作曲家別アニメサントラ紹介

<はじめに>
 CYBER STATIONの電子掲示板でアニメネタでちょっと盛り上がったので、自分の趣味の世界をちょっと披露していこうか、と思い立ちました。
 作曲家別にアニメサントラを紹介することを自分の持っているCDの紹介もかねてやってみようかと思います。

 取り上げられる音楽の基本は、他のTV番組でもやたらとBGMとして使われることが多いものです。
 確認してみたければ、あまりレンタルされていないようですから、購入してみてください、といいたいところですがジャケットがあの絵柄
ですからねぇ…。

 CYBER STATIONの掲示板の方では、かれこれ170回以上も書いていますが、少しずつアップしていこうと思います。
(初出の日付は、CYBER STATION 電子掲示板での日付)

インデックス
川井憲次 16 17 18 24 26 42 78 87  98  根岸貴之 11 38 52 99 100  増田俊郎  44 51 71 81 97 120 125  久石譲 31 48 80 佐橋俊彦 25 43 102
菅野よう子 15 21 60 67 92 178  大島ミチル 27 34 104 107 108 160  田中公平 14 50 65 68  野見祐二 33 47 和田薫 59 110
大谷幸 01 91 174  若草恵 デビット・シルビーズ 千住明 4 106 安田毅
岩代太郎 淡海悟郎 山本はるきち 鷺巣詩郎 片倉三起也
服部克久 13 66 村山達哉 杉山卓夫 ゴンチチ 森英治
奥慶一 服部隆之 松岡直也 松浦晃久 `島邦明
星勝 松尾早人 岩崎文紀 村瀬恭久 鈴木豪 朝倉紀行
長谷川智樹 41 139  冨田恵一   有澤孝紀 坂本龍一 美和響
武藤星児  安部純 45 72 97 109 154  七瀬光 70 79 82 88 122 164  梶浦由記 63 85 117 152  光宗信吉 64 73 76 116 129  寺嶋民哉
是永功一 岩崎琢 89 101 105 121 126 131 168 177   栗原正己 83 栗コーダーカルテット 179  高浪敬太郎 保刈久明
斎藤恒芳 90 94 118 135  ショーロ・クラブ 93 124 127  西田マサラ 羽毛田丈史 96 145 151  TRY FORCE
渡辺俊幸 梁邦彦 渡辺剛 119 153 172  池頼広 123 147 妹尾武124 127 181
平野義久  大嶽香子 亀山耕一郎  吉田潔  松谷卓 134 165  
中川幸太郎 136 150  村松健 137  143 155  菊谷知樹 138 146  吉森信  菊地創 
菅野祐悟 井内舞子 148 156  百石元  S.E.N.S. Project(勝木ゆかり、深浦昭彦、森英治)   蓮実重臣  
はまたけし   中島ノブユキ 161 176  MONACA,神前暁 162 163 166 169 173    浜口史郎 167 180  山下康介170 175
石黒ひとみ  

 
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○第16回 川井憲次さん
 (初出:99/04/18)

 今回は、私が追い続けていた「川井憲次」という一人の作曲家のサントラを中心に語り続けていきます。

 この手のサウンドトラックに興味を持ったというのも、実はこの方の作品に出会ったからなのです。
 その過程については順次語るとして、今回はこの春公開の劇場用アニメの音楽を担当するということなので、たぶんその作品世界とリンクすると思うサントラを取り上げます。

 TVの業界筋では、実のことをいうとかなり評価が高かったという話があるアニメ作品「機動警察パトレイバー」。
 最近ヒットした、踊る大捜査線 the MOVIEでも露骨にパクっていたことを語っているくらいですからねぇ。

 オリジナルビデオアニメ(OVA)−TVシリーズ−オリジナルビデオアニメという珍しい展開を見せた作品発表形式に、さらに劇場版を2回制作というアニメ制作上でもエポックメイキングな作品です。
(バンダイビジュアルの基礎となったという話は、別にしたいと思います)

 劇場用(実写も含めた)一連の押井守作品の音楽を担当している川井氏の中でも、特筆すべき作品が劇場版 機動警察パトレイバーと劇場版機動警察パトレイバー 2(以下 P1 P2とそれぞれ略します)
ではないか、と思います。(GOAST IN THE SHELL(攻殻機動隊)とかについては別途語ります)

 P1 P2それぞれのストーリーを語るとめっちゃくちゃ長くなってしまい収拾がつかなくなるので、レンタルビデオショップで借りて見てください。

 P1のサウンドトラックというのは、ドンパチがあったためでしょうか、ちょうど湾岸戦争の頃はニュースなどでやたらとかかりまくったという記憶があります。
 サントラのライナーノーツに、川井憲次氏自身も「パトレイバー」→「戦う」→「スクリーン」→「壮大」→「オーケストラ」
という図式が生まれたようですが、押井氏に見事にはずされたとのこと。
 ひたすら低く、重く、ただしエンディングだけはパッと終わる、というもので、そういう意味では、むしろ実写(特に洋画モノ)に近い感じがした、といっていますが、その通りの音楽になっています。

 P2では、プレサウンドトラックが作られていましたが、実際の映画作品としては、ほとんど使われていませんでした。これまた、当初のコンセプトをひっくり返して作られてしまいましたが、それに答えてしまう作曲家の能力というのを感じさせる内容になっています。
 P1とP2は同じモチーフを扱っているのですが、P2の方が雰囲気を作品のテーマを反映してされに重く冷たく沈み、こちらの安易な感情を拒絶するかのごとく、あるいは薄っぺらな映画的な高揚感など寄せ付けない厳しさで、抑制された映像と音楽はそこにあった、とのコメントがサントラの解説文にありました。(若干表現を変えていますが)

 P1>P2というTV番組での音楽使用の傾向はありますが、いずれも微妙なバランスで映像と音楽とが「存在」しているため、他の映像を持ち込んでも音楽を使うことが可能になっているといっていいでしょう。

 P1の方については、軽い感じの遊びのような音楽がいくつか存在していて、彼のもう一つの音楽の方向を見せてくれますが、まずは対峙(たいじ)しているテーマにあわせた映像とあわせて遜色のない音というものはどのようなものであるか、その辺をこれらのサントラで聞いてみてはいかがでしょうか。
 

 機動警察パトレイバーVol.5〜オリジナル・サウンドトラック"INQUEST"
(WPCL-617 ワーナーミュージック)

 機動警察パトレイバー2 the Movie プレ・サウンドトラック
(VPCG-84204 バップ)

 機動警察パトレイバー2 the Movie オリジナル・サウンドトラック"P2"
(VPCG-84206 バップ)

 また、バンダイビジュアルでDVD化する際に、音楽のリニューアルをしておりまして、さらなるアレンジの変更をしております。
 当初のサントラの音楽も、ボーナストラックとして一部収録されておりますので、その違いを見るのもいいかと思います。

 1999・PATLABOR THE MOVIE SOUND RENEWAL (WPC7-10001 WEA Japan)
  2002・PATLABOR2 THE MOVIE SOUND RENEWAL (VPCG-84663 VAP)
 
 

○第17回 川井憲次さん
 (初出:99/04/21)

 今回も、引き続き川井憲次さんの作品紹介です。

 90年代のアニメサントラでの成果といえば、日常風景を場面の基本とする少女マンガがアニメ化されることが多くなったため、「日常風景に合う」音楽が作られるようになった、ということがあると思います。

 過去に紹介したものとしては、設定は突拍子ない部分があるものですが、「ママは小学4年生」「カードキャプターさくら」などの学校を中心としたストーリーなどが、それにあたります。

 この系譜に近い、彼の作品をあげると
姫ちゃんのリボン 音楽篇 (VICL-371 ビクターエンタテインメント)
赤ちゃんと僕 オリジナル・サウンドトラック (TYCY-5516 東芝EMI) 
 が、該当します。

 「姫ちゃんのリボン」「赤ちゃんと僕」それぞれの作品については、私などより語れる方がいると思いますので、そちらに譲っておきます。

 日常風景や何気ない場面での「音楽」の描写、心理的なものを映し出すために「音楽」を借りて表現するといったものが、この2作品のアニメ化ではかなり注意深く行われていたと思われます。

 また、登場するキャラクターのデフォルメ(特徴的な部分の強調、とでも言いましょうか)のような曲も、当然あります。また、それが結構サントラ全体の雰囲気の中に入り込んでいて、それほど違和感を感じることなく使うことができる曲になっています。

 その辺の話はともかくとして、まずこの2枚のサウンドトラックの中の音楽を聞いたことがない、といいきれる人は、ここ数年TVを全く見ていないと同義であるといえるでしょう。それくらい、TV番組の中での音楽としてこの手のニーズがあることを物語っていると思います。

 あと、この2つのCDが発売された約1月後にはTV番組のBGMとして使われていましたから、音楽効果の人は「狙って」いたものと思います。

 ただ、この手のサントラを購入するときは、めっちゃくちゃ恥ずかしい思いをして購入する羽目になります。なにせ、少女マンガのキャラクターが印刷されているCDを購入するわけですからねぇ。

(さらに、番組までチェックしていることも、あまり恥ずかしくていえなかったのも、今や懐かしい)

○第18回 川井憲次さん
 (初出:99/04/18)

 16回目
−−−−−
 この春公開の劇場用アニメの音楽を担当するということなので、たぶんその作品世界とリンクすると思うサントラを取り上げます。
−−−−−

 なんてことを書いていたのですが、そのサウンドトラックが発売されてしまいましたので、紹介しておきます。

 川井憲次氏が最近また目立つ仕事が増えてきたのですが、その中でもたぶん「得意技」に近いジャンルの作品になるのでは、と思っていたのですが、その通りの出来になった感じです。

 今回取り上げるサウンドトラックは、

 逮捕しちゃうぞ! the MOVIE オリジナル・サウンドトラック
(VICL-60372 ビクターエンタテインメント)

 映画自体の内容については、ビデオが発売されているのでそちらを参照してください。

 劇場版で東京を舞台にした都市機能崩壊の話と来れば、前述した機動警察パトレイバーと同じような話になるか、と思いきや、そうでもなかったりします。(ただ、似ていますが)

 曲としての特徴は、これまでの中心となる旋律(メインテーマ)に対して関連する曲が形作られるといったものではなく、個別の場面にあわせた曲を作り込んでいるといった印象を受けます。
 このため、抑えめの音の曲と高揚感あふれる勢いのある曲がうまく調和し、適度な極端さをうまく作りだしているようです。

 5月中に、このサントラの曲をTV番組で聞くような気がしていますが…。
(結局、あまりきかれなかったのは、作品があたらなかった点と、同質の作品を複数制作していたことによるのでは)

(WOWOWのアニメコンプレックスの作品 鉄(くろがね)コミュニケーションやD4プリンセスの音楽も担当しているが、こちらは不発っぽい。
 ただし、NHK教育 コレクターズユイの音楽は、そこそこいくかもしれない)

○第24回 川井憲次さん
(初出 99/06/30)

今回は、前に何度か登場している川井憲次さん。CDについては、再掲になりますが
少女マンガのアニメ化した作品について、書いてみます。
 

姫ちゃんのリボン 音楽篇 (VICL-371 ビクターエンタテインメント)

赤ちゃんと僕 オリジナルサウンドトラック (TYCY-5516 東芝EMI)

今回取り上げる2枚のサウンドトラックは、90年代にかなりたくさんの番組で使われた曲が多くあります。

たぶん、その理由は、
1.少女マンガ 特に低年齢を対象にしたものは、日常描写と夢の世界という部分を持ち合わせているが、近年日常描写の方が比重を占めている割合が多いため。
2.あまり突拍子もない設定がほとんどでてこないため。
  (現実の方が突拍子ないから、かもしれない)

だと、推測します。
この辺は、ずいぶん前に書いた カードキャプターさくら も同じだと思います。

日常描写が中心になると、悲しい場面や元気よく駆け抜けていく場面などを、音楽によってデフォルメ(強調)することが多くなります。
また、他のアニメーションのジャンルのように、メインテーマを決めてそのテーマのアレンジバージョンが多用されるといったことは難しく、いきおい場面にあうようにその都度作られる曲が多くなるようです。

そのような曲を、うまく作れるような職人技に近いものを持っている作曲家は、そういるものではないようです。
そういう意味では、かなりうまくできていると思います。

また、別の作曲家がシリーズの続きの音楽をつくることがありますが、前任者がうまくその作品世界を表した音楽をつくっていると、その後をつくる作曲家も、かなりいい感じの音楽をつくってくることがあります。
(それは、その後のシリーズに例をだしてみます)

曲がいいのはいいのですが、なにせ本来つくられた目的のアニメ作品を知っているので、他の番組で使われると、そのアニメ作品の場面が頭の中に浮かんで、かつそのギャップがあると…。
ちょっと音楽効果の人、考えたらどう?と思うこともしばしば。
さらに、ジャケットのイラストがあの少女マンガの絵ですから、CDを買うとき、やはり恥ずかしいものですね。
(最近、そんな恥ずかしさも薄れてきて、やばいなぁと思うこともある)

第26回 川井憲次さん
(初出:99/07/27)

 劇場版パトレイバーの方は、湾岸戦争などのニュースでは重宝したという話を書いたと思いますが、今回紹介するのは、TVおよび新OVAシリーズの方のサントラです。

 劇場版がめっちゃくちゃハードな内容になっているのとうって変わって、日常風景+ドタバタ+それなりのアクションという「何でもあり」の作品になっているので、汎用性に富む楽曲がつくられています。

 曲のイメージそのままの映像が当てられることも多く、音効さん御用達のサントラだったような気がして仕方ないですね。
 

 PATLABOR ON TELEVISION (VPCG-80352)

  PATLABOR PHASEU"ASURA from SCHAFT" (VPCG-80392)

  PATLABOR PHASEV (VPCG-80399)

  PATLABOR PHASEW (VPCG-83217)

  PATLABOR PHASEX (VPCG-83240)

  PATLABOR THEME COLLECTION SPECIAL (VPCG-83206)

  PATLABOR THEME COLLECTION VOLUME2 KENJI KAWAI SPECIAL (VPCG-83228)
            (いずれも VAP)

 個人的に好きな曲は、たぶん(BGMとしては)使われないだろうなぁ、と思う曲ばかりですね。

 たとえば、PHASEW Track2 のあのテーマ'91
軽快な感じで、主題がうまくアレンジされて重なり合っていく感じは、なかなかいい感じですが、そんな高揚感のある映像ってそう滅多にあえるものではありません。
 もう一つ THEME COLLECTION VOLUME2 Track3 LOVE LIKE OURS
うって変わって、静かにピアノの主旋律が流れつつストリングスがうまくその情景を包み込むような曲調は、むしろ映画音楽に近く、これまた映像にあわせづらいようです。
(でも、どちらも使われてしまってはいますが)

 逆に、これは結構使われるんじゃないか、と思う曲は
 PHASEX Track13 Momoko's Report
 この曲なんかは、CDの再生スピードを変えられるプレーヤーを持っていると楽しいですよ。
追っかけっこの場面には持ってこい!

 こんな風に、音楽だけで映像のイメージを膨らませることも容易にできることを教えてくれるのが、このサントラだと思います。

 でも、実際の映像には「音楽」なんてないことを忘れてはいけないと思いますし、映像を見ただけで「理解した」なんて思わない方が利口なのかもしれません。

(実際の現場の気分を感じたくて、旅に出ていることが多い)

第42回 川井憲次さん
(初出:00/03/24)

 かつて、中国ネタのBGMといえば「らんま1/2」をいうことがかなり長い間続きましたが、現在はどうも「はれときどきぶた」の方が多いような感じがします。

 それくらい、よく聞いた人もいるとは思いますが、案外気づかれていないのが、今回紹介する「らんま1/2」のサントラだったりします。

 ずいぶん前に紹介した森英治さんのらんま1/2のサントラとはかなり趣(おもむき)が変わって、良くも悪くも現在の「川井憲次的音楽」の原型をつくっているような曲がたくさん収録されている感じであります。

 そうそう。今回紹介するサントラは、

 らんま1/2 熱闘音楽編 (PCCG-00013 ポニーキャニオン)*

 この一連のサントラの珍しい点といえば、メインテーマとなるような曲がないということでしょう。しいていうと、おちゃらけた曲と、落ち着いた感じの曲、格闘場面の曲、のように体系的に曲調が決まっているというふうにいえると思います。

 今でも使われているといってもいいくらい定番のサントラ、といってもいいくらい使用頻度が高いようで、今でも時折聞こえてくるのは、この体系的な曲調がたくさんあることに起因するのかもしれません。

 つい元のアニメ作品を知っているために使われていると笑ってしまうのが、Track15とかTrack17の曲。なぜかこれらの曲は日本の美しい風景の紹介のBGMとして使われることが多いようで…。

 シンセサイザーなどによる打ち込み系の音楽に作り方は近いはずなのに、それを感じさせないというところも、彼の特徴といえるのではないか、と思います。

 ついでに、
 らんま1/2 中国寝崑崙大決戦!掟破りの激闘篇!!音楽編
           (PCCG-00156 ポニーキャニオン)

 これは、劇場版のオープニング(Track1)などが、かつてはTX 日曜スペシャルなどの中国料理を中心にした番組のオープニングに使われていたようです。でも、その曲の最後の部分だけは絶対使われなかったなぁ。(その理由は、実際に聞いてみると分かりますが)

第78回 川井憲次さん
(初出:2002/04/15)

紹紹介するサントラは、WX III機動警察パトレイバー オリジナル・サウンドトラック(VICL-60851)ではなく、同時上映の

MINIPATO O.S.T. (ビクターエンタテインメント VICL-60852)

ご本人が「今回の音楽は、私のいままで培ってきた音楽的ノウハウをすべてつぎ込んだ渾身の作と思う。」と書いていますが、
額面通り受け取っちゃいけないことは、知っている人は分かることでしょう。

Track3なんとなくはじまる主題
Track4なんとなくはじまる主題、再び
Track5なんとなくはじまる主題、三度

…このタイトルを見ただけで、どういった曲のオリジナルサウンドトラックか分かる人は分かってしまうはず。
かつてのパトレイバーシリーズの音楽をどうアレンジしていくかということに特化したようなサントラです。

過去のパトレイバーシリーズのサントラの比較的印象に残る音楽の主旋律をほんの少し残して、あとは適当にたぶん普通はやらないようなアレンジを施していますので、
初めて川井憲次さんのサントラを聴く方にはおすすめしません。かつてのサントラなどをしっかりと聞いている方なら、このサントラのおもしろさが分かるかと思います。
(元の曲を知っていると、笑えますね。本当に)

また、普通アニメに限らずサントラは、その中の曲を聴くとだいたいの場面のイメージが浮かんでくるものですが、
このサントラではそういったことはまずないと思っていただいていいでしょう。どうも、作られた映像そのものも突発的にはじめちゃって、
ある意味遊んでいる作品なのかもしれません。

Track17 涙の高速艇、出漁す は、PATLABOR2 the Movieの曲をベースに作っていながら、途中でいきなり「ど演歌」に変わってしまうんだもんなぁ…

さて、こういった徹底的に遊んだ曲というのは、なかなか他の画面では使われないだろうなぁ…まず音にあった場面がうかびにくいし。

第87回 川井憲次さん
(初出:2002/09/24)

今回紹介するのは、

円盤皇女ワるきゅーレ オリジナル・サウンドトラック (日本コロンビア COCX-31912)

個人的には、絵的な部分でちょっと引いてしまいましたが、ストーリー構成やキャラクターの立て方でそれなりにおもしろく見ることができたのが、
円盤皇女ワるきゅーレという作品です。まあ、宇宙船がよく落ちる街だこと…そんな非日常にのどかな日常が占めていくということで、
違和感もなんとなく薄まってしまっているところがすごいというのか…

まあ、こういった非日常があって日常描写を中心とした作品というのは、これまでの川井さんの作品を知っている方にとっては
「来るものがあるかも…」と思うでしょうね。その通り、シリアスとギャグの絶妙のバランスで成り立っている曲たちが作られていましたね。

曲個別の説明は川井さん自身がブックレットに書いてありますからコメントの必要もないですし、音響監督の亀山俊樹さんが
「曲主体が主張するというより、映像をつけられることを前提として上で、すばらしい曲になっている。」というコメントをつけているくらいですからね。
最近のサントラの仕事としては、結構評価できるのではないかと思います。

特筆すべきは、やっぱりワーグナー作曲「ワルキューレの騎行」のアレンジバージョンが3つありまして、しっかり楽しんでいますね。
お茶碗だたきバージョンなるものもありますし。

第98回 川井憲次さん
(初出:2003/06/21)

紹介するアニメサントラは、
ガンパレード・マーチ〜新たなる行軍歌〜オリジナルサウンドトラック
(パイオニアLDC PICA-1278)

戦争物+学園ものというアニメ(言い切っちゃっていいのかとも思うのですが…)ということです。極端に学園ものっぽいコミカルな曲調のものはほとんどない…といいたいのですが、川井さんのサントラですからそういったことはないですね。

テーマが決まったマーチ調の曲が楽曲の多くを占めるのですが、必要以上にテーマに縛られることなく、これまでの川井憲次の曲のバリエーションを一通り織り込んだ楽曲に仕上がっています。

さすがに、表現すべき映像の情景に極端にズレがあるということで、落ち着いた日常・戦闘場面ではかなり異なった楽曲という印象を受けるはずです。

そうそう。
KENJI KAWAI CINEMA ANTHOLOGY (キングレコード KICA 9601-4)
も同時期に買ったんです。劇場用サウンドトラックでは場面にダイレクトにあわせるということでカスタマイズしているだけに、楽曲の質も高いと思いました。たぶん、こういったものがサントラ好きにはたまらないと思いますね。

でも、テレビアニメのサントラはどの場面ではめ込まれるか分からないため、どうしても汎用性を求められており、そういった部分での川井憲次の評価を私はしてしまうんですね。逆に場面をサントラの曲のタイミングに合わせたくなるくらい、場面をイメージしやすく、かつ他とは違う独自の楽曲と思える点は、どうも当たりはずれがでてしまうんですね。

そういう意味では、ガンパレード・マーチのサントラは結構汎用性という部分でマッチングした楽曲が(複数の表現すべき場面もあり)うまく表現されているのではないかと思うのでした。
 

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○第11回 根岸貴幸さん
 (初出 : 99/2/14)

 アニメ作品のオープニングやエンディングで使われる主題歌などのアニソンは、ずいぶん語られているようですが、私が書き続けているアニメ番組のサウンドトラックは、それとは別個のものです。
 その辺は、TVドラマも同じようなことがいえます。

 それはさておき、今回は根岸貴之さん。

 アニメの作品名は忘れてしまいましたが、一昨年あたりのアニメ番組で音楽を担当していて、曲自体はセンスがあるのにアニメ自体があまりよくないのでそれほどいい音楽じゃないなぁ、という印象を根岸さんの作品で持ったのが最初でした。

 だから、カードキャプターさくら(当初の放送はNHK-BS2 火 18:00)で、彼の音楽を聴いたとき、「いい素材に出会えたな」という感想を持ちました。

 サウンドトラック2で、監督の浅香守生さんが音楽全体のイメージについて、

 まず、ベースとしての少女漫画というものがあるので、女の子っぽいものというのは意識していました。で、さくらの世界っていうのは、少女漫画としての日常があるという一方で、さくらがカード封印のためにバトルしていくという非日常があるわけです。この非日常の部分に関しては、いわゆるロールプレイングゲーム的な世界を音楽としてイメージしていました。

 と、インタビューの中でいっていました。

 ここまで明確なイメージがあるということは、かなり作品世界をきっちりと構築しているものと想像できます。でも、日常と非日常をうまく音楽として同居させるということは、なかなか難しいものです。

 さらに、日常をきちんと表現する音楽というものは、起伏を作りづらく、単調なありきたりのものになる危険性をはらんでいるようです。
 それなりに評価されている日常の風景を中心としたアニメの音楽は、その点をうまく「アレンジ」していると思います。
(過去のあげたものでは、ママは小学4年生 がそれにあたります)

 根岸さんも、

 カードキャプターさくらのBGMを作曲するにあたっては、ファンタジックなカードの世界観、さまざまなキャラクター達の
個性などをいかに表現するかに注意をはらいました。
 私にとっては作曲するのは日常のことなのですが、小学生の生活、まして恋心など遠い昔に忘れてしまったことなので、「うーん、最近の子供達はどんな生活をおくっているのだろう?」などとよけいなことを考えつつ、いつになく時間がかかってしまいました。

 と、いっていますから、結構大変なことのようです。

 忘れていましたが、紹介するサウンドトラックは

 カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック  (VICL-60263)
  カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック2 (VICL-60342)
       (いずれも ビクターエンタテインメント)

 最近TV番組をそれなりに見ている人であれば、この中の何曲かは聞いているはずです。どうしてそれだけ使われるのかという理由は、日常と非日常がうまく調和した音楽達がいっぱいはいっているからです。

 根岸さんの音楽は、結構スタンダードな旋律が多く、妙に凝ったような感じの曲はほとんどありません。スタンダードな旋律であるがゆえに、品がよく感じられますし、メロディーラインがしっかりしていないとなかなかいい感じの曲として仕上がらないのですが、そこもうまく作れているようです。

第38回 根岸貴之さん
(初出:00/01/18)

 昨年2月にも紹介していますから、何となくどのサントラが紹介されるか予想がつく人がいるのでしょうけど、その通りのものが紹介されます。
(本当なら昨年8月あたりに紹介してそうな気がしたのですが…)
 

 今回紹介するのは、

 カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック3(VICL-60385)
 劇場版カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック(VICL-60446)
      (いずれも ビクターエンタテインメント)

 サウンドトラックの2弾がかなりいろんな場面での曲を収録したこともあり、3弾は緊張感のあるバトルでの曲が多くを占めています。
 そのため、アルバムとしてまとめて聞くときっついなぁ、という印象はありますが、曲そのものの質はきちんと保っているなぁ、という感じです。

 ほとんどが第2シリーズ(1999年6月までにNHK BS2で放映した分)のための曲ですが、第3シリーズ(俗に「さくらカード編」と呼ぶらしい)でメインテーマとして使われる曲がTrack17に登場しています。
 サントラ第4弾は、この曲を中心に他の曲が構成されるはずで、2000年1月放送分から、それらの新たな曲が番組内にも登場しています。

 このような長編のアニメシリーズになると、どうしても複数の作曲家で音楽を構成する例が多いのですが、それをしない点でも、特筆すべきアニメ作品ではないでしょうか。

 劇場版の方は、ある一つの作品としてつくるため、たいがいの場合TVシリーズで使われることはないものです。この劇場版サントラも、TVアニメの方では使われていません。このため、ふつうは他の作曲家に依頼することもあるのですが、作品世界の統一ということもあったりするのか、根岸さんが担当しています。

 劇場版の方は、作品世界の持つほのぼのとしたものを保ちつつ、場面カットにあわせた曲が並んでいた、確かに劇場版らしく「豪華に」つくられていました。

 曲はいいけど、個人的には「でもTV番組で使われることは、難しいのでは」と高をくくっていたら、まとめて何曲も使っている番組にでくわして、頭をまた抱えてしまったのであります。
 劇場版のTrack25が、間違っても競馬関係の番組で使われないことを、密かに祈っている私だったりするのでした。

第52回 根岸貴之さん
(初出:00/10/21)

 彼の代表作となったような感のある「カードキャプターさくら」もやっとアニメシリーズとして終わった形になっております。

 ということで、今回紹介するのは打ち止めとなるこの2枚。

 カードキャプターさくら オリジナル・サウンドトラック4 (VICL-60544)
 劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード オリジナル・サウンドトラック   (VICL-60591)

       いずれも、ビクターエンタテインメント

 オリジナル・サウンドトラック4の方は、さくらカード編とよばれるTVシリーズ後半部のために加えられた曲が収録されております。

 曲調などはほとんど変えることはなく、むしろ新たなキャラクターであるエリオルなどのために落ち着いた感じの曲が加えられたという感じであります。また、このように落ち着いた曲が多いのは、クロウカード編とよばれる前半部のようなカードを集めるといった動きのある映像から、どちらかというと心情描写に比重が移ったことにも、影響しております。

 このように、作品の前後半でその描くものが大きく変わり、それにあわせて音楽も追加されることはよくありますが、同じ作曲家に依頼して行うという事例は、たいがいの場合大きく作品が描く方向を変えるためにほとんどないはずです。
 それだけ、この作品では統一した設定という部分を大切にしつつ、ストーリーの展開などを組み合わせて変化をつけていることが分かるかと思います。

 この、作品としての統一したイメージというのが、カードキャプターさくらのサントラが発表された6枚すべてが使われるという結果になっているといってもいいでしょう。

 2つ目の劇場版のサントラは、その前にでた劇場版サントラと異なり、TVシリーズの最終話からのつながりを重視した作品となっているため、TVシリーズのサントラをまとめてさらにアレンジを加えた印象の曲がその多くを占めております。これまでの曲がどんなものだったかも含めてまとめて聴きたいのであれば、このサントラだけを聴いてみれば大丈夫といった感じになっています。
 

