それのに、あのー『完全自殺マニュアル』の本が載ってますよね? それとかどう思います?

ワタル なんか君津BBSとかの長崎功子さん?※11 そういう人が割と山梨県とかでも活発な活動されていて。昔『自殺マニュアル』発刊停止申立書とか書いた人。今でもやってんすよ。全国的に。あの人がけっこうガンなのかなーって。いや、あのー、あれだって、あのー、黒人差別……そう! あれが行くからなんですよね。実はね。だから一人の力でもあんだけのことできちゃうんです。

にしかた どうなんでしょう? そういうあのあたりの力が……関西あたりの人権運動の流れが背景にあって、その上でやってんのかなーって気もするんですけど。

ワタル で、あの「有害コミック」騒動の発端なんて宗教団体ですね。

にしかた うん。まあ。

ワタル 和歌山県のコミック有害……子どもを守る会。

にしかた ええ。あのー、それは念法眞教って団体が、

ワタル そういう宗教団体の会報で始まったこと。

にしかた ま、一応きっかけは。ただ、それを利用した勢力が後ろにいたってことです。

ワタル そうですよね。

にしかた なんかそう利用する勢力がいないと、なんか、あのー

ワタル それと必要以上にその発起人みたいな人が、単に一人の、なんか変な考えをもった人だと、なんかおびえてしまう。

にしかた そうですね。

ワタル うーん。なんか面倒なんですよね。面倒だから避け……避けてですか。

にしかた ダメな理由も……

ワタル そうそうそう。そういうふうに大きい組織にありがちな、

にしかた ええ。

ワタル それが、なんか物事をダラダラと変な方向に進めてるっていうのが、一般的に言えるかなと。

にしかた それはクレーマーの件ですか?

ワタル そうですね……

にしかた 東芝の件とか、むしろまた話が違う……

ワタル そうです、そうです、そうです。いや、そういうのを感じましたねー。

篠田 はい。ちょっと他の質問ありますか? いや、でもあのー、あれよ。「有害じゃないか」っていう意見も議論が活発になっていいじゃない。はい、他にります? はい。

質問者11 あのー友達があの本読んで、えっとー、自殺試したんですよ。そしたら失敗したんですけど(会場笑)。なんか酔い止め薬を50錠だか飲むと死ねるっていうやつでしたっけ? なんか何十錠だか飲む……あれ、死のうと思って試したら死ねなかったんですけど、その辺についてどう思いますか?

ワタル えーーー

質問者11 なんで死ねないんでしょうか?

ワタル うーーーん

質問者11 致死量ってなんですか?

ワタル 致死量文献、致死量文献にのっとって書いたものであるんですけど。うーん。誰も致死量って、やっぱり人体実験ができないんでわかんないことなんで。あれがデーターなんですけどねー。

篠田 や、でもその人が言いたいのちょっと聞いといて、今度改訂する時に(笑)

ワタル や、改訂なんてできないです。

篠田 や、だけどそのままやったら死ねなかったって、

質問者11 書いてあるとおリに死のうと思って試したらしいんですよ。病院には運ばれたんですけど生き残ったんですよねー

ワタル うーん。

篠田 まあ、でもねえ、相性とかいうじゃない? 体調が良かったとかさあ。

ワタル うーん。そういう可能性もあるはずなんですよね。

質問者11 確実に死ねる量じゃないんですか?

ワタル うーん。

篠田 やっぱし人によっては、それはあるよねえ。たぶん。

ワタル どうやればっていうのはいろいろありますんで。全部、全部の致死量文献っていうのは推測でしかなわけですよ。だから成功する人ももちろんたくさん出てますから、

篠田 (笑)

ワタル そういう曖昧な線でしかないことを言ってるんだというような。

質問者11 確実に死ねるわけじゃないんでしょうか?

ワタル うん。確実に死ねるのとかってだったら、

質問者11 たぶん死ねるとか?

ワタル 仕方も書いてあって。例えばクスリのところは確実性は低いっていうふうに確か書いたと思うし。そういうような問題なんで。

篠田 だから、あれなんですよ。この規制の発端になった、今年2件の自殺ってあって。そのうちの1件はあれ読んでクスリをやったら死ねなくて。で、首つったんですよ。だから、たぶんそういう問題だと思うの。あのー、致死量ってそんなんでしょ? たぶん。人によって死なな……あのー、死なない人もいるんじゃない?

ワタル 彼とかもね、実験とかほんとにしてやったりとか。こういう致死量なんて体の大きさとかに非常に関わる問題なんで、それをいきなり決めることなんて虫のいい……

篠田 いやいや、それでその友達ってどうしたんですか? その後。その友達って死んだの?

質問者11 いや、なんか生き残って……なんか……

ワタル だから一応確実な手段っていうのは、えーっと、例えば飛び降りとか首つりですね、というふうにはっきり書いてると思います。

篠田 なるほどね。飛び降りっつーの死なないから、あれだよ。

ワタル いや、だからどこ……何階以上だったら死なない確率が高いかとか。

篠田 なるほどね。

ワタル そういうとこはジャーナリストとして、正確に書いたつもりですね。

篠田 はい、他にいま……いいですか? それで? 他にいますか?

