すばらしいワタル紀行 1999年11月10日(水)

『創』プレゼンツ 有害指定と自主規制 「完全自殺マニュアル」と「放送禁止歌」


2.壊れたシステム

ワタル そうっす。で、別にこの問題に限らず、君が代・日の丸立法化とか、原発事故のこと全然反省してないヤツラとか。えーっとー……うーん、まあいろいろね。盗聴法を……非常事態法みたいなこととか、オウム心理教に関する破防法みたいな法律を急速、あ、緊急につくろうとしている態度とかですね。オウムの人たちの人権は一体どうなるのかとか。そういったこととかを、ひっくるめて考えていかないとダメであろうという考えなんですよ。

 まあ基本的なことからいうと、うーんとー……そう、今言ったみたいに、今自分の欲求を通すためには何を考えたらいいのか? 何をやったらいいのか? ということを必ず、えーそっから離れないで物事を考えたりする、というところから、それは絶対に押さえておくと。そっから離れると必ず考える価値のない考えになっていると。だから、えー、ここでですね、例えば太田出版がウンタラカンタラとか、えー、落合さんがドウシタコウシタとかいうことはね、そこから離れちゃってるわけですよ。

 で、今考えることは「じゃあ結局どうすりゃいいのか?」ということになると思うんですが。そのためにはね、今の社会はどういう状態なのかと。システムとして欠陥……システム全体の欠陥っていうものを総体的に考えていって、そこを突く、というようなことをしないと、えーなかなか難しい。方法論を考える上で難しいんじゃないかという感じがしてですね。うーんとー、まあ例えば原発。原発が……これはちょっと時間的に余裕があったら細かい話をしますが、まったく全然安全じゃないんですよ。えー、オレは1週間、関西の方へ逃げましたから。臨界がどうしたこうしたっていう話になった時点でオレはとりあえず関西へ逃げて。大阪にずっといたんです。で、

篠田 あ、それで連絡とれなかったわけだ。

ワタル なんで大阪にいたかっていうと、オレは関西空港を押さえる、押さえるつもりでいたんですよね。や、うーん……「みなさん死ぬんですよ」って。当たり前だよね。オレも言ってるもんね。「人は死ぬ」っていう。でもねえ、あのー……デタラメなことやってて。それで、その事件の直後にね、えー、わざわざ組閣をあそこでしといて中曽根の息子をね、バリバリ右翼、右翼っつーか体制派ですよ。彼を科学技術庁の長官と文部省のね、長官、ダブル、ダブル出演させて何言わせたかっつったら、原子力発電を推進する計画は変わることはない、と言っていると。これはもう全然民意を反映してない行政が行われてるわけです。で、官僚なんかに、えーとー……えー先進国で今原発を推進してんのは日本だけですから。そもそももう、あのー法律が合わない、国家的な利益に反している、ということでもうドイツなんか全廃の方向。えー、とにかく、まあ、まともな頭があれば原発なんかやってると損するだけだと。放射能廃棄物の処理の仕方すらわかってない状態ですから、やめてんですけど。

 なぜ日本だけがやるかっつーと、例えば官僚が発言する……官僚が、なんかどう言うかっていうと、えー、国が一度決めたことは我々には変えることができないのだと。だから一度決まった、国策と化したものは必ず推進するという。こういう考え方が行政者の間で定着していてしまうと。これが、こういうことが、けっこうこの社会のシステムのどこが間違っているのかっつー本質を突いている発言であると。

 えー「有害図書」指定に関しても、だいたい、おおむねこういう事になってるハズだと。そもそも『完全自殺マニュアル』っつーもんを「有害」指定して、売れなくさせるってことで一体誰が得するのか? これ誰も得しない。少なくとも出版関係者、書店だって売りたいし、読者だって普通の……買いたい。売れているんですから。今だって。買いたい。流通の、取次だって、そのー出版界は今、あのー危機に瀕し……儲かんなくて困ってんだから、儲かる本流通させれば自分だって儲かる。で、出版社、著者にとっては当然不利益。えー、誰も得しないっていうような行政政策を行ってしまっている。原発だってまったく同じで。あのー、実際に国が決めたことだからなんて言ってる人たち自身が、自分らが放射能で死んじゃうわけですから。えー、それは、えーとー……もし今日、宮台、宮台さんが来んのかなとか思ってシステム社会論的なこととかも書いたんですけど……

篠田 なんか今仕事に追われてて……

ワタル あ、そうそう!