 さて、カードキャプターさくらの音楽は、メロディーというのか使われている主旋律はかなりオーソドックスなものであり、目新しいものはないと言っていいでしょう。では、どこが他のサントラとの際立った特徴かというと、リズムの崩しという部分だったのではないかと、私は推測しました。たいがいの場合、主旋律を奏でる楽器のリズムと同じように
他の楽器もリズムを刻むのが一般的ですが、多少の「ずらし」があるために主旋律だけとは違った曲の起伏を生み出しているのではないかと思うのです。
 それは、彼のアレンジした歌の多くで、そのような印象があったからですので、それほど確信があるものでありませんし、実際に楽譜まで見て確認した訳でもないので、ひょっとすると私の思いこみかもしれません。
 
 

第99回 根岸貴幸さん
(初出:2003/07/16)

取り上げるサントラは、
東京ミュウミュウ オリジナルサウンドトラック (NECインタチャネル NECA-30067)
東京ミュウミュウ オリジナルサウンドトラックvol.2 (NECインタチャネル NECA-30078)

私が作品中で聞いていた想定以上に使われているというところでしょうか。ただし、キャッチやメインテーマのアレンジ曲に他番組での利用が集中していることからも、それほどこの作品の特徴的な部分があって使われているとは言い難いようです。

根岸さんの曲は、基本的にクラシック的な音楽をベースとしていて、メロディーやアレンジを含めて際だった特徴を持つようなものはないというのは、以前にも述べたと思います。そういう点から、劇判として場面ごとにあわせた曲というものの多くは、どうしても類型的に聞こえてしまうというものをはらんでしまうようです。

そういった部分を比較的回避していて特徴的といえる曲としては、それぞれ主キャラのテーマがあげられるでしょう。とりあえず「変身」場面での曲ですから、キャラのイメージにあった曲調を選択して、徐々に変化させていくというのは、根岸さんの特徴を出しやすいもののようです。
最初に発売したサントラで利用しやすい曲が、後半にあるものが多いのは、そういった理由からでしょう。

vol.2の方は、作品のイメージを表すような曲よりも具体的な場面描写の曲が多く、またクラシック的な曲より打ち込み的な曲が多いのが特徴です。しかし、どうも過去に作られた作品のイメージが浮かぶような曲も多いという印象もあるものでして、サントラ全体として突き抜けたという印象を持ちにくかったんです。

まあ今回はまとまりのない説明になってしまいましたが、少女もの・変身ものということがあったことが、結果としてあまり特徴的な部分を出せなかったサントラという印象をしました。さて、そういった縛りがなくなるとどういった作品が作られるかというのは…それはまた別の機会にでも。

第100回 根岸貴幸さん
(初出:2003/08/28)

取り上げるサントラは、
成恵の世界 オリジナルサウンドトラック (Lantis LACA-5187)

このサントラって、最近あまり新作としては聞こえてこないフォークソングっぽい部分が聞こえてくるなぁ…と思ったら、音楽のコンセプトが「フォークソングのような口ずさめるメロティ」とのこと。実は根岸さんもそういった音楽が比較的なじんでいる世代であったわけですが、なかなかそういったものを繰り入れる作品というものはなかったのようです。

フォークソングのような曲として特徴的なのはTrack 27「奇跡な二人」でしょう。なんとなくフレーズをつけて口ずさめそうですし、同じメロディーラインの曲としてTrack 7「優しい気持ち」など、同じ主題の曲ですがアレンジ(編曲)による印象の違いをつけていて、テーマ性と汎用性を両立した作りになっています。もともと、アレンジャーとしての仕事が根岸さんはメインとしていたことからも、このサントラでも活かされた形になっています。

コミカルタッチな曲はあまり引き出しをもっていないようでして、過去の作品と似たようなメロディーが…と思いますが、それでもしっかり違った曲に仕上がっています。

宇宙も出てくる設定なので、当然雄大な世界を表現する曲があるんですが、音源を多くして広がりを見せるのではなく、あくまでメロディーとしてそれを表現している点は、評価していいかと思います。それは、あくまでこの作品がラブコメであるという前提を曲としても外したくないという制作側の意向がしっかりしているからなのではないでしょうか。

メインテーマとして、複数のアレンジバージョンが作られた曲である「大切な人」のメロディーの良さは、これまでの作品とは異なって成恵の世界をストレートにイメージできるようになっている印象があります。それは、トータルでこれまでの場面にあわせたバリエーションを作ってきたのではなく、まずメインテーマを作ってから、それにあわせて楽曲を作ってきたということなのでは、と思ったりもしたのでした。

このサントラに惜しむべきは、ライナーノーツとして楽曲の解説・根岸さんの話は掲載されていたのですが、音楽制作にかかわっていた方の名前が掲載されていなかった点。こういった形でないと記録として残りにくいですし、調べるのも難しくなるので、できれば掲載していただきたかったなぁ…と思っております。
 

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○第8回 増田俊郎さん
 (初出 : 99/02/08)

 第7回で扱ったブタ関連ということで、今回は「はれときどきぶた」の増田俊郎さん。

 この「はれときどきぶた」は、あくまで最近TVアニメとしてつくられた方ですので、お間違えなく。(間違える人はいないと思いますけど)

 原作の絵本とは全く違った世界をつくりだしてしまった感じのある、この「はれときどきぶた」は、音楽の依頼を受けた増田氏が「毎度毎度先の読めない裏切り倒しのストーリー」と、いってしまうくらい楽しい話になっています。

 そのおかげで、音楽もとんでもない楽しい作品になってしまいました。

 何度も何度も曲の発注を受けて、徹夜になっても「オレはなあ、はれぶたをやっているときが一番幸せなんだからな!」
 といわせてしまっているくらいの作品ですから、発注されるとき知らされるストーリーがよっぽどおもしろかったんでしょうねぇ。

 おかげで、放映していた1年以上の間、毎週笑わせていただきました。
 その反動で、この曲たちを他の番組で聞くたびに、ピンクの子豚の幻覚がやたらと見えるようになってしまいました。

 はれぶたを見たことない人も、たぶんこのサントラの曲は絶対聞き覚えがあるはずです。聞き覚えがないというあなた。あまりTV見ていませんね?

 
 はれときどきぶた オリジナル・サウンドトラック   ESCB 1841
                       (ソニーレコード)
 はれときどきぶた オリジナル・サウンドトラックVOL.2 SVWC 1201
                (SPE・ビジュアルワークス)

第44回 増田俊郎さん
(初出:00/04/22)

 はれときどきぶた で、過去にワタナベシンイチ監督作品の音楽を担当し、中国ものといえば「らんま」から「はれぶた」への
見事な移行を成し遂げた(?)くらい、妙なインパクトのある曲を提供しています。
 今回紹介する「エクセルサーガ」でも、このコンビで音楽をつくったんだから、しっかりギャグっぽい音楽になってしまいました。

そもそも、曲の題名自体

 そりゃぁもう、元気だけなら資金もかかりませんしぃ…。
とか
 軍隊ものがほしいっていうから…。
などというのふうに書いているし、

 挙げ句の果て、BOUNUS TRACKS 1として
 ウェザーなにがし
とか
 ズター・ウォーズ
などというタイトルがあるくらいですからねぇ…。

そうそう。今回紹介するサントラは、

エクセルサーガ 大いなるサウンドトラック 実験@ (VICL-60512)
エクセルサーガ 大いなるサウンドトラック 実験A (VICL-60514)

 原作通りにつくらないというし、「へっぽこ実験アニメーション」と銘打っているくらいですから、まっとうな曲ですらそう聞こえてこないという状態になってしまいます。

 露骨にパクっていて、その微妙な(編曲の)感じの曲はさすがというものがあります。それっぽく聞こえても、ちゃんとはずすところははずしていますからねぇ。

 メインテーマの曲がないサントラですので、それっぽい曲というか○○調といった曲を増田さんのイメージでうまいこと構築していったという意味では、増田さんの色がはっきり出たサントラとなっています。

 たぶん、作品を見ていなければまっとうなサントラなんでしょうけど、なにぶんへっぽこと銘打ったアニメ作品のサントラですから、購入者のかなりの部分は、笑いつつ聞いていることでしょう。

 ちなみに、TVCMでは、

 オリジナリティあふれる珠玉の名曲集!
 まったく新しい斬新なメロディーライン
 誰も考えつかなかった迫力のサウンド!
 アニメBGMの常識をくつがえす大胆な試み!

 と、テロップを入れていましたが、作品を見ている人はきっとギャグにしか見ていないんだろうなぁ。

 個人的には、あながち間違っていない部分もありますけど、サントラとしては結構常識的な線におさまっているような気がします。
(ただし、日本のアニメサントラとしては、という前提はつきますが)

 それはそうと、結構このサントラが他の番組で早速使われていたのには、納得するもののなんだかなぁ…、という感じです。

第51回 増田俊郎さん
(初出:00/10/07)

 個人的には、「だあ!だあ!だあ!」のサントラを紹介できるかな、と思っていたら、なかなか発売されず、別の作品を紹介することになりました。でも、基本的な部分は変わらないでしょう。

 前にも、お友達関係で作るとうまくいくと書きましたが、今回紹介する「デ・ジ・キャラット」も、その例にあたります。

 でじこのサウンドフェスティバル (キングレコード KICA 521)

 デ・ジ・キャラット サマースペシャル2000という、昨年末(だったと思う)にTBS系深夜のワンダフルで放送されたデ・ジ・キャラットの続編にあたります。(しかし、夏休みにTBSのみの放送。そのうちDVDなど発売)

 かわいいキャラがでてくるから、しょーもない話と思ったら、桜井弘明さんの監督作品ということで、しっかり「ギャグもの」になっていました。そうなれば、「とっちらかった」音楽を作る第一人者(といってもいいかもしれない)桜井さんの学生時代からのお友達 増田さんならではの曲がオンパレードとなりました。

 さすがに、キャラクターが歌う歌や主題歌は増田さんの作品ではありませんでしたが、挿入歌として入っている「せりふを歌にしたようなもの」は増田さんの曲でした。

 曲自体は、ジャケットさえ見なければスタンダードな劇伴ですよ。
サブタイトルとかアイキャッチなどは、うまく他の作品と違った曲になるように工夫されていますし、曲のほとんどが第1主題とちょっと変化を加えたブリッジで構成されていますからねぇ…。
 ただし、使っている音源数が案外に少なくて、本当にメロディーラインのみで聴かせているということになっていて、輪郭線の濃い曲になっている点が今回のサントラの特徴といえるでしょうか。
 ちゃんと、パクリっぽい曲もありますよ。お約束ということで。

 同時期の作品である「HAND MAID メイ」(WOWOW 水 18:30 7-9月放送)の音楽が思った以上に特徴に欠く感じがしたのと対照的に、デ・ジ・キャラットはうまいこといったような気がする。(HAND MAID メイは、声優さんの歌を売るといった部分では、うまくいっていたような気がするんですが)

第71回 増田俊郎さん
(初出:2001/12/03)

紹介するサントラは、地上波でなくBSデジタルでの放送のアニメのもの。

まほろまてぃっく 音楽編1 (パイオニアLDC PICA-1246)

アニメサントラでは、曲としてテーマとなるものを設定し、それらをアレンジするということはよく行われますが、
映像を作る側ではよくある特定の「キャラクターの視点・存在」によって表現するというのは、
なかなかないと思います。
CDのブックレットで増田さんがその手のコメントをしておりまして、そう聞いてみるとそうかな?とも思えるくらい、
曲調ではないひとつのテーマのようなものを感じられるサントラであります。

音響スタッフの方からあがってくるメニューもとに、劇伴というものはつくっていくもののようですが、
それもはずしているということはひとつの曲に複数の主旋律やリズムが存在していることからも、
なんとなく分かるような気がしました。普通は2つの主旋律ぐらいでおさめますからねぇ…

曲の感じとしては、品がよい感じで楽しくつくられているものが多く、
ある種学園ものっぽい曲(だぁ!だぁ!だぁ!のような感じといってもいいかも)と言いきってもいい感じがありますが、
キャラクターごとに作られているわけでなくいろいろな場面に品の良い主人公の存在を意識させる曲といってもいいでしょう。

たぶん作られるであろう第2弾ではシリアスな曲が増えていくのでしょうけど、今のところはすんなりと聴けると思います。

こういった曲は、比較的TV番組での使用が多くなる要素を持っています。
でも、なにぶんBSデジタルとそろそろ発売するDVDでしか聞くことできないので、
音楽効果や選曲の方が使うとは案外思えないのですが…

(2001.12.6に知り合いより、12/5にTV番組で(当然地上波でプライムタイムの番組です)このサントラが利用されたとの
 報告がありました。やっぱり…と思わざるを得ませんでした)

第81回 増田俊郎さん
(初出:2002/06/09)

紹介するサントラは、

藍より青し 藍青音盤一 桜
   (パイオニアLDC PICA-1249)

サントラとしてのテーマを統一していくという作業は、どんな作品でも何らかの形で存在するわけですが、それには
1 作品全体の世界観をメインテーマ(主題歌も含む)によって形作り、そのアレンジバージョンを中心に場面ごとの曲を作る
2 曲調を統一して、各場面にあわせた曲を個別に作っていく
3 キャラクターと場面を組み合わせた曲を作っていき、さらに作品として必要な場面の曲を作っていく
といった形になっていくのでしょう。(かなり、荒っぽい区別ではありますが)
1は、劇判などインストゥルメントを中心としてつくられている方では一般的な手法でしょう。
2は、制作側から要求して作られていく場合と、作曲者の得意としているジャンルを強調して作られるため、
荒削りながら最近はいくつかとられている特異な手法でしょう。
3は、キャラクターソングとリンクして行われることが多く、1990年代から多く作られている手法といえるでしょう。

増田さんの場合は、どちらかというとキャラクターを中心に場面の曲を構成するというものですが、
メインキャラの心情表現を中心とした場面ごとの曲というものが結果として一つのサントラとしてのテーマを形成している点もあるという、
ちょっと複雑なスタンスだったりします。
田中公平さんもこれに近い印象がありますが、場面表現の曲とキャラ表現の曲は結構明確に違っている点で、やはりスタンスの違いがあるようです。

この藍より青しでは、葵という時代錯誤ともいえる古風な女性キャラをメインに立てておりまして、
他のキャラを立てるような形でありながら、ベースとなる世界観の中心をこのキャラに求めなきゃならないというやっかいな設定だったりするんです。
このため、日常の場面表現のほとんどを葵というキャラクターをあわせることで作られているような感じです。

曲についての印象ですが、他のキャラクターの主題の曲はだぁ!だぁ!だぁ!やまほろまてぃっくなどでこれまで聞いてきたものに近く、
リズミカルでキャラクターの登場を印象づける分かりやすい音楽という感じでした。場面を表現する音楽の多くは落ち着いた
多少ゆったりとしたリズムで、かつ高め音域を音楽の出だしの主旋律として使われていて、
これが結果として作品及びメインキャラである葵がベースとして持つ落ち着いた印象をうまく演出しているようです。

ゆったりとしたリズムで日常の場面を表現する音楽というのは、ここ最近振り返ってみるとほとんどなかったような気がします。
そういう意味で、私としてはサントラとして気にかかるものだったりします。
 

第97回 ダブルオーツ・増田俊郎さん
(初出:2003/04/27)

今回は、ダブルオーツ(安部純さん・武藤星児さん)と増田俊郎さん

紹介するサントラは、
ななか6/17 オリジナルサウンドトラック ココロノオト
(Lantis LACA-5161)

作品の設定そのものが日常を描いていくこともあって、それにつけられる音楽も極端に曲調が変わることなく落ち着いた感じの曲がつくことになるんです。そういっても、スタンダードなものばかりを並べて音楽にしていくと、他の映像作品と印象がダブってしまいますし、作品もそれに引きずられたものになってしまいます。

こういった作品の音楽は、どうしても他の同種のアニメと音楽としての違いを感じづらいのですが、複数のテーマ設定と編曲を活用することが重要になってきます。メインとなるものをキャラクターや主場面設定といったテーマごとに複数作り、重ねていく楽器や曲調を微妙に変えていくことで、サントラとしてのバリエーションを増やしていきます。

そうはいっても、1人ないし1グループで作れるキャラクターなどテーマごとの曲をある短期間に作るのは結構大変なので、ある程度長期の場合は複数に発注するとか、当初シリーズの後期間をおいて新展開したら別の作曲家に発注することが多いです。

ところが、1クール(3ヶ月 おおむね13本)の作品でこのように複数に発注する事例はあまりないんですが、この作品の監督の桜井さんと長くつきあっているということでダブルオーツさんと増田さんと集まって、ざっくばらんに話し合って決まったとのこと。実は桜井監督の作品で双方参加しているんですが、その音楽の違いがあんまり分かりにくいんじゃないかと思うくらい、似通っている感じに仕上がっているんですねぇ。

そういうわけで、このサントラで担当がそれぞれ違っていることを確認するまで、曲として聞き分けするのは難しかった感じでした。それくらい、一つの作品テーマの曲群を一体して作ったという印象が感じられます。たいがいこの手の2チームによる音楽の場合、コミカルな方と重厚な方といった区分けで作られるんですが、このサントラではそういった形になっていないことがブックレットを見てようやく分かるくらいですから。

大まかな区分けとして、挿入歌やこの作品の中ででてくるアニメ まじかるドミ子 にかかるものは、ダブルオーツさんの担当ということのようですが、残りは作れそうなテーマを双方分担して作ったというところのようです。

作品が持つ多層的でまともに表現するとダークな印象を持つような部分を、コミカルな部分と絡めて演出することで、うまく緩和してしっかり最後まで興味を引きつける作品に仕上がっていました。その演出要素としての音楽としても、うまく仕上がっていたようですし、音楽そのもののテーマ性も(複数で作られたということもあって)あんまり感じられないため、他の映像への適用(汎用性)も兼ねそろえているということでも評価できるサントラに仕上がったようです。

第120回 増田俊郎さん
(初出 2005/10/08)

紹介するサントラは、
だぁ!だぁ!だぁ! オリジナル・サウンドトラック(ビクターエンタテインメント VICL-60596)
だぁ!だぁ!だぁ! オリジナル・サウンドトラック2(ビクターエンタテインメント VICL-60739)

増田さんが蟲師の音楽を担当することで、蟲師のアニメ制作関係者やファンなどが書き込みができる「蟲師空間」にごちゃごちゃと書いたんですが、
http://www.kanshin.jp/mushishi/
そこでいろいろとチェックしていたら、このサントラについてあんまり語っていなかったことに気づき、改めて書いてみようかということになりました。
(過去には、こんな風に書いている)
http://hp1.cyberstation.ne.jp/sh-kato/cd-09.htm#cd057

基本的にポップな曲調でまとめています。この作品の監督の桜井さんと増田さんとの対談(サントラのブックレット収載)では、「フレンチポップ系」とかいっていてそのうち「パリの街角の音楽(ミュゼット)」に変わって…ということです。
楽器としてはアコースティックなものを主としていて、その中にSFの部分もあるんでシンセがアクセントとして組み入れた感じになっているんですが、このバランスが絶妙と言っていいですね。

普通サントラは汎用的に作って、後で台詞を含めた映像にあわせるんですけど、この作品はどちらが気を遣ってあわせているということではなく、不思議なくらい音楽と映像が作ったかのように合っているんです。きちんと時間を計ったようにあっているという意味ではなく、こういった場面ではこれくらいのある程度の幅を持ったテンポで乗せていくといったレベルで、微妙なバランスであっているんですね。
それゆえ、このサントラは今でも日本のTV番組のあちらこちらで使われること…

アニメそのものが好評だったこともあり、第2シリーズとなって新たにサントラが作られたわけですが、普通なら新たな設定に対応したものを加えていくといったものになるんです。ところが、また新しくメインテーマを仕立てて、これだけに別個の一つのアニメのサントラとして作られるくらいのものができていたりするんです。それでいて、第1シリーズのテイストをきちんと残して、一緒に使っても違和感がないようになっているというのに、感動しましたね。
どちらかというと、第2シリーズは落ち着いた感じで、しみじみといろんなことを思うシーンの曲が多く、メロディーをゆったりと動かしている感じでして、汎用性はちょっと欠けている曲が多かったかもしれません。

まあ、なんにせよ2000年及び2001年に発売されたこのサントラは、5年たった今でも作り手の想定を超えて、音楽著作物として活用されている事実があることを、ここで改めて語っておく必要があるかと思います。

第125回 増田俊郎さん
(初出 2006/03/25)

紹介するサントラは、
「蟲師」オリジナルサウンドトラック 蟲音(むしのね) 前
(マーベラスエンターテイメント MJCD-20053)

今回この楽曲を作られた増田俊郎さんは、ブックレットのなかのコメントで、
「私は何もしませんでした。
 それはつまり、意図的に何もしなかった…という意味ですが…。」
と述べられているように、作品を見ていくことによって楽曲がイメージされ紡ぎ出されてきたことを示しています。そのことだけで、映像作品のサントラとしては秀逸の出来となっていることを示しているといえます。
それでは、作品との親和性が高く、他の映像にもあわせにくいかというと、そうでもなかったりするんです。

もともと蟲師は一つの場面なり話の固まりが長めにできている作品ですので、場面にゆったりとその雰囲気を感じさせる音を長めの旋律で流し、かつ似ていながら少しずつ旋律の音階を上げ(または下げ)しつつ流していっております。
そして、ベースでゆったりと流れる音と、旋律を奏でる音が、それほど音源(楽器など)をたくさん使うことなく繰り出されております。

こういったかなりシンプルな旋律なり音源で構成される楽曲は、とかく似たイメージになる可能性があるんですが、そういったことになっていないんです。その違いは、作曲者のそれまで蓄えた引き出し(楽曲のバリエーション)の多さと直感的に選び出せるセンスに起因するのではないかと思うんです。

引き出しの多さについては、増田さんのこれまでの仕事を見ていただければ分かると思いますし、今回の蟲師はそれらをベースにしているはずなのですが、全くいずれにも近(ちか)しいものが感じられない。新たな楽曲の世界観を作り出したと言っていいと思います。

日本の多少古めの時期の世界観を音楽で出すとすると、日本古来の楽器かそれに類する音を選び、どうも旋律も含めて類型化する感じがあるんです。
それとは異なり、音源は比較的いろいろなものを使い、壮大ではないにしても単調にならない広がりのある旋律を重ねていっている。ゆえに、飽きずに聞き続けることができる楽曲に仕上がっていると思います。
その旋律や音の重なりの方で、むしろ多少古めの穏やかな世界観を演出しているのではないでしょうか。

サントラのブックレットについて、惜しむべくは、音楽制作に関わったスタッフの明記がプロデューサーを除くとほとんど書かれていないことです。打ち込みで作られているにしろ、もう少し関わっている人がいると思われるのに、それが明記されていないと思われるのが残念に思います。(蟲音 後で明記されることを期待しております。ひょっとして増田さんだけで作られたということもあるかもしれませんが)
 

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第31回 久石譲さん
(初出:99/09/03)

 そういえば、久石譲さんのアニメサントラを紹介し忘れておりました。
 書き始めないと、なかなか進まないと思いますので、今回から時折紹介していきましょう。

 と、いうことで 今回は 久石譲さん。

 久石さんが宮崎駿氏のアニメーションの音楽をたくさん担当していますが、その中でTVでのBGMとしての頻度が一番高いのは、多分「魔女の宅急便」だと思います。

 そこで、今回紹介するのは魔女の宅急便のサウンドトラック。

 魔女の宅急便 イメージアルバム (TKCA-71030)
 魔女の宅急便 サントラ音楽集  (TKCA-71031)
           (いずれも 徳間ジャパンコミュニケーションズ)
 

 イメージアルバムを映画製作のかなり早い時期に作り、音楽的な部分をある程度確立するという手法は、風の谷のナウシカ以降かなりはっきりと意識して作られるようになったようです。(風の谷のナウシカのイメージアルバムだけで参加したはずの久石氏が、そのまんま映画そのものの音楽担当になってしまった、という話は、ナウシカを取り上げるときに、もう少し詳しく書きます)

 久石さんが映画公開あたりのインタビューに、魔女の宅急便の音楽は結構はやりっているような曲を狙ったような感じで作ったようなことがあったと記憶していますが、確かにこの映画以外にも使える曲たちがたくさんありますね。

 最近の久石さんの曲は、ある程度決まったパターンのようなものが感じられますが、この魔女の宅急便の場合は、それは感じられず、むしろ彼が持つ音楽のバリエーションをかなりいろいろとみせてくれた感じがします。多分、ポップな感じの曲が多いのは、このサントラやイメージアルバムだけのような気がします。

 現在の久石さんらしい曲調といえば、サントラ音楽集のTrack16神秘なる絵 (キキが飛べなくなって、ウルスラの家へいって絵を見たときにかかっていた曲)くらいのものだったかなぁ。
 それくらい、これまでと違った印象を受けた感じがしました。

 そういえば、イメージアルバムのTrack4 元気になれそう は、確かどこかの都市銀行のCMで使いませんでしたかねぇ。

 今でこそ、恥ずかしくなく購入できる魔女の宅急便のサントラですが、購入当時はねぇ…。

追伸
 これを書くきっかけをくれたのは、今日(9/3)NHK総合のドキュメントにっぽん。
 不意に聞こえてきた曲に、人それぞれの思いが重なっていることを
感じて、書かずにはいられなくなったからでした。

第48回 久石譲さん
(初出:00/06/30)

 今回は、久石譲さん。

 今回は、サウンドトラックより前にアルバムとして楽曲がつくられている珍しい例について。

 1992.2.12発売で、久石譲さんがMy Lost Cityというアルバムを発表しています。

 ピアノとストリングス(弦楽器)を中心にした曲で、都会の中で漂流する(格好いい)男の生きざまという感じが漂っている
雰囲気の曲でした。
 バンドネオンというタンゴでは欠かせない楽器にも、その奏者も含めてかなりこだわりを持ってつくられたという経緯が、
彼の著書「I am 遙かなる音楽の道へ」(メディアファクトリー)に書かれていますが、その辺が感じられる、本当に小気味よく聴かせてくれるアルバムです。

 このアルバムをつくっているときに、宮崎駿さんから依頼されたのが、あの「紅の豚」の音楽です。ちょうど同じ時代を描いており、かつ、主題もそっくりといっていい内容だっただけに、このアルバムを元に結果としてイメージアルバム・サウンドトラックがつくられたような形になってしまったようです。

 それにしても、双方ともに同じような時代を描いた作品をつくろうとしていたことを気づかなかったということですから、これまた運命的という感じでありますかね。

 この作品がでた当時も(中年としての)「格好良さ」がなんとなく感じられましたが、今あらためて聴くと、より一層その格好良さが分かってきたような気がしますね。

 そうそう。サントラの方は、

 イメージアルバム 紅の豚 (TKCA-30577)
 サウンドトラック 紅の豚 (TKCA-30596)
     いずれも 徳間ジャパンコミュニケーションズ

 サントラの方は、空を飛ぶという部分がでてくるため、アルバムよりも飛翔感がある明るい感じの曲調になっています。

 かつては全国ネットで放送されていたラジオ番組「バックグラウンドミュージック」でも聴いているような
心地よさと、格好良さがそろったような曲たち、といっても分かる人少ないだろうなぁ…。

 まあ、紅の豚自体メジャーな映画ですから、たいがいの方がその曲をお聴きであると思いますので、あまり細かい説明は
不要かもしれませんが。

第80回 久石譲さん
(初出:2002/05/31)

取り上げるサントラは、

風の谷のナウシカ イメージアルバム (32ATC-103)
風の谷のナウシカ サントラ盤 (35ATC-3)
シンフォニー 風の谷のナウシカ (35ATC-2)
(いずれも 徳間ジャパンコミュニケーションズ)

サントラを買い続けるきっかけになったのが、このアルバム群。シンフォニー 風の谷のナウシカのTrack5 メーヴェを
(かなり懐かしいFM番組ですが)サントリーサウンドマーケットで聞いたのが、実はその始まりなんです。

風の谷のナウシカという作品は、劇場用アニメーションの公開形式や販売の仕方でエポックメイキングであるわけでして、
結構語るべき内容が豊富な作品です。そのあたりは別の場でします。
今でもアニメ映画の場合、あらかじめ作品のイメージを作る前に作曲家に依頼して作成・発表することが多いようです。
風の谷のナウシカもそういった形でイメージアルバムを作ったのですが、どうもレコード会社などの目論見では、
映画のサントラは別の作曲家に依頼する予定だったようです。ところが、監督の宮崎さんやプロデューサーの高畠さんの頭には
そのイメージアルバムの音楽が鳴り響いてしまって、久石さんがナウシカのサントラを担当することになったということのようです。

