すばらしいワタル紀行 2000年3月30日(木)

鶴見済の海外アピール STOP JAP!誰か原発を止めてくれ!


☆.種が教えてくれること

ワタル えーっとね、で、メーテルリンク。最近、メーテルリンクの本なんてみんな『青い鳥』※1 しか知らないでしょ。世界的にみんな『青い鳥』、チルチル、ミチルの『青い鳥』の話しか知られてないんだけど。この人は実は、むしろ昆虫社会学とか植物社会学だとかでの先駆者でもあって。で、もちろん記録とかもたくさん作ってるんだけど。この人ノーベル賞、この人もノーベル賞取ってんだよね。だけど、えーっとねー、恐るべき、恐るべき人だと俺は思うよ。

 この人1900……何年だ? ドーキンスさんも恐るべき人のような気がするんですけど。この人の言ってること参考にしてるとしか思えないような部分もあるんだよね。すごいよ。1912年とかだよ、この本。だからまださあ、顕微鏡とかそんなもんがちゃんしてできてない頃に、今言われてる共進化関係とかそういうことについて……あのー、生物の遺伝子なんていうもんもまだわかってないにも関わらず、まったくそれに付け加えることなく、ないくらいの的確さで共進化について語っているでしょう。

 メーテルリンクが言うにはだよ……で、やー、この人どういう、どういう類の人なんだろう? とか思っちゃうんだけど。みなさんは『青い鳥』ぐらいだったらたぶん持ってると思うから、もう一回読み返してみてほしいんですけど。あのー、ものすごい暗喩とか比喩とかそういうあれで、いろんなこと、「幸せ」っていうことについていろいろ語ってると思うんだけど。もう『星の王子さま』※2 なんか読ん、読んでも、『星の王子さま』だって、ま、イイ線いってると思うけど。メーテルリンクの『青い鳥』もう1回読んでみてよ、って言いたいね。もう素晴らしいですよ。あのー、分かりにくい……訳が悪いっていう分かりにくさもあると思うんだけど。『星の王子さま』よりは核心を突いてるよね。

 『星の王子さま』はなんでいい……『星の王子さま』だっていいんだよ。いいんだけど何がいけない、オレが嫌なのかっていうとさ、ほんとのこと探して    『王子さま』いいよ。いいけど、よく見たら全部「大人が悪い」っていうんだよね。あのー、いろんな星とかに行くでしょ。これちょっと脱線するけど。飲み、飲み屋、飲み助なんて……がいる星なんつってさ、ノンベエの人のこともやっぱ「悪い」っていうんだよね。

 すごい、だけどさあ、そいうふうな面もあるとはいえ、砂漠、一番有名なセリフで「砂漠が綺麗なのはどこかに井戸を隠しているからだ」とかって言うんだけどさあ、それって愚かしいんだよね。砂漠が綺麗なのは単に砂漠……綺麗かどうかっていうのは、そんなこと理由があることじゃなくて。それは単に、そこのその砂漠が単に「美しいから美しい」としか言いようがないものであって。井戸、井戸の「ある/なし」に関わらず、それは砂漠は美しいって言ってたんだ。

 だったら、うーんと……砂漠が美しいのは井戸を隠してるからだったら、井戸が美しいのは砂漠を隠してるからか? とかね。スッゲー隠しだろ、それ。どうやって隠してんだよ?(笑) 「美しい井戸だなー」と思ったら、どっかに砂漠が隠れてんのかよ? とか(笑)思っちゃうんすよ。

 えーっとねー、それとかさあ、自分が育てたバラっつーのに恋い焦がれる  そこらへんに咲いてるバラに対しては、「お前らなんかただ咲いてるだけじゃん」とか言うんだよ。これは別に揚げ足とりじゃなくて、その本の著者のほんとに、本質なんだけど。そういうことって、言っちゃむしろいけないことでしょ。そこらへんに咲いてる花も、自分が愛でた花だって同じようにいいはずなのに、それに気づかない。愚か者だよ、それ。

 だからねえ、「大人ってバカだなー」って全部書いてあるんだよね。いろんな、電車で満員、超満員になって行ったり来たりとかして繰り返してるだけで、「どこに行くのかわかんねえんだよ」なんて言ってる人たち、それ見て「バカだなー」っていうふうに言ってんだけど、それなんかはものすごい、日本の状況みたいなものと……を言い当ててるくらいに日本にふさわしいんだけど。それただ「バカだなー」って言う前に、「大人ってバカだなー」って言うんだよね。それってねえ……その、それによって全て、ちょっとね、ダメになっちゃうんですよ。

