Japanese situation becomes more and more serious...

鶴見済の逆襲


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:放射能は癌とつながってるのがイヤなんですよ。

:被爆症といえば白血病という感じで、白血病は血液の癌といわれてますが…

:いや、それだけじゃなくて。被爆した人の直接の死因というのは、ほとんどが癌。今、日本人に癌って多いですよね。

:死因ですか?

:死因の1位は当然癌で、その割合もどんどん伸びていて。1930年代の癌死亡率は3%程度。今30%ですからね。直る人もあわせると、2人に1人は癌にかかるんですよ。

:日本人は? そうなんだ…。

:このグラフを見ると(手元の資料を指さす)戦後急増したわけですよね。癌の原因として、例えばタバコとかアルコールとかそういうのがよく言われますけど、それだけじゃこの激増ぶりは説明できない。戦前から酒やタバコはのまれていたわけですし。少なくともデータ的な裏づけは皆無です。

:その増加の一因、戦後増加したものと言えば放射能なのではないかと。

:南太平洋では戦後何10年も、1000回近い核実験が行われていた。

:それは有名ですよね。そこで放出された放射性物質は、当然日本の方にも流れてくる。そしてそれが終わった頃から、日本には管理のずさんな原子力発電所が増えてきた。

:で欧米では、もう減ってると。これは調べてみて本当にびっくりしたんですけど。世界的に放射能の病気だって事を認めないんですよ。最初ある程度内輪では暗黙の了解だったみたいなんだけど…

:要するに癌の最大の原因は放射能であるかもしれないと。

:というか、生物学的に見て、「癌=放射線病」っていうのは明らかだと思うんです。でも医学では、無理やりタバコや酒のせいにして、原子力開発を援護する形になっているのです。

:ああ…、僕の知り合いで『クッキーシーン』にも書いてる人からこの前初めて聞いたんですけど…、彼のお父さんが結構有名な物理学者で、大学で放射能の研究していて、結局それが原因で亡くなったらしいんですよ。だけど…

:理論物理学じゃなくて?

:割と実践のほうかな。当然学者だから自分がある程度安全な範囲でしか放射線を扱わないんだろうけど、それでも死んでしまった。息子の彼によれば、明らかにその原因は放射線のはずなんだけど、絶対そうは発表されない。公式には別の原因で死んだって事になってて、放射線だということは学者としては言えない。そのこと聞いたとき相当ビックリしましたね。

:まだそれやってますか。

:ええ。

:あと水俣病、これ言っておきたかった。水俣病は実は二次災害で。水銀が漏れてるのはわかってたと。それをわかっていながら9年間も放置しておいたばかりに、ドッカーンと。

:大騒ぎというか、人間がそういう風になって。

:奇形児が生まれちゃって。

:ネコが狂った段階で皆気付いたらよかったんだけど。本当は一部の人は気付いてたんだけど、企業の方が必死になってそれは違うって言い張ってたんですよね。

:今の状況ももしかしたら一緒かもしれない。

:確かに、確かに。

:なかったフリっていうのは物事を解決しない、っていう良い前例がある。恥ずかしいですよね、世界的に有名な公害の前例があって、また同じ事をしているのかもしれない。そう、公害っていう風に捕らえればどうか。だって産業廃棄物で人死んでるんですもん。大公害でしょう。チェルノブイリとキエフと、東海村と東京の距離が120から130キロとたまたま近かったっていうのも、これ皆大丈夫なのかな、心配いらないのかなと思うし。ましてや何が起こったのかわからないという感じになってる。前回の97年かな、東海村の爆発事故でレベル3ていうふうになってる。放射性廃棄物が爆発したって。70キロメートルの所まで飛んできちゃったらしいですよ。そしたらレベル4だったら?って思っちゃいますよね。

:そうかあ…、どこまで飛ぶんでしょうね。

:東京まで来てる可能性ある。

:楽に来るでしょう。それがもし政府の言ってるようなレベル4以上のものだったら、もう日本中に飛んでるかもしれないですよね。

:俺んとこに来てるかもしれないっていう。俺逃げてたから大丈夫だ(笑)。

:大阪まで行ってたかもしれないですよ。

:大阪まで、全員だめだ。

:俺もその時、例え愛知にいたとしてもダメ。全員ダメだと思ってた方が、この段階ではむしろ潔いんじゃないですか?

:いや、程度の問題ですから、食らった順に辛くなるだけです。大内さん、18シーベルトも食らって死んじゃいましたけど、7シーベルト以上被爆してたら100%2週間以内に死ぬはずなのに、得意の延命治療で時間かせぎしやがった。

:そう言えば! 俺は未だにあれは何だったんだろうと思ってるんだけど、大内さんが死んだって情報を去年スポーツ新聞で見た気がして…。俺の頭がおかしいか、単なる見間違いじゃなければ。でも、その後何ヶ月かしてから死んだって普通の新聞に出てたから。あれは幻想だったのかな、と…

:途中で心臓止まったはずですよね。

:普通の新聞でそれ見て、俺、頭がこんがらがっちゃったから、よく覚えてる。

:最初から死んでた可能性もある。しかもすぐ近くで。

:スポーツ新聞って、格が低いメディア扱いされてて、情報操作の枠から漏れることも多いみたいだし…

:騙されちゃいけませんよ、っていう。大がかりな情報操作がこの国では可能ですから。

:情報を信じるなと。

:でも、まさかと思うじゃないですか。そんな、こんなに自由に情報が出入りしてる国で、まさか全員が騙される、全員がそんな真っ赤な嘘に一斉に騙されるなんてありえないような気がしますけど、でも…

:充分、ありえるでしょう。

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:東京電力とか原子力は安全です、ってPRを死ぬ程やってますよね。

:まだやってるんですか?