イメージアルバムは、シンセサイザーでの曲が中心で荒々しく猛々しい部分を強くした感じのものやいかにも中東方面を
イメージできるような音源を利用した曲で、荒削りながら原作であるコミックスの(それまで連載していた部分までの)
イメージをしっかりと含んだものとなりました。
サントラの方は、映画を見ていただければ分かるように、イメージアルバムにシンフォニーの味付けをつけたような絶妙のバランスで、
場面がイメージできるような曲が作られています。
シンフォニー版は、伸びやかに飛翔していくような弦楽器を中心とした曲が多く、イメージアルバムに多様な表情をつけた形になっております。

そういえば、せっかくイメージガールを設定し主題歌を歌わせているんですが、
その曲をエンディングで使われなかったのは、推して知るべしというところでしょうか。

久石さんとしては、ナウシカのイメージアルバムに携わっていた頃はどちらかというとサウンドにこだわっていて、
特徴であったエスニックな要素を生かしてリズムもハードにしてという意識で作っていたと、著書(I am 遙かなる音楽の道へ メディアファクトリー)で
述べています。それでも、十分メロディアスな部分があることは、聞いていただけるを
分かるかと思います。

このナウシカのサントラは、通常のアニメサントラの売り上げのようにある一定数売れるといったものにはならず、
発売後半年以上チャート内にいずれかがランクインしていたということからも、
サントラとして飛び抜けたクオリティーとアニメファン以外への訴求力を持った楽曲であったようです。
 

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○第25回 佐橋俊彦さん
(初出 99/07/08)

今回取り上げたサントラのあとは、いくつかANB(テレビ朝日)系 日 7:30の戦隊ものの音楽を担当されていました。
(残念ながら、1999年2月からの番組では担当していません)

その戦隊ものの雰囲気が得意なんだなぁ、と後から持っているサントラを聞いてみて納得したものです。

今回取り上げるサントラは、以下の3つ。

GS美神 極楽音楽大作戦!! (KICA 155)
GS美神 極楽音楽大作戦!!U(KICA 167)
赤ずきんチャチャ 聖・まじかるレビューVOL.1 (KICA 192)
(いずれも キングレコード)

GS(ゴーストスイーパー)美神 極楽大作戦!!というマンガ自体が、かなり「何でもあり」といった感じなので、アニメーションも変わった手法(5秒も音がない状態を続ける、というのが一例)を取り入れて楽しんでつくられた作品になっていました。

音楽も、それに呼応するかのごとく、ロック・フュージョン・ジャズ・クラシックさらには民族音楽のエッセンスをぶち込んでつくられているという凝りようですが、聞いてみると納得できるくらいスタンダードなBG用の音楽という感じに仕上がっています。
ですから、不意にこの曲たちが別の番組できこえても、それほど違和感なく聞くことができるようになっています。
ゴーストスイーパーの話ですが、もともとギャグものですから、恐怖を助長するような曲がほとんどないというのも、特徴といえば特徴でしょう。

赤ずきんチャチャ という作品は、その手の人にはあまりにも有名な作品ではあります。
(この作品のサントラは、サントラというよりドラマCDに近いような気がする)
 もともと原作が持っている、少女マンガとしてのギャグものというスタンスを持ち合わせつつ、ある程度長く続けるアニメーションとして新たに「チャチャの変身シーン」を加えて、戦っていく部分を取り入れましたが、その変身シーンの音楽をメインのメロディーとしていくことになったようです。

その変身シーンの音楽で、最初につくったのは勇ましすぎてカワイクないという答えだったようです。次つくったのは、肩の力が抜けすぎてこれならはじめの曲の方が、となったため、勇ましすぎる1曲目のファンファーレを2曲目のカワイイメロディーと入れ替えて、完成させたそうです。
それが、CDのTrack7 マジカルプリンセスホーリーアップのはじめの方の曲になります。

結果として2つの主題を持つ音楽をうまく作り出すことができたため、他の音楽もうまく作品世界を作り出すことができたようです。

ちなみに、その後の戦隊ものの音楽も、この辺の部分が基本になってつくられているようで、結構似通っていたりします。
 

第43回 佐橋俊彦さん
(初出:00/04/13)

 1999年10月改編のアニメでの音楽担当がやたらと多かったのが、この佐橋さん。
気づいただけでも、
 鋼鉄天使くるみ(wowow火19:15頃 99.10-00.4)
 ビックオー(wowow水19:00 99.10-00.1)
 HUNTER×HUNTER(CX土18:30(放送時間異なる局多い) 99.10-)
 風まかせ月影蘭(wowow水19:00 00.1-00.4)
と、まあたくさんつくっています。

 個人的にひっかかったのは、この2つ。

 ハンター×ハンター オリジナル・サウンド・トラック VOL.1
       (MJCG-80018 Marvelous)
 風まかせ月影蘭 オリジナルサウンド傑作選
       (VICL-60535 ビクターエンタテインメント)

 ハンター×ハンターは、これまでの佐橋さんの曲調というより、むしろ彼がやりたかった音楽性のものという印象を受けました。
 民族音楽的な要素を中心として、リズミカルに旋律が流れていくというのは、作品そのものが持つものとかなり共通項があるようです。

 明らかにある場面を特定した曲というものはほとんどなく、それぞれの曲がダブりながら使うことだって可能というのは、佐橋さんがこれまでつくったサントラに多くあるメインテーマを中心にまとめていくというものと、ずいぶん異なっています。逆に、そのことが汎用性のある曲をたくさん生み出すことになったようです。
 

 風まかせ月影蘭は、逆に佐橋さんらしいといえばらしい音楽ですが、なにせ時代劇ですから、しっかり型にはまった曲もあったりします。
 ただし、不必要におちゃらけた感じにせず、しめるところはしめている感じの曲もあって、なかなか聴き応えがあるかな…
と思ったらしっかりおちゃらけていたりします。
 メインテーマをうまくアレンジしていき、場面にあった曲調に変えていっている部分は、さすがという感じであります。

 よく考えてみると、時代劇のサウンドトラックというのは、案外少ないような感じがします。そういう意味では、他のTV番組で
結構使われる可能性があるのかな?

第102回 佐橋俊彦さん
(初出:2003/12/21)

紹介するサントラは、
GUNSLINGER GIRL SOUND TRACK
(マーベラスエンターテイメント MJCG-80140)
フルメタル・パニック?ふもっふ オリジナルサウンドトラックアルバム
(ポニーキャニオン PCCG-00626)

佐橋さんを取り上げる場合、戦隊ものっぽい慣れているもの以外を取り上げているなぁ…通常要求されるバリエーション以外の方が、興味深い作品が多いように私は感じているものですから、自然とそういう取り上げ方になってしまいます。

戦隊ものの場合、映像がかなり型にはまった表現をある一定の割合求められるので、どうしても作品としてのオリジナリティがある曲のメロディーというのが限られてしまいます。そういったことがあっても、それでも毎回「違う」といいきれる曲を提供している方であるだけに、自由題といえる他のアニメでは、意外とも思える聴き応えのあるサントラを作られるようです。

ガンスリンガーガールは、イタリアが舞台ということでその雰囲気を感じられる曲調のセレクトをしているものもあります。それをうまく表現しているのだけでもさすがという感じですが、それよりも品のよいクラシックぽく前面に曲そのものが出ることなく、きちんと場面が表現されていてかつメロディーが立っている曲が多くを占めています。この手の楽曲を得意とされる方も何人かおりますが、単調になることなく(気づきにくいんですが)微妙にメロディーそのものを変えて、ある種の起伏を与えているようにできているようです。(この部分は聞き違えかも…ちょっと自信ないです。通常は、転調やリズムを変える例が多いんですが、それだと曲調そのものが変わったように感じるようです)

フルメタル・パニック?ふもっふ では、フルメタル・パニック(前作)とはうってかわって、ミリタリー色はすっかり薄れドタバタ学園ラブコメディーですから、日常的なのどかな雰囲気を描写する曲・ちょっとしたサスペンスっぽい場面を出すための緊張感のある曲・あくまでコミカルに間抜けな感じを出す曲をいくつか組み合わせて提供する必要があるんです。緊張感のある曲は他のサントラでも比較的登場していますし、コミカルな曲は風まかせ月影蘭で聞いたんですが、日常的な雰囲気を出すのに、リズミカルな曲を持ち出してきたのはさすが!という感じでした。意外(といっては失礼ですが)リズミカルなポップス調の曲でバリエーションがあるようでして、他の作品で活かされたらどんなにおもしろいものに仕上がるのでは?と思ったくらいです。
ただし、ポップス調の曲調自体は、ちょっと古めの感じがしましたが。

たくさんの作品を作っていると、どうしてもパターン化されたサントラとしての曲っぽくなるか、自らのオリジナルのパターンに聞こえてしまいがちになりますが、アニメーション作品自体がこれだけたくさんのジャンルに細分化されているだけに、音楽を作る側の引き出しを新たに引っ張り出して、より多くの興味深いサントラが登場するのではないでしょうか。それを感じさせた、2枚のサントラでした。

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○第15回 菅野よう子さん
 (初出:99/04/18)

 このサントラは、曲としてはいいけどたぶん使われないと思っていたら、会員でない我が弟から、「何でこんなに(TV番組で)使われているんだ」という話がありましたので、取り上げてみたいと思います。

 今回は、菅野よう子さん。

 彼女のアニメサントラ作品は、アニメマニア筋ではかなり音楽的な評価が高いものが多く、またアレンジャー筋でも評価が高いようです。

 MEMORIES という劇場用アニメのサントラや天空のエスカフローネ というTVアニメのサントラで、複数の作曲家の中にありながら、確実に「色」というものを曲として提示してきていました。

MEMORIES orginal motion piucure soundtrack
(VIZL-22 ビクターエンタテインメント)

 曲の変遷を知る上で、天空のエスカフローネの方が分かりやすいと思いますので、そちらの方を聞かれることをまずおすすめします。
ただし、このサウンドトラックはなかなかTV番組のBGMとしては使われることはないようです。溝口肇さんとの曲の違いから、その辺を評価してみられると、おもしろいと思います。

THE VISION OF ESCAFOLWNE ORIGINAL SOUNDTRACK    (VICL-769)
THE VISION OF ESCAFOLWNE ORIGINAL SOUNDTRACK 2  (VICL-772)
THE VISION OF ESCAFOLWNE ORIGINAL SOUNDTRACK 3  (VICL-773)
(いずれも ビクターエンタテインメント)

 1993年5月に日本アレンジャーズ協会が、辛島美登里さんの楽曲をアレンジ(編曲)した曲を披露するコンサートを行って
おります。その出演アレンジャーの中に、ずいぶん前に紹介した若草恵さん、根岸貴幸さんと今回紹介している菅野よう子さんがおりました。
(実は、CDとして発売しているが(ARRANGEMENT FHCF-2099 ファンハウス)今店頭にあるかどうか…)
 アルバム曲と異なり、かなり趣(おもむき)が変わるのが分かり、アレンジの意味がより明確になると思いますので、聞けたら聞いてください。

 話を戻して、エスカフローネの主人公の声を演じた坂本真綾さんのアルバムは、菅野よう子さんがプロデュースしています。
 アルバム全体としての音楽性の統一が図られており、きちんと聞かせてくれるものになっておりますので、興味があればどうぞ。
 グレープフルーツ 坂本真綾 VICL-60012
 DIVE     坂本真綾 VICL-60320

 今回の本題は、知る人ぞしる「カウボーイ・ビバップ」のサウンドトラック。

 TXで、切り刻まれ中途半端な形で放映が一旦終わってしまったといういわく付きの作品ではありますが、18時台のアニメじゃないというのは音楽だけ聴いても分かりやすいと思います。
 その後WOWOWノンスクランブルにて26話放送できましたが、その辺の話はたくさん他の人が書いているので省略しておきます。
 それはともかく、音楽としては本当に楽しめた作品でした。
 ソウル、ロック、ジャズ、ヒップポップなどのディティールがてんこ盛りの音楽ですからねぇ。
 アニメ作品のサブタイトル自体、そのものズバリだから当然といわれればそうですけど。
(ホンキィー・トンク・ウィメン、悪魔を憐れむ歌、ジャミング・ウィズ・エドワード、ジュピター・ジャズ、ボヘミアン・ラプソディー、マイ・ファニー・バレンタイン なんて題名が続くのですから)

 菅野よう子さんの曲をシンプルに語ると、本歌(ほんか)取り。
 原曲のイメージをそのままに菅野風のアレンジをしていくことによって、ひとつのオリジナリティーを作っていくというもの。
 どこかで聞き覚えのある曲のように聞こえるけど、実は全然違う曲になっている。そんな点は、他のパクリっぽい曲とは一線を画しています。

 これまでの紹介サントラに食指がのびなかった方々でも、このサントラはなかなか聴かせてくれるので、購入してみては。
 

COWBOY BEBOP         (VICL-60201)
COWBOY BEBOP No Disc  (VICL-60202)
(いずれも、ビクターエンタテインメント)

○第21回 菅野よう子さん
(初出 99/05/13)

 以前取り上げた、菅野よう子さんが音楽を担当したCOWBOY BEBOPの最後のサントラが発売されたので、ご紹介しておきます。

 ジャケットの青がまぶしいので、すぐに分かるはずです。

 COWBOY BEBOP BLUE  (VICL-60203 ビクターエンタテインメント)

 WOWOWで4月まで放映されていたアニメーションをごらんになった人は、確実にこれを聴くと、その世界にずっぽりとはまれるでしょう。

 アニメーションを見たことがない人も、たぶんしっかりはまれる音楽がぎっしり詰まっています。まるでかつての洋楽のアルバムを聴いているように。

 アニメーションのサウンドトラックとしては、考えられない数量の出荷数をあげたのは、その音楽性のよさからだということを、あらためてこのサントラシリーズ(3枚)を聴いて納得しました。

第60回 菅野よう子さん
(初出:01/03/30)

  今回紹介するのは、
  地球少女アルジュナ オリジナル・サウンドトラック
  (ビクターエンタテインメント VICL-60703)

 アニメサントラが好きという人が待っていた、菅野よう子さんのサントラが登場いたしました。
 アニメ自体はいまいち評価がわれてしまうくらい、うまく主題がこなれていたかどうかの疑問はありましたが、
音楽の方はそれ単独でいい感じに仕上がっていたりします。

 菅野さんが得意とする、どこかで聞き覚えのある曲調なのだけど、でもかなりいろんなアレンジをされていて、
新たな劇判音楽としての世界を今回も構築しています。

 今回はギターなどの弦楽器が主となって表現された曲が多く、
これまでの交響曲的な作り方(天空のエスカフローネ)ジャズなどの曲調が強い(カウボーイビバップ)などとも異なる、
ターンAガンダムとも違う、民族音楽っぽい気分を残した感じの曲がその多くを占めています。

  それにしても、この人の音楽の幅ってどこまであるんだろう?
  さらにいうと、発売して1週間もしないのに、もうTV番組での利用例があるというのは、
やはり一般的でない業界の人に近い筋には受けがいいという証拠なんでしょうね

第67回 菅野よう子さん
(初出:2001/10/26)

紹介するサントラは、

COWBOY BEBOP Knockin’ on heaven’s door O.S.T. FUTURE BLUES
(ビクターエンタテインメント VIZL-54)

テレビシリーズのサントラは、それこそ1回の放送は短いですが連ねると相当長い時間を表現することになりますがから、
場面ごとの音楽の数がたくさん必要になります。そのため、1度でなく数度にわけてサントラを制作することもあり、曲数が相当の数になります。
そういった中から、サントラとして収録するものを選択するのですから、結構いい感じの曲がセレクトされることが多いです。
TVバージョンのCOWBOY BEBOPのサントラは、そういった意味で結構聴かせる曲が豊富だったし、サントラの曲のセレクト自体も遊んでいた感じでした。

今回紹介するサントラは、劇場用にあらためてつくった音楽です。同じ菅野よう子さんの音楽ではありますが、TVでのサントラにあった
ある種の猥雑さが音楽そのもののパターンになってしまって聞こえて、いまいち目新しさに欠ける感じなんです。
確かに曲のクオリティーは高いし、いろんなジャンルの本歌取りのようなつくりになっている。
でも、なんか遊んだような間というのか抜けた部分がほとんどないような感じがする。

これは、たぶん映画のサントラという短い時間で表現する作品としての音楽になったということと、
COWBOY BEBOPがTV作品をつくっている時にあった熱がちょっぴり時間を経て覚めてしまったということも影響しているのかな。

同じ題材といっても、エンタテインメントは表現方法や時間・場所によっていろんな変化を生じてしまうということを感じさせたサントラという風に、私には聞こえたのでありました。

第92回 菅野よう子さん
(初出:2003/01/24)

紹介するサントラは、

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T. (ビクターエンタテインメント VICL-61051)

通常の楽曲のアルバムとして聴いたら、それほど違和感なくテーマ性のあるしっかりしたものであるという評価になるでしょう。COWBOY BEBOPのサントラよりも楽曲の曲調及びアレンジは、さすがと唸(うな)らせるものだったりします。

しかし、このサントラCDを劇判という認識をして聴くと、妙な違和感を感じるんですね。表現すべき場面が浮かびにくいくらい、楽曲として完成されていて「遊び」がない。逆にきちんとはまる場面がないとこれらの曲を使うのは難しいし、旋律も歌詞も立っていてカスタマイズされた曲という印象です。

歌詞付き楽曲が多かったとされる梶浦由記さんのNoirにしても、菅野さんのTVドラマのサントラ 23時の音楽にしても、ここまでイメージがタイトではなかったという印象があるだけに、今回は完成度を高めすぎたという感じを拭えませんでした。それゆえ、最近担当されたWOLF’S RAINというアニメの音楽は、そのズレを戻したという感じがあります。

それと、攻殻機動隊という作品から来るイメージとして、劇場版で川井憲次さんが示した方向性と(制作側自体が変えて来るという意思表示をしていましたから)ずいぶん異なっているのは理解できます。それを考慮すると、どうしてもあの攻殻機動隊のキャラクターや作品世界がイメージできないというのは、どうも作曲家より発注側の方にその理由があるように感じられたのでありました。


第178回 菅野よう子さん
(初出 2012/12/12)


取りあげるサントラは、
坂道のアポロン オリジナル・サウンドトラック (EPICレコード ESCL 3874)

音楽 菅野よう子と聞くと、ジャズが主の作品のサントラといっても変化球が来るように思っちゃうんじゃないかと思いますが、さすがに原作であるマンガやそれを元にしたアニメの作品の持つ雰囲気がスタンダードなジャズですから、きっちりそれに合わせてきています。

ただし、新録音でアレンジなどを加えていることからも、使われるであろう場面にあわせて、しっかりしたものや初々しいものなどいろいろ微妙なところで凝っ て作られています。そういう意味では、きっちり菅野よう子さんのサントラとなっていることは事実です。ジャズはそれほど関わっていないという本人の言葉が あるようですが、そんなこと感じさせませんね。

あと、4月末という発売からも、ひょっとすると作られただけで使われない楽曲もある可能性があり得るとのこと。そんなといろいろなことがありますが、まずは50分強の「坂道のアポロン」の世界観に音から浸ってみてはいかがでしょうか。
その逆に、その後作られたり実際使われたりした楽曲を新たに集めたサントラCDも発売されていますので、このサントラで気に入った人はそちらもどうぞ。



 

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第27回 大島ミチルさん
(初出:99/08/01)

 紹介しておこうかな、と思った作曲家のラインナップにあったけど、なにぶんアニメサントラとしてはほとんどの人が「知らない」作品だったので紹介しづらかったのですが、何とかたどりつきました。

 今回は、大島ミチルさん。

 アルバム発売のたびに紹介している西村由紀江さんと同じように、ヤマハ音楽財団のジュニア・オリジナル・コンサート(JOC)の出身。
 とうとうANB 日 朝7:00からの放送枠もなくなってしまいましたが、数多くのクラシック系の音楽家を小さいときに見いだしている財団の活動から生み出された作曲家の一人です。

 アニメーションの音楽でも、もともとクラシック系の音楽をつくっていた人が担当しますが、ほとんどの場合打ち込み系(シンセサイザーやMIDIなどを活用した音楽のこと)に近い音楽の旋律もこなします。
 しかし、大島ミチルさんはどちらかというと生楽器を中心とした音楽をつくっているようです。

 作品があまりにも注目されなかったのですが、サウンドトラックとしては結構聴けるのが、以下のサントラ(ただし、彼女の曲でない挿入歌などは浮いていますが)

 ミラクルガールズ オリジナルサウンドトラック (SRCL 2574 ソニーレコード)

 ついでに、NHKスペシャル 生命 40億年はるかな旅 のサントラも、彼女の作品なので紹介しておきます。
 

 生命 40億年はるかな旅 オリジナル・サウンドトラックT (VICL-537)
 生命 40億年はるかな旅 オリジナル・サウンドトラックU (VICL-538)
 生命 40億年はるかな旅 オリジナル・サウンドトラックV (VICL-641)
                       (いずれも ビクターエンタテインメント)

 CXでかつて日22:30からやっていた「ワーズワースの庭で」の音楽や、現在NHK朝の「おはよう日本」のテーマ曲も、実は大島ミチルさんの曲。

 テーマにあわせて、荒ぶれることもなく品よく複雑な旋律やシンプルな旋律をたぐって曲が作られています。逆にいうと、あまりに曲が心地よくて、曲自体の印象がないかもしれませんね。

 WOWOWノンスクランブルで 水 19:00から放送されていた「魔法使いTai!」は、かつてOVAでアニメ化されておりまして、その音楽を担当しているのが、大島ミチルさんです。
 WOWOW版の方はもう少し後に発売なので、OVAのサントラを紹介します。
 

 魔法使いTai! オリジナル・サウンドトラック (TYCY-5510 東芝EMI)

 かつての標準的な映画のサウンドトラックのような、シンプルで邪魔をしないクラシック系の曲が多くならんでいます。彼女のアルバムへのメッセージには、以下のように書かれていました。

「魔法使いTai!」このチャーミングなタイトルに誘われて、私は新しい音楽の世界をつくることになりました。その新しい世界とは、スピード感とメロディアスという一件相反する要素を一体化することによって、映像を見ている人に一層、ドキドキ、ハラハラ、そしてワクワク、楽しんでもらいTai!ということでした。(後略)

 そのおかげで、作品が持つカラフルな色彩と奥行きのある場面が浮かぶいい感じの音楽がつくられています。
 

第34回 大島ミチルさん
(初出:99/10/17)

 NHK朝の連続ドラマが、「すずらん」から「あすか」へかわって、音楽担当も服部隆之さんから大島ミチルさんに変わりました。

 それで、というわけではなく、
 作曲家別アニメサントラ-27で

> 現在WOWOWノンスクランブルで 水 19:00から放送されている「魔法使いTai!」は、かつてOVAでアニメ化されておりまして、>その音楽を担当しているのが、大島ミチルさんです。
> WOWOW版の方はもう少し後に発売なので、OVAのサントラを紹介します。

 と、書いておいたので再度の紹介、という形になります。
 

 魔法使いTai! オリジナル・サウンドトラック
  ミチルと千億の愛と魔法のしらべ (TYCY-10022 東芝EMI)

 前回のOVA版のサントラは、作品での登場順で音楽をならべるという形を取りましたが、今回のサントラは、キャラクターや場面などのテーマごとに楽曲を収録しています。サウンドトラックとしては、今回のようなならびの方が、聞きやすいのではないか、と思います。

 ただし、新たに追加されて作った曲は1/3程度で、実質的には、今回のアルバムがサントラとしてきちんとまとまった形になっているようです。

 この作品の監督による収録楽曲の解説がありますので、それを参考にして聞いていくと、どのように楽曲がテーマ性を持ち、また意外な方向に転がっていくのかがわかるのではないか、と思います。

 私の知り合いに、このサントラをジャケットをみせずに聞かせた後、ジャケットをみせると、「全然イメージが異なる」との感想をうけました。彼いわく、演劇などの劇伴奏曲かクラシックのように聞こえたとのこと。
 当然といえば当然ですよね。大島ミチルさんの音楽自体が、クラシックを土台にした曲ですから。

 それはそれとして、9月以降ワイドショーなどで何度となく使われているのには…。

 品が良すぎたり、曲の奥行きが映像をあわせる作品とミスマッチングをおこす例が(-13で紹介した 服部克久氏の 星界の紋章 のように)いくつか存在するのですが、この音楽については、そのようなことがなくむしろ作品の後半には完全になじんで「これでなくては」という印象を持ちました。
(服部克久氏は10月改編で登場したTVアニメに音楽提供していますが、こちらは作品世界とうまくリンクしている印象を持ちました。と、フォローしておく)

 打ち込み系の人がつくる品の良いクラシックなアニメ音楽曲とは一線を画す楽曲を、秋の夜長に聴いてみてはいかがでしょうか?
 オープニング・エンディングソングとなっている尾崎亜美さんの歌も含めて、ひとつのアルバムとしてもかなり聴き応えのあるサントラではないか、と思います。 

第104回 大島ミチルさん
(初出:2004/05/16)

今回は、大島ミチルさん。

紹介するサントラは、
鋼の錬金術師 オリジナルサウンドトラック1 (アニプレックス SVWC 7191)

最近、現代音楽っぽいオーケストラのサントラはあるんですが、クラシックな曲調の部分が目立つサントラがなかったようですが…ようやく、そういった感じのサントラが登場したという感じでしょうか。
実は、そういったサントラが出てくるためには条件がありまして、舞台設定やストーリーがクラシックの曲調としてある程度出てくる「重み」のようなものに耐えるだけのしっかりとした骨格のようなものが必要なんです。また、必要以上に重い感じがつかないように、コミカルな部分も併せ持つというバランスをとる必要もあるんですね。

鋼の錬金術師という話自体は、かなり重いテーマを持った作品であります。でも、そこで表されていく表現そのものは、どんよりと曇った感じではなく、むしろ曇ってはいるものの突き抜けるように広がりを持つ空のような鮮やかな部分を持っていて、それを音楽としてどのように表現するかということになったようです。(この辺は、サントラにあるブックレットの受け売りです)

現代音楽っぽいオーケストラというのは、ちょっと表現としてずれているかもしれませんが、表現すべき場面なりその登場キャラの心情といったものをかなり抽象的であるんですが、思いの外分かりやすい形で音楽に仕立てているんですね。確かに、大変な展開になったなぁ…ということは分かる。でも、複層的に場面が浮かんでこないんですね。

クラシックの曲調というのは、思いの外パターンで作っているように見えて、主題となっているメロディーと個々のリズムや転調などを使って一つの曲の中に複層的に場面を描いていることが多いんですね。そういった部分が、大島さんのサントラには明確に出てきておりまして、この鋼の錬金術師のサントラでも、いかんなくその表現が発揮されているという印象を受けました。

でも、作品そのものが持つ生命そのものの有り様と向き合っていくという重い感じの曲は多いです。それゆえ、(大島さんが以前作った魔法使いTai!のように)いろんな画像や場面に使えるといったものではないかもしれません。だからこそ、光のようなものが見えてくる曲がサントラの中に時折出ると、一層その輝きが増しているようにも思えるのでありました。

第107回 大島ミチルさん
(初出:2004/07/29)

今回は、大島ミチルさん。

紹介するサントラは、
まっすぐにいこう。 オリジナル・サウンドトラック・セレクション (読売テレビエンタープライズ/フィルター・インク PRPH-5016)

珍しいなぁ…ライナーノーツとともに大島ミチルさんの写真が載っているのって。

そりゃともかく、このアニメ作品自体かなり制作上余裕がある作りになっていて、2003年夏と2004年春にそれぞれ4話を集中放映しているものです。まず最初の放映では、妙に場面と曲のタイミングがよくできているなぁ…と思ったら、映像が出来てからその絵にあわせた作曲するという、映画音楽でよく使われている方法で作られているとのこと。まず、こういったぜいたくな作りは、TVアニメではお目にかかる事はありません。
場面にあわせた曲となっていますが、そもそもTVアニメですからカット割りは比較的多くなっているため、1曲あたりの時間はそれほど長くなっていません。むしろ、大島さんが作る曲の長さとして適度なものになっているようで、一つの曲の中でテーマにあわせた主題とその展開がうまく表現できているようです。

後半のシリーズでは、当初作った曲にテーマ性やキャラクターを表現するための曲を追加していきますが、もともとクラシックを基調とした穏やかだがリズミカルな旋律に、違和感なくマッチして作られています。たぶん、連続してサントラアルバムを聴いてみても、作られた時期の違いなどは気づかれないんじゃないかと。それくらい、一つのアルバムとしても適度に聴く事ができるものに仕上がっているはずです。