 大人であるか、大人だろうが子どもだろうが、そんなことやってんのがバカなんであって。子どもだって愚かしいっていうんだから。ものすごく愚かしいですよね。むしろ子どもの方が全然残酷でしょ。で、悪いことすごいするでしょ。少なくともオレの頃はそうだったから「そのことを忘れるな」っていうね。ちょっと脱線になっちゃうんですけど。

 そういうのに比べてね、メーテルリンクの方は1912年という時においてさ、例えば、これ最近オレ引っ越して、宗教の勧誘が来る時に必ず使うセリフで、「そういう天国には、じゃあ木の天国ってありますか?」って聞きゃあいいんだよね。そしたら、だからさあ、宗教って、実はものすごい生物科学的に考えたからさあ、考えたら「木の天国なんてあるわけないよ」って。「じゃあ花の天国は?」って聞いたら、「花の天国なんか、そういうのない」って。「天国っていうのは人だけで満員なのか? それ以外何にもいねえじゃん」って言ったら、「じゃあ、オレは人よりも木や花の方が好きだから、この宗教は頼まれたって入りたくないですね」って言ったら、もうエホバの証人たちは帰るよね(笑)。

 結局その、それ認めちゃったらさあ、犬でもヒマワリでもぜーんぶ天国行っちゃうことになる。鳥なんか祈ってねえんだから何にもね。だからあのねえ、それはねえ、全部ここに書いてあるんですよ。木々のための場所がないような天国は、たとえどんな素晴らしいものであっても死後の世界は私には想像できん、と。これをねえ、キリスト教がまだそんなに、「神は死んだ」なんてことを誰かが言った、なんていうぐらいで大騒ぎしている時代に「よく言うなあ」とか、「言うなあ」、「偉い人だなー」とか思うよね。

 それに、それに限らずですね、ものすごいいいんですよ。まあ、これはでもまあ、本当に、一言では本当に言い難いんで、説明するのはいちいち言ってたらキリがないんだけども。何がいいかっていうとね、オレの当面の、自分の結論はこっから先に行くことが     ようなことなんだけど。

 えーっと、これって……これは『白蟻の生活』※3 っていうね、この人の生活、生活シリーズ3部作ってあるんだけど、『蜜蜂の生活』※4 『白蟻の生活』『蟻の生活』※5って書いて終わるんだよ。この人の生涯は。だけど、まあその3部作はどれも読みたいんだけども、今読めるのはこの『白蟻の生活』だけで。なんで、なんでなんだよなあ、『白蟻の生活』なあ。『蜜蜂の生活』も素晴らしいですよ。でも手に入んないんだけども。

 うーんとねー、「我々の頭脳それ自身が物質にすぎないのに、物質以外のものを理解することがどうして期待できようか。頭脳が   努力する。しかし、結局物質を離れると虚しく動き回るのみである」。これどういうことが言いたいかっていうと、神について考えることなんて意味がない、みたいなことなんですよ。人間の、この頃大脳生理学ないからねえ。どうしてこういうことが分かったのか謎だけども。要するに神とかっつーのは、「神がいない」なんて今だったら簡単に立証できることであって。立証っていうことを。我々の感覚でいう立証ってことをね。

 人間に関して、ヒトっていう生物に関していえば、神に祈ったりとか、拝んだりとか、   したりとか、そういった宗教的な行動をとる生物は人間以外にはいないと。で、人間に関していえば、そういった行動を取らない者はほぼいないという。それならば神というものは、神は    というものは、人間の大脳にしか存在しないものだということを考えたと。これだけで十分なんだよね。

 だったら、愛だってそうだよね。リチャード・ドーキンスのその『利己的な遺伝子』※6 にはっきり書かれてるが、生物学において愛などというのは意味をなさない概念にすぎないと。だからそこまでくると何でも他人事じゃなくなって。神様が、神様なんか信じてないよって言ったって、永久不変の愛とかさあ、男女一対一における愛っていうことに関して、仮説の頃から「考える」なんて発表したままだったんだけど。

 結論は「愛なんてウソ」だって。愛なんかないよ。好きな順番があるだけだ。で、そういう順番入れ代わったり戻ったりとかするんだよ。それ男女に限られた、しかも……そうなんだよね。生物、「生物学においては〜」なんていうのは、これ保留でもなんでもなく「そうだ」ということだよ。普遍的な種全体のね、種全体の繁栄とか愛とか、種全体の繁栄というものは進化的には意味をなさない概念にすぎない、と。