篠田 ということで電話がありました。

ワタル ま、じゃあ、えーとーオレが代わりに言うと、ま、日本のこの社会が一つのシステムとして自立できていないと。自己組織性を失った社会システムであると、ある程度は言えると思うんですよ。で、自立できているシステムっていうのは、そういうのやっていることが、構成員、えー国民、国民の幸福を高める方向で働いていること。そのためには、例えばもっと促進させるべき方向……えー、例えば「強く生きろ」って言うことが有効である時点であれば、すごくすごく「強く生きろ」って言うと。「命を無駄にするな」……戦後なんかそうだったはずなんです。命を……特攻とか玉砕とかそういったことで、ああいう世界中からキチガイ、キチガイ国扱いされたわけですから、「命を軽々しく粗末にするな」と言ったことある程度有効だったんですが、そういったものを促進させたり、それプラスのフィードバックといいますが、それ。でもそれが行き過ぎちゃった場合には、「強く生きなくてもいいじゃないか」っていう意見を反映させて戻すと。ある程度戻す。それをマイナスのフィードバックっていうふうに言って。このフィードバック機能が正しく、うまく働いているシステムのことを、一応自立できているシステムと、社会システムであるというふうに言うことができるんですけども。

 えーとー、実際に『完全自殺マニュアル』であるとか、そういった本っていうのは、そのマイナスのフィードバック機能を持ってた本であるにもかかわらず、その本を排除する方向で走っているってことは、やはりこれは一つの国として自立できていないと。最終的にその本を、その本を守るとか、まあオレの、自分の収入源でもあるんでオレの人権を守ろうとした場合に、オレは具体的に必死に考えたんですけど、この国って例えば、弁護士なんかに無下に断られた理由とか「それはちょっと勝ち目がない」とかですね、「やりずらい」とかいうことで。弁護士にあたってもダメ。当然、裁判所に行政訴訟なんか起こしてもダメであると。

 で、結局オレは最終的にもうこうなったら、アムネスティっていう国際人権団体(会場笑)。オレの人権を守るためには国外の団体に頼らなくちゃいけなくなったと。で、オレがそうだった、そうだったんすよ。ほんとオレの人権守ってもらうために。ってことは、この国自体で個人の人権を守る機能は、もう失われてるんですよ。だから国連とかね、要するにPKOとか来ちゃう国っつーのは、あれはもう社会として、一つのシステムとして自立できてない国なんですね。そういう中に日本が実は入ってるんす。いつのまにかね。司法制度が機能しないと。これが最大のアレだと思いますけども。

篠田 しかしあの弁護士が勝ち目ないと。何? 訴訟を起こそうとしたわけ?

ワタル ええ。えーとー、オレはどう考えたって勝ち目があると思ったんですけど、弁護団……

篠田 損害賠償の訴訟とか?

ワタル や、えーっとー、少なくとも食い止めるためにとか。東京で食い止めること。そしてあのー、例えば今まで決定した県には撤回させるとか。えー、そういったことをする、「したいんだが」と言っても断られてしまうと。ガチャ切りなんかされちゃってね。もうやってらんないと。

 それとかあと考えたのは国の外に逃げる。もう、日本にいない。放射能なんか浴びて死にたくないですから。それにもう、勝手に出荷なんかしやがってね。野菜ね(会場笑)。安全だっつーの。安全なわけないでしょ。あんなもん。だってヨモギとか調べたらヨウ素とかセシウムとか出ちゃってんすから。一応危険に決まってんだから、とりあえず、もし国民の幸せとか考えるんだったら出荷しないっていうのが当たり前なのに。安全ってことを強調したいがためにテメエで食ったりとかしてね(会場笑)。オレもうあのー、この国のシステムがある程度やっぱりぶっ壊れてるってことを、ちゃんと機能してないってことをみなさんは絶対自覚して……オレは無法状態とさえ言ってますけど。

 えー、それとか「日の丸・君が代」、「盗聴法」、「児童ポルノ法」題して「援助交際禁止法」こういうのはもう注意立法ですよ。まだ『完全自殺マニュアル』なんて「自殺禁止法」ってさすがにギャグでできないんですけど(会場笑)。やるかもしんないよね(笑)。もしかしたらね(笑)。あのー「自殺したものは極刑に処す」(会場爆笑)。とっくに死んでるっつーの! 死体だっつーの!! グラグラでしょもう(会場爆笑)。腐ってたりして(笑)。無期、無期刑とかね。どんどん腐るだけでしょ(会場爆笑)。それ、や、やるかもしんねーよね(笑)。ほんとね。わかんねーもん。何するか(笑)。「ウギー」、「ウギー」が残虐性を誘発するんだからさ(会場笑)。

篠田 それでいうとほら、条例で自殺ってのは自殺がなされた場合は犯罪じゃないけど未遂に終わったら犯罪だって。

ワタル そうそうそうそうそうそう(笑)! それがさ、ガス自殺の例えば毒ガスが、

篠田 ガスひねってさあ、それがさあ(笑)。

ワタル そうそう(笑)! どう?

篠田 ガスひねったことが。

ワタル その人もう一回小学生から勉強しなおした方がいいんじゃないかな?

篠田 そうそう、まともに、まともに言ってんですよ。その行政が。

ワタル そうそうそう(笑)! あの、マジメに言ってんのね。

篠田 そう。

ワタル そういうようなことが行われてるこの国。えー、完全にマイナスフィードバック機能を失っています。えーそうですね。業界全体。うーん。そうそうそう。だったら、あのー、まあ、あのー具体的に言えば、どうすりゃいいのかって、そこからまあ、そこに入っていくわけですけど。フィードバック機能を回復させるしかないだろう。フィードバック機能を失ってるっていうのが問題点であるのであるから、フィードバック機能を回復、回復させると。で、オレは、オレは本を「有害図書」指定させずにこの……流通させようとやったのは、ま、その試みの一つではあるんですけど。


3.「言やあいいんですよ」へ

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