ちょいと前に紹介した鋼の錬金術師とまっすぐにいこう。は、同じ作曲家によるサントラなんですが、明らかに違った作品として認識できるものになっています。それは、作曲家が持つ旋律のパターンのようなものが比較的強くでる方でなく、微妙に切り替わっていく部分が多いことと、それほどメインテーマとなる旋律が力強く聞こえてこないので必要以上に残ることが少ないからなのかなぁ…と、適当に考えてみたのですが、どうもまとまらなかったのでした。

第108回 大島ミチルさん
(初出:2004/08/29)

今回は、大島ミチルさん。

紹介するサントラは、
花右京メイド隊 La Verite Original Sound track (ジェネオンエンタテインメント GNCA-1004)

個人的にはこの作品、絵とか表現されている内容でちょいとはじいている部分があるんですが…大島ミチルさんも、このサントラのブックレットの中で

初めて原作を読んだときは、あまり女の子が読む感じのものでないので「うーん?」と思いましたけど(笑)、絵がとてもかわいいので、その「かわいさ」が出せればと思いました。

というわけで、慣れない作品に対応していったという事のようです。

直近の作品と関連づけて言うと、鋼の錬金術師よりもまっすぐにいこう。の曲調に近いのは、作品そのものが持つ重い部分があるかどうかの違いのようです。ただし、作られる曲調そのものは作曲家の属性が反映した、穏やかながらリズミカルな旋律を重ねていっております。それゆえ、曲そのものから作品がイメージできるかというとちょっと難しいかもしれませんが、その反対にアニメ作品からは、そのサントラの楽曲が浮かび上がってくるように思います。かわいい感じのキャラクターの映像に、プラスアルファのイメージを組み込むのはストーリーやそのときつけられる音楽ですからねぇ。

大島ミチルさんの楽曲では、ブリッジのように短い場面などをつないだり表現ふくらませるのに便利な曲はそれほどなく、ある程度の長さの曲で大づかみな場面を表現する曲がそのほとんどを占めます。映像がない段階でそれらを作るわけですから映像とマッチしない可能性があるわけですが、不思議とそういった事態になることはアニメでは起こらないです。それは、作品が持つ全体的なイメージという部分は、制作するスタッフが設定なり打ち合わせて共有していることと、そうでなければ商業用アニメーションは製作できないということになるのかもしれません。
また、共有している部分の中に、視覚と聴覚の両方でイマジネーションしていく「のりしろ」のようなものがあるんでしょうねぇ。たぶん。

この作品で興味深いのは、音楽担当の方がオープニング・エンディングの主題歌も作られた点。いくつかそう言った例はあるんですが、それほど多くないのが現状です。
主題歌も含めて同じ作曲家が作ったことにより、作品の音楽全体の音楽構成にいい影響を与えていて、かつ主題歌がある種の音楽のテーマとして機能しているようです。それは、他の作品でも見受けられる特徴であるんですが、それ以上に主題歌のインストゥルメントが歌つきが前提となっていないかのように一つの楽曲として聞けるというのは、映像音楽をメインでやっている大島さんらしい感じがしました。

それと、大島ミチルさんがブックレットの中で、

映像音楽をやっていると歌ものは書かないと思われることが多いんですが、私、実は歌ものの曲を書くのはすごく好きなので、今回はうれしかったです。

とのことですので、次の作品に歌ものの曲があることに期待したいと思ったのであります。

第160回 大島ミチルさん
(初出 2010/10/26)

紹介するサントラは、
ソ・ラ・ノ・ヲ・ト オリジナル・サウンドトラック (Aniplex SVWC7681)

たすきにあった紹介文章を多少付け加えて、
大島ミチルが奏でる、優しく切ないギター系オーケストラサウンド
と銘打ってみた表題をあるサイトのカスタマーレビューで書いていたりします。そのレビューに多少加筆したもので紹介はいいかなぁ…なんて思って今回は書きました。

大島ミチルさんといえば壮大なオーケストラの楽曲を思い浮かべますが、今回はギター系の楽器をメインにしてオーケストラや打楽器を組み合わせているとのこと。具体的にはリュートやウクレレ、マンドリンなど東京・パリでそれぞれ録音したものを組み合わせ、はかなく、やさしく、そして切ないサウンドが作られています。
大島さんがタイトルを聞いた時イメージした、茜色に輝く空の風景と自然の中で響く音をイメージしたとのこと。これが、実際の映像を見た時の感想としてある、とても美しい背景とチャーミングなキャラクターと生き方が表現されている ともいっております。これだけ、作品のイメージが作曲家の持ったものと(かなり思い込みっぽいですが)合致した作品というのは、とても幸せな音楽と映像との出逢いだったのではないかと思います。

夢を持っている少女の物語だけど、どこか哀愁がほしい。そういった監督である神戸守さんの持っていた企画段階から漠然と持っていたイメージに、実は大島さんの「シャ・リオン」という楽曲だったそうです。いつか劇中にこんな音楽を使えたらいいなぁと思っていた曲の作曲家に実際に同様のイメージの楽曲を作ってもらえたというのも、またこのサントラの幸せな出逢いだったのかもしれません。(その同様のイメージの楽曲が何かは、実際聞いたら分かると思うのであえて曲名を書きません。)

こういった映像のイメージがかなり具体的になっていて、映像と音楽とのイメージがしっくりと来る楽曲は、意外と汎用性を持っていて、他の映像でも使われるかなぁ…と思ったら、やっぱり使われちゃってるなぁ というのが、その後の感想だったりします。
 

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○第14回 田中公平さん
 (初出:99/04/04)

 今回は、田中公平さん。

 紹介しようと思ったサントラのうち、剣勇伝説ヤイバのサウンドトラック(全部で3枚)は、もうメーカー出荷していないとのこと。
 ところが、TV放送での使用頻度はそこそこあるというサントラであります。

剣勇伝説ヤイバ オリジナル・サウンドトラック (TYCY-5309)
剣勇伝説ヤイバU オリジナル・サウンドトラック (TYCY-5330)
剣勇伝説ヤイバV オリジナル・サウンドトラック (TYCY-5388)
(東芝EMI)

 すっとぼけた曲やきりっと戦いの曲など、アニメを中心に汎用で音楽を制作してきている彼だけあって、メロディーラインにはそれほど際立つものがあるわけではありませんが、安心して予想された場面の曲が紡ぎ出されている感じがします。

 その「汎用性」が、その前に制作されている アニメ ひみつの花園の音楽のように、クラシックのような曲を中心にしたものが求められて、その通りの曲が作れるという形で、現れているようです。
(これまた2枚サントラが発売されていたが、メーカー出荷はないらしい)

ひみつの花園 オリジナル・サウンドトラック (PCCG-00141)
ひみつの花園 オリジナル・サウンドトラック vol.2 (PCCG-00170)
(ポニーキャニオン)

 仕方ないので、たぶん入手可能なサントラとして

 「究極超人あーる」スペシャル”R”BOX
(WPCL-561〜2 ワーナーミュージック)

 を紹介しておきます。
 この作品は、東京駅から伊豆急やJR飯田線を巡るというスタンプラリーに光画部が参加してドタバタをするという販売用アニメ作品です。
(車両などのディティールは、ロケハンをしただけあってなかなかよかったです)よろしければ、ビデオレンタルであるかもしれませんからチェックしてみてください。

 この作品のサントラのコンセプトは、「80分で分かる日本歌謡曲史」。
 田中公平氏と「あの」山本正之氏が徹底的に楽しんで作っています。
 スタッフ自らが、全54曲の解説をしておりまして、結構この文も楽しいんだから、もう…。(パクっていることもきちんと言っていますし)

その解説文から

田中 これもテレビで使われそうな気がするな。…使ってほしいなぁ。

山本 大丈夫。きっと使いますよ。テレビ局の選曲スタッフ、僕らが出した
   曲しか聞いていないのではないか、とすら思わせるような選曲を
   していますから(笑)

 …実際そうなんだから、困ったものである。
 それだけ、場面説明の汎用性に富む曲であることの証でもありますね。

 田中公平氏はゲーム音楽も作っていて、最近はサクラ大戦の音楽を担当していたが、汎用性の人だけあって曲としてはなかなかだが、作品世界に寄りすぎていてTV番組で使われる曲とはなっていない。
(そもそも、知る人しか知らないギャルゲーのサントラは、なかなか使いづらいらしい)

第50回 田中公平さん
(初出:00/08/17)

 1年半以上経ちまして、ようやく50回に突入しました。
 まだ、ネタはつきそうにありませんので、おつきあいください。

 今回は、田中公平さん。

 比較的多作な方で、山本正之さんなどと一緒にサントラを制作されていたりするので、アニメーションとしてはスタンダードな作曲をされる方です。
 印象に残る旋律を作り出し、それをアレンジすることが多いのですが、アレンジにはクセがあるんですが、そのテーマとなる旋律については、よく同じ人でこれだけつくるものだ、と思えるくらい、それぞれのアニメサントラとしては独立してつくられている印象があります。

 最近のものでも、ワンピース(CX 水 19:00)とサクラ大戦(TBS 土 17:30)が同じ作曲者によるとはちょっと考えにくいくらい、うまくつくられています。

 でも、今回紹介するのはこれらとはまた別の感じに仕上がったものになります。

 ゲートキーパーズTV オリジナルサウンドトラック
  (ポニーキャニオン PCCG-00540)

 TVとつきますように、この以前にプレイステーション用ゲームとしてあらかじめつくられたものが、その基礎となっております。(この流れは、サクラ大戦に近いな)

 ここ数年田中公平氏が作っている曲は、どちらかというと打ち込み系ののりのいい感じに近い印象のものがその多くを占めていたような気がしますが、この作品では、アニメ・ひみつの花園の音楽のように、クラシック(というより吹奏楽かな)の多層的に音を使っているような感じです。
 私としては、この手の作り方の曲の方が好きなので、WOWOWでの放送(月 18:30)を見ていて、すぐに「買い」と判断したわけであります。
(逆に、サクラ大戦やワンピースには食指が向きませんでした)

 インベーダーの登場する場面向けには、やはりシンセサイザーでなければ作り出せない金属のような感じのするきつい音が登場しますが、主旋律として流れる音は吹奏楽などで使われる楽器の音が使われていて、あくまでも存在感のある音で占められている形になっています。

 しっかり、田中公平氏らしい「すっとぼけた曲」も入っていました。
(この手のすっとぼけた曲は、川井憲次氏と山本はるきち氏も得意としていますね)

 危機感をあおる時って、スタンダードな曲の方が効果的なようで、まさに、その定番のような作り方がされていて、他の番組でも使えるかな?と思ったら、早速ワイドショーなどで使われていたのには、あきれるよりもみんな同じことを考えているなぁ…という感じです。

第65回 田中公平さん
(初出:2001/08/22)

今回紹介するサントラは、
機動天使エンジェリックレイヤー 歌と音楽の思い出section 1
(avex mode AVCA-14177)

田中公平さんが、アニメ・ひみつの花園以来久しぶりに少女もののアニメの音楽を手がけたというだけあって、期待に違わぬ品のよい感じの曲に仕上がったという印象を受けました。
最近、こういったクラシックを基調とした少女もののアニメサントラというのがほとんどなかったので、案の定発売後2週半で別のTV番組のBGMとして登場してきました。
(弦楽器や管楽器が目立つ感じで使われているサントラって、魔法使いTai!以来久しぶりかも)

エンジェリックレイヤーは、エンジェルのバトルが主になるのですけど、少年もののようなロボットを戦わせるというより、お人形を踊らせるという感じの表現が近い感じです。
このため、ある種のファンタジーを演出させるような、静かな感じでありながら、それでいてきちんとテーマとなる旋律で、サントラの曲が構成されています。

また、お約束ともいえる恋愛のドキドキ感などを表現するための、心理描写に使われるような曲も、そこそこ充実しています。そのためか、ギャグっぽい感じの曲がなんか少ない気が…
(田中公平さんといえば、どちらかというとギャグっぽい曲の方が目立つからねぇ)

今回のサントラでは、弦楽器のゆったりとしたリズムの部分と、管楽器のファンファーレのようにリズミカルな感じをうまく使い分けている点が、特筆すべき点なのかな。とにかく、主旋律となる部分の楽器がはっきりと輪郭線を持っていながら、飛び抜けた印象を受けることなく、うまく紡がれてひとつの曲となっている感じで、落ち着いた劇判に徹したサントラとなっている感じです。

63で取り上げたノワールのように、楽曲として聴き応えのあるサントラというのは、比較的一般の人やサントラを好んで聞いている人たちの評価が高いようです。
でも、私はどちらかというと劇判などのようなBGMに徹した感じで画像を引き立てる音楽というのも、評価してもいいんじゃないかな?と思っていたりします。

それは、あまりにもありふれた形で使われているために、その特異な価値があることに気づかないで消費されていく、これまでの文学・芸術的なものに対する評価と何か似通っているようにも思えたりもするのでした。

第68回 田中公平さん
(初出:2001/11/15)

紹介するサントラは、以前に紹介したサントラの第2弾。

機動天使エンジェリックレイヤー 歌と音楽の思い出 section2
(avex mode AVCA-14208)

アニメサントラでは、たいがい第1弾目に一通りメインで利用される曲が集まるものなのです。
それは、複数のサントラとして発売する予定がない場合が多いのと、複数つくるのを前提にした場合でも追加で作った曲を
どうしても後半に収録することが多いからです。ところが、このエンジェリックレイヤーのサントラはそうでもなかったんです。

たぶん、これが第1弾のサントラといっても素直にそう思えるくらいですし、楽曲をたくさん収録しようとするとよくある、
アレンジのみ変えた曲も少なかったようです。バトルの場面の曲が多いはずなのですが、心理描写を演出するような落ち着いたリズムの曲が多いのが、今回のサントラの特徴でしょう。

アニメサントラを買うインストゥルメンタル系の曲としての楽しみ方からすると、ちょっと派手さがない曲という印象なので、
食い足りないという感じがあるのではないでしょうか。田中公平さんのゲームや最近のアニメのサントラと比較するとそう見えるかもしれませんが、
ヤイバやひみつの花園あたりの曲を聴いていたものとしては、むしろこういった曲調の方が田中公平さんらしい曲という感じなんですね。

そういえば、このサントラの発売したのは2001.9.19です。たいがいの場合、その前日には販売店に届くので、
9/18に手に入れることができなくはないです。サントラのテレビ番組での利用は、はやくてもその1週間後で普通は2週間程度あとになるはずです。
ビデオ編集などの時間的都合もありますし、購入しないとサントラ収録の楽曲の時間も分かりませんから、1週間はかかると思っていたのですが…
このサントラのTrack 7 ふれあい が、9/22(土)朝のANB(制作はABC)旅サラダで早速使われておりました。

その後、エンジェリックレイヤーのサントラがどれだけたくさん使われているかは、何となく分かっていただけるのではないでしょうか。
 

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第33回 野見祐二さん
(初出:99/09/25)

 野見祐二さんは、坂本龍一さんの目にとまり、ともに仕事をするようになり、音楽の世界へ入ってきた方とのこと。
 坂本龍一さんのジャンルを問わないで音楽を作り出すという部分も持ちつつ、どちらかというとゆったりとしたリズムで、少な目の音源でメロディーラインを紡いでいくという感じのようです。

 今回紹介するサントラは、

 耳をすませば イメージアルバム TKCA-70597
 耳をすませば サウンドトラック TKCA-70648
          いずれも 徳間ジャパンコミュニケーションズ

 スタジオジブリ作品ということで、前回の魔女の宅急便との比較をしてみると、どちらかというと(特に宮崎駿氏で顕著な)劇的な起伏に富んだ場面がほとんどないため、ゆったりとした感じの物語世界を表現するものを中心とした音楽が中心になっています。

 イメージアルバムのTrack2のような、かつてのテクノのような音楽も作れるのですが、ヴァイオリンなどの音感を生かした
クラシックとも違う独特の音楽を表現しているようです。

 伸びやかに、じっくりと短くても聞かせるという曲は、イメージアルバムではつくりこむことが容易であるのですが、その気分をサウンドトラックでも生かせるというのは、なかなかできるものではありません。

 サウンドトラックにしてもひとつのアルバムとして聴くことができる、という意味でも、聴いていただきたいサントラですね。
 

第47回 坂本龍一さん 野見祐二さん
(初出:00/06/11)

 今回は坂本龍一さんと野見祐二さん。

 取り上げるサントラは
 オネアミスの翼−王立宇宙軍− オリジナル・サウンド・トラック
            (MIDI MDCL-1247)
 
 

 実際は窪田晴男さん・上野耕路さんもこのサントラに楽曲をつくっていますが、アルバムとしてはプロデューサーとしての坂本氏の色が濃いので、上記のような取り上げ方になっています。
 窪田氏も上野氏も、つくろうとしている楽曲のイメージを表現できる方として選ばれている感じです。そういう意味では、いい仕事はしているという印象ですか、彼らのオリジナリティーがある仕事とはちょっといいにくい感じです。

 坂本龍一さんのその後のサウンドトラックとしての仕事を見ると、やはりこのサントラが「習作」として存在しているなぁ、という印象をうけます。
 戦場のメリークリスマスというクラシックを主体とした楽曲を構築し、まったく異世界を舞台とした音楽をこのオネアミスの翼では打ち込み系(シンセサイザーなどを中心としてつくられた音楽)を基本として、必要に応じてクラシック系の音楽をあてがうという自在さが、このサントラにはあるようです。
 その後のラストエンペラーでは、このサントラで試したことをうまく使って、場面を効果的に演出していく良質の楽曲を提供していったようです。

 アニメサントラのこれまでありがちだった「メインテーマを中心とした楽曲」というものから、「場面毎にそれぞれ異なる楽曲」で一つの世界感を作り出すということを明確に提示し、アルバムとしても楽しめるサントラというものを創りだしたという印象が、私には強くあります。
 この辺が、プロデューサー坂本龍一さんの実力という感じです。

 このサントラの中で、いくつかの曲が坂本氏の曲というより編曲者の曲という印象をするのがあって、よく見てみると野見祐二さんの名前があったりするんですね。
 野見さんは、まだこの頃は坂本氏について楽曲をつくっているという段階だそうです。その後の「耳をすませば」に通じる仕事ぶりが、ここでものぞかせているようです。

 それはともかく、この頃の坂本龍一氏のアルバムをつくっていたメンバーでつくったサントラですから、たぶんジャケットさえみせなければ1987年頃のアルバムという感想を持つのではないでしょうか。
サントラらしくないサントラのハシリのようなサントラという印象です。

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第59回 和田薫さん
(初出:01/03/30)

 今回紹介するのは、
 犬夜叉 音楽篇  (マーベラスエンタテインメント AVCA-14099)

 金田一少年の事件簿,銀河戦国群雄伝ライ,いじわるばあさん,疾風アイアンリーガー,
宇宙の騎士テッカマンブレード,聖羅VICTORY,ロードス島戦記 英雄騎士伝,To Heart,
レレレの天才バカボン,からくりの君,STRANGE DAWN

 リスト化したものの中だけでもこれだけつくっていて、かつ最近の作品も多くあるのに、
なぜか初紹介だったりします。

 たぶん、本来和田さんが持っている曲のスタイルと、つくられた映像作品との間に、
ある種の差のようなものあって、映像がついていけなかったんじゃないかなとおもいます。
 和田さんは、ブックレットのコメントには、いろんな楽器を通常の劇判作りと比較して、
その現状を度返しして使ったと書いていました。
 でも、場面にあわせた楽器とかの使われ方の豪華さの効果より、作曲した曲そのものが持つパワーを
しっかりと受け止められる作品にやっと出会えたという印象の方が強いですね。

 アクションシーンとのどかな雰囲気が同居するような設定では、やはり輪郭線の濃い
多少主張気味でよりドラマチックな曲が劇判としてはえているように感じました。

 でも、かつてはこんな風に印象が強い劇判がアニメサントラの多くを占めていたんですけどね。
今では、ある程度予算をつけたTVアニメか劇場用アニメでしかこんな風な音楽は
お目にかかりにくくなっています。たぶん、劇判というより、題名のない音楽会に登場しそうな曲だよね。

 それにしても、これだけ和楽器がたくさん使われているTVアニメのサントラというのは、
たぶんこれだけなんじゃないかな。とにかく、和田さんがこれまで使った手法を惜しみなく使って
作った曲という印象があります。

 …でもね。これらの曲があまりニュースなどで使われないことを、ちょっと心配しているんですけどね。
(機動警察パトレイバーのサントラがニュースでよく使われる時って、
 明るいニュースでない場合が多かったことを、つい思い出したもので)

第110回 林英哲さん、和田薫さん
(初出2004/12/25)

紹介するサウンドトラックは、

SAMURAI7 (エイベックスio IOCD-20089)

SAMURAI7は、楽曲の数はそれほど多くないサントラとなっているんです。それは、一つの場面にベースとしてみせるための必要最小限の音楽で構成したいということの表れではないかと思います。実際、映像の複数のカットでの一つのまとまりで音楽をつけているというものになっていて、それでいてきちんと違和感なく動きと音がシンクロしているように見えるというのは、楽曲の持つリズムが適切な形で構成されているからだと思うんです。

アジアのどこかにある国での話ということで、たくさんの民族楽器群を使っています。ともすればバラバラになりそうな楽器の特徴をうまくあわせて壮大な汎アジア的で疾走感のある楽曲に仕上がっていますが、これは犬夜叉で似た試みをしてきた和田薫さんの手腕によるところが大きいと思います。(林英哲さんも、ライナーにこの点を述べています)
それにも増して、和太鼓をはじめとする民族打楽器群を適切に音楽として聴かせるものとして作り上げてきた部分は、林英哲さんのこれまでの活動あってのものという認識をしました。

かなり大括りな場面にあわせる音楽としてつくられているために、SAMURAI7に限らず、緊張感のある戦いの場面などいろんなちょっと長目のカットの映像にあわせやすいものになっています。さらにいうと、多少時代が古いと感じられる戦国時代から江戸時代くらいの再現映像にもあわせやすくなっているのではないかと、個人的に勝手に思えるくらい、アジアの楽器群はそういったイメージを思い起こさせる音なのではないかと、あらためて思ったのであります。
 
 

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第1回 大谷幸さん
 初出 : 99/01/28

 TVドラマでも、確か98年度後半の朝の連続ドラマ「やんちゃくれ」の音楽も担当していますように、いろいろな音楽を作っている方です。

 最近のTVアニメだと、「ポポロクロイス物語」とか「星方武侠アウトロースター」あたりがあります。ただ、どうも作品が持つ世界に寄りすぎて、あまり他の番組で使われるような感じの曲にはなっていません。

 でも、その作品の画面にあわせるとめっちゃくちゃその場面が浮かび上がってくるような曲を、多く作っています。
 サウンドトラック全体としていい感じに仕上がった曲を提供する、私の中ではそれほど購入する可能性がなさそうな、でも聞いてみるとうならせるもののある感じ曲が多いです。

 彼のつくったサウンドトラックで、一番使われているのが、たぶん

 逮捕しちゃうぞ オリジナルサウンドトラック 1 1/2。
  (ビクターエンタテインメント VIZL-20)
 
 

 分かりやすい例になるかは分かりませんが、98年3月頃までCXめざましテレビのスポーツのコーナーにはいるときの曲は、このサントラの41曲目(だと思った)ともう一つ別の音楽を重ね合わせたもの、とある雑誌にその番組の音楽効果の人がばらしていました。

 このサントラに、演出サイドから作曲家に対しての発注表をBGMメニューとして載っけているのですが、結構事細かな指示内容が書いてあり、それが大谷さんの持つ曲のバラエティーをうまく引き出したようなことを感じさせます。

 さらに、このサントラでは曲名がM-4-1といった具合に制作上つけられてコードを書いています。
これは、サントラとしての曲は、作品の場面毎に作成され、この時点で曲名がつけられることがあまりないからです。
 サントラCDといった形になる段階で、作曲者やアルバム製作者側がJASRACへの登録の時にその曲のイメージに合わせて曲名をつけることが多いようです。

 それはそれとして、一つのアニメ作品の中で、これだけバリエーションのある曲が使われていることを知る上で、結構参考になるサントラだと思います。
(ただ、私の場合は、アニメの場面とダブるため、TVの前で結構頭を 抱えていたりしますが)

第91回 大谷幸さん
(初出:2003/01/24)

紹介するサントラは、

灰羽連盟サウンドトラック ハネノネ (パイオニアLDC PICA-1270)

灰羽連盟という作品自体、映像やストーリーもモノトーンがかかったように落ち着いてゆったりと日常を描いていくという話でしたから、アニメの属性とされている感じの「デフォルメ(強調)」がほとんど感じられなかったです。そのため、サウンドトラックとして作られた音楽もキャラクターや場面にあわせて(通常よくある)細切れに作る必要がなく、むしろクラシックなどの楽曲のようにある程度の時間を持ってイメージを表現していくことに注力できた感じです。

歌詞のある曲ばかり聴いていると忘れてしまうのですが、ひとまとまりの楽曲というのはあるイメージを元に一つの完結した物語を表現していることが多いんです。だから、第1主題-間奏-第二主題という風に、一つの楽曲の中で起伏をつけたり、フェードアウトすることなくオチをつけたりするんです。
劇判として利用する場合、このような「通しで一つの作品」となることは、場面を演出するための汎用性という部分では困ったことになるのですが、音量を下げてイメージを補完するという役割にすれば、利用することが可能になります。

そういったある意味「立っている」楽曲というのは、楽器の数をある程度絞ってメロディーラインを明瞭にしてシンプルな音の重ね合わせで作られるもののようです。バロックなどある程度古典に近い音楽では、近代の交響曲などで特徴的な部分しか覚えられていない、ということがなく、かなりの部分まで覚えている例が多いことからも、なんとなく分かるのではないでしょうか。

大谷幸さんがこれまであまりクラシックに近い音楽をサントラとして作られた例を聞いたことがなかっただけに、この灰羽連盟の音楽は新鮮でしたし、本当に次々と浮かんできて作られた曲たちという印象を感じました。

第174回 大谷幸さん
(初出 2012/12/11)


取りあげるサントラは、
「人類は衰退しました」オリジナルサウンドトラック (Lantis LACA-15226)

大谷幸さんはいろんなジャンルの曲調の引き出しがある方で、表向き妖精さんの出てくるメルヘンチックな感じをうまく楽曲としてのフォローしているなぁ…と、感心させられましたねぇ。
このサントラでは。ピアノとシンセ、フルート・ギター・マンドリンやストリングスなど使っていますが、1つの曲で使っている楽器は結構絞っている感じがします。

なじみがある、でも新たなメルヘンチックな曲たちは「人類は衰退しました」の絵も含めたまず特徴である妖精さんたちがメインの落ち着いた感じで、台詞や物語全体にある一種のダークな部分を見事に包み込むことができているんじゃないかと。
でも、サントラですから場面に合わせたちょっと危機感に陥ったかもしれない曲もありますが、基本はメルヘンチックな曲調でうまくまとめ上げています。




 

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○第2回 若草 恵さん
 (初出 : 99/01/30)

 私は、この方を辛島美登里さんの曲のアレンジャー(編曲者)として知ったのが最初です。TVドラマの音楽も、90年代に入って結構やっていますので、結構曲調は聞き覚えのある方が多いのではないでしょうか。

 アニメの音楽は、CXの名作劇場で2つほど担当したようです。
 一つは「私のあしながおじさん」。もう一つは、今回紹介する

 ロミオの青い空 オリジナル・サウンドトラック VOL.2
 (WEA JAPAN  WPC6-8138)

 舞台がイタリアということもあり、どこか懐かしくのんびりとして雄大なサウンド・イメージを基本にしてつくった、と若草さんが
言っているように、スタンダードな旋律にいろいろな表情を織り込んだようなサントラになっています。

 私がこのサントラの中で、若草さんらしいなぁ、と思ったのは、基本旋律に対するアレンジのうまさですね。
 もっと分かりやすく言うと、オープニングやエンディングの曲のインストゥルメンタル(曲だけにしたもの)のアレンジは、
いろいろな人のアルバムでアレンジをするだけあって、新たな音の世界をはっきりと見せてくれます。
 この辺の曲が、結構いろいろな場面にしっくりとくるものがあるようです。

 このサウンドトラックを、アルバムとしてトータルで聞くと、ちょっと変化のない、でも落ち着きのある曲調で、安心して聞ける
のではないか、と思います。それだけ、じゃまにならないBGMとして秀逸だということでもあるのでしょう。

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○第3回 デビット・シルビーズさん
  (初出 : 99/01/30)

 本日は、日本のアニメでアメリカの人に音楽を依頼した、たぶん数少ない事例を取り上げます。
その作曲者は、デビット・シルビーズさん。

 第三若草物語を原作とした、「若草物語 ナンとジョー先生」。
 CXの名作劇場で唯一の続編となるこの作品。今までと違った試みを、ということで、BGMは原作の舞台、マサチューセッツの空気や色彩をより強くだしたいとの要望が制作側からあり、作曲・音楽録りすべてアメリカで、ということになったようです。
 時間がなく、英語に翻訳したメニューだけで発注されたという、かなり切迫した状態での依頼になったようですが、できあがってきた音楽は作品を見られた方はご存じでしょうが、見事なくらい制作されたアニメーションのイメージにぴったりくるものでした。

