著者自身が語る『完全自殺マニュアル』

『完全自殺マニュアル』に関する著者のインタビュー記事やコメントをまとめてあります。
書評などは以下のリンクを参照してください。

『完全自殺マニュアル』の書評
『完全自殺マニュアル』はどう語られたか(ビートたけし、立花隆etc.)


「特集 地下から書店でベストセラー「完全自殺マニュアル」」/『週刊新潮』1993年9月9日号

「これは自殺のすすめではない。ひとことで言えば自殺を念頭において生きるための本なのです。マニュアルの形を取ったのは、商業上の戦略でした。関心を呼ばなかったら自分の考えも広まらないわけですからね」

「タイトルだけでは誤解を与えかねませんが、中身を読んでもらえれば、自殺をすすめている本でないことはわかってもらえるはずです。別にゲテもの本を書いたつもりもありません。この本を読んで、気が楽になったと感じる人はたくさんいると思います。これは暗い本です。でも、ここに書かれている暗い部分は、これまで押し隠されてきた。この本によって暗い人の心にスポットをあてたかったのです」

「読者から”生きる勇気が湧いてきた”とか”イザとなったら死んじゃえばいいと思ったら、気持ちが楽になった”という内容の手紙をもらいました。それこそ我が意を得たりですよ。手紙の半分はニ十代の女性からのものです」

「死への畏敬を崩す現代の聖典」/『GQ Japan』1993年10月号

「「自殺はいけない」とみんな言いますよね。けれど、これってなんの根拠もない。それなのにこの言葉にみんな縛られている。いかに生きるかということで四苦八苦し、いきづまっている。たとえば、いじめられている人。「いつかいじめはなくなるから我慢しろ」などとみんな言う。けれどそんな保証なんてまったくない。一生いじめられる奴だっている。そんなとき゛生きるのをやめる手段だってある"と知っていれば、どれだけ楽なことか。ひとつ選択肢ができるだけでどれだけ救われることか」

「自殺ガイドが波紋 青木ヶ原樹海紹介 手にした遺体、未遂者も」/『山梨日日新聞』1993年10月20日

「自分の生死を自分で決めることがなぜいけないかと問題提起した内容。自殺者の数に大きな変化がなければ本が影響を与えたとは思えないし、自殺する人は本がなければ近隣の地図を見て来ただろう。皆自殺しろと言っているわけではなく、いざとなったら自殺するという選択肢もあることを念頭において生きることを提唱している。本の趣旨を理解してほしい」

「「完全自殺マニュアル」が売れる時代」/『創』1994年1月号

「本に書いてあることはホンネです。僕らの世代って、先が見え過ぎるんです。雑誌を見れば、これからの一生の稼ぎ高まで教えてくれるんです。人生のスケジュールがわかってしまっている。陳腐な表現だから、本のなかでは使っていませんが、こんな退屈なことはない。生きるなんて下らない。子供の頃から、ずっとそう思ってきたし、今もそう思いつづけています」

「人生を楽しみたいし、生きがいを持ちたいと思う。でも、賭けるほどのものがあるのかって気持ちのほうが強い。それで何にもしないで、フテ寝している。そんな連中が多いんです。若い世代になるほどそんな傾向が強いような気がします。寝たきり大学生なんて言葉もあるくらいですからね」

「こんな時代にどうやって生きればいいのか。僕なりに考えた結果、あの本を書いたのです。読者からの手紙を見て、当初の目的は果たしたと満足しています」

「激白最前線Vol.35 新しい価値基準を提案する「完全自殺マニュアル」著者 鶴見済 生きるか死ぬかくらい自分で決めろ!!」/『スコラ』1994年3月10日号

「自分の本を買ってくれた読者が死んだのか、ガ―ン!! なんて思わないですよ(笑)。オレは゛さあ、この本を読んでみんな死んじゃえ"って言ってるわけじゃなく、゛こんな選択肢もあるよ"と提案してるだけ。常識的に考えて、本を読んだから自殺するんじゃなくて、自殺するヤツが本を読んだだけです」

「オレの趣旨に賛同してくれた読者は多かったです。なかには゛あなたは病んでいる、助けてあげたい"とか゛お前は悪魔だ"なんて手紙もありました。そんなこと言われても、悪魔なんてそこら辺にいくらでもいるから何とも思いませんがね。マニュアルを糾弾してるやつらにぜひ読ませたいですね」

