非=国民宣言2000


ニポンノミナサン
コワクナイデスカ?

――「非国民宣言」をしたいということなのですが?

鶴見 日本て、嫌じゃないですか。

――嫌ですねえ。

鶴見 今度の反日運動も、「STOP JAP!」というんです。ジャップどものやることを止めろ、と。もとは自分の本の検閲&発禁のことをジャップに言ってもしかたないと知って、国連に国際規約違反だから通告することにしたんです。
 そして、「国籍離脱の自由」憲法二二条にあるから、「非国民」と名乗ることにして、「ニポンノミナサンハ放射能コワクナインデスカ? ガンハ痛クナイカ?」なんて言うと、しっくりくるんですよ。ものすごく(笑)。そのほうが楽です。だから、「変な外人」でいこうかな、と思って。

――八〇年代、在日の人たちの指紋押捺闘争なんかの時に、日本人があえて在日日本人と自称するというような発想もありました。

鶴見 ほんとに? NGOじゃなくてNGPでも言ってます(non governmental person)。国境を無視する人ってことで。
 東海村の原発の事故も「出火」とか「爆発」とか、第一報は―――――――なんて言う気もないけど。B29を墜とそうとして空を竹槍で突く練習してる人たちに「届くわけねえじゃん」って言うのがいいとは思わないし。だから非国民宣言して。非国民扱いされて名誉に思うと。

――名誉非国民。

鶴見 そうそう。望みもしないのに与えられた日本国籍なんかどぶに捨てる、という感じで。「我々非国民は日本人でないことを誇りに思い、日本人を公然と軽蔑する」「我々非国民はガイジンとともに日本人を敵視する」。面白いから「非国民統合の象徴」とも言ってます。

――これは非国民と重なるんですけど、いま「日の丸」・「君が代」の問題があるじゃないですか。あれも、どういうことか。今春の学校では、たぶん相当な処分とか騒動が予想されますけれども、ものすごいですよ、いまの学校での強制は。

鶴見 そうすか。それだったら国家公務員は全員日の丸着用ってのはどうですか。

――マントみたい(笑)。

鶴見 そうそう。「君が代」も祝日は五〇回斉唱のこと。当然ですよ。それが平等ですから。やったらやられるんです。

――なぜここまで強制しなければならないのか、不思議な気すらします。

鶴見 国際規約にてらして挙げていってみたんですよ。原子力政策をはじめとして。そうしたら、全部になっちゃったんですよね。報道だって、我々の知る権利を侵している。学校教育なんていうのは児童虐待だと思いますね。゛部活"なんて体罰どころじゃないし、お受験なんて幼児虐待じゃないか。金融は預金利子よこさねえ、企業は独占禁止法無視。日本がアジアの経済不安の元凶になってますからね。日本なんて、いつの間にか、ほとんど一国経済みたいになってきている気がする。経済崩壊と原発推進というのが、いちばん世界にイヤがられてると思うんですね。
 自分の人権をものすごく侵害されていることも、海外に頼まなければだめという状況になってるし、日本人にとって生きる上での最大重要事の癌医療がめちゃくちゃ。抗癌剤なんて、ほとんどでたらめだし、あんなにガサガサ切る国なんて、日本しかなかったりする。
 とどめは司法。林真須美はカレー事件のほうはほぼ無罪確定でしょ、もう立証できないそうなんですよ。

――全然できてませんよね。

鶴見 代用監獄制度っていうのがあって、時間稼ぎをして被告人を代用監獄で実質的には罰してしまう。そういうことを、いま現在やってんですよね。最初から最後まで六年はかかるみたいです。あと、彼女の家が燃えたでしょう。あれ、マスコミ被害以外のなにものでもないでしょう。オウムに止めをさしますけど。