 派手さのないスタンダードな旋律ではありますが、これほど生き生きと登場する子供たちの表情を「描いた」音楽は、そう滅多にお目にかかれるものではないと思います。

 音だけで、プラムフィールドに行きたくなったら、どうぞこのCDを聞いてみてください。

 若草物語 ナンとジョー先生 MUSIC COLLECTION
(日本コロンビア COCC-13047)

 このサントラの曲を使うときは、不思議とやさしい気分が流れている映像によくかかっていますね。

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○第4回 千住 明さん 
 (初出 : 99/01/31)

 今回取り上げるのは、TV番組のオープニングテーマなどが
中心になっている感じがする、千住明さん。

 映画、舞台、TVドラマなど幅広く音楽を提供していまして、NHKスペシャル 世紀を越えて にも、音楽として参加していますし、NHK人間大学のテーマ曲も、彼の作品です。
(ざっとした形で知りたい方、千住明:サウンドトラックス1998-1997 POCX-1091/2 ポリグラム を聞いてみてください。さらに、世紀を越えて の方はサウンドトラックが出ています)

 アニメ作品では、映画 ちびまる子ちゃん〜わたしの好きな歌
 機動戦士Vガンダム、ビート・エックスがあるのですが、
私が紹介したいのは、

 ママは小学4年生 音楽篇 (VICL-296 ビクターエンタテインメント)

 千住さんがすべての曲を作っているわけではなく、神林早人さんや樋口康雄さんなども参加されてつくられているものではありますが、千住さんのアレンジャーとしてのよさを感じるものになっています。

 シンプルなのだけど、きちんと一つの曲の中にストーリーがあって、きちんと聞かせてくれる感じの音楽になっていますし、他の作品では陥りやすかった同じパターンを間延びして使ってしまうということもなく、小気味いい感じに仕上がっています。

 作品に対してのやさしさが、素直に音楽として現れている点は、基本的にはいいように作用しています。そのためか、ある種の画像に対する曲の汎用性を、この作品の場合はでているようです。
(ちっちゃい子供がでてくる場面では、要注意のサントラに仕上がっているような…)

 TVドラマだと 家なき子 あたりをあげておきたいのですが、どうも作品の厳しい内容に引きずられた感じがあって、どうも好きにはなれませんでした。(でも、サントラを買ってしまいましたが)
人間・失格 とか 未成年 あたりだと、彼の持つやさしさが曲だけを取り出すと作品に引きずられた分、つらく感じられます。

 それよりは、NHKスペシャル テクノパワー サウンドトラック
(メディアレモラス MRCA-20024 メディアレモラスは解散した会社なので、売っているかなぁ)
 の方が、彼の優しさを感じられてよかったような気がしますし、
実際やたらと聞くことが多いです。特に、ニュースで。

(世紀を越えて については、サントラのおまけ-01 第3回参照
 

第106回 千住明さん
(初出:2004/06/28)

今回は千住明さん。

紹介するサントラは、
鉄人28号 音楽集(キングレコード KICA641)

一言で説明すると「日本 映像の20世紀」と「テクノパワー」をあわせたような作品です…と、みもふたもない説明になっちゃいます。それには理由があって、戦後すぐの日本が舞台であってちょうど日本 映像の20世紀で取り上げられたような映像にあわせる必要があった点と、これまたテクノパワーで扱ったような土木・建築を中心とした変わっていく力強さのある場面が登場する場面が多いという、2つの作品のテーマが見事に合わさったアニメ作品のサントラだからだと、私は勝手に解釈しました。

それはともかく、千住さんが持つ壮大で力強く、その中に細かな場面描写が織り込まれたオーケストラを中心とした曲調が、いい感じにおさまっているんですね。また、作品自体のカット割りも比較的細かに変化することなく、うまく引きと寄りを組み合わせて長目の音楽をあわせても違和感ないように作られている点も、いい感じに作用している気がします。

それと、かつての鉄人28号でつけられていた音楽をうまく取り込んでいる感じがするんです。直接その楽曲を使っているわけではないんですが、それでも過去の曲を知っている人でも鉄人28号の音楽と思える点はさすがという気がします。一番端的な例は、主題歌なども千住さんが編曲を担当していますが、それでもかつての曲を知っている人にとって違和感を感じないところでしょう。これとは逆に、鉄人28号の主題歌を明らかに取り込んでいるのですが、微妙に違ったものという感じがうけるのが「彼氏彼女の事情」のサントラ(鷺巣詩郎さん)なんでしょう。たぶん。それは、作品にどう映像を当てていくかという違いに起因する違いなのではありますが。

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○第5回 安田 毅さん
  (初出 :99/02/01)

 今回は、結構聞き慣れている可能性のあるサウンドトラックをご紹介してみましょう。作曲者は、安田毅さん。

 マンガの原作、オリジナルビデオアニメ(OVA)、ともにかなり濃いファンが多くいる「ああっ女神さまっ」のOVAの方のサウンドトラック。

 ああっ女神さまっ 音楽編 VOL.1      (PCCG-00237)
 ああっ女神さまっ 音楽編 VOL.2 Super(PCCG-00258)
(いずれも、ポニーキャニオン)

 まず、このサウンドトラックの多くは、どこかで聞き覚えのある旋律が、アレンジを変えてでてきます。
 カシオペアからポールモーリア、ロッキーのテーマまででてくる始末。
 原曲よりも、こっちのサントラの曲の方が、TV番組では聞こえてくるかもしれません。とにかく、アレンジのセンスがいい。

 オリジナルの音楽も、作品のイメージをうまく吸収して、どんな場面でも使える感じになっています。
 一番使われているのは、たぶんCatchと表記されているアイキャッチ(番組の区切りで目を引き留めるための画面・音楽を指す)用の音楽。
 Catch(nyaa)などは、確かズームインサタデーのアニマールニッポンで使われていたはず。

 93〜94年発売のサウンドトラックですが、5年たった今でも、TV番組で使われることの多い理由は、聞いてみてもらった方が分かりやすいくらい、表情豊かな曲たちがあふれている、というふうに言っておきましょう。実は、普通のサントラに比べて、
あまり使っている楽器(というより音源)の数が少ないのです。そのためか、あまりがちゃがちゃとした感じの曲はなく、その
シンプルさが、主旋律をうまく生かしているようなんです。

 ものは試し、まずは購入するなりして聞いてみてください。
 ただ、OVAも一緒に見ることは勧めません。
 TV番組でこれらの曲がかかってきたとき、OVAの場面が頭の中によぎって、大変な目に遭うことを保証します。
(本当に、この手のサントラはひどい目に合い続けています)

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○第6回 岩代太郎さん
 (初出:99/02/05)

 岩代太郎さんは、TVドラマの音楽担当が結構多いです。
 番組名だけあげてみますと、
 WITH LOVE、理想の上司、恋も2度目なら、お熱いのがお好き?、妹よ、あぐり といったところでしょうか。

 きれいな旋律なんですが曲そのものは印象に残りにくい、ドラマにとってはいい音楽を提供している、と考えると、何となく分かりやすいのではないかと思います。

 ただし、他の番組で使おうとすると、なかなか使いづらいくらい個々のドラマにしっくりとくる感じの曲が多いようです。

 アニメーションの音楽の場合は、ドラマに比べるとそういった縛(しば)りが結構少ないようで、緩やかなテーマ性の曲を並べていくことができるようです。

 上記にあげたドラマのサウンドトラックと、

 H2 オリジナル・サウンドトラック  (KICA 260)
 H2 オリジナル・サウンドトラック2 (KICA 291)
(いずれもキングレコード)

 と比較して聞いてみると、何となく分かるのではないでしょうか。

 春先かけて、ゆったりとした明るいけど落ち着いた感じの曲が聞こえてきたら、ひょっとすると、このサントラの曲かもしれません。

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○第7回 淡海悟郎さん
 (初出 : 99/02/07)

 TVドラマのサントラや別のTV番組などを絡めて話をしてきましたが、そろそろアニメのみで語っていこうかな、と思います。
(と、いうか、なかなか他の素材とからみにくくなっているというのが、正直な話になります)

 今回は、淡海悟郎さん。

 最近別のアニメの音楽をやっていたようですが、あまり私の中では引っかからなかったなぁ。(確か、釣りのアニメ)

 ちょっとしたドタバタになるような場面に、テンポのよい「すっとぼけた」音楽が聞こえてきたら、たぶん

 とんでぶーりん 音楽集 (COCC-11986 日本コロンビア)

 女の子がブタに変身していろいろな話が繰り広げられるという、すっとぼけた話しですから、それにあった音楽、とでもいっておきましょうか。

 原案が実は少年マンガ。それを少女マンガにした作品ですから、この作品自体の経過が妙ですから、空飛ぶブタの奇妙な話はBGMでさらに妙な感じになっています。

 きちんと、ギャグモードでは三味線の音がでてきますし、緊迫する音のあとにはいきなり変わったりしたりと、定番の音の変化をして、楽しませてくれています。

 94年に発売されていますが、まだたまに聞こえてくるこの音楽に、最近もTVの前で頭を抱えていたのであります。

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○第9回 山本はるきち さん
 (初出 : 99/02/09)

 今回は、曲調としてギャップのある仕事をしている例として、山本はるきちさんを取り上げます。

 まずは、誰もが聞いてもいい曲だと思える例から。

 はじめまして 岩男潤子 (PCCG-00335 ポニーキャニオン)

 このアルバムの、2,4,5,7,8曲目が、山本はるきち氏の作・編曲の作品です。歌唱者にあわせたきれいな旋律に、思わず私も口ずさんだりします。(あまり私の姿を想像しないように)

 そんないい曲を聴いたあと、以下のいずれかのサントラを聴いてみてください。
 そのギャップに、笑いの出るかコケることは保証します。

「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」オリジナル・サウンドトラック  (AMCM-4366)
 浦安鉄筋家族 オリジナルサウンドトラック1−鼻毛な奴ら (AMCM-4391)
 浦安鉄筋家族 オリジナルサウンドトラック2−むつでゾーラム (AMCM-4392)
        (いずれも east west japan)
 

 アニメ作品を見た方はご存じでしょう。そう、回を重ねるたびに新たな音楽が作られていく曲すべて「まじめにあそぶ」曲ばかり。
 おかげで、最近バラエティー番組を中心に聞こえてくることくること…。

 これの前につくった「ケロケロちゃいむ」の音楽はなんだったんだろうか…。確かにこちらは仕事としてはパッとしなかったもんなぁ。

 映像で表現しきれない部分を、しっかりと音楽で表現することに徹した彼の仕事の丁寧さが感じられますが、原作が原作だけに他の人にはなかなかすすめにくいCDになっているのは、なんかくやしい。
(CD−Rにコピーして聞かせれば、確かに回避できるが…)

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○第10回 鷺巣詩郎さん
 (初出 : 99/02/10)

 今回取り上げるのは、鷺巣(さぎす)詩郎さん。

 あの有名な「新世紀エヴァンゲリオン」の音楽担当として知っている方も、多いとは思います。今でもTV番組で聞こえてくるこの作品のサントラは、もう語る必要がないような気がします。だから、あえて書きません。
(NHKの番組宣伝でも使われているくらい、一般的な音楽効果用のサウンドトラックと思っていただいて いいでしょう)

 不思議の海のナディア      (TYCY-5136)
 不思議の海のナディア Vol.2  (TYCY-5144)
 不思議の海のナディア Vol.3   (TYCY-5151) 
            (いずれも東芝EMI)

 90年にNHKで放送されたアニメ番組のサントラですが、曲だけきいてみると、それほどアニメの音楽という感じはせず、むしろ舞台などで使うような音楽に近いような気がしました。それとはうって変わった、いかにもアニメの音楽といった曲も当然ありますし、キャラクターたちが歌う歌にいたっては、もうそのものといった感じに仕上がっています。

 どうも、70年代くらいに流行った音楽を中心にしたコンセプトがあったようですが、それほどそのような感じが私には感じられませんでした。

 そのコンセプトをもっと突き詰めた感じになったのが、

 彼氏彼女の事情 ACT1.0 (KICA 440 キングレコード)

 いかにも70年代のホームドラマっぽい曲や、正太郎マーチなど、そのころを知っている人は素直に楽しめるんじゃないでしょうか。
 さらに、きちんとクラシックに近い感じの曲もあります。

 12月下旬に発売されたこのサントラCD。まさか、正月早々別のTV番組で聞くことになるとは思いませんでした。
 

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○第12回 片倉三起也さん
 (初出 : 99/2/15)

 今回は、ALI PROJECT。
 作曲の片倉三起也さんと作詞・歌の宝野アリカさんのユニットです。

 確かCLAMP原作のWishがイベント公開用で制作されたとき、その音楽と担当したのが、確か今回紹介するALI PROJECT。
 そちらの方は私の範囲外なので、ちょっと分かりませんが、そのときの音楽がよかったからでしょうか。一昨年TXだけで土曜日朝に放送されたCLAMP学園探偵団で、ALI PROJECTが音楽を担当しています。

 今回紹介するのは、そのサウンドトラック。

 CLAMP学園探偵団 オリジナル・サウンドトラック1 (VICL-60046)
 CLAMP学園探偵団 オリジナル・サウンドトラック2 (VICL-60060)
             (いずれも ビクターエンタテインメント)

 残(のぼる)は優雅に、蘇芳(すおう)は勇ましく、玲(あきら)は可愛く、イメージどおりの曲ができました。それは、女の子の味方で優しい三人を陰で応援するような気持ちで作った曲たちです。

 と、宝野アリカさんが書いているように、上品で優しく美しい曲たちが、このサウンドトラックの中で、いろいろな表情を見せてくれます。
 CLAMPの描く人々は、基本的に上流階級っぽい感じがします。その気分をきちんと織り込んで、それでありながらそれほど取っつきにくい感じのない曲に仕上がっています。

 アニメのサントラの場合、最初のものが印象が強く、そのため最初のものに比べてどうしても第2弾はあまり質的にいいものにならないことが多いのですが、このサントラ2は、1で紹介できなかったアレンジを変えた曲など、さまざまなシーンで使われた曲を中心にうまく作られています。

 このように、最初のサントラをアルバムとしてのまとまりを重視した曲の編成にして、次のサントラでは場面設定ごとにまとめられた曲を集めるといった形でほぼ同じテンションで作られるパターンは、同じくCLAMP原作の作品のカードキャプターさくらでも使われていました。
(サントラを製作した会社が同じということもあるのでしょうけど)

 今回取り上げたサントラの曲などに歌詞をつけて「歌」にすると、これがまた結構いい感じのものになっています。
ただし、これはALI PROJECTだからできる技法のような感じがします。

 Noblerot  ALI PROJECT  (COCP-50006 日本コロンビア)

 何曲かは、そんな風になっていますので、比較して聞いてみるのもいかがかと思います。

 今回取り上げたサントラは、ゆったりとした午後のティータイムに、BGMとして使ってみるとなかなかいい感じかもしれませんね。

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○第13回 服部克久さん
 (初出:99/03/23)
 

 音楽畑 という作品集を毎年出していまして、昨年で15枚目になっております。このアルバムは、2〜3枚あれば結婚式のBGMに困らないというくらい、BGMとして上質な曲が詰まっています。
(当然、私は全部持っています)

 アニメサントラはあまり目立つ作品を作られなかったようですが、最近ラジオドラマやWOWOWでアニメ化された「星界の紋章」の音楽を担当していまして、2月にサウンドトラックが発売されました。

 星界の紋章 オリジナルサウンドトラック (VPCG-84670 バップ)

 サンライズ制作のアニメということで、絵のクオリティーやストーリーの組み方はそれなりの作品ではありますが、服部氏の
音楽と合わせてみると、際立ちすぎているがために、どうも音楽と映像がしっくりとこないんです。

 それぞれを別にして味わってみると、結構いいような気がしますが、うまく融合していない感じを、私は受けました。

 服部氏の音楽は、クラシックを基調としながら、軽いポップスのテイストをうまく融合した作品が多くを占め、適度な重厚さと作品そのものが持つ気分を十分に発揮した音楽、といっておきましょう。
 CMやTV番組などで聞き覚えがあるはずなので、一度彼のCDを購入して聞いてみる価値はあるとは思います。

 彼の息子である服部隆之氏も、アニメなどの音楽をやっていますが、それは該当するサントラを購入した後に書こうかと思います。
(ちなみに、TVドラマ 王様のレストランの音楽は服部隆之氏の代表的な作品だと、わたしは思っています)

 <追加情報>
 1999年10月改編で始まった 無限のリヴァイアス(TX系)で服部克久氏はM.I.Dとともに音楽を担当しています。
 今回のは、音楽と映像がしっくりしているようです。
(作品全体が楽しめるかどうかは、また別問題。ここでは述べる内容でない)

第66回 服部克久さん
(初出:2001/10/01)

今回紹介するサントラは、
アルジェントソーマ オリジナルサウンドトラック
(ビクターエンタテインメント VICL-60623)
アルジェントソーマ オリジナルサウンドトラック2
(ビクターエンタテインメント VICL-60624)

服部克久氏については、最初に取り上げた時はあまりいい評価をしなかったからなぁ…
それはともかく、作品集であるアルバム「音楽畑」で見せている質が高くそつの無い曲は、
どのサントラアルバムでも健在という感じではあります。

それだけ、音楽としての質は高いのですが、どうしても細切れのカットになりがちのテレビ映像に
あわせるという部分では、その音楽の展開がゆったりであるということとなって、
映画音楽にむしろ近い感じの劇伴音楽と最近作られたサントラでは多かったという印象があります。

アルジェントソーマは、比較的長目のカットが多い印象がありますが、つくられた曲は
案外よくあるアニメサントラの曲に近い、短い展開の場面にあわせやすい曲が多かったという印象があります。

また、クラシック系の曲に多い和音を響かせるというものより、ある程度絞った楽器の音で構成させるという、
これまたある意味服部克久さんらしくない感じの曲が多いという印象を持ちました。

でも、結局印象に残る曲となると、サントラ2の方のCMにも使った
a wonderful wordのオーケストラバージョンという服部克久さんらしい曲だったりするんだよね。

曲を作る時も、その作る人の持っている引き出しというのが多い方が、
サントラのようにいろいろな場面を作る場合は大切だと思います。
そういう意味では、服部克久さんは引き出しが多くて、いろんな曲調をそつなく作っているようにも感じてしまいます。
でも、やはり得意とする曲調から大きくはずれてしまうと、
他の人が作った同じような曲が同じような印象になってしまうこともあるようです。

こういった、作り手主導でないアルバムというのは、ある意味おもしろい形で作曲家の側面を見せてくれます。
 

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○第19回 村山達哉さん
 (初出:99/05/03)

 誰かに読んでもらいたいというより、ただ書きたくて書いているこの自分の所有CDを紹介している感じの、この書き込み。
 毎回、このわがままな紹介におつきあいいただきありがとうございます。

 さて、今回は 村山達哉 さん。

 取り上げるCDは、

 ああっ女神さまっ 音楽編て事は 愉快だね   (PCCG-00465)
 ああっ女神さまっ 音楽編2って事は 続きだね (PCCG-00487)
(いずれも ポニーキャニオン)

 ずいぶん前に ああっ女神さまっ のOVA(オリジナルビデオアニメの略。テレビ、劇場以外のビデオアニメとして作成されたものを指す。OAVと略す場合もある)のサントラを取り上げましたが、作曲・編曲家が違うのに、曲の多くが「どこかに元の曲があるような」曲に仕上がっています。

 まあ、WOWOWノンスクランブルで放送されていたこの番組のサブタイトルに、
 大怪獣ガビラ とか チュウ・ハード とか 機関車岩ちゃん なんて
いうのがあるんだから、それはそれで予想されたことではあるのですが…。

 音楽編て事は 愉快だね は、1998年10月頃発売されましたが、この手のパクリが多い曲のサントラは、予想通りTV番組で結構使われておりました。

 それ以外の、この作品ならではのオリジナリティーのある曲も含めて、打ち込み系の楽器はほとんど使わず、協奏曲でつかうような楽器を使って作られているのが、やはり特筆すべきでしょう。
 派手さはないものの、しっかりとした編曲の質の良さを感じますね。
(通常この手のサントラでは、作・編曲者はキーボードやギターなどで参加するのに、村山さんは 音楽編2って事は の方でヴィオラで参加していることが、その理由かもしれませんね)
 
 「品よく遊ぶ」という感じなのでしょうけど、贅沢な作り方のわりには、オリジナリティー(独創性)は感じにくいかもしれません。

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○第20回 杉山卓夫さん
(初出 99/05/10 )

 久保田利伸氏とMOTHER EARTHというバンドを結成していた、とか、私をスキーに連れてって 波の数だけ抱きしめて の音楽を担当した、といった方が分かりやすいと思います。

 この方のアニメーションの音楽は、めぞん一刻だけです。

 たぶん、もう販売していないと思いますが、該当CD紹介しておきます。

 めぞん一刻 MUSIC BLEND (KTCR-1060)
 めぞん一刻 MUSIC SOUR  (H30K 20135)
 めぞん一刻 MUSIC Shake (H00K 20162)
いずれもキティレコード
 後者2つは、前半部分が杉山さんの作曲部分。

 ブリッジと呼ばれる、10秒から60秒以内の程度の短い音楽が多いのですが、これがまた結構「使える」曲が多いです。
(かつてのマジカル頭脳パワーという番組は、これしか使っていないのか、というくらい多用していた時期もあった)

 これまで、この手の音楽を作ったことがなかったということのようですが、逆にそのためにいろいろなものを当てはめて、トライアンドエラーを繰り返した結果、いい曲が作られたような感じがします。
 いろんなジャンルの曲のエッセンスが使われていますからねぇ。

 3分程度の曲は、シンプルな旋律に季節をうまくアレンジした感じで、派手さはないものの、聴かせる曲に仕上がっています。

 この曲たちが番組の主旋律の音楽として構成され、番組が終わるまできちんと「めぞん一刻」の音楽として使われ続けるくらい、芯のしっかりした旋律だったのかもしれません。

 めぞん一刻というアニメ作品は、TVシリーズと劇場版あわせて3人の作曲家が音楽を担当しています。
 このあと、気が向いたらその辺の話を書こうと思います。

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○第23回 森英治さん
(初出 99/06/08)

誰かが読んでくれると思いつつ、自己満足で書き続けているこのシリーズ。
競馬ネタや鉄道ネタと違い、説明しづらいったらありゃしないのですが、気が向いてCDを買っていただいて、「そういうことだったのか」と思ってくれれば、と思ってくれる人が一人でもいてくれることを願いつつ書いております。

今回は、森英治さん。

PICASSOというグループをご存じでしょうか?そのキーボードを担当していたのが、森英治さんです。
アニメ めぞん一刻のエンディングの音楽を4曲ピカソは提供しています。
その中で、いちばんピカソの音楽らしく印象的なのは、「シ・ネ・マ」だったのではないでしょうか。

それが縁というわけなのでしょうか。
劇場版のめぞん一刻の音楽を、彼は担当しております。
めぞん一刻〜完結編 は、映画としてはそれほど目立つものではありませんでしたが、音楽としては結構ひかるものがありまして、映画は見ていないのにサントラだけは購入していました。

オリジナル・サウンドトラック めぞん一刻 完結篇
(H30K20116 キティレコード)

Track5のIN THE MOONとかTrack1のI LOVE YOUなんか、結婚式の披露宴で使えるんじゃないかなぁ。

森英治さんらしい曲がうまく作品にあったのは、やはりYAWARA!なんじゃないでしょうか。
柔道の試合より、柔(やわら)の心情スケッチの方に重点があったアニメ作品なだけに、そんな気分を十分に生かした曲が多くありました。

YAWARA!名場面サウンドセレクション!! (KTCR-1081 キティレコード)

この中のTrack7 勝利の涙(当初出たサウンドトラックではDream&Emotionという曲名でしたが)は、かつてドキュメンタリーの感動する場面やなんかの表彰の場面によく使われていましたが、確かにこの曲を聴きながら見ると感動するよなぁ。

逆に、らんま1/2は、あまりうまく作品世界とマッチしたとは言い難い感じを受けましたが、音楽単独ではやはり聴かせるといった感じの曲が多かった気がします。
特に、間の抜けたキャラクターをイメージした曲は楽しめますね。
その逆に、格闘といったものを表現する曲はやさしすぎるのか、あまりピンとくる感じではなく、むしろ別のイメージを感じます。

らんま1/2 音楽道場 (D27G1003 ポニーキャニオン)

中国ものといえば必ずかかったTrack13-1とか、作編曲者は違うが、歌のはずなのにイントロしか(他のTV番組で)使われたことがないTrack10など、実は結構使われる頻度が90年代半ばまで多かったサントラでもあるのです。

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○第22回 ゴンチチ さん
(初出 99/05/27)

今回は、個人的にはアニメサントラ紹介としては「意外」な感じがするアーティスト GONTITI です。

GONZAREZ三上 さんと TITI松村 さんのお二人によるギターデュオで、たぶん、彼らの曲「アンダーソンの庭」は、必ず何度か耳にされているくらい、よく聞いてみると聞き覚えのある曲調のはずです。

個人的なTV番組リサーチでは、ゴンチチ T−スクエア カシオペアは、よく番組BGMとして使われるかなり「常連」のグループと思います。

だから、アニメサントラのように結構テーマ性の強いものを作ることはないと思っていたのですが…。

紹介するサウンドトラックの元となった原作のマンガというのも、アニメ化されるまで人気が出るとは(私が注目した1巻が発売された頃には)思わなかった「ヨコハマ買い出し紀行」(講談社 アフタヌーン連載)。

以外ついでに、このサントラがTV番組のBGMとして使われるとは私自身全く思わなかったんですけどね。

 ヨコハマ買い出し紀行 ベスト・サウンドトラックス
 (SRCL 4319 ソニーレコード)

作り出されたドラマCDやオリジナルビデオアニメを見聞きしてみると、ゴンチチを音楽として選択して正解だったなぁ、と思わせてくれます。

 お祭りのようだった世の中がゆっくりと落ち着いてきたあのころ。
 のちに夕凪の時代とよばれるてろてろの時間、ご案内。
 夜の前に、あったかいコンクリートにすわって。
           (ヨコハマ買い出し紀行 1巻のカバーから)

原作でもあるコミックス「ヨコハマ買い出し紀行」を見ながら、ゴンチチの音楽を聴きつつ、のんびりされるのもいかがでしょうか?