「オレの本を読んだとき、みんないろんな解釈をすると思うけど、それでいいんです。別にどう思おうが勝手だし、そんなこと著者のオレにもわかりませんからね」

「自殺の方法を教える本は悪書か 「自殺本」の真意は死に方を知った上で生きのびる方法を模索すること」/『日本の論点'95』

「「とにかく生きろ」なんていう言い方は逆に生きづらさに拍車をかける。むしろ重要なのは“死ぬ”という切札まで念頭に置いて、死に方も知った上で、なんとか生きのびる方法を模索することだ(それが自殺のしかたを書いた最大の理由だ)。」

『完全自殺マニュアル』著者 鶴見 済さん/『死に方が知りたくて』(朝日新聞大阪本社編、PARCO出版)

「「自殺する人は弱い人」「強く生きろ」なんて、そんなことが堂々と言われている世の中は息苦しいですよ。
 僕があの本で言いたかったのは「いざとなれば、自殺しちゃえばいいんだ」っていう選択肢をつくって、世の中の風通しを少しよくしようってことなんです。自殺することを考えて生きましょう、いつだって死ねるんだから、もっとラクに生きましょうって。」

「本を買った人から、三千通以上手紙をもらいました。全部目を通してます。ほとんどの人が、僕が言いたかったことを分かってくれてたと思う。
「死のうと思って買ったけど、『いざとなったら自殺しちゃえばいい』と言ってもらったことで、逆に生きようという気持ちになった」っていう人も多かった。「この本を心の支えに生きていく」という人もたくさんいた。こういう手紙をもらうと、単純に、よかったねって思う。」

「自殺しないための『人格改造マニュアル』」/ 『ダカーポ』1997年8月20日号

「僕自身は、基本的に自殺を否定はしていません。現代人は社会全体からみれば、みな1本のネジのようなもの。1人ぐらい欠けたところで誰が困るわけではない。しょせん、代替可能な存在です。そこに気づけば、自殺をしたくなるのはむしろ当たり前のこと。それでもまだ生きたいという人のために、楽に生きる方法を紹介したのが、この『人格改造マニュアル』なんです」

「このほかにも、催眠暗示法や認知療法をはじめ、自殺を避けるためのさまざまな方法を、本書では提示しています。しかし、それでもなお、自分が社会にとってかけがえのない存在だと思えない以上は、無力感に陥って死にたくなるのは、当然の話だと思います。そういう人は"いざとなれば自殺がある"とあきらめてしまった方がいいでしょうね。その方が、この世の中、はるかにラクチンに生きて行けるはずですから」

「意味のない生を受け入れて“今”を生きていくための処方箋 ダンスダンスダンス&セックス」/『ダ・ヴィンチ』1998年12月号

「人生って、生まれて、呼吸して、食べて、寝て、クソして、老化して、死ぬことですよね。親が生んだから、ただ生きてるだけだし。何らかの成果を残すために生まれたわけない。と思うと、気楽です。『完全自殺マニュアル』の“イザとなったら死んじゃえばいい”も同じことですが。」

「自主規制、自由に勝る? 完全自殺マニュアル 版元が「18禁」の帯」/ 『朝日新聞』1999年9月4日・朝刊

「読者や世間を欺く行為」
鶴見済さんの話 6年間にわたり、未成年者を含む100万人以上がこの本を買ったが、自殺の誘発性などなかったことは、自殺率などのデータを見れば明らかだろう。
 今回の出版社の措置はこれまでの姿勢を翻し、全く独自に本が「有害」だと認めている。著者の自分だけでなく、読者や世間までも広く欺いた行為で、許し難い。

※出版社が「十八歳未満の方の購入はご遠慮ください」という帯を付けたことへのコメント。

「完全自殺マニュアル 18歳未満は禁」/ 『朝日新聞』(西部版)1999年9月4日・朝刊

鶴見済さんの話
「完全自殺マニュアル」と実際にあった自殺の因果関係ははっきりしない。十八歳未満の人たちにどれほど「有害」で「不健全」な影響があったのか。今回の措置は、出版した会社自身が、「有害」だと独自に指定するようなもので、納得できない。十八歳未満の人たちの判断力を軽んじることにもなる。

※出版社が「十八歳未満の方の購入はご遠慮ください」という帯を付けたことへのコメント。

「「完全自殺マニュアル」著者が版権引上げ宣言!――ベストセラーの有害指定問題」/『FOCUS』1999年9月29日号

「この本を書いたのは、「強く生きろ」「自殺はダメだ」なんて言われてることが、かえってプレッシャーになってるのが嫌だったので、「自殺は悪くない」っていう本当のことを言っただけです」