 うーんとねー、もうちょっといい箇所があったと思うんだけどなあ……要するに、欲望のみだと。存在するのは。だから禁欲はバカバカしいんであって。人間以外の生き物は禁欲なんてことはしてないと。だったら、拍動欲、心臓が動く欲求っていうことを考えた場合これはもうねえ、面白いです。心臓の場合、動くっていうのは不随意運動っていう、人間の体の中で脳がどう思おうがどうしようもないようなことだ。これだけだよね、きっとね。不随意運動ね。心臓、心筋を意図的に動かそうとしたって、止めようとしたって、どうにもこうにも勝手に動くんだから。これはもう脳には計り知れないことであると。そしたら、もう禁欲なんていうことのバカバカしさっていうのは、要するに全部脳で考えたことだ。

 でー、その煩悩みたいなこととか、我々がタブーとしているようなことっていうのは、メーテルリンクが言うようなことで言えば、大脳の神経伝達物質ニューロンの繋がりのパターンの一形態にすぎないのね。その繋がりの一形態があらわしたパターンについてさらに考えるということをするのは……で、このメーテルリンクは虚しく動き回って、何の解決も、実のある解決も期待できない。だから、せめて物質について考えろ、と。そっから遊離するなということを言っているのは、極めて示唆に富んだなということを考えてですね。

 もっとそういう具体的に言おうとすると、愛国心について考えることのバカバカしさ。愛国心を持とうか? 持つべきなのか? 持つべきでないのか? とか。いきなりもう身近になってくるでしょ。人類愛を考えるべきなのか? とか。それ全部架空だよ。それらはエネルギーの浪費だよ、っていうね。

 うーんとー、じゃあ、どうすりゃいいのかっていうと、自分は、オレはどうしてるのかっていうと、自分は何を欲求しているのかっつーのを一生懸命考えてるんですよね。常日頃から。

 なんかねえ、生命活動っていうのはもう単純なことで、欲求→行動→満足。この満足した状態における更なる欲求→行動→そして満足っていうことしかなくって。で、禁欲っていうことをそこに挟むのは人類であって。そうすっと、欲求→禁欲ってくると、欲求不満っていうような段階がすぐ来るわけだ。欲求不満がくると、さらにそこに合理化っていう、頭の中でね、合理化。欲求不満は辛いが、それに合理化って捻じ曲げて、頭の中でそれいいとする。

 でも、そんなことしたって、欲求っていうのは、常に欲求を満たされることを望んで存在しているわけだから。それ、欲求→満足……あ、欲求→行動→満足っていう風なことの積み重ねっていうのは、後に残らないけど、残さないけども、欲求不満っていうのはずーっと残るわけだ。それはただ束ねてるようなものなんだよね。禁欲を続けてることっていうのは。

 で、欲求→行動→満足っていうことの、欲求→行動→満足っていうのは、ただこういう横の線じゃなくて、満足だった状態においてさらに生まれた欲求ってことであるから。何かこういうことになってんですよ。たぶんね。それはねえ、それっつーのは、今まで考えた禁欲的にやればこういうふうになるっていうことと、全然逆のことだったんですね。

 だから、みなさんもね、オレもそうだけど、物事を考えてるうちに混乱してくる、苦しくなってきちゃうことが多々あると思うんですよ。だけどそん時はねえ、今日配ったねえ、ヒマワリの種を見てくださいよ。非国民のみんなにね。

 ヒマワリの種みてみ。それ、ヒマワリの種ってさあ、これはさあ、もうさあ、いいとかさあ、これがどうあるべきかとか、そういうことと関係なくヒマワリの種でしょう。で、何らかの、何、何かが詰まってるよねえ、そこにはねえ。その何かが大事なんであって。それに感情的にどうあれ、ヒマワリの種はヒマワリの種として厳としてもう存在していることを見てくれれば、自分の陥っている、おかしな状態っつーのを気づくことができるんじゃないかということでね、非国民のみなさんにはね、まあ、リタリンでもいいんだけど(笑)、ヒマワリの種をね、お分けしたんですよ。

 でね、そういうね、ヒマワリの種がお守りみたいな効果ではなく、それを手放していいと思っちゃった、手放しても大丈夫だと思ったら、どうぞ土に埋めてやってくれと。そしたら、感情的にどうあれ、それは発芽して、たぶん葉っぱをつけて緑色になってくると。それで、花が咲くだろうと。で、そして花が咲いたばかりでなく、枯れて腐るだろうと。臭い匂いを発してね。感情的にどうあれ。

 けれども、そうした……そう、思い切ってそうしてみれば、その後でヒマワリの1個の種からは花が咲けば100個ぐらいの新しい種が手に入ることを知るだろう。そう言ってんのって、その行動は政治的なんだっていうね。それは感情的にどうこういうことではなく、確かなことなんだと。