(蛇足 そういえば「ぼのぼの」の音楽もゴンチチさんが担当していたことを最近思い出しました)
 

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第28回 奥慶一さん
(初出:99/08/02)

 マーマレードだと変換するのに、ママレードだと変換してくれなかったATOKへのグチはともかく、ママレード・ボーイというTVアニメーションが1994年ぐらいにありましたよね。(ANB 日 8:30でした)
 アニメにトレンディードラマのような手法を持ち込んだという意味でも、ある種のエポックだった作品ですが、音楽の点でもインパクトのある作品でした。

 ママレード・ボーイVol.1 光希のミュージック・モノローグ〜劇伴音楽集〜
                (APCM-5037 アポロン)

 旋律のきれいさは、その以前から彼がドラマなどの音楽を担当していて、その当時からいいとは思っていましたが、なにぶんTVドラマというのは画面に対して主導権を絶対とってはならないような感じが(そのころは)あったようで、やはり印象に残りにくい曲が多かったです。
 ママレード・ボーイでは、キャラクターに応じたある程度の決まった旋律と、場面ごとの変化に応じた音楽が、かなりうまくいった感じで混じり合ったようでした。

 今でも、知らない間にどこかの番組で使われていたりしますからねぇ。

 久方ぶりに、奥慶一さんが日曜の朝のアニメの音楽を担当しています。

 おジャ魔女CDくらぶ その2 おジャ魔女BGMコレクション!!
                          (APCM-5134 バンダイミュージック)

 子供向けということで、親しみやすくておぼえやすい、けれども子供だましでないしっかりとした旋律の曲が、楽しげに遊んでいます。

 珍しい点としては、主役のキャラクターのテーマ曲がそれぞれ2曲という点。普通なら、アレンジしたバリエーションの曲も含めて10曲くらいをつくってその中からサントラ収録3曲くらいというものですから。

 ブリッジとよばれる短い曲はあまりないのは、最近のアニメサントラの特徴ですが、2分を越えるような曲がほとんどないというのは、なかなか手間のかかる難しい仕事をしているなぁ、という感じです。
(その反対にほとんど3分以上の曲ばかりというのが、菅野よう子さん。子供向けであるかどうかの違いは、この辺であらわれる)

 最後に、どうでもいい話を二つ。

 今回取り上げたサントラのレコード番号の英字部分が同じであることに、お気づきでしょうか。つまり、社名は変わっているけど、レコード会社そのものは同じであるということを示しています。ただし、たいがいは会社名変更とともにレコード番号の設定も変えるものなのですが。
(CBSソニー→ソニーミュージックエンタテインメント がその変更例になります。この場合CSCL→SRCLといった風に変更されています。)

 バンダイミュージックは、そろそろ会社解散するようなので、今後おジャ魔女どれみ#のサントラなどがどうなるのかも、ちょっと気になります。(結局、キングレコードになったそうです。も〜っと おジャ魔女どれみはマーベラスとなっています)

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第29回 服部隆之さん
(初出:99/08/21)

 作曲家別アニメサントラ紹介-13で、服部克久さんを紹介しましたが、今回はその息子さんの服部隆之さんの作品を紹介します。

 実は、現在NHK朝の連続ドラマ「すずらん」の音楽は、服部隆之さんが作ったものです。(オープニングテーマがSLすずらん号でずっとかかり続けたのには閉口しました)
 こちらの曲は、それほど個人的には好きではないので、あえて紹介しません。(サントラもでていますが、たぶん私は買わないだろう。でも曲はいいものばかりのはず)

 服部隆之さんの作曲でたぶん一番聞き慣れた曲は、CXのドラマ「王様のレストラン」のテーマ曲でしょう。

 王様のレストラン オリジナル サウンドトラック(SRCL3235 ソニーレコード)

 アニメサントラの購入が厳しい方は、まずこのサントラを聞いてみていただくと、いいかと思います。
(ただし、発売からずいぶん経っているので売っているかどうか…)

 このサントラの曲調に、映画としてのいろいろな場面のための曲をつくりこむと、スレイヤーズのサウンドトラックになると考えていただくと、分かりやすいかと思います。
 クラシックを中心とした曲の組み方ではありますが、いろいろなジャンルの曲調をうまく組み合わせて、映像に負けず・邪魔にならない曲たちができあがっています。
 父・服部克久氏との比較をすると、比較的主旋律の短い曲が多く、その分汎用性がある曲が作られていると思います。

 スレイヤーズ:THE MOTION PICTURE                      (KICA 254)
 スレイヤーズRETURN:THE MOTION PICTURE "R"     (KICA 314)
 スレイヤーズすぺしゃる:THE MOTION PICTURE "S" (KICA 318)
  スレイヤーズぐれえと:THE MOTION PICTURE "G"   (KICA 364)
            (いずれも キングレコード)

 スレイヤーズはTVシリーズもあり、こちらの音楽は手塚 理さんが担当しております。同じ作品世界なのですが、音楽・キャスティングどが結構違っており、その辺の違いを比較して楽しむことができますが、さて音楽に関してそこまでスレイヤーズファンが気にしているものでしょうか?

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第30回 松岡直也さん
(初出:99/08/25)

 昨日、ふと頭の中に浮かんだサントラを紹介しておきましょう。

 今回は、松岡直也さん。

 NTV系列で深夜に「タバコ一本のストーリー」ということで、わたせせいぞう原作の「ハートカクテル」を映像化した5分番組がありました。(提供は日本たばこ産業だったはず)

 映像的には今でも風変わりなものがありましたが、音楽的にはかなりインパクトのある曲たちが登場しました。

 この作品のサントラVol.1とVol.2を担当したのが、松岡直也さん。
 フュージョン系の曲をご存じの方なら、たぶん分かると思います。
 でも、彼のアルバムの中で一番TV番組での使用率が高いのは、たぶんこのハートカクテルだったんじゃないでしょうか。

 ハートカクテル Vol.2 /松岡直也 (32XL-200 ワーナーパイオニア)

 都道府県などの(5分ほどの)広報番組での使用割合が高いのは、リチャードクレーダーマン、ポールモーリア、服部克久と、このハートカクテル Vol.2なんじゃないかなぁ。
 たしか、今でも東京都のある広報番組の1コーナーでは、Track2 兄のジッポ が使われているよ。

 ラジオCMでも、たとえばTrack11 虹色の風 やTrack9 今をフリージングなんて使われているんじゃないかな。

 たぶん、聞き覚えのある曲がたくさんあると思いますよ。
 

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第32回 松浦晃久さん
(初出:99/09/19)

 過去に、らんま1/2の音楽を担当した森英治さんと川井憲次さんについては紹介しております。(川井さんのらんまの曲については、別途書き込むつもりです)
 らんま1/2というマンガは、とりあえず格闘というものが基本になっています。ですから、戦うような場面やその緊張感を演出するような音楽がベースにあって、そのほかにもともと原作者が得意としている恋愛ものとしての内容にあった曲がいくつか組み入れられると言ったものが、森さんと川井さんが作ったらんま1/2のサントラでした。

 ところが、TVシリーズの最後の方で音楽を担当した松浦さんは、これまでの流れを完全に断ち切った、オリジナリティーの強い音楽がでてきたんです。

 楽器の数も少なく、起伏のあまりない旋律。むしろ70年代の凝らないサウンドトラックに近いものを感じました。
 ですから、格闘などの曲というより、心理描写の場面とかに使われる曲がほとんどになっています。
 懐かしいフォーク調の曲(Track 5など)なんかもあって、ある意味で新鮮な感じを受けました。
 そうはいっても、Track10みたいにドタバタするような曲もきちんと存在していますよ。

 らんま1/2最強音楽編 (PCCG-00175 ポニーキャニオン)

 あまり使われないかなぁ、と思っていたら、さすがこれまでのらんま1/2のサントラの使用頻度の高さから、このサントラも結構使われていますね。

 ただし、打ち込み系の音楽にありがちな平板な曲が多く、松浦さんらしさというものをあまり感じなかった感じも受けました。
 

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第35回 星勝さん
(初出:99/11/17)

 70年代にニューミュージックなどの楽曲のアレンジャーとして活躍した方ですが、このおもひでぽろぽろというアニメ映画作品の持っている気分としっくりマッチした曲を提供していたのではないか、という印象を持っています。
 なぜか、というとこの作品自体、70年代を土台として現代を表現している作品だったから、だと私は認識しています。

 サウンドトラックの方(おもひでぽろぽろ オリジナル・サウンド・トラックTKCA-30331 徳間ジャパンコミュニケーションズ)の収録曲の半分以上が、70年代の歌や東欧の民族音楽が占め、星さんの曲はあまりでてきません。

 このため、イメージアルバムの方(おもひでぽろぽろ イメージ・アルバムTKCA-30188 徳間ジャパンコミュニケーションズ)が、むしろ彼らしい曲をきちんと聞くのに都合がいいかと思います。

 ストリングス(ヴァイオリンやヴィオラなどの弦楽器を指す)が伸びやかに響き、シンセのキーボードやピアノがやさしく語りかけるといった曲調は、どこかで聞き覚えのあるような…と思ったら、
Viola:村山達哉(第19回 ああっ女神さまっ 音楽編て事は 愉快だね などで紹介)
Kerb :松浦晃久(第32回 らんま1/2最強音楽編 で紹介)
という方々が、参加していたりします。

 70年代の気分をいっぱい含んだ、そのころを知る人には懐かしいような旋律がたくさんつまった曲が、その多くを占めています。
 どこかで似たような曲があるような、と思うような曲ですが、よく聞いてみるとこのアルバムにしかない曲であることに、気づかされるはずです。それは、アレンジは似ていても曲の主旋律自体は星さんの曲だからです。

 ピアノやストリングスだけの曲(紅花・心の旅・紅花摘み)のように、旋律だけで聞かせる曲は、メインテーマとなる旋律が幾度となく聞こえてきて、そのやさしい気分に浸れるのではないか、と思います。

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第36回 松尾早人さん
(初出:99/12/24)

 ゲーム音楽では、かなり評価が高いようですが、私としては、あまり評価できるものはないような印象です。すぎやまこういち さんの
門下生ともいえる方であり、作品世界にあわせるという意味での音楽としては確かにいいのですが、汎用性のある他の作品の場面にも使えるという意味では、やはり力不足という感じがしました。
 その流れに沿っている印象のある「魔法騎士レイアース」は、曲としてはいいのでしょうけど、汎用性という意味ではいまいちという感じでした。

 と、いうことで、今回紹介するサントラは、その後つくられたアニメ番組のもの。

 怪盗セイント・テール オリジナル・サウンドトラック1 (POCX-1013)
 怪盗セイント・テール オリジナル・サウンドトラック2 (POCX-1034)
           (いずれも ポリグラム)

 このサントラも、ご多分にもれず1作目のサントラの方が、よく使われます。

 メインテーマをはじめとする、品のいい感じのスタンダードな劇伴曲は、作りがいいだけにあまり印象に残らない感じです。しかし、心情描写や追跡する場面などの曲では、ゲームなどのような同じ曲調を重ねていくかたちにこだわっていないためか、曲調という歌曲の表情がいろいろと変化に富んでいて結構使える感じの曲に仕上がっています。

 オーケストラよりも、シンセを使った打ち込み系の曲の方が、何となくいい感じの曲を作っているようです。

 まだ、時折「週刊 こどもニュース」(NHK総合 土 18:10)あたりで使っていることがあるような…。

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第37回 岩崎文紀さん
(初出:00/01/11)

 この方は、やはり曲自体があまり印象に残らない感じです。
 その理由は、ひとつひとつの曲がひとつの曲調にしっかりと押さえ込まれていて、妙なひねくれ方をすることもなく最初から最後まで流れてしまうから、だと思うんです。

 これまで紹介した中では、岩代太郎さんあたりに近い感じでしょうか。
 それよりも、タッチの音楽を担当した芹澤廣明さんに近いと行った方が、いいのではないかな。

 紹介するサントラは、

 逮捕しちゃうぞ オリジナルサウンドトラック T (VICL-838)
 逮捕しちゃうぞ オリジナルサウンドトラック U (VICL-840)
 逮捕しちゃうぞ オリジナルサウンドトラック V (VICL-60067)
     (いずれも ビクターエンタテインメント)

 逮捕しちゃうぞ は、OVAで大谷幸さんがしっかりとしたサントラをつくっていますから、それにプラスするかたちの音楽ということになったからだと思うのですが、どうも岩崎さんの曲は場面にはあうけど、印象には残りにくい曲になっています。

 ただ、そんな感じの曲を作れる人は案外少なく、そのため他の映像に当てはめてもそれほど違和感を感じることなく、すんなりと使うことができるようです。

 この手の方は、アイキャッチやブリッジといった短い曲では、その汎用性が生かされるためか、かなりよく使われるような曲を作る場合が多いようです。
また、他の番組で使われる曲のほとんどが、該当する曲の一部を使うパターンで、1曲フルで使われる例はあまりないようです。

 あんまりほめてないような感じですが、本来のサウンドトラックというのは、そんなに曲が目立ってはいけないので、これが標準的なサウンドトラックをいう感じだと思っていただくと、いいのではないでしょうか。

 最近の岩崎さんの作品だと、結構1つの曲の中でも複数の曲調が合わさった感じの曲が多くなっていますね。
 以下に、その例になるサントラを紹介しておきます。

魔術師オーフェンRevenge オリジナル・サウンドトラック Part1
         (EPCE-5042 zentima)

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第39回 村瀬恭久さん 鈴木豪さん
(初出:00/02/13)

 今回は、サントラアルバムとしてはひとつなので、村瀬恭久さんと鈴木豪さんのお二人での紹介とします。

 作品は、第1弾を川井憲次さんがつくられた「姫ちゃんのリボン」のもう一つのアルバム。(そちらの紹介は 第17回 を参照のこと)

 姫ちゃんのリボン 音楽篇U (ビクターエンタテインメント VICL-408)

 村瀬恭久さんは、シンセサイザーでの曲がもともと多い方のようですが、この中ではしっくりこないということで、曲の半数が生楽器を使った曲になったということです。そういうふうに変更した曲の方が、何となく手がかかっているだけあって好印象を持っている感じがします。
 涼やかな雰囲気というのでしょうか。透明感のある空気のようなものの中に、心情を表現するような曲に仕上がっていて、たまに落ち着きたいときに聞くにはもってこいの感じです。

 得意技ともいえるシンセサイザーによる打ち込み系の曲は、躍動感のあるギャグっぽい場面で使える曲で、サントラとして曲の層のふくらみをつくりだしているような印象です。

 鈴木豪さんは、かなり好みとする曲のジャンルが広い分、どこかで聞いた気がするけどオリジナリティーのある、編曲としてのおもしろさが感じられる曲を提供しています。
 引き出しが多い分、場面の表情を演出するような曲がその多くを占めます。
(しっかり遊んでいる曲もあるし)

 クラシックぽく聞こえるような曲がいくつかあり、そつがないというのか絶対ジャケットが浮かばない曲だよなぁ、と思うくらいきれいな旋律をつくりだしていたりします。SMAPが歌っていたオープニング・エンディングソングのインストゥルメンタルも、これがなかなかいいんですね。オリジナルの曲とはかなりちがうイメージに仕上がっていますが、これが不思議と違和感がないというのは、「うまい」の一言です。

 ちなみに、このサントラではお二人の曲が交互に入っているのですが、一気に聞いてもたぶんその違いは分からないはずです。
 インデックスをみてはじめて分かるくらい、このサントラ自体のコンセプトがしっかりしているということを気づかされるのでした。(おかげで、たまにこれらの曲が聞こえてくることがあります)

 こんなふうに、アニメーション作品を制作する側がきちんとした音楽に対するイメージを作曲する側に発注しないと、結果として作品全体のイメージがでてこないということのようです。
 そういったイメージがはっきりしないサントラは、やはり作品を見たことがある人だけにしか聞かれることなく、他のTV番組で耳にすることもないようです。

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第40回 朝倉紀行さん
(初出:00/02/27)

 今回は、朝倉紀行さん。

 紹介するサントラは、

るろうに剣心 オリジナル・サウンドトラック                               (ESCB 1727 EPICソニー)
るろうに剣心 オリジナル・サウンドトラックU -DEPATURE-       (SRCL 3674 ソニーレコード)
るろうに剣心 オリジナル・サウンドトラックV  -京都決戦-          (SRCL 3794 ソニーレコード)
オリジナル・サウンドトラック未収録曲
 るろうに剣心 ディレクターズ・コレクション                    (SRCL 3999 ソニーレコード)
るろうに剣心 オリジナル・サウンドトラックW  -Let It Burn-       (SRCL 4178 ソニーレコード)

 この方は、アニメ音楽はるろうに剣心のみといっていいようですが、この作品初期の音楽は何となくしっくりこなかったですね。
 まず、キャラクターの設定に合わせた音楽を中心に「つくらされた」という感じをどうしても受けてしまって、ストーリーの下地としての音楽の関連がどうもぎくしゃくしていたような印象がありました。
 アニメーションとしてはかなり新規性のある舞台設定ということで、どうもそのとっかかりを他のアニメ同様キャラクターに求めたからだったのではないか、とあとから思うのでした。

 しかし、時代劇的要素=和的な楽器中心ではなく、今 日本でつくられる音楽に則(のっと)ってつくられていて、しっかりした音楽の世界感を演出しているのは、さすがという感じです。

 音楽がしっくりくるようになったのは、朝倉さんがサウンドトラックUで述べている「ストーリーとドラマ性」に曲作りのテーマが動いた頃から。
 作品自体も志々雄真実の登場する京都編へと移行するあたりで、この頃に原作をあまり知らずにこのアニメにはまった人も多かったのでは、と思うくらい、映像・ストーリー・音楽がうまくできていたのではないでしょうか。

 旋律・リズム・使用する楽器、いずれもこの頃の曲は本当の意味で新規性があったように感じます。基本となる世界感を崩さず、音楽でこれから行われるであろう事柄の背景の描写がしっかりできているという点では、さすがというしかないですね。
 ただ危機感を煽(あお)るだけの曲なら、一定のリズムで音階少しずつ変化したりや楽器を少しずつ複数増やす手法があるのですが、そういうスタンダートなもの以外でも、しっかり危機感を煽る曲がある点は、評価すべきでしょう。
 この手法は、モダンジャズでは結構早くから使われていた感じですが、なかなかドキュメンタリー番組の音楽以外ではつくられてこなかったようです。(この辺の解釈は、たぶん異論があるかと思います)

 この頃から登場したキャラクターに合わせた曲も当然あるのですが、最初の頃に受けたような輪郭はしっかりしているがピンぼけといった印象はなくなっていました。

 京都編が終わるとともに、るろうに剣心の音楽世界はどうも完成した感じのようで、新たな曲もいくつか作られましたが、どうも私としてはしっくりこなかった感じでした。

 ただ、それでも音楽としての質は最初から最後まで高かったように感じました。

蛇足にはなりますが
 同じソニーピクチャーズが同時期に制作していた「はれときどきぶた」の音楽(前に紹介した増田俊郎さん 第8回 を参照のこと)を、るろうに剣心の京都編が終わり東京へ戻るときの話の中で、1話まるまんま使っていたということがありました。私は、ストーリーも含めて楽しめました。
 逆にいうと、それだけギャグっぽい音楽がるろうに剣心では少なかったということをあらためて感じたのであります。

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第41回 長谷川智樹さん
(初出:00/03/12)

 今回は、長谷川智樹さん。

 この方は、1990年代中盤に結構アニメの音楽を担当されていたようですが、結果として今でも耳にするサントラは「みかん絵日記」だけだったような感じです。

 みかん絵日記イメージアルバム みかん音楽日記
      (APCM-5009 アポロン(→バンダイミュージック→会社解散))

 少女マンガのアニメ化作品で、日常生活を舞台とした作品の多くで、その作品世界の音楽がかなり使われるといったある種の「定説」のご多分にもれず、この作品もその通りになった感じです。

 ネコがしゃべるという非日常以外は、ほとんど日常の中で繰り広げられるいろいろなお話に添える音楽は、その場面を印象づけるようなものとメインテーマにテンポやアレンジをかえてある種の流れをつくるものの2通りに分けられるようです。

 メインテーマのアレンジは他のサントラと比較して結構豊富にあって、なかなか楽しませてくれます。
 よく使われる方の曲は、このパターンのものが多く、たぶん気にかからないくらい、いろんな場面になじんで使われているようです。
 なぜかというと、たぶんネコが主人公のストーリーですから、そのネコのペースにあわせた気まぐれな感じがうまく表現されているからなんでしょうか。あまり自分自身もその辺の解釈に自信はありません。

 場面を印象づけるような曲は、逆に悲しみなどの感情を表すために使われていたためか、他のアニメサントラの曲とそれほど差異がみられないためか、あまり使われているようではありません。

 それにしてもいつも思うことは、作曲者別といいつつ、その音楽を発注するアニメーション制作側の作品コンセプトがしっかりしているかどうかによって、音楽としての当たりはずれがかなり決まっているような感じがしますね。
 この方も、他にいくつかアニメ音楽を担当していますが、そちらの方は私としてはあまりひっかからなかったですし、他のTV番組などで使用されることも、また、なかったんですね。

第139回 長谷川智樹さん
(初出 2008/03/08)

今回取り上げるサントラは、
さよなら絶望先生 オリジナルサウンドトラック「絶望劇判撰集」(キング KICA 888)

普通のサウンドトラックなら、ここまで統一した編曲方針でつっきることはないでしょう。ひたすら「耽美」でくくったと、音響監督の亀山さんが述べておりますが、ここまでやっちゃうのはすごいというのかなんというのか…ゆったりとしてリズム進行に、ぜいたくに楽器を使いまくって楽曲作りをしているのが明確に感じられます。楽器をたくさん使っているという意味ではなく、通常のアニメサントラで使われる以上の、という意味ですが。

メインテーマとなっている楽曲自体、かなり輪郭のはっきりした感じですし、それらをアレンジした楽曲もしっかりとイメージが変わったように感じられるようになっているのは、これまでの長谷川さんの実績からも当然というところでしょうか。それよりも、「それいけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」でこの作品の新房監督と仕事をしたことから、かなりの自由度をもたせてもらって音楽を作らせてもらい、かなりの思い込みの中でのびのびと音楽を作ったことが功を奏しているようです。結構ある別の楽曲の雰囲気が入っているものもあるんですが、見事に一つのコンセプトの中にかみ砕かれて楽曲が作られているなぁ…と感心しきりだったりします。それも「耽美」という普通ここまで明確にコンセプトとしないテーマで。ただし、結構声も多用されているはずなのですが、そちらでは評価されないかも。作品コンセプトから当然の手法と思われてしまうからねぇ。

なぜ耽美かというと、この作品自体ちょっと古い昭和前期っぽい町並みや学校(主人公もか)で、でもそこで挙げるのは今の世のセコや貧しさでして、舞台背景同様に今をあんまり感じさせないようにする道具として、活用する必要があったからのようです。それゆえ、この音楽にいろんな映像を重ね合わせると、別のイメージの印象を与えていけるのかもしれません。
 

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第45回 冨田恵一さん 武藤星児さん 安部純さん
(初出:00/05/15)

 そういえば、取り上げるのをすっかり忘れていたような感じのサントラがありました。

 紹介するサントラは

 こどものおもちゃ サウンドトラック(SRCL 3628)
 こどものおもちゃ サウンドトラックVol.2(SRCL 3760)
 こどものおもちゃ サウンドトラックVol.3(SRCL 4145)
      (いずれも ソニーレコード)

 今あらためてこの「こどものおもちゃ」というアニメの第1話をみると、それほど一気に(演出として)走っていったという感じは
感じられませんが、4年ほど前だととんでもない早いリズムでストーリーが進行しているという感じを受けましたね。

 その一助となっているのに音楽があるのですが、監督の大地丙太郎氏の「ラテンで行こう」というご本人もあまり要領を得ていない説明から、この音楽ができているというんだから、何が功を奏するかわかったものではありませんね。

 リズミカルな弾む主人公の紗南を代表した音楽と、ひょうひょうとした場面を演出する音楽が、絶妙なバランスで登場していくという点からか、最初のサウンドトラックは予想以上に他の番組でも登場するようになっていました。

 派手に目立つ紗南の行動をメインとした曲の他にも、落ち込んでしまったりした曲などもあり、そのきちんとした起伏のある曲たちがうまいこと作品世界を演出していったことのようです。

 1年目のシリーズの後半になり、紗南の心理描写が中心になっていくと、これまでのような曲では表現できなくなり、新たな曲を作ることとなったのがVol.2にあたります。ラテンとかサンバ調の勢いのある曲を変調した落ち着いた感じのアレンジの曲がその多くを占めてしまうためでしょうか、あまり他の番組で使われる率が多くないものとなってしまっています。
 ただし、作品の表現を行うために、オリジナルのアレンジというものは重要であることを認識させるサントラではあります。

 ここまでは、作・編曲家としては冨田恵一さんのみの成果。

 2年目に突入してしまい、新たなテーマが加わるため、音楽も当然新たな形で作る必要なことになりました。そこで、作品の挿入歌で参加していた武藤星児さんと安部純さんが加わった形で音楽がつくられることとなりました。

 このサントラVol.3は、編曲家・サウンドプロデューサー 武藤星児さんの色がかなり濃くでてきている音楽となっています。
 冨田さんの音楽も、ずいぶんアレンジが変わって、リズム感を強調した感じのものへと変化したものとなります。

 Vol.1や2と違った感じがでているのは、このアルバムの後半の方。
 新たなキャラである主人公の友達となる風花(ふうか)のイメージとなる曲(Track12 KENNEMA-DE FU-KA)とか、作品中で映画 水の館の撮影の場面で使われる曲(Track16 HARMONY OF WATER)は、劇中で使われる音楽としてはかなり聴き応えのある曲ではないでしょうか。
 これらの曲は、画面さえうまくあっていれば、かなり効果的に演出できるのではないかと思いますね。

 このためVol.3は、一時期かなりの頻度で他の番組で使われていたようですし、今でも時折それらの曲たちが聞こえてきたりします。

 こどものおもちゃという作品は、取り扱っているテーマや演出方法の特異でかつ秀逸な点の他にも、音楽としてもラテンとかをさらにアレンジするといった点が本来評価されてしかるべきだと、私は思うのですが。

第72回 安部純さん 武藤星児さん
(初出:2001/12/12)

紹介するサントラは、

フルーツバスケット オリジナルサウンドトラック   (キングレコード KICA 562)

こどものおもちゃの中学校編の音楽も、サントラとしては尺の長いひとつのインスト曲として
聞けるものが多くを占めていましたが、今回もそういった曲がたくさん作られたという感じです。
作品が持つ言葉を妨げることがなく、きちんと音楽として立っていることが求められる
フルーツバスケットという作品の音楽ですから、一般的なアニメよりは主旋律としての曲の種類は
それほど多くありません。そのかわり、同じ曲のアレンジバージョンがかなり多くを占めているのですが、
作曲:安部純さん 編曲:武藤星児さんという分担がしっかりしていることもあって、
曲調の統一=世界観の統一は1人の人がアニメ音楽をつくるよりもうまくできたという印象です。

この場面を表現するには、いくつの音を足せばいいのか、といった作り方でなく、
繊細な心のひだを表現するために、必要な音はどれだけなのかといったある種引き算のような作業で
音楽をつくっていたことが、ライナーノーツとして書いてありました。シンプルで印象的な曲というのは、
かなりつくりにくいもののはずですが、それを見事に実現した点は、評価していいと思います。

フルーツバスケットという作品を見ている人は、このサントラを聞くと作品の場面を思い浮かべるかもしれませんが、
たぶん見ていない人でも劇判として「場面をイメージすることができる」と思いますよ。
それだけ、日常の中でふと振り返ってみるとありそうな場面が、きちんと曲として表現されていることに、
サントラを何度も聞いているとその思いを強くしてきたのでありました。
CDショップで「癒し系」とか「ヒーリング」(この表現は、個人的には嫌いですが)といったCDコーナーにある曲よりも、
ひょっとするとこのサントラの方が心を安らげてくれるのでは?とも思ったのでありました。
 
 

第97回 ダブルオーツ・増田俊郎さん
(初出:2003/04/27)

今回は、ダブルオーツ(安部純さん・武藤星児さん)と増田俊郎さん

紹介するサントラは、
ななか6/17 オリジナルサウンドトラック ココロノオト (Lantis LACA-5161)

作品の設定そのものが日常を描いていくこともあって、それにつけられる音楽も極端に曲調が変わることなく落ち着いた感じの曲がつくことになるんです。そういっても、スタンダードなものばかりを並べて音楽にしていくと、他の映像作品と印象がダブってしまいますし、作品もそれに引きずられたものになってしまいます。

こういった作品の音楽は、どうしても他の同種のアニメと音楽としての違いを感じづらいのですが、複数のテーマ設定と編曲を活用することが重要になってきます。メインとなるものをキャラクターや主場面設定といったテーマごとに複数作り、重ねていく楽器や曲調を微妙に変えていくことで、サントラとしてのバリエーションを増やしていきます。

そうはいっても、1人ないし1グループで作れるキャラクターなどテーマごとの曲をある短期間に作るのは結構大変なので、ある程度長期の場合は複数に発注するとか、当初シリーズの後期間をおいて新展開したら別の作曲家に発注することが多いです。

ところが、1クール(3ヶ月 おおむね13本)の作品でこのように複数に発注する事例はあまりないんですが、この作品の監督の桜井さんと長くつきあっているということでダブルオーツさんと増田さんと集まって、ざっくばらんに話し合って決まったとのこと。実は桜井監督の作品で双方参加しているんですが、その音楽の違いがあんまり分かりにくいんじゃないかと思うくらい、似通っている感じに仕上がっているんですねぇ。

そういうわけで、このサントラで担当がそれぞれ違っていることを確認するまで、曲として聞き分けするのは難しかった感じでした。それくらい、一つの作品テーマの曲群を一体して作ったという印象が感じられます。たいがいこの手の2チームによる音楽の場合、コミカルな方と重厚な方といった区分けで作られるんですが、このサントラではそういった形になっていないことがブックレットを見てようやく分かるくらいですから。

大まかな区分けとして、挿入歌やこの作品の中ででてくるアニメ まじかるドミ子 にかかるものは、ダブルオーツさんの担当ということのようですが、残りは作れそうなテーマを双方分担して作ったというところのようです。

作品が持つ多層的でまともに表現するとダークな印象を持つような部分を、コミカルな部分と絡めて演出することで、うまく緩和してしっかり最後まで興味を引きつける作品に仕上がっていました。その演出要素としての音楽としても、うまく仕上がっていたようですし、音楽そのもののテーマ性も(複数で作られたということもあって)あんまり感じられないため、他の映像への適用(汎用性)も兼ねそろえているということでも評価できるサントラに仕上がったようです。

第109回 ダブルオーツ(安部純さん、武藤星児さん)とデイビット・マシューズさん
(初出2004/10/17)

今回はダブルオーツ(安部純さん、武藤星児さん)とDAVID MATTHEWS

紹介するサントラは、
LEGENDZ JAZZ VOL.1 (インターチャネル NECA-30113)