「そもそも、なぜ自殺はいけないのか? 自殺は違法行為でもなんでもない。命は自分の持ち物なんだから、どう使おうと本人の勝手。未成年者の自殺者数は、むしろ減少しているのだから、自殺抑止に作用したと考えるほうが普通。この本を参考にして自殺した人はいても、読んだから自殺したくなったとは思えない。自殺したい人がこの本を読んだと考えるべきだ」

「「死ぬ」ことを考えさせないことこそが、生きてる実感を奪っている、とさえ言えますね」

「この自分が死なずに生きることを選んでいるのは、何かしら自分なりの動機があるはずなんです。「希望」だったり「興味」だったり。それに気づけば、必要以上に「生きさせられてる」と絶望しなくてすむはず」

Tokyo urged to curb suicide book after spate of deaths”/ 『ガーディアン』(電子版)1999年12月10日

The book's author, Turumi Wataru, says he is being made a scapegoat. "No one ever killed themselves just because of my book," he said. "The authorities are blaming me because they are unwilling to take responsibility for the economic, political and social problems that are the real cause of suicides."

"I want people under the age of 18 to read this book," he said. "They need it more than anyone.

"It is important that people realise that suicide is not wrong. It is the right of every individual to kill themselves and, no matter what laws you enact, you cannot stop it."

訳:その本の著者である鶴見済は、スケープゴートにされていると言う。「誰もオレの本だけで自殺したりしないですよ」と彼は言った。「当局は自殺の本当の原因である、経済、政治、そして社会問題に対して自分たちが責任をとりたくないから、俺を非難するんです」
「俺は18歳未満の人にこの本を読んでもらいたい」と彼は語った。「彼等は誰よりもこの本を必要としているんです」
「人々が自殺は悪くない、ということに気づくのは重要なことです。自殺はすべての個人の権利であるし、どんな法律を制定しても自殺を止めることはできませんよ」



著者自身が語る『完全自殺マニュアル』@ツイッター

@wtsurumi
https://mobile.twitter.com/wtsurumi

「『完全自殺マニュアル』が批判したのは、後書きに書いてあるとおり、「強く生きろ」「頑張って生きろ」という社会の圧力。弱くて上等、頑張れなくて上等。楽に生きられることのほうがよほど大事。それと脱資本主義は大いに関係がある。」
4:51 - 2012年5月26日

<参考リンク>
鶴見済『脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし―』|新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/332461/
【鶴見 済『脱資本主義宣言』刊行記念インタビュー】ぼくらは経済の奴隷じゃない
http://www.shincho-live.jp/ebook/nami/2012/07/201207_16.php

「念のために言っておくが、『完全自殺マニュアル』は発売された93年と翌94年にまたがってベストセラーだったが、この2年間に日本の自殺者数は連続して「減少」した。www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/html/honpen/chapter1-01.html
5:25 - 2015年6月18日

「『完全自殺マニュアル』について、当時の状況を知っているのか怪しい人間が、「大バッシングを受けた本」などと言っているが、一部のマスコミがこぞって批判したのはワイドショーに取り上げられた2回ほどの機会のこと。終始肯定的な論者のほうが多かったので、特に大バッシングされていた覚えはない。」
5:31 - 2015年6月18日

「『完全自殺マニュアル』については、大バッシング⇒有害指定という誤解があるかもしれないが、東京都が不健全だと騒ぎ出したのは、話題も収まりきった99年。発売から6年後というバカバカしさを考えてほしい。当時行政が勝手に始めた有害情報規制運動の一環でしかなかった(結局東京は指定せず)。」
5:45 - 2015年6月18日

「90年代当時、大バッシングなど受けていなかったことは、発売元の太田出版についても同じ。 」
5:50 - 2015年6月18日

「こんなものを信じる人もいないだろうが、「発売当時『完全自殺マニュアル』の影響で自殺する人が多数現れた」などと、ありもしないことを吹聴している人間がいる。「この本の影響による自殺」などと見なされたケースは、これまでに一件もない。こういうものを見かけたら「違反報告」してほしい。」
5:39 - 2015年6月19日


「「いざとなったら死んでしまってもいいのだから」と思った時に、自分を締め上げていた力から解放されて、フワッと楽になる感覚がある。「生きろ」という大声でも、もちろん「自殺しよう」でもない何か。絶望の底ではそれが効くことを体験として知っている。『自殺マニュアル』とはそんなもの。」
5:54 - 2015年6月19日