:じゃないですか? 俺最近テレビ見ないからわかんないけど。長期的な展望まるでなし。それがどういう位置づけにあるのかっていうのをまるで考えていない。

:推進する理由がない。

:推進する理由は一つしかないでしょう。巨大電気メーカーとの癒着(笑)。

:いやいや、金にはならないです。

:そうですか?

:大変なコスト掛かるんですよ。

:発電自体にはそうですよね。でも、あっち、発電所を作ったりする方は? 昔よく言われてたじゃないですか。清志郎さんの“ラブ・ミー・テンダー”とかで原発のこと歌ってた。『カバーズ』とか。あれは要するに東芝EMIは親会社が東芝じゃないですか。で、発電所を作ってる東芝としては原子力を批判する事はタブー。で、ブルーハーツもちょっとそういう事を歌ってて、メルダックって親会社が三菱だから、三菱も原発を言うのはタブー。なぜかっていうと親会社が、それで潤ってはいないのかもしれないけど…

:三菱ってなんか軍需産業的なこともやってる。

:そう(笑)。で、ブルーハーツはワーナー系に移ったし。清志郎もポリドール系のキティはそういうの関係ないから『カバーズ』出せるみたいな。そういうのがあったっていうのは皆事実として言ってますけどね。だから、東芝や三菱が原発作って儲かるかどうかは知らないけど、彼等は原発推進派だと。でも、儲からないならどうしてやるんだろう? 国策だから?

:とにかく、全員これにはもう何のメリットもないって事くらい本当はわかってると思うんですけどね。

:でも何故か止められない。

:一番よくわかってるのは、科学技術庁長官自身ですよ。原発推進したら、それは自分の生命だって危ないし、もう世界中の笑いものってことで、お国の為にもならない。実際、この国って相当世界からつまはじきみたいな状況に…

:そういう状況って一番ヤバイじゃないですか。ヤバイっていうのはそれこそ一億総玉砕の方向に向かっていきそうで。

:戦前もそうやって孤立して、国際連盟脱退して…。今回だってIAEAとかが、「レベル4なら調査する義務がある」っていうのに断って。

:あれと一緒じゃん。フセインだっけ?

:そうそう、俺らイラクみたいじゃん(笑)。クリントンとかは一応、「ディア・フレンド」とか言って呼び掛けてくれて、「ロシアと一緒に合同でそれを処理する体制整えてる。依頼さえあればいつでも行ける」って言ってくれてるんですけど。でも日本から依頼がないと行けない。それは内政干渉になっちゃうから。ヨーロッパとかでも救援物資とか派遣人材とか準備してくれてたのに、全部拒絶。

:結局来なかったですよね。

:それで小淵があそこら辺の農作物とかを食ってる映像がものすごいショッキングに見えたらしくて。

:だよね、俺たち以上に、彼等にとっては「気狂いだよコイツ」って感じだよね。

:放射性物質がついてる野菜食ってるぜ、っていう。

:だから北朝鮮とかイラク以上の狂気に見えるような気がする(笑)。

:向こうは本当に玉砕とか特攻とか、ああいうわけわかんない気狂い行為が頭に浮かぶでしょう。俺だって浮かんじゃうし。

:俺も浮かびますね。もしテレビとかでそんなところ見たら唖然としたと思う。

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:俺が鶴見さんて面白いなと思うのは、別に大阪にずーっといて、大阪経由で九州にでも行ってどっか海外に逃げてもいいんじゃないかって。何でしなかったんですか、それ?

:考えたんですよ。パスポートも持ってたし、やっぱりでも、真面目に考えればやみくもに海外に行ったって幸せになれるわけなくて。それだったら放射能浴びながら東京の一応快適な空間で安らいだほうがマシという。屈辱的ですけど。

:もがきながらも生きている、と。

:そうそう。被爆って事を含めても、やっぱりここがマシかな、とまだ思ってたんですけど。でもこれがずっと続くと、例えば出版社がもう重版の連絡もしてこないで堂々としてるし。うーん…正気が保てないかもしれない。なんか留置所にいた時は正にそうだったんですよ、赤だろ!って言っても、いや青だ、って言われちゃう感じで。

:留置所の中で。

:うん。なんかそんな感じですよ。

:子供の頃の学校ってそういうところがあったし…、そう、学校に限らず日本の社会ってそういう傾向ありますよね。

:だんだん頭が混乱してくる。

:それがもっと酷くならないでほしい。いや、ほしいって言っちゃダメだね。ならないようにしよう、っていうしかないよね。もがきながらも。

:そうっすね。多分何人かはこれ見てヤバいと思ってくれた人がいると思うんで、そう願いたいんで。その人は海外に声を向けたらどうかと提案します。

:それは決して逃げる事とは違う。

:だってこのまま自力で頑張るのが偉いとは誰も思いませんよ。すんげぇ年月、何十年とかかる作業だと思いますし。結果的に建て直せるかどうかすらわからない。その間に海外に…、実際海外の人達に迷惑かけるから。だったら助けてでも何でも呼びますよ。それは世界のためじゃない。まあ…、それが一番ラクだからですけどね。


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