このサントラはアニメサントラだとなめてかかって聴いてはいけない。
デイビット・マシューズ率いるマンハッタン・ジャズ・オーケストラのアルバムだと思って聴くべし。

「レジェンズ」というアニメの音楽の情報で、ダブルオーツが担当まではそれほど驚かなかったんですが、ジャズをベースにしたものということでニューヨークで録音するということで、もしや…とおもったら冗談抜きでデイビット・マシューズ氏という名前が出てきましたから驚きました。(フジテレビが絡んでいるので、フジパシフィック音楽出版が音楽出版担当になるのですが、アニメ作品で本当にこういったことになるのは珍しい)

プロデューサーの椚山(くぬぎやま)さんがライナーノーツに書いていますが、せっぱ詰まった時間のない中、ニューヨーク録音は至福の時間という状況になったとのこと。アルバムを聴いて分かりますよ。ジャズ好きなら本当にそう思えるくらい、心地いい曲たちが音を響かせています。

ただし、アニメの劇判音楽ですから長くても3分程度。部分的にカットされても違和感を感じないような曲になっています。そのため、たぶんジャズにあまり馴染みのない方でも聴きやすい、平易なメロディーと短めのソロパートにそれほど楽器も多くないというものになっています。だからこそ、演奏者やアレンジャーの実力というのが出てくるわけですが…これがまたいいんです。心地よくて。

TVのスピーカーだとどうしても隠れてしまう部分がありますので、ぜひCDで購入してじっくりと聴いていただくと「聴かせてくれる」部分があると思いますよ。

第154回 ダブルオーツ(安部純さん、武藤星児さん)
(初出 2009/11/15)

紹介するサントラは、
GA -芸術科アートデザインクラス- music palette
(avex AVCA-29463〜4)

ダブルオーツといえば、曲調は多少ノスタルジーを感じるポップスといった雰囲気で、最近作るものは作曲 安部純さん、編曲 武藤星児さんと明確に役割分担をして作っていて、曲調と作品がマッチングすれば安心して聴けるといった感じかな、と個人的に思っていたりします。

今回のGA-芸術科アートデザインクラス-は、制作側が提示したものからまず1曲を作ってみたとのこと。そのイメージが、制作側が考えていたイメージとぴったりしたもので、かつ他の場面やキャラクターのための楽曲がするすると決まっていったとのこと。とにかくDisc2 track01の楽曲で感じられるイメージから、作品の表現テーマである色をパレットに並べたように紡ぎ出されているという感じです。キャラクターのための曲もかっこ書きで色が当てられているくらいですし。

ただし、作品自体が学園での日常の出来事を描いていくだけに、そんなに目立つ(引き付けられる)楽曲がないので、サントラよりもDisc1にあるキャラクターソングの方が楽曲単独では特徴があってイメージしやすいかもしれません。このため、サントラとしては色という淡いイメージをメインテーマの曲を元として全体でいい感じに仕上がっているという風なのではないか、と思ったのでした。
 
 

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第46回 有澤孝紀さん
(初出:00/05/26)

 この人を登場させたら、最近のデジモンアドベンチャーの音楽でも語るという風に考える人が、少なからずいるかもしれませんが、個人的にはあまり音楽として面白みがないので、たぶん取り上げません。

 取り上げるのは
 「きんぎょ注意報!」BGM集 (COCC-7244 日本コロンビア)

 以前にエクセルサーガのタイトルのふざけ方を書きましたが、それより前に、こんなタイトルをつけているサントラがあったんですね。

BGMその1 今日も元気に「はよ〜ん!」ああ、青春って素晴らしい。
BGMその2 う〜ん平和だなあ…と思いきや、やっぱり事件は起きるのだった。

以下 その10 まで延々とこの調子のタイトルです。

 ギャグものの少女マンガを原作とした作品ですが、それ以上にギャグ満載のアニメだったような…。
 そのおかげというのか、音楽も楽しいのなんの。
 今でもどこかのTV番組のBGMとしておなじみだったりする可能性の大きい音楽ばかり。

 子供向けということで、リズムラインはほとんど凝ることはなく、結構はっきりとゆったりとした調子の曲ばかりですが、シンプルないかにもの感じだけにおわせる恐怖と、あとはドタバタとあわただしい場面を説明するような曲がそのほとんどを占めます。
 これほど、輪郭がはっきりした曲だけに、むしろちょっとした場面説明には有効な曲なんだろうなぁ…という印象を受けました。

 ご多分にもれず、きっちりとパクった感じの曲もあり、今の有澤さんの曲は凝りすぎなんじゃないの?と思えること。

 今、あらためて聞いてみると「これもそうだったのか」という曲がたくさんあって、まじめに楽しんで聴けますね。

 ところが、このサントラ。残念ながら私は購入していなかったりするんですね。その頃は、まだCDを月何枚も買えるほどの
余裕がなかったのもあるんですが、旬を過ぎるととたんにこの手のCDは店頭から姿を消すというのもその買いそびれた理由だったりするんです。

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第49回 美和響さん
(初出:00/07/23)

 通常は、TV番組での使用頻度の高いものということにしていますが、今回は、そこからちょっと離れる形になります。
 今回取り上げるサントラは、以前CX 日曜の名作劇場で放送されていた「七つの海のティコ」のサウンドトラックです。

 七つの海のティコ Music Collection  (フォルテミュージックエンタテインメント FMCC-5038)

 この作品の音楽は、制作側も短めよりも長めの曲で、その曲の中にいろいろな要素を取り入れようということのようです。
 実際に使われる場合は、当然カット割りの都合でその一部を使うことになるのですが、一部を使っているという風なことを感じさせない曲になっていたりします。

 アニメサントラとしてのクラシック系の音楽は、大島ミチルさんなどに代表されるように、ポップス系のはじける感じのもの、弦楽ではヴァイオリンとかが主旋律となるような曲か、菅野よう子さんのように軽妙だけど重厚なものをバランスよく並べる感じのものがその多くを占めます。

 そういうものと比べると、美和響さんの音楽は、学校音楽でもよく聞かされるオーソドックスな楽器のアレンジがその多くを占めます。このためでしょうか。ちょっと音楽自体に重みが感じられます。
 でも、この一種の重みが、曲単体として聞いてみるとなかなか心地いいんです。
 クラシックの音楽しか聞かない人であれば、むしろしっくりとくる曲なのではないかと思いますが。

 この重みが、ほかのアニメーションのサントラにありがちな感情の過剰なアップダウンをうまいこと抑えてくれていて、七つの海のティコという作品には絶妙にあっている感じであります。
 一気に感情が高ぶるものもいいのですが、ストーリーをいくつも重ねていくうちにわき上がってくるじわっとした感情を演出している曲というのも、それなりに評価すべきなのではないでしょうか。

 作品の映像が浮かぶといった感じの曲というより、曲そのものの完成度が高いという印象のサントラという風に、私は受け取りました。
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第69回 `島邦明さん
(初出:2001/11/16)

紹介するサントラは、

MASTERキートン オリジナルサウンドトラック   (VAP VPCG-84668)

`島さんといえば、かなり多くのサントラをつくられている方で、映画やTVドラマなどの音楽担当でご存じの方も多いのではないでしょうか。
洋画の映画音楽や武満徹さんなどのクセのある音楽に興味を持たれているようで、作られる曲も現代音楽に近いのですがちょうどいい感じの個性的な部分があったりします。

ただ、どうしても日の当たる突き抜けて明るい感じの曲調はあまりなく、どちらかというと荒涼としていながらどこか影のある曲調が多いという印象だったりします。

このため、どうしても本来使われる作品のサントラとしてはしっくり来るのですが、かなりきちんとした枠を持ったTV映像ではなかなか使いづらいといった感じがあるようです。
サントラ好きには比較的`島さんは評価が高いようですが、そういったクセがあるということで、私はなかなか購入まで至らなかったりするんです。

MASTERキートンのサントラは、比較的そういったクセが抜けているといった感じだったため購入してみたのですが、
音楽自体が輪郭線がはっきりしていてかつ広がりがあり、なかなか聴き応えがありましたね。サントラと言うより現代音楽として聞く方が私としてはしっくり来る感じです。

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第70回 七瀬光さん
(初出:2001/11/26)

紹介するサントラは、

超GALS!寿蘭 オリジナルサウンドトラック  (ランティス LACA 5066)

深夜に放送されるアニメの音楽の担当が多かった感じですが、もともとは軽快なノリでリズムを畳み込む曲が
七瀬さんの特徴ですから、GALS!のアニメ化で音楽担当というのは、それほど違和感ありませんでしたね。

少女マンガのアニメ化したものの音楽は、比較的異なる映像での利用もしやすいというご多分に漏れず、
このサントラもおもしろがって使える曲が多いです。心理描写のための繊細な曲は少なく、
使うべき場面がはっきりした曲が多いなぁ…と思っていたら、この作品のディレクターの伊藤善之氏が
「音楽のタイプとしては、繊細さよりは白黒はっきりつけたものが必要」とのコメント。なるほどですね。

キャラクターごとにテーマとなる音楽をつけるといったことがあまりないため、
場面のシチュエーションによって聞こえてくる音楽が決まることになっているようです。
テーマとなる音楽とそのアレンジはなく、それぞれの曲が特徴を持って作らなければならないので
なかなか難しいと思います。七瀬さんの引き出しが結構あるようで、ジャンルというより曲やアレンジをふくらませて
くっきりした表情のある楽曲を作られているという印象を持ちました。
それでいて、かつてのサントラと似た曲がほとんどないと思わせるんだから、これは評価すべきでしょうね。

第79回 七瀬光さん
(初出:2002/05/06)

紹介するサントラは、やっぱりCS放送,OVAだとチェックが遅れて紹介が遅れてしまったものです。
(結局、TV放送までチェックが遅れてしまった…)

ギャラクシーエンジェル オリジナルサウンドトラック (Lantis LACA-5057)

ギャグもので11分が1話という形態ですから、演出はともかくつけられる音楽は「パターン化」されるということになります。
ある種の「お約束」で笑えるようにならないといけませんから、音楽自体わかりやすさというものが重要になります。

わかりやすさと言いましたが、他の劇判と同じようによくありがちな音をあてるんじゃなくて、作品の持つテーマ
(ギャラクシーエンジェルでは、結果としてウリになっていない美少女がでるアニメとしてのかわいらしさ)を十分にふまえて、
打ち込み系の曲調で仕上げた感じです。よく聞いてみないと、同時期に作られた超GALS!寿蘭のサントラとの差に気づかないのではないかと思います。
(テーマがある部分かぶっていますから)

さて、曲が美少女アニメらしくかわいらしいかというと、シンプルというの方が近いのかな。あんまり楽器の数も使わず、
印象に残りやすいメロディーで作られたという感じでしょうか。Track27 ミルフィーのお料理教室 は、OVAの予告で利用されていましたが、
タイトル通りお料理教室が浮かんじゃうくらい印象に残りやすいんですね。これが。

七瀬さんのものは、楽曲として楽しむサントラというよりは、素材としてのサントラと言う印象がこれまでも含めて強いです。
だからと言うわけではないのでしょうけど、場面が妙に浮かんで頭の中を離れないものも多かったりするのでした。

第82回 七瀬光さん
(初出:2002/06/26)

紹介するサントラは、

宇宙海賊ミトの大冒険 オリジナルサウンドトラック (meldac MECB28106)
宇宙海賊ミトの大冒険 2人の女王様 サウンドトラック (AYERS AYCM-673)

このサントラを聴いて最近の七瀬さんのサントラを聴くと、基本的な劇判としてのスタンスは変わっていないということをあらためて感じますね。
オーソドックスなストリングスを中心とした曲は、落ち着いて場面に集中できる劇判に徹していつつ、
単独の曲としてもメインテーマの旋律をふまえてアルバムとして聴かせてくれているんですよ。
でも、どっちかというと危機感があったり緊張感がある場面やドタバタした場面が多かった作品のようですが…
そうはいっても、きちんとシリアスな場面もありましたから、落ち着いた曲調という属性は生かされているんですよ。

そうはいっても、劇判として使いやすい曲というのは、このサントラではドタバタした場面での曲だったりするんですね。
落ち着いた場面の曲がしっとりと聴かせてくれればくれるほど、ドタバタした感じの曲はよりいっそう引き立つというものなんでしょう。
その勢いというのが、オープニングテーマの曲にも引き継がれているため、たぶんそのアレンジバージョンの曲が一番使われているということになっているようです。

ただ、このころはサントラに収録されている曲が、それぞれ旋律をもっていたような感じで、
キャラクターないし場面によるテーマのようなものがオープニングテーマの曲くらいしかなかったのです。
そのため、いろんなこれまでの(いろいろな作曲家による)サントラの曲調を寄せ集めたような印象が感じられた点もあるんです。
そういう意味では、まだ七瀬さんらしい曲調というのは見えづらかったサントラでもあったんです。
 

第88回 七瀬光さん
(初出:2002/09/24)

紹介するサントラは、

ぴたテン サウンドトラック「幸せ音楽会」Vol.1 (Lantis LACA-5114)

作品としては、コミカルにストーリーが転がっているという印象でして、それでも品よく落ち着いた話もあるというものですから、サントラもそれに呼応したような感じになっているようです。

これまでは、どちらかというと打ち込み形のリズミカルな音楽を中心に七瀬さんのサントラは構成されていた印象があるのですが、今回のぴたテンではストリングスやパーカッション・アコーディオンなどなどすべて生演奏で作られたそうです。
人が奏でる楽器というものは、ある種のあいまいさという部分を持つようでして、それがシンセサイザーなどに代表されるプログラムされた音との差異をもち、暖かさとか柔らかさといったものを音楽の属性として持つようです。そうはいっても、何でもかんでもそういったアコースティックな手法を適用すればいいというわけでなく、そういった素材に出会えるということが重要であるんです。

ぴたテンは、そもそも天使と悪魔が出てくる話なのではあるのですが、天使らしくない天使に悪魔らしくない悪魔、それと小学生との学校を中心とした設定です。そのため、いろんなことは起こりますけど、日常描写をメインとした作品なんです。そうはいっても、画面上では突拍子ないことが起こっているのですが、柔らかな映像と音楽の印象によってやさしく落ち着いたものとして感じられています。
そういうこともあってでしょうか。他番組での利用が発売後かなり早くから聞こえるようになっています。

個人的にも、打ち込みでなくアコースティックな音楽でのサントラの仕事を七瀬さんで聴いてみたかったわけですが、今回のサントラでそれがかなったということで素直に喜んでいたりします。

第122回 七瀬光さん
(初出 2005/11/23)

紹介するサントラは、
絶対少年 Original Sound Track (Mellow Head LMCA-9001)

七瀬さんは比較的音源を少なめにしてメロディーを響かせる楽曲が多いんですが、今回の作品はかなり音の構成がシンプルになっています。作品自体が、日常の落ち着いた雰囲気の中、そこに息づいている目に見えにくい世界がふと出てきたという話であって、淡い雰囲気の中でも「感じさせる」ものがなければいけないというかなり難しい主題の表現をすることになったようです。

その難しい日常をコミにした世界の表現だからこそ、いろんな場面にす〜っと入り込んでいける音楽が作られていたような気がします。それは、一般的なファンタジーの世界の音楽は、どうしてもどこか違ったところで行われているような、日常の枠をはみ出してもかまわない部分が、この作品では描かれないからではないでしょうか。(ミトの大冒険とかスクラップドプリンセスなどは、そういった感じです。この作品は、ぴたテンに近いという気がします)

ブックレットの七瀬さんのコメントを引用すると、

普段と何も変わらない日常の中に潜む、目に見えない世界。ピュアな心を持つものだけが見える世界。そんな神秘的な世界を表現するために今回は、伊藤真澄さんのコーラスをフューチャリングさせていただきました。
---引用終わり

楽曲の音源が少なく、メロディを響かせることが主になっているだけあって、このコーラスがかなり印象的に感じられるように作られた楽曲となっております。どうしても、歌詞に意味性を感じてしまう最近のサントラ楽曲で、そのバランスを崩すものもいくつか出てしまう中、適切に構成されて作られているように思いました。

CDは2枚組となっており、DISC 1は田菜編 DISC 2は横浜編として構成されています。同じ世界観で作られた楽曲でありながら、表現する場面でやは色合いが異なるように感じられるという、かなり奥行きの広いまとまったテーマの音楽を感じられるのではないでしょうか。

第164回 七瀬光
(初出 2011/08/05)

紹介するサントラは、
IS<インフィニット・ストラトス>オリジナルサウンドトラック(Lantis LACA-5107)

インフィニット・ストラトスは、ある種の戦闘シーンと学園ラブコメが合わさったような作品ですから、その辺のバランスをうまくとって音楽を作ると、だいたい半々になるのかなぁ…と思ったら、意外と戦闘シーンなどに使われそうな楽曲の方が多かった感じがしますねぇ。個人的には、学園ラブコメっぽい曲の方が七瀬光さんが得意なような気がするんですが、意外や意外戦闘シーンなどの楽曲の方が際立った感じのサントラっていう感じですかねぇ。

1クールのアニメなのに2枚組のサントラというところが曲のバリエーションの多さを示しているといっていいんじゃないかと。七瀬光さんは、そんなに際立った特徴はないもののスタンダードなサウンドトラックを作る感じで、曲調にメリハリも効いているくらいリズミカルな音楽を作っているなぁ…と思ったのであります。キャラクターごとのテーマ曲もしっかり作っていて、なるほど…と思わせる曲だったりします。ただ、落ち着いた感じの曲調の曲は、なんかちょっと物足りない感じがするかもしれません。

ついでに、TVサイズのオープニングだけではなくエンディングのSUPER∞STREAMの放送した5バージョンをきちんと収録しているところは、2枚組のサントラならでは、というところでしょうか。
 
 

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第63回 梶浦由記さん
(初出:2001/06/20)

 今回は早く書きたくてしょうがなかった作品です。

NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK I (ビクターエンタテインメント VICL-60737)

 いろんな音楽のジャンルを「適切なニーズに合わせて」取り入れるという意味で、
菅野よう子さんを引き合いに出してきましたが、その対極にある感じなのが松浦さんの音楽と
いえるかと思います。器の大きさや聴いているジャンルの広がりは菅野さんと似たような感じが
あるのですが、「深さ」のような部分には人によっては「きつさ」にもとらえられかねない、
そんな危うさも持っている感じの曲だったりします。

 EAT-MANのサントラでは、どうしてもそういった「きつさ」が感じられて、
嫌いな世界ではないのですが、アニメ作品と同じようになかなか
一般に受け入れられにくい感じがしていました。

 今回取り上げるNOIR(ノワール)は、そういった部分を感じさせないくらい
アニメ作品もサントラとしての楽曲も映えていて、見たことがない方でも
聴いてみていいといわせることができるものとなっていると思います。
 それは、映像・音楽・脚本などがかなり微妙なバランスの中で成立している、
なかなか同じ組み合わせでも出来得ない、そんなもののように感じました。

 まず、ヨーロッパを感じさせる曲調自体、最近のアニメサントラでは珍しいですし、
それもクラシカルな感じではなくポップな感じに仕上がっているという点が、特徴としてあげられるでしょう。
 また、サントラではあまりつくられないボーカルメインの楽曲も多く、作品世界を広げる一要素になっています。
 なにより一番いいのは、つくっている人が楽しんでつくっていること。

 サントラのブックレットにある梶浦さんの文を引用します。

実際の音づくりに入ってまずつくったのが"canta per me"と言う曲。霧香のテーマでもあります。
この音イメージを全体の中心におきたいと思っていた私的なメインテーマでもあったのですが、
すんなりと監督からokを頂き、その後はとてもスムーズに音作りを進める事が出来ました。

---引用終わり

 さらにいうと、梶浦さんが好んでいる曲などの感じが、ノワールという作品に
ずいぶん近い感じがあるからなんじゃないでしょうか。
 梶浦由記さんのFeels Like Heaven! を紹介しておきますから、
そちらもご覧になってみてください。

 このネタを書きながら、もうこのサントラを聴き続けていて2リピート目になっていますが…
あともう1回は通しで聴きそうなくらい、はまっています。
(こうやって、何枚サントラを買い続けてきたのでしょうか…)

第85回 梶浦由記さん
(初出:2002/08/05)

紹介するサントラは、

.hack//SIGN ORIGINAL SOUND & SONG TRACK 1(ビクターエンタテインメント VICL-60905)

放送開始当初は音楽と映像のバランスとしてどうかなぁ…と思っていたのですが、ある程度経ってしっくりとくるようになった感じです。
ほんの少しですが感じられた違和感というのが、そもそも.hack//SIGNが表現している世界自体の「徹底した仮想世界」だったということを私が気づくまで、
結局3話ほどかかってしまいましたが。ブックレットにある梶浦さんのインタビューの中にも「1mmの違和感」というキーワードとして語られていました。

シンプルな旋律のもつどこか切ない印象を、複数の音が重ね合わせることによっていろんな表情を場面にもたらすという梶浦さんらしい曲調は、
今回も生き生きと紡ぎ出されていると言っていいでしょう。劇判にありがちな「声」を「楽器」に近づけることなく、
聴く人にその歌詞の意味まで興味を持たせるような曲作りは、他の劇判と一線を画していると言っていいかと思います。

映画やアニメなどの映像に付けるカスタムメイドの劇判というより、しっかりとした楽曲という感じが、
Noirにしろ.hack//SIGNにしろ同じように受けた印象ですが、どうもこれは発注側である真下監督自身が望んで作らせているということのようです。
おかげで、アレンジ曲が多くなりがちなサントラがほとんどの状況で、アルバムといってもいいサントラに仕上がったということになるのでしょう。
逆に、これほど曲作りの側の自由度が多いということは、作曲家泣かせともいえるなぁ…と思ったら、やっぱりインタビューで梶浦さんも述べていました。

こういったサントラというのは、私が通常取り上げるサントラのような汎用性がどうしても薄れてしまうのですが…
Noirの例もあるから、使われてしまうんじゃないかという「期待」をちょっと持っていたりします。

音楽プロデューサーの野崎圭一さんが惚れ込んで作っているんだなぁ…と感じるようなコメントに、
曲ごとの初出シーンと解説と梶浦さんのインタビューの入ったブックレットだけでも(個人的には)楽しめましたが、インスト系のアルバムとしても楽しめると思いますよ。

第117回 梶浦由記さん

(初出 2005/07/16)

紹介するサウンドトラックは、
ツバサ・クロニクル オリジナルサウンドトラック Future Soundscape I (ビクターエンタテインメント VICL-61661)

最近ボーカルを多用したサントラというのはそう珍しくなくなっているんですが、TVアニメーション向けということで短めの楽曲として作られる例が多かったりするんです。ところが、梶浦さんと真下監督が組むと一般の歌つき楽曲並みの長さになっちゃうんですねぇ。そうなると、きちんとした楽曲として聞き入ってしまう作りの良さにつながっているようなんです。それは、よく考えてみると、TVアニメのサントラとしては贅沢な作り方をしなきゃらならないということも意味しているんです。

梶浦さんは、比較的いろいろな楽器を利用して楽曲を作る方なんですが、琴とか和太鼓はこれまで初めてだったとのこと。ただし、通常琴とか和太鼓を使った楽曲だと「犬夜叉」などのある程度楽器の印象に取り込まれた感じになるんですが、このサントラではそうはなっていないんです。むしろ日本以外の東洋の音楽といった雰囲気に近くなっています。琴の弦を変えたりしていることもあるんでしょうが、いい意味で作曲家の持つ属性をうまく反映して作られているのでしょう。

あと、このサウンドトラックで特徴的なのは、人物ごとに主となるメロディを構築していることから、作品そのものでの主となる印象的な楽曲は提示されておらす、たくさんのメロディを束ねて一つの楽曲群を構成しているというところでしょうか。出てくる世界も複数存在していることもあり、この場面に使われそうな曲といった感じのものもなく、どれでも使われそうな気がするというのは、ある程度の引き出しがある作曲家でないと難しい気がします。

それとは対照的に、
世界観をある程度一定にしつつ、きちんと場面や人物を想定した感じとなると、直近ではエレメンタルジェレイドのサントラがそれに当たるんじゃないでしょうか。こちらも、結構楽曲の質としては高いと思います。

エレメンタルジェレイド オリジナルサウンドトラック1 (ビクターエンタテインメント VICL-61617)

第152回 梶浦由記さん
(初出 2009/09/21)

紹介するサントラは、
歴史秘話ヒストリア オリジナル・サウンドトラック (SME RECORDS SECL 778)

TV番組のテーマ曲も含めたフル・サウンドトラックなのですが、アニメサントラの作曲家としての成果として取り扱うべきと思ったので、今回取り上げました。直近の梶浦さんのアニメサントラ作品としてなら、Pandra Heartsなどを掲げるべきなのでしょうけど、比較的よく知っている梶浦ワールドをきちんと作品の持つ世界観との制作側との練り合わせが出来ていて、確かに奥行きのあり聴き応えがあります。だったら取り上げたら、と思うのですが、TVでアニメを見ていてもCDを買っても聴きたいと思えるまでの何かが欠けているんです。

ノワールにせよツバサ・クロニクルにせよ、かなり梶浦さんに音楽を作るための自由度が大きく、実はあんまり制作側も明確な作品世界を説明せず、必要最小限しか資料提示しなかった(または説明しきれないくらい、映像作りも作りながら世界観を広げていくものだった)ように思えるのです。そういう点において、歴史秘話ヒストリアというNHKの歴史番組というどんな素材が来るか分からないもので、掲げたアニメ作品とその点におい類似したことにより、かなり自由度の高いサントラが作られるものだったのではないか、と確信したのでした。実際、歴史秘話ヒストリアのチーフ・プロデューサーも「梶浦ワールド全開でお願いします!(=好きにやっちゃってください!)」と、依頼したとライナーノーツで書いていますから。それは、作品の世界観をひとりの作曲家の音楽で、女性的かつ幻想的なイメージでまとめたいという思いがあったからとのこと。既存曲から描かれるイメージに合わせて選択すると、どうしてもステレオタイプというか、このシーンにはこの音楽というイメージが出来ているといっていいでしょう。それを外して、これまでと違う演出手法で歴史番組と作るとなると、その演出の中核となる音楽も全く新たに作って、それでもきちんと疾走感や、憂い、決意やスペクタクルなどを表現した、一つの楽曲群を作る必要があったということで、それらを過去のアニメサントラとして作り込んでいた梶浦さんに依頼したということのようです。

ジャンルに縛られない多彩な楽器構成と、美しく厚みのある女性ボーカルのハーモニーで、個性鮮やかに描き出している。
番組のチーフ・プロデューサーの渡辺圭さんは、この様に適切に梶浦ワールドの音楽を語っており、この言葉からも全28曲がどのようなものであったかが分かるといってもいいと思います。NHKの番宣で、テーマ曲は聴いたことがある方も多いと思いますが、実際に番組を聴いていただいてその世界観に浸りつつ、新しいスタイルの歴史番組を楽しんでみてはいかがかと思います。また、番組中では既存の楽曲も使われており、その中にかつて作られた梶浦さんのサントラなどが使われることもありますが、それらは全く違和感なく入っていることも、注目すべきことかと思ったりもしました。(同じ作曲家の楽曲でも、世界観がある程度違うと、連続した映像で使われると違和感を感じることも多いことから、そう思いました)
 

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第64回 光宗信吉さん
(初出:2001/07/14)

今回は、光宗信吉さん

取り上げるサントラは、少女革命ウテナの最初のサントラ

絶対進化革命前夜 (KICA 354 キングレコード)

光宗さんといえば、アレンジャー(編曲者)としてのお仕事が目立つ方ですが、
インストゥルメントとしての仕事も、案外おもしろい感じに仕上げています。

豪華な感じで、かついろんな曲調を取り混ぜた、一瞬ミスマッチかと思わせるようなつくりではありますが、
実はBGMのみの楽曲では思ったよりおとなしい感じのつくりなんですね。
これまでいろいろな方がつくられたアニメサントラから、豪華さで飛び抜けているということではない感じです。
ただ、主旋律が結構印象に残りやすいので、豪華な感じをうまく演出している感じです。
そういった意味では、映像に対して汎用性のある曲が作られているとも言えます。
メインテーマを中心とした、複数のアレンジされた曲は、ストリングスを中心とした曲など
クラシック的なものを母体としたような曲ですから、むしろウテナが持つ強烈なイメージというのが
あまりついていない形で聞けるかもしれません。

