KNOW YOUR RIGHTS!

鶴見 済登場!

手塚るみ子、青木優をフィーチャーしたクッキーシーン前号の対談”Complete Control”で、鶴見済『完全自殺マニュアル』”自主規制”問題が話題に挙がっていた。手塚は鶴見氏と友人関係にあるとはいえ、その対談に出席していたのは、基本的に当事者ではない。鶴見氏自身はどう感じているのか、その問題が勃発してから時が経っているけれど、現在の状況は? それが知りたいという読者からの要望もあった。そこで本誌は鶴見氏自身に登場を要請したところ、彼は快諾してくれた。今回の話のテーマはそれだけじゃない。もうひとつは、プライマル・スクリーム。えっ、どうして鶴見さんがプライマルなの? と思う人はこれを読んで下さい。ちなみに、本号表紙でボビーはスーサイドというアーティストのTシャツを着ている。スーサイド、すなわち自殺。鶴見さんにピッタリ(笑)。てなわけでこの対談、これまたディープですよお。

鶴見済(以下鶴):今はどんな状態かと言うと、各地で有害指定が相次いじゃって、もう手がつけられない感じで…

伊藤英嗣(以下伊):東京都が引き金になったんですよね。

:そう。今どういう状態かっていうのは俺もその後は調べてないんですけど、確認した時点で13県は…、神奈川を皮切りにバーッと指定が相次いじゃったんで。徐々に徐々に書店から消えていく感じ。改訂版も文庫化の話も全部パーだと思います。

:なんか、例えば太田出版が変な話、売るためにやったみたいな、そういう憶測もぼくの中にはあったんですけど…

:うーん、どうなんですかね。やっぱり、自主規制という一言に尽きるんじゃないですかね。

:そこまでは考えてない。

:そんな余裕ないと思う。

:なんかクッキーシーンあてによくメールくれる神奈川県の書店員の読者の子が、彼自身も非常に問題視してるんだけど、やっぱり“18歳未満購入禁止”と入れたことによってこの本は売れてるから、自分も片棒担いでるのかと思って嫌なんだけど、鶴見さん自身はどう考えてるんだろう…みたいなこと言ってて。

:あれっ、神奈川県って…、そこでは売ってる?

:その本屋では…、あれ? 売れる「だろう」って書いてあったのかな?

:なんか、もう、県内からはほとんど本が消えたって話を聞きましたけど。

:そうなんですか?

:置いてある所には警官が張り込んでるっていう。

:えっ、本当に?

:張り込んでるって事自体に別に大した意味はなくて、嫌がらせなんですよ。

:あー。

:店の雰囲気悪くなるじゃないですか。ヤクザのやり方と全く同じなんですよね。なんか大勢で来たり、潰そうと思って喫茶店の雰囲気を悪くして、お客さんが来ないようにして、実質的に潰してしまうみたいなやりかたを…

:出る杭は打たれる、みたいな…

:有害指定っていうのは単なる口実にしか過ぎなくて。

:…

:全力で抵抗したんですが、少なくとも今のところ結果として負け、失敗です。自分が言いたい事言ったから、言わないよりは良かったくらいです。それで黙ってたら、一生後悔したでしょうね。

:そうですよねー。

:でも、未だに嫌なんで。未だに俺的には全然終わってないから。

:そりゃそうですよね。で、その具体的な経過報告というか、鶴見さんがトライしても(“18歳未満購入禁止”という)オビ外すこと結局できなかったとしても、それこそ版権引き上げ問題とか、そういうのはどういう形になるのかって事をまず聞きたくて。

:(あなたには)版権引き上げる権利はないって(出版社が)言ってきましたよ。

:えーっ、そうなんですか? 例えばミュージシャンだとレコード会社から原盤権って簡単には引き上げられないじゃないですか。でもそれって、僕が解釈してるのは、レコードってやっぱり製作費がかかりますよね、レコーディングとかにスタジオ代とかエンジニア代とかかかる、つまりレコード会社が、作品そのものを作るプロセスでも投資してる。だからなのかな、と思ってたんですけど。でも書くのは本当に個人作業じゃないですか。

:俺なんか特に全部自分でやってますからね。

:でしょう。自分で調べて。

:図板もオビの文句と、デザイナーや営業部との打ち合わせとか取材対象との打ち合わせまで全部自分でやる珍しいタイプの…。デザイナーさんとは共同作業ですけど、編集者にはあんまり(笑)。

:鶴見さんなんか特にそうだろうし、他の人だって、レコーディングのスタジオであるとかエンジニア代とかなんてものは、本には全然かからないわけじゃないですか。それはレコードに比べて本の印税率が高いことにも現れてるわけだし。とすると、レコードの原盤権と違って、本は引き上げようと思えばすぐ引き上げられるとか思ってた。

:まだ出版社とは続いてる状態ですから。全部引き上げたかったんですけど(彼の書籍は今のところすべて太田出版から出ているから)他の本まで全部受け入れてくれる出版社が見つかるっていう確証もないし…。とりあえず出版社の自主規制を止めさせて、その後は、仮に別の版元が見つからなくてもいいとさえ思ってたんですけどね。だけど、それすらやっぱりままならない状態で。

:なるほど…

:俺的には、言ってる事に迷いはないんで。悪い事してると思ってない。俺は正しい、っていうんじゃないんですけど。普通だったら法律とかで法的にってことになるんでしょうけど、裁判が機能してない、っつーのが極めてヤバいですよね。

:全然機能してないと思うし…。本とか新聞とか雑誌とか読んでも、裁判て本当に公平に行われてないんじゃないかと思う。堅い言い方だけど、日本は三権分立が全然出来てねぇな、っていうのは。

:そう。立法府も立法してないんですよ。あれ、議員じゃなくて行政官が法律作ってますから。憲法違反なんですよね。

:大体、別にオウムを擁護するつもりはないけど、でも今回の問題にしても立法される前から、何かね。で、三権分立どころか、マスコミ…、あのオウムの法律が立法される前から、もう、される事を前提として書いてるじゃないですか。

:早くしろとか僕の本にも言いだしましたから。せかしてやんの

:三権分立どころじゃなくて、あらゆるものが一緒になってる。

:そうそう。全部一緒になっちゃってて。俺はシステムって呼んでるんですけど、得体の知れない巨大なモノになってるんですよね。

:スゲェ恐いって言うか。

:あと、大企業もつるんでますよね。

:つるんでますね。

:清志郎のあれ(“君が世”)を自主規制したのも、国が言ったわけでもなくて、企業自身がダメだといってるわけだから。タカ派の官庁みたいな感じですよね。

:得体の知れないデカい力がますます集まっているんじゃないかっていう。

:いやー、まったく。そう思います。

:だって清志郎のやつに関しても、東芝の時(10年ほど前、東芝が原発を揶揄した曲を発売中止した時)に(それを)キティが出してくれたわけじゃないですか。キティってポリドール、そしたら…

:え、そうなんすか?

:そう。キティってポリドール系だから。で、あれは、あの頃はオッケーだったのに…

:今回、自主製作になっちゃったんですよね。

:うん。今回結局ポリドールがあれはダメだって事で自主製作盤。

:ホントに? 前回は忌野清志郎は自主制作は絶対いやだって言って、ポリドールから出て、今回はもっと悲惨な目に遭ってるんですよね。


だってあの時、エッグストーンに来てる人って、コアでしかありえないでしょう

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