ワタル にしかたさん、いらしてもらえるわけですね?

にしかた いや、ま……

ワタル 彼しか知らないことってのは、ものすごいたくさんあると思いますね。

篠田 思いつかないけどな(笑)

ワタル いやあ、オレの……

質問者12 えーあの、すいません度々で。えっとー、例えばあの今年に入って自殺が……今年でも去年でも自殺が急増したっていうので、割合問題になるのが青少年だけであって。例えば、あのー、一番ほんとに重要である中高年の自殺について、あまり報道機関が触れないっていうのはなんか感じられると思うんですよ。で、青少年が自殺をしてセンセーショナルに……例えば近くにあのー、まあ、自殺本、『完全自殺マニュアル』があったらそれが問題になるっていう感じで。目先がどんどん変わっていってるような気も、あの、します。だから報道機関に対しては、ちょっと今んところ自分自身としては不満があります。で、えーっと、まあこれちょっと個人的な意見なんですけど、例えば『完全自殺マニュアル』が出版する以前に、もう青少年の自殺とかそういったのは、もうしょっちゅうしょっちゅう問題になってただけであって、まあいわゆるスケープゴートになってるんじゃないかなあという気は、あのー発売当時から思っています。まあ、それはもう個人的な見解で。まあ規制する立場の人間にとって、なんかそういう都合がいいようにされちゃったのかなーという、あれ……そんな部分しか持ってないんで、具体的にこれをどうするべきかっていうんでは、ちょっとなんか思いつくとこ少ないんですけど。

ワタル まあ、大きく見れば規制する……今規制している側の方の責任なんですよね。少なくとも。で、自分らの責任がないって言い張りたいがために、こういうことやってると見れますね。まあ、あのー通常2万人前後で推移してたはずの自殺者が3万人に上がったっつーのは、例えばサラ金ブームなんかの時にドーンと上がったりとか、なんらかの理由があるはずで。オレは絶対金融パニックだと思ってるんですけど。倒産パニックとか。でー、実際に精神科で恐慌恐怖症みたいな人たちが、恐慌神経症、倒産神経症みたいな人たちがいっぱい出ちゃったと。で、そしたら実際の自殺者増えますよね。実際現れてるの中高年の自殺者ですから。ほんとは青少年の自殺者なんつーのは、80年代を限りにドンドンドンドン下がってる状態、状態で。人数的にも何万人とかそういうことに……そんなの何百人とかの世界なんだから扱ったってしょうがない。これは問題ではない。

 だけど本当に重要な問題を見失わない……その問題に目をそむけるような、あのー、動きをマスコミがとるのは利権が絡んでるからとしか言いようがないですね。彼らも一生懸命、例えば金融パニックを煽ることによって、えーっとー、雑誌が増える。例えばワイドショーだったら視聴率が上がる。そういうふうな自分らも、彼らもそのー、や、そうなんですよ。だからじゃないんですか。オレはそう思いますね。

にしかた 今の隠してるみたいな話ってのは、あのー「有害図書」なんかの形で、

ワタル うん、うん。

にしかた あのー結局「有害図書」というふうな……とりあえず、子どもたちに、まあ青少年に見せなければ全部解決するってですね、まあなんの根拠もないわけですけれども、それに基づいてるわけですね。まあ、あのー自殺に関する報道もまったく同じだと思いますね。あのー家の母の実家……まあ長野県にあるんですけれども、そこの隣りのおじいさんってのも、またやっぱり自殺してましてですね。あるいはまあ、選挙の時ちょっと、前の選挙、僕では……僕のよく知ってる人の選挙をやった、まあそういう……いるんですよ。その人もなんと5月に、選挙終わった後に自殺するとかですね。まあ、やっぱりみんな中高年なんですけど多いわけなんですよね。やっぱりそっちの方を積極的に取り上げるべきなのに、それをドンドンっていうか、

ワタル でもこの本っつーのは、やっぱりあのー、条例で規制できないっつーことで青少年に、

にしかた まあ結局、だから、

篠田 あのだけど中高年のあれって、リストラとの関わりではそれなりに報道されましたよね。うん。

ワタル そういうことを考えるべきなんですね。

篠田 確かにあれだよね。中央線の人身事故って多いよね。ここ2年ぐらいメチャメチャ増えてる。

ワタル あのオウム事件の時に誰が一番利益を得たかっつったら、それはマスコミですよ。当然。あんだけ雑誌が売れて、みんながテレビ見まくった時期なんて戦後なかったですから。記録的な利益をマスコミは得たわけです。で、実際サリンがなかったのに、「サリンが降る」というふうに全員が脅えたのはなぜかっつったら、マスコミが「降るぞ、降るぞ!」って煽った。広く潜在的に不安を煽るという。見え、見えないものへ取り上げて、広く潜在的に不安を煽るという商法をマスコミがとっている。

●注
※11 『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』43-44頁参照。なお、『東京新聞』1999年9月11日付朝刊「都審議会が条例見直し含む異例の注文 「完全自殺マニュアル」規制に動き」では「自殺方法のヒントを与える本は、たとえ出版、表現の自由があっても許せない」と話している。


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