たぶん、ゴージャスな雰囲気などをつくりだしているのは、J.A.シーザー氏の合唱曲を
アレンジしたものなんじゃないかな?そちらの音楽としてのインパクトや世界観の構成には、
強烈なくらい影響しまくっていますからね。光宗さんのアレンジャーとしての実力もうまく生かされて、
おもしろい感じに仕上がっています。
前出のノワールでは、歌ものにしたとはいえ歌詞が持つイメージを目立たなくするため(だけでなく、
音楽としてもあわせにくいため)に日本語や英語でなく、イタリア語やラテン語を選択して、
BGMにある意味徹しています。
ところが、このサントラでは、むしろ積極的に歌詞を目立たせて、明らかに歌として
映像に重ねるという手法を選択しています。こういった演出方法で使われる楽曲は、
やはり映像自体にある程度力がないと、利用しづらいという感じです。

一瞬見の奇抜さで、何となくすべての音楽がインパクトがあるように思えてしまうのが
少女革命ウテナという作品にはありますが、うまく複数の種類の曲を組み合わせてつくっている点は、
他のアニメサントラとそれほど変わりません。
でも、アレンジャーとしての仕事がメインの方だけあって、ほぼ同じ主旋律で複数のアレンジ曲を
しっかりとつくっていたり、原曲をかなり効果的にアレンジしているというのは、さすがという感じではありました。

第73回 光宗信吉さん
(初出:2001/12/18)

紹介するサントラは、

ちっちゃな雪使いシュガー music note.1 (パイオニアLDC PICA-1247)

TBS火26:20からの放送されているアニメですが、作品の中身からいうとBS-iの放送時間(土7:00)の方が適切なくらい、
子供がみてちょうどいい感じの作品です。
少女マンガ原作のアニメが比較的多い光宗さんですから、この手の音楽は得意分野と自分でも
(CDのブックレットにある)ライナーノーツでのたまっていましたね。
この作品の制作側から「ピアノとストリングスを使ったロマンティックな映画音楽みたいな音にしてください」といわれて、
「どんぴしゃ」と思ったらしいのですが、あえて「ハズそう」としたそうです。

求められている音楽をあえて外すといっても、聞き覚えのある曲調ではあるけど、実は全然違う音楽という
かなり凝ったことをやることになるのですが…そんなことを感じさせないくらいしっかりとした光宗さんらしい、
表現している音楽の場面にさらに広がりを加えたような感じになっていたりします。

ニューエイジミュージックの多くでは、シンプルな旋律を多少アレンジして5分から7分程度の曲に
仕上げる例が多いのですが、曲の感じはそれらに似通っていても、複層的に旋律が展開していくので、
しっかりと曲の中で変化する場面を楽しめたりします。(西村由紀江さんのピアノ曲に、この手の傾向があったりするんですね)

たぶん、このサントラをクラシックの小曲集といっても、そう思ってしまえるんじゃないかと思うくらい、
劇判でありながら音楽としてのクオリティの高い曲で作り込まれているように、私は感じました。
(でも、バンド調のアレンジ曲もあるけどね)

それゆえ、たぶんTV番組での利用もあるだろうなぁ…と思ったら、案の定もう利用されていましたね。

第76回 光宗信吉さん
(初出:2002/02/13)

紹介するサントラは、残念ながら購入していなかったものです。
ナースエンジェルりりかSOS ハート・エイド・ファースト  (キングレコード KICA-273)

作品そのものが落ち着いた感じの表現が多かったこともあり、サントラとしてもそれほど目立つ曲調があるわけではありませんでした。
良くも悪くもスタンダードな少女向けアニメのサントラであったわけですが、そういった曲って比較的使いやすいということにつながっているのですが…
発売された当初はそれほど他の番組で使われていたわけではありませんでした。

ただ、ストリングスを中心とした伸びやかな曲調というのは、妙に私の頭の中にいくつかの曲でこだましてはいたんです。
その後の光宗さんの作品を振り返ると、そういった特徴が徐々に顕著になっていっているんですね。
メインテーマとなっている曲とそのアレンジ曲は、いまでもまだほしいなぁ…なんて思うことがありますが、
作品の画像とはあまり連なった印象がないんですね。たぶん、作品そのものが持つちょっと影のある主題と穏やかな曲があまりつながりにくかったからかもしれません。

第116回 光宗信吉さん

(初出 2005/07/16)

紹介するサウンドトラックは、
ローゼンメイデン オリジナルサウンドトラック (Mellow Head LHCA-5003)

光宗さんは、ポップな印象の曲とその対極と感じられるクラシカルな印象の曲を、同じ作品の中にうまく取り入れていくことができる作曲家という印象があります。ベースとしてクラシックの楽曲の作り方ができていて、こちらの質が評価されることが多いのですが、むしろ自在にリズムや曲調を変えられるポップな曲の方が得意なんじゃないかと思うんです。

ちっちゃな雪使いシュガーでは、どちらかというとリズミカルな部分をクラシック的な曲調のものに集めた感じですが、ローゼンメイデンでは、ポップな曲とクラシックな曲を明確に分けて構築したという感じがあります。ただし、作品そのものが、上品に見える人形たちが主に繰り広げる話ですので、クラシックの楽器を主とした曲が多くなっています。

それにしても、今回の楽曲は弦楽器がたくさん登場しているなぁ。

今回のもので特徴的なのが、一つの楽曲でメロディが大きく2つ以上に分かれて変わっていくものが多いことでしょうか。Track16孤独な心 などはそれがわかりやすく出ている感じでしょうか。Track23 薔薇の呪縛 に至っては、何段にもわたって似た感じではあるがちょっとずつ変わったメロディが紡がれていて、聴き応えがあったりします。

第129回 光宗信吉さん
(初出 2006/12/16)

紹介するサントラは、
『あさっての方向。』Original Sound Track "truth" (Lantis LACA-5598)

ちっちゃな雪使いシュガーでのメロディアスなピアノ曲が個人的に気に入っていただけに、クラシックを基調としたサントラだけでなく、ピアノ曲を全面に取り入れたサントラが出たらさぞ興味深いものに…という希望が、このサントラでかなったというところでしょうか。

作曲したご本人が、ピアノ曲ばかりになりましたというくらい、たぶんピアノ曲のアルバムといっても納得できるようなラインナップに仕上がるんじゃないかと思います。
快活でリズミカルな「ちっちゃな雪使いシュガー」や上品である種のテンションをもった「ローゼンメイデン」と異なり、日常的な状況の中で起こってくる日常と違った出来事を描く「あさっての方向。」。この作品では、音階の広がりはあるものの特定の楽器である種の枠をもって映像にすーっと流れていくことを望まれていたようです。ピアノ曲としてのARIAと比較すると、メロディに重なる音が少ないことでよりメロディに寄り添っている印象が強いです。

ピアノ曲主体のサントラといえば、服部隆之さんの「陸上防衛隊まおちゃん」というのがありますが、こちらはリズミカルに場面を表現するという感じで、メロディを響かせていくという感じではありませんでした。

ピアノ曲がクラシックを基調としたものではあるが、ピアノ曲以外のサントラは場面表現を明確にしたポップなものも作っており、これはこれまでの光宗さんの楽曲らしくなっています。

あと、実際にサントラが出たときに、もうちょっと書き加えたものにしたいと思っております。

(2007/01/24 追記分)

光宗信吉が奏でるニューエイジ・ミュージック・サウンド

CDのタスキに書かれたこの文章が、このサントラのコンセプトを指し示していると言っていいでしょう。ただし、素直にニューエイジミュージックではなく、光宗さんらしい別のニュアンスを織り込んでいますし、それはブックレットの方にも書かれていました。

作品中によく使われた旋律を集めた 組曲「あさっての方向。」をTrack1にもってくるところが、まず心憎い楽曲の構成だったりします。(他の作品でも類似のことをやっていますが、テーマ曲のアレンジか序曲っぽい新たに作った雰囲気を感じるものが多いもので)

作品中ではカット割りでどうしても短めに使われることが多く、フルで聴いてみたかった楽曲がきちんと収録されています。それに加えて、バリエーションに富んだアレンジ曲がこれまたたくさんあること…ARIAのサントラでもそういった楽曲が思いの外多かったことを書いていた方がおりましたが、アレンジ曲を別に作ったように感じさせる編曲の力というのを、改めてこのサントラで感じたのであります。

作品の描いている季節は「夏」そこで「ぴーんと張りつめた空気感」とか、主人公の一人である からだ の「ピュア」な部分を音楽としてどう織り込んでいくか、というのがどうもアニメ制作側から提示されていたようです。
そのコンセプトは、ある意味、光宗さんのこれまでやった作品とは方向性の異なっていたのではないかと思います。
癒し系とは似て非なる、ただやさしく心地いいだけではない、きちんと表現すべき主題をもった楽曲は、実はニューエイジミュージックと称される楽曲群でも結構あります。
(個人的に好きな、西村由紀江さんとか村松健さんのピアノ曲などが当たると思う)
そういったアルバムに近いものとなると思っていたら、その期待以上のものが提供されたと思いました。

CDのブックレットの光宗さんのコメントによると、かなり絞り込まれたサウンドの幅の中で作られたとのことです。
こういった楽曲はサントラとしては他の映像場面でもその親和性が高いのは、これまでも類似の例があるだけに、いろいろなところでこの楽曲が聞こえてくることを期待してしまいたくなります。
 
 

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第74回 寺嶋民哉さん
(初出:2002/01/07)

紹介するサントラは、

臣士魔法劇場 リスキー☆セフティ あっ!サウンドトラック  (ポニーキャニオン PCCG-00527)

なかなか寺嶋さんのサントラを手にすることがなかったのですし、ちょっと気になる落ち着いた曲調で
劇判らしい曲ではあったのです。ようやく、それも放送が終了してからしばらく経って購入という形になったのが、
このリスキー☆セフティのサントラだったりします。

やはりというか、一番印象的なのは主題歌である「夜明けの風ききながら」のインスト・アレンジバージョンの曲なのです。
歌として作られた旋律というのは、どうしても記憶として残りやすいですし、メリハリも歌詞が持つリズムと相まってつけやすいですからね。

でも、主題歌の旋律がそれだけはっきりしているものですから、そのほかのサントラの曲も口ずさんでしまえるように
伸びやかで落ち着いた感じものが多かったです。リスキー☆セフティという作品は、ドタバタしたメリハリのある表現より、
セリフと落ち着いた映像表現でしたから、劇判も落ち着いたスタンダードなクラシック系の曲でした。
そのため、他の同系統のサントラとの差別化は図りにくく、TV番組での利用という意味では埋没した印象は拭(ぬぐ)えませんでした。
以前紹介した大島ミチルさんのように、場面やキャラクターごとにテーマとなる旋律をつけていくのではなく、
作品が持つ世界観をアレンジそのもので表現していくため、個々の曲自体ではっきりとした違いを感じられないのも、
その埋没した印象につながっているのでしょう。

品がいい曲というのは、劇判の場合ほめ言葉にならない場合もあるようですが、
これがイージーリスニングの楽曲だったら…と思うくらい、聴いていて邪魔にならないです。
 
 

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第75回 是永功一さん
(初出:2002/01/23)

紹介するサントラは、

オリジナルサウンドファイル ラブひな (キングレコード KICA 523/4 )

あくまでも、今回の紹介はこのCDのDISK ONE のみ。

 是永さんの曲は、どちらかというとポップで過激な感じでもどこかゆったりとした曲調になるというもので、
確かどこかの作品の音楽を担当したときはそれがあまりうまく作用しなかったという印象がありますね。
 得意技ばかりを曲にしていくと、どうしても劇判としては平板になってしまい、
サントラがアルバムとして評価されていたような感じがしましたので、私としては
どうしても「いまいち」という評価になってしまいました。

 この「ラブひな」という作品では、ポップでもどこかゆったりした曲調が曲ごとにうまく構成されたため、かなりうまく作用したという感じです。
作品の制作側も、それを意図した明るくリズミカルな音楽を基調に、ゆったりとした曲を組み合わせることにしていたようです。

曲のテーマとして○和風なフィーリング(といっても時代劇みたいなものではなく、あくまでも日常的な)をコード、メロディに織り込む。
○しかし、ドラムンベース、2ステップ、ピックビート等を使ってビートはあくまで現代的に。
○各キャラクターの性格に対し、印象的なリフや音楽を当てはめ、それを組み合わせていく。
○なごみ感、憩い感とスピード感を共存させる。
…とブックレットに書いてあるようにかなり明確なコンセプトがあって、この通り作っているんですから、さすがというしかありません。

日常の風景描写を基本として、きちんとキャラクターの応じた曲を作り、かつ和風なと現代風がゴッチャのサントラというのは、
TVなどの映像でのBGM利用にはもってこいという作品といえるでしょうね。

ブックレットに書いてある曲のタイトルの横にある記号が、レコーディングメニューのインデックスになっていて、
そもそもの曲のコンセプトが分かるようになっています。

今頃になって紹介となったかといえば、最近聞き覚えのあるサントラの曲なのだが思い出せないなぁ…と思っていたら、
ふと「ラブひな」のことを思い出したからなんですね。あまりに日常的に使われているという印象が強くて、
曲そのものとラブひなという作品のつながりを忘れてしまった部分がありまして、
改めて聞き直すと、これはまず紹介しなければと思ったのがその理由です。

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第77回 岩崎琢さん
(初出:2002/03/11)

紹介するサントラは、たぶん作品名もあまり知名度がないのではというもの。

今、そこにいる僕 オリジナル・サウンドトラック (ビクターエンタテインメント VICL-60492)

岩崎琢さんの音の作り方は、オーソドックスともいえるアコースティックな楽器を使ったシンプルな旋律を微妙に変化させながら繰り返していく感じのものです。
久石譲さんがもともと得意とするミニマム音楽にも通じる部分があるのですが、岩崎さんの曲は旋律自体にある種の勢いなりイメージすべきものが
込められているため、ずいぶん久石さんと違った印象があります。

今回取り上げた「今、そこにいる僕」は、作品自体かなり影のあり表面的には静的な印象を感じますが、そこに流れるテーマや表現したいものは
むしろ動的で熱いもののようです。とにかく、30分で13話のアニメとしてはカット割りも長く、WOWOWノンスクランブルといった放送形態でないと
なかなか放送する側としては受け入れにくいものだったという風に記憶しております。

そのカット割りの長さに呼応するように、このサントラの曲は一つ一つの曲を切り刻むといったことができないくらいのポテンシャルを持っていて、
とにかく聞き入ってしまいます。ミニマム音楽は一般的にどこかで切っても気づかれないはずなのですが、
そういった隙とか同じ印象の旋律というものをほとんど感じさせない完成度を感じるのでした。

TVアニメーションシリーズのサントラでは、たぶん1トラックに18分にもなる組曲が入るなんていうことはなかったんではないでしょうか。
劇場版のアニメでも、そこまでのものが作られたというのは、私の記憶ではなかったと思います。
残りの曲も2〜3分程度の曲がならび、サントラというよりインストゥルメンタルのアルバムといった曲になっています。

でも、こうしたその作曲家の持つベクトルとあったアニメ作品というのは、なかなか出会えないということのようで、
こういった印象と異なる作品も作られているというのが、アニメサントラに代表される劇判が作曲家によっては主となり得ない理由にもなるようです。

第89回 岩崎琢さん
(初出:2002/11/11)

紹介するサントラは、

ウィッチハンターロビン ORIGINAL SOUND SCORE 1(ビクターエンタテインメント VICL-60931)

過去に「今、そこにいる僕」で紹介したときにも述べたように、ミニマム音楽的な要素を持っていたり、アコースティックな楽器を使ったシンプルな旋律という部分は、今回のアルバムでもある程度あります。ただ、それよりも作品が持つサスペンスタッチの部分があるため、奥行きのようなものが加わったという感じでしょうか。具体的には、以前に比べ楽器のバリエーションが増えたというものがあたりますが、それ以外にも楽曲そのもののトーンが複数の主題を絡めていくような部分もあたるのかと思います。

このサントラのブックレットにある岩崎さんのインタビューに、
『るろうに剣心(追憶編のこと)』も『Witch Hunter ロビン』も、基本的にメインに出しているのはオケなんだけれども、ちゃんと裏でシンセのパーカッションが入っているんですよ。
と、いっているんですね。さて、気づける人がどれだけいるものかなぁ…

そりゃそうと、
音楽は映像のように時間を止めて認識することができるものではなく、時間を経過させて聴かなければ認識できないということから、より時間の流れ、ストーリーの流れに重きを置く、といったコメントには「なるほど」と感心しました。映像表現のなかでの時間経過やその映像以外のストーリー・背景の「流れ」のようなものを、音楽というのは表現するというとも解釈しましたが、サントラ持つ重要な役割の一つを示していると思いました。

あと、
劇判(サウンドトラック)というのは、ポピュラリティと芸術…ある種自分の興味の追求とが一番融合する場所だという感じがします。
という風に、このフィールドを気に入ってくれて、質の高い楽しめる音楽というのを提供してくれるのは、素直に嬉しいですね。こういった「何でもあり」という部分が表現のバラエティーを広げていき、一つのジャンルで閉塞しがちな音楽に変化を加えることにつながると思うんですけど。

なんかサントラ論の方に話が行ってしまいましたが…作品とサントラとの関係について最後に述べておきましょう。
岩崎さんのこれまでのサントラは、どちらかというと作品の持つ世界観を忠実に再現していて、結構はっきりとした音楽としてのトーンが出ているんです。そのため、たくさんの曲が収録されていても、あまり差異のようなものを見いだすことが難しい感じがしたんです。曲としてのクオリティーはあり、該当作品の劇判としてはしっくり来るのですが、サントラとしてCDで通して聴くと面白味に多少欠ける部分があった気がします。
今回の作品は映像も含めて行間というのか作品の世界観自体ある程度の余裕のものがあるため、サントラとしての楽曲自体あいまいで作曲側の意図的な遊びなどを許容できる部分があったのではないかと思います。このため、たぶん作品を知らなくてもこのサントラを聴いて楽しめるんじゃないかと思いました。

第101回 岩崎琢さん
(初出:2003/10/05)

紹介するサントラは、

R.O.D Original Soundtrack (SPE ビジュアルワークス(現 アニプレックス) SVWC 7078)

それなりに評価が高い岩崎琢さんの作品でしたが、R.O.D.(READ OR DIE)という作品は、OVAということもあって見聞きすることができなかったんですねぇ…そういうわけで、TV版が作られるということでCS アニマックスの放送でようやく見ることができて、その後さっさと購入してきたということになりました。

劇判として明確な場面がある曲の作られた方のうまさは、岩崎さんのアレンジャーとしての実力をそのまま反映していると言っていいかと思います。
それよりも岩崎さんらしいのが、3つのテーマとして作られている曲。全体を通じて1960〜70年代のテイストで、スパイもののテーストとされオープニングなどで使われた「メインテーマ」 ・フランス映画の雰囲気を狙った「読子のテーマ」・エンディングや作戦が開始されるときに使われた大英図書館特殊工作部「"作戦"テーマ」は、一つの楽曲として聞かせてくれるくらい、はっきりと第1主題・間奏・第2主題といった曲としてのストーリー構成もできています。

テイストとしての曲調は、確かにどこかで聞いたことがあるものなのですが、本歌取りといったあらためて作曲者自らが昇華して構築した曲というのではなく、岩崎さんがもともともっている曲調をベースにしつつ、アレンジしていったという感じのようです。

よくよく聞いて振り返ってみると、このサントラのその3つのテーマ曲って、いろんな他の映像の場面で聞こえてくることがあるんですねぇ…リズムやその曲の長さも場面に考慮して作られている曲と違って、主題が明確で比較的長目の曲というのは、結果として汎用性が高いサントラ曲となっているのかもしれません。

第105回 岩崎琢さん
(初出:2004/05/30)

今回は岩崎琢さん。

紹介するサントラは、
R.O.D -THE TV- ORIGINAL SOUNDTRACK (Aniplex SVWC 7192〜3)

OVAシリーズの時のR.O.Dのサントラは、オリジナルの曲という部分の残しつつ、過去の映画音楽などの曲調を取り込んだという形であり、また表現するシーンが比較的分かりやすいということもあって、岩崎さんの曲としては珍しく輪郭のくっきりした曲が多かったです。

それと聞き比べてしまうと、どうしてももっと落とし込んだ落ち着いた感じの曲調が多くて、食い足りない部分を感じてしまうかもしれません。でも、もともと岩崎さんがつくる曲調としては、小節の中で長目の音をゆったりと重ねて、少ない音源で音を響かせるという感じが多いので、むしろ今回のアルバムの方が通して聞くと聞きやすい感じがします。

でも、曲とタイトルがずいぶん違っているような…と思うものも少なからず存在しますねぇ。実際に場面として使われた曲とのズレも含めて。それは、映像の場面としてははじけていたり緊迫感があっても、音の方はそれをくっきりとさせるためのおとなしい感じの基礎表現としての音に徹している感じです。それは、場面・カット割りにあわせてBGMがカットされることは少なく、ほぼ通して曲が使われることが多いことにその理由があるのかもしれません。

それでも、のどかであったりコミカルである曲もしっかり作られているわけですが、その比重が作品のトーンの割に少なかったように感じられましたが、それは岩崎さんの曲調としての得意技を考えると、今回のサントラのような形の方が自然に思えたのでもありました。

第121回 岩崎琢さん
(初出 2005/11/23)

紹介するサントラは、
焼きたて!!ジャぱん オリジナル・サウンドトラック2 (Aniplex SVWC 7292)

前作に続いて紹介する理由は、明らかに新章である部分での新たな音楽としての色合いでしっかりと作られているから。
もともと、他の映画音楽のいいところ取りっぽい曲調をふまえて作っていたんですが、いろいろな国が場面なり登場人物として登場するので、それに合わせた新たな楽曲が、これまた違和感なくつられているんですね。

もともとのメインテーマとなっている楽曲にも、アレンジバージョンがあって、それがあんまり違和感を感じることなく作り込まれているのも、岩崎さんらしいうまさなんでしょう。

どうしてもトーンが単調になりがちな、危機迫るシーン向けの曲はあまりなく、コミカルにストーリーに弾みをつける音楽が多くなっているんですが、これだけの楽曲を作り出すには、かなり引き出しがないと難しいんですね。その奥の深さを感じさせるような感じに仕上がっています。
まあ、元になってそうな曲がありそうに思えるんですが、たぶんかなりと違うようですし、それを感じながらでもおもしろく聞こえてくるんじゃないかと思います。

ただ、汎用性のあるサントラとしては評価できますが、サントラCDとしては実はあまり統一的なテーマが感じられにくいかもしれないなぁ…とも思いました。

第126回 岩崎琢さん
(初出 2006/04/14)

紹介するサントラは、
びんちょうタン サウンドトラック(フロンティアワークス FCCM-0105)

アニメ作品としては15分・9話分しかないのですが、サントラの楽曲としては2分から3分の曲がそのほとんどを占めていたりします。(収載楽曲数は24です)曲が長めであるということは、1つの楽曲のなかでゆったりとその情景を表現していくという形になりますから、作品の尺の割にかなりぜいたくな楽曲の作りになります。(実際、ほとんどの楽曲がフルで作品中では使われちゃいないです。)

CDのたすき(タイトルやバーコードを表記するケースの外の紙の部分)に「キレイな音楽を聴きましょう。」とありますが、確かにその表記に偽(いつわ)りなしってところでしょうか。ストリングスや金管・木管楽器・ピアノなどでゆったりとメロディーが流れ、そこに必要に応じてシンセなどが寄り添うといった感じに仕上がっています。

こういったゆったりとしたトーンの楽曲では、これまでの岩崎作品では多少影が濃い雰囲気になりがちだったのですが、このびんちょうタンでは、それほど影がある感じには仕上がっていません。スタンダードなクラシックの曲調には、適度な明るさとともにある程度の上品ともいえる落ち着いた感じが演出されていたりします。

こういった落ち着いた楽曲だと、一般的によく語るサントラファンはあまり語ることがないようですが、実際映像に汎用であわせる楽曲としても、イージーリスニングとしても良質な作品の場合が多かったりします。ただし、いわゆる萌えキャラとされそうなびんちょうタンの絵がついているだけに、購入時にはそういった認識をされにくいだろうなぁ…とも思ったりします。(2006/4/9日本経済新聞 中外時評にもびんちょうタンの名前が擬人化の例として登場していたし)

第131回 岩崎琢さん
(初出 2007/02/05)

紹介するサントラは、
ゼロゼロナインワン オリジナル・サウンドトラック (Aniplex SVWC 7423)

今回のサントラは、弦楽でゆったりと場面がすすんでいくのを表現し、トランペットや打楽器でポップでリズミカルな場面変化を表現するという、ちょっと昔の映画音楽としてはオーソドックスな手法をあえて取り入れ表現しています。これは、R.O.Dで比較的使われた手法で、009-1という作品がもつテイストにフィットしているといいと思います。

しかし、曲調はどこかで似たような感じではあるにもかかわらず、旋律はきちんと異なったものになっているんです。それは、ほんの少し変調したり、タイミングをずらしたり、といったいわれなければ気づきにくい部分の場合が多かったりします。そのちょっとした違いが、明確な違いとして感じられるように、編曲によって曲全体を構成するところが、岩崎さんらしさという部分だったりするんです。このため、他の作曲家さんのような特徴的な旋律のようなものは、なかなか提示しにくいように思えたりするんです。
だからといって、同じような旋律をシンプルに重ねて、その重ねをずらすといったものでもないわけでして…それゆえ、他の楽曲と似たような曲調でも対応できるといった自由度をもっているのかもしれません。

それにしても、アニメ作品としてはその作品の話題性のわりにいまいちだった009-1ですが、サントラに限っていうと、まあ良くいろんな番組で使われること…これまでの作品の実績としっかり重ね合った、汎用性のある楽曲を、今回も提供したというところでしょうか。

第168回 岩崎琢
(初出 2011/12/11)

紹介するサントラは、
TVアニメ「神様のメモ帳」 ORIGINAL SOUNDTRACK (Glory Heaven LASA-5104)

岩崎琢さんは、ある程度音楽のジャンルを絞ってアニメサントラを作っていくことが多いです。今回は、1980年代から1990年代に流れたであろう都会的な雰囲気をしっかりと取り入れた感じの楽曲で占められているように感じました。
意外と楽曲自体に派手さはなく、劇判に徹しているのが、キャッチィでないという点からポイントを落としているが作りは秀逸である。いわゆるラップやシティポップスをインストにするとこんな感じかなぁ…と思わせるような、そんな仕上がりは、逆に「神様のメモ帳」という作品のサントラとしては最適だったように思えました。

岩崎さんのサントラは、依頼を受けたアニメ作品のテイストにピタッと来るある種の職人芸のような作品が多いためか、作品自体がヒットしないとサントラも浮かばれないことが多い気がします。でも、サントラ自体を好む方々にとっては、うまいとうならせる楽曲を並べていて、サントラ楽曲自体の評価は聞いてみると評価が高いんですけどねぇ。次回作(ベン・トー)もそんな気が。
 

第177回 岩崎琢さん
(初出 2012/12/12)


紹介するサントラは、
「ベン・トー」サウンドトラック (ポニーキャニオン PCCG-01214)

「BLACK CAT」「グレンラガン」などのサントラを聴いて、次に機会があったら岩崎琢さんに発注しようという板垣伸監督も、ある意味マニアックな方のような気がし ますねぇ。その発注で、「遊んでくれていい」といったそうで、バリエーションというかジャンルをめっちゃひろげた岩崎さんとサントラができあがっちゃいま した。

逆に言うと、突き抜けた何かが音楽でもないと「ベン・トー」というアニメの音楽って、結構平板なものにおさまっていたんじゃないかと思うんですよねぇ。そ れと岩崎さんとしては珍しく、歌つきの楽曲も作っていたりするんですねぇ。ある意味やるとこまでサントラを突き詰めてやってきたから、今回はノンジャンル で冒険をやっていくという覚悟が出来たんじゃないかと。それと、よくありがちなTVサイズのop,ed曲すらないです。

考えてみれば、ただ半額弁当を取り合うというだけの話なんですが、それが作中としての膨らみを帯びたのは、原作、アニメ演出、音楽などなど、いろんなことが功を奏したんじゃないかと、サントラを聴きながら思ったのであります。

これが、戦闘的な場面に特化すると「ヨルムンガンド」のようにいい感じの楽曲になって、こっちの方がたぶん評価が高くなると思います。岩崎琢さんとしては 得意な分野の楽曲だし、ある意味劇判としてはかっちりした無難な感じに仕上がっているので、汎用性にはその分ちょっと乏しいかなぁ…という気がします。




 

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第83回 栗原正己さん
(初出:2002/07/19)

紹介するサントラは、

あずまんが大王 オリジナルサウンドトラックVol.1(Lantis LACA-5111)

リコーダーと弦楽器を中心とした音楽というのは、それだけでバリエーションがたくさんある楽しい音楽になるものですが、
劇判として使われるとそれはもう強力な引き込む力を持つ曲となってくるようです。
なにせ、シンプルな旋律を気持ちよく並べているのですから。

あずまんが大王は、ギャグもののジャンルに当たるものですから「間」というのが重要な演出上の手法になります。
映像的に間を作り出すだけでなく、音も止