「サルトルの小説『壁』の最後に出てくる笑い、太宰治『ヴィヨンの妻』の「文明の果ての大笑い」、真木悠介『気流の鳴る音』に書かれた「空即是色」。深く沈みすぎたがために水底に足が着いて、かえって浮上できた、というような。そういう感覚は大事。」
6:11 - 2015年6月19日

「ついでに言えば、『完全自殺マニュアル』はそれまでに根強くあった、「強く/頑張って生きろ」だの「自殺する人は心の弱い人」だのといった風潮に対する、そう言われる側からの「ふざけるな」という反撃でもあった。そのニュアンスは、その風潮が蹴散らされた今となっては、なかなか伝えづらい。
6:59 - 2015年6月20日


「自分の20代くらいまで、死にたい気持ち(特に未成年の)は、未熟、心が弱い、命の大切さがわかっていない、等々と片付けられてきた。精神医学界や教育界の方針だったのだろう。精神科に通っていた自分も未成年の自殺者までもが、そんな言葉を食らっていた。しかしそうではない。(続く) 」
7:01 - 2015年6月21日

「死にたくなることなど当たり前にあるわけで、何かが「劣っている」せいではない。『完全自殺マニュアル』にはそういう怒りが満ちている。「元気が出た」といった感想は、普通は何だかわからないだろうが、自分にはわかる気がした。「反『強く生きろ』主義」は「死」ではなく、「ウダウダした生」だ。」
7:19 - 2015年6月21日

「98年に自殺者は経済苦のせいで激増し、2000年代半ば頃から、自殺の原因を社会にも求めるようになった。個人の心の弱さのせいにするのをやめたのは画期的な変化だ。なので今の自殺への接し方はいい。「死にたい気持ち」を肯定するのは恐いかもしれないが、頭ごなしに否定していいものではない。」
7:49 - 2015年6月21日


「再び。『完全自殺マニュアル』では、いい学校、いい会社、いい役職へと進むこと、どんなに辛くても途中で降りないことが至上命題だった、それまでの日本社会の息苦しさも批判した。「頑張れ/強く生きろ」主義はそれと一体のもので、そこから降りることを言った。そういう状況全体に反抗したつもり。」
7:06 - 2015年6月22日

「切り捨て新自由主義の時代になって「強く生きろ」主義は弱まったが、正社員の世界は相変わらず。日本では自殺と失業率は高い相関関係にあって、つまり会社をクビになると生きられない。同時にカローシの国でもあり、会社で頑張っても死ぬ思いをする。降りて生きられればいいという思いは続いている。」
7:38 - 2015年6月22日


「自分がかつて訴えていた生きづらさ問題とは、戦争、飢餓、差別といった大問題にやられていないのになぜか死にたくなるような問題。頑張れ主義の抑圧、不安や鬱、無気力、コミュニケーション能力不足等々。こういう問題でも人は死にたくなるので、大問題群に比べて取るに足らないとされるのは嫌だった。」
6:44 - 2015年6月27日

「2000年代に入ると、貧困などの「新聞に載るような社会問題」と「生きづらさ問題」が以前にも増して重なるようになり、自分も社会批判をするようになった。が、社会のせいではない由々しい生きづらさ問題はもちろんあるので、軽視しないように心がけている。不安神経症は社会変革では解決しない。」
7:17 - 2015年6月27日

「また昔語りだが、戦後から90年代あたりにかけて若者(文化)が目指したのは、体制による抑圧に抗って自由になることだった。倫理的な規制との戦いもこれに含まれていて、モンティパイソンがやったことなど、これ抜きには理解も出来ない。しかしそれ以降、敵は少し変わり、この戦いは半分終わった。」
5:42 - 2015年6月28日

「自由はある面ではまだまだ足りないが、インターネット空間や不登校・失業生活など、自由がありすぎるという問題も出て来て、自由を求める反抗は弱まってきた。新自由主義のせいということだけでなく。なので自分も、抑圧からの自由を求める以前のようなやり方は取ってない。」
5:59 - 2015年6月28日

「『完全自殺マニュアル』は、そういう当時の状況に対して、これまでに書いたような趣旨の宣言文を載せてぶつけた、ひとまとまりのコンセプト作品みたいなものだった。なので、今は違うやり方、言い方で行きたいし、自殺の方法だけが切り取られてネットで拡散されるようなことにも懐疑的。」
6:14 - 2015年6月28日

NHKEテレ「ニッポン戦後サブカルチャー史」
第8回「セカイの変容~岡崎京子・エヴァンゲリオン・ゲーム~ 90年代(1)」(2014年9月19日放送より)

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