KNOW YOUR RIGHTS!


“♪キ〜ス・ミ〜”
なはずだったんですよね

:『スクリーマデリカ』からなんですよ俺、知ったの。全然浮いてるなって…。なんかボビー・ギレスピー、典型的坊ちゃん顔じゃないですか。

:そうですよね(笑)。

:彼って、バンドのリーダーなんですよね。それでドラッグばっかりやってる、あの顔でっていう。何だろうかと思って。で、ジザメリ(ジーザス&メリー・チェイン)のビデオとか見かえしてみると、なんかね、あのジザメリのライブでボーダーのシャツでどんどん(ドラム)叩いたりしてるっつーのは、やっぱ異常すぎると思って。

:基本的になんかこう、ふらふらしたスタンスを崩してないですよね。ふらふらしながら、自分の身に降り掛かってる事を、なんか音楽に反映させてるような気がして。

:『ヴァニシング・ポイント』あたりから、ちょっと政治的になってきたなと思ったんですよね。

:確かに、確かに。

:その前に彼が逮捕されたんで…。友達で清野栄一ってヤツがいて、

:なんかレイヴ紀行みたいなの書いてる。

:その本で見たんですけどね。

:だから、そういう話が出るから、鶴見さん音楽のこと語ってもいいんじゃないですか? そういう普通の音楽雑誌では、せいぜいゴシップ的なネタにしかしないような話が、なんかいい流れで出てくる…。いくらプライマルのレコード聞いてるとは言ってもそういうこと押さえてるから、それこそ、全然語る価値はあるんじゃないですか?

:そうですよね。俺がボビーの話とか、自分の問題としてボビーの話ができるようになるのは…、それを伊藤さんが自分のジャンルとして詳しく話をするような雑誌で違和感がないというのは、風通しがよくなってきているはずですよね。

:それ自体はすっげえ幸福だけど、それは世の中悪いことになってきたからこういう機会が持てたっていうのは、ちょっと皮肉というか悔しいですよね。

:悪いことになってきてるってのを言わなきゃマズイんだっつう。

:だってある意味、鶴見さんの本だって、それこそ『スクリーマデリカ』とかだって、そんなこと言わなくてもオッケーって感じが微妙にあったわけじゃないですか。

:世の中はまんざら悪くない、とか言ってたからね。俺も。

:そう書いてましたよね(笑)。

:ボビーも変わりましたよね、今から思えば。ボビー・ギレスビーがあんな事言うようになるなんて。

:うん、そういう意味でねー。

:“♪キ〜ス・ミ〜”なはずだったんですよね。

:“♪カ〜ム・トゥギャーザー〜”なはずだった。

:世界はうんざりするほどオッケーなはずだった。

:そう。

:でもやっぱり、ちょっと違うと思う、って感じですね。

:ねー。

:やっぱ、CJB食らったら、そりゃ絶対そうなるはずなんですよ。

:え、CJBってクリミナル・ジャスティス・ビル…じゃなくて、もう法律になっちゃったから、クリミナル・ジャスティス・アクト(レイヴ・パーティの取り締まりという名目のもと、様々な集会や自由な楽しみを奪う権限を警察に与えたイギリスの法律。1994年頃、これがビルつまり法案として審議されている段階から、イギリスの音楽誌等はそれに反対する記事を載せていた。野外でレペティティヴ・ビートつまり反復ビート持つ音楽を10人以上で聞いていると逮捕されたりする!)か。

:プライマル・スクリーム、それに反対する曲、やってたじゃないですか。

:“Know Your Rights”。クラッシュのカヴァー。邦題は“権利主張”。「レペティティヴ・ビート」(というEP)に入ってましたよね。94年の来日公演でもやってて、すっげえ良かった!

:で、この本(『Rave Traveller』清野栄一著)見るとですね、ロンドンでクリミナル・ジャスティスに対する抗議行動が行われていた夜に、あるアパートで「レペティティヴ・ビート」を聴いていた若者たちのところに警察が踏み込んできた。警官は一人の男に手錠をかけて連行し、もう一人の男を警棒で壁に押さえつけた、と。で、その押さえ込まれていた男こそボビー・ギレスビー本人だった。

:それ、鶴見さんみたいなパターン(鶴見氏には逮捕歴がある)! シンクロしてるとしか言いようがない。こういうのって、真似しようとしても出来ないでしょう。

:“Know Your Rights”、いろんな権利のことを言ってますよね。

:言ってますよね−。

:有害図書指定っつーのは、実はみんなが権利を侵害されちゃってるんですが一番侵害されてるのは実は、中心読者層といわれる10代の人達。実際にもう読めないですから。法的に禁止されちゃってるわけですからね。とりあえず権利を、読む権利を主張したらどうかなー、と思うんですよ。


山形県の倫理委員長が、11月後半に発売されたアンアン他4誌を有害図書指定

発言録のトップに戻る