――あれはマスコミが、やれ、とメッセージ出してるんですよ。

鶴見 近くにオウムが来ることも嫌なのかもしれないですけど、マスコミがワッと押し寄せて自分らの安定した生活を破壊するに決まってるから、というのもあるんですよね。オウム教差別って。
 麻原彰晃に至っては、五年間に一〇〇回も裁判やって、犯行との関係を全然立証できてない。宮崎勤は11年間判決なし。
 そうやって考えると我々の人権なんて、たとえばおれは出版の自由とか思想の自由を公然と無視されてるんですけど、国内の制度ではもうどうすることもできない。弁護士もついてくれないから、人権すら守れない。だから、もうすぐ国連が犯罪と人権と刑事司法について大きい会議やるんで、何とかオウムのことを考えさせて、調査・勧告させようと。おれは断然オウム支持です。サリン事件とは別に今の処遇のことだけ考えるべきです。おれもひどい目にあったから、自分の本(檻のなかのダンス)を資料として提出したい。考えてみたら、判決理由に本(人格改造マニュアル)の主張があげられてるのは、とんでもないことじゃないですか。

――人権とか民主主義って、わかりにくいじゃないですか。直感では。加害者の権利とか。最近は新聞とかメディアすら、そのわかりにくさを理解も解説もしようとしないところがある。直感ではわかりにくいが、民主主義の背骨であるようなプロセスをすっ飛ばそう、すっ飛ばそうという。今や、予めメディアが犯人決めて、罰しますからね。

鶴見 最初にメディアが動いたあとで警察が捕まえるというのが、最近の大実行犯の恒例になっていますね。そしてそんなのに限って冤罪なんです。

――責任とりませんものね、しかも。

鶴見 大本営発表です。いまはただ、戦争をしないだけの状態じゃないか。
 国民はヒステリックになって、非国民を排斥する。あるいは危険思想に対する行政側の排斥を黙って黙認する。おれなんか露骨にそれですから、「我々非国民は日本人を公然と軽蔑する」。いいなあ。われながら、いいこと言うなと思いますね(笑)。
 この国のおかしいところを、いろいろ考えたんです。ドラッグ、おかしいじゃないですか。

――鶴見さんは、日本の社会のいちばん痛いところをついてますよね。ドラッグって、とりわけ日本社会のいちばん矛盾が出ている。正確な情報を知らせて取り締まるべきところを取り締まるんじゃなくて、暗黒化して、嘘ついて、しかも大嘘こきながら取り締まる。

鶴見 そうなんです。あれも原子力と同じ構造で、研究者集団を抱え込んで、金を出してあげて、取り締まりを強行するという構造をもっているんですよね。大麻なんて、オランダみたいに解禁してる国だってあるのに、日本なんか懲役ですもん。
 出版に対しても、憲法で明確に最大限の禁止をしてる「検閲行為」を、おれの本に対して行っていやがる。
 それと、失業保険が実質的に出ないとかね。おれは職安に行ってた時期があって、いまでも同じかどうかわからないんですけど、「労働の意志があっても職がない者」ということで失業保険はおりるんですが、職安に行って意志を見せると仕事が来ちゃうんですよ(笑)。当時としては、失業保険金をもらうことは絶対不可能だなと思いましたね。
「バカボン司法」だの「演劇裁判」と言ってるんですけど、司法を海外に頼るというのも、すごいですね。

――東京裁判がそうですか。

鶴見 そう。ほんとに。「裁判官を裁いてくれ」と海外に頼まなくちゃいけない、この状況。実にこわいです。だって、日本の刑事訴訟が有罪判決率一〇〇パーセントですものね。世界も驚愕しますよ。
 こういうことを全部、我々名誉ある非国民は外人に訴えてやろう、という所存なんですけどね。

――国際法を頼むというのは運動をやる方針としては、あるんですよね。国際法は、いいものがいっぱいありますからね。

鶴見 NGO(ノン・ガバメンタル・オーガナイゼーション)の活動とか、すごい目立ってますものね。日本はNGOの活動を国内に知らせないように、知らせないように、何となく報道向けに、NPOなんていうのをつくってみたりなんかしてね。

――何とか政府の管理下において取り締まろうとしていますね。

鶴見 そうそう。NPOという自分らの監視下にある国内だけで動くボランティア団体をさんざん宣伝して、アムネスティとかグリンピースとか、そういう自分らがほんとにこわい連中を占め出してる。


この国は民主主義社会の失敗だ

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