 それは、そう、そういうことが「どうであるか?」っていうことであって、これ「どうであるべきか?」とか「どうであるべきじゃない」とかいうことの問題と違うことをそこで、そこに、それがそういうこと起きているんだということをですね……みなさんはもう既に種を持った。それをどういうふうに使うのも自由だが、もう既にその1個をもう手にしてしまった以上、これは……こっからはそういうね、放棄しようが何しようが、ヒマワリの種の恩恵を受けてしまっているから。

 で、さらにそれ100個ぐらいに手に入った人は、それを一体どうしようかって考える。で、考えざるをえないでしょ、やっぱ。オレはみんなにあげることにした。こういう形で、説明付きでみんなにあげることにした。

 みなさんは……で、本当はね、どうして買ったのかっていったら、シジュウカラの餌なんだけども(笑)。シジュウカラはヒマワリの種が好きなんだよ。で、腹が減ってるヤツ、もう生きるのに苦しいくらい腹が減ってりゃ食うだろう。食ってもいい。もちろん食う、食うっていうのも。全然食えるんですよ、ヒマワリの種はね。腹が減ってて中アーモンドみたいなの入ってるから。おいしいです。食ってもいいし、まあ、もちろんそんな廃棄してしまってもいい。じゃあ、オレは人にあげたと。みんなにあげるのがいいのではないかと思った。

 そういうね、ことって大事でしょ(笑)。これがね、このね、今回のトークイベントのね、ここポイントのピークなんだ。ピークみたいなとこだからみんな感動してよね。だからね、オレがやってることは、そういうことだと思ってくれと。

 あれ!? ここスゲー感動極まるはずなのに何か失敗しちった!(会場笑)

会場から そんなことない、そんなことない。

ワタル そんなことない?

会場から “STOP JAP”よりいいよ。

ワタル だからこれもねえ、“STOP JAP”を含んでるよねえ? 含んだ話してるつもりなんだ。そうだ、そうそうそうそう。“STOP JAP”について話しているともいえるし、何でこういう活動してるかの補足説明のようにも見えるけれども、そのことが、我々がたとえば、どういうふうになろうか? どういうふうになりたいのかなー? っていうふうにまず考えた時に、例えば幸せになりたい、自由になりたい、っていうのが、まあ一番正解だと思うんですけど。そういうための事柄っていうのは、それヒマワリの種が教えてくれるから大丈夫さ、っていうことだな。

 それは本、小林よしのりの本は教えてくんないけど、それヒマワリの種の中に書いてあるんだ。で、さらにそれを……そっから上級者向けには、この知恵深いヒマワリの種さんに関するこういういい本が、テキストがあるんだよ。これを読んでもらえば、さらに理解が深まるであろうという意図で、このイベントを企画したわけだー

 締まったかね? 締まった? 締まった?

(会場拍手)

 終わり、終わりー、終わりー

会場から 終わり?

ワタル 終わりだよ。唐突でしょ。これ以上に言いたいことないもん。

会場から 外人は?

ワタル や、いいの、いいの(会場笑)。これからとりあえずね、もちろん朝までオレだってさ、帰れないし。「どっか行け」って言われても行けねえからここにいるけど。オレがやろうとしてることはこれで「おしまい」という。一旦区切りたいよね。で、ここまで、これも含めて、で、最後にもうみんな……(「レット・フォーエバー・ビー」/ケミカルブラザーズをかける) 

会場から おー

ワタル これを最後にかけるとこまで決まってた! 最初からな。みんなオレの罠にはまったんだ!(会場笑) ザマ〜ミロ! How does it feel like, to wake up in the sun♪ ケミカルブラザーズです。どうだー! 鶴見済(つるみ・さい)さんはいい人だろー!?

 これはねー、ノエル、ノエルが歌ってんだけど、ノエルの最高傑作でもあるとオレは思うね。ノエルってなんかのほほんとした……How does it feel like, to wake up in the sun♪ 次が、次がHow does it feel like, to shine on everyone♪ みんなに対して光の……結構気持ちいいみたいだな、きっとな。これを……

 ありがとうございましたー

(会場拍手)

一旦おしまい

●注
※1 『青い鳥』(モーリス・メーテルリンク著、新潮文庫)
※2 『星の王子さま』(サン=テグジュペリ作、岩波書店)
※3 『白蟻の生活』(モーリス・メーテルリンク著、工作舎)
※4 『蜜蜂の生活』(モーリス・メーテルリンク著、工作舎)
※5 『蟻の生活』(モーリス・メーテルリンク著、工作舎)
※6 『利己的な遺伝子』(リチャード・ドーキンス著、紀伊国屋書店)


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