『檻のなかのダンス』の書評

たくさんの人に読んでほしい本だ。特に小誌を読むような、たとえばロックに生きることや考えることを重ねてしまうような人には、是非手にとってもらいたい」(宮嵜広司「生の当事者、鶴見済」/『ロッキング・オン』1998年11月号より)


1.宮嵜広司「生の当事者、鶴見済」/『ロッキング・オン』1998年11月号

一部抜粋

 たくさんの人に読んでほしい本だ。特に小誌を読むような、たとえばロックに生きることや考えることを重ねてしまうような人には、是非手にとってもらいたい。なぜなら、ここにはこの同時代を生きるひとりの人間の、終わることのない葛藤と、振り絞られた執念と、飽くことなく重ねられる実践と、そして、その果てに獲得された何らかの手掛かりらしきものがあるからだ。
(中略)
 監獄での理不尽、オウムに対する世間の反応への不快感、ポジティヴィズムへの抵抗、道徳へのNO、フジ・ロック97への疑念……。著者は一番嫌がるかもしれないが、そうしたものへと執拗に食い下がる彼の姿はまるで義務感にかられたそれのようである。絶対的と信じられてる正しさに、自分のこの気持ち良さ(それはたとえば薬物だったり、眠りだったりする)は勝てるのか? もはや笑うこともできないような「追いつめられた人々」を、この正しさは救えるのか? そんな問い掛けに執着する著者が、ダンスという白票を世界に叩きつける様は感動的ですらあった。
 生きていくのが辛いのなら自殺してもいいと説き、苦しければラクになれるドラッグがあるよと教える鶴見済は、おわかりの通り、むしろ「生きる」ことに真摯だ。その内包された倫理観は、同時代の発言者の中で圧倒的である。そして同時代の、という意味でその強度はラディカルなのである。

鶴見済『檻のなかのダンス』(太田出版、1998年)

2.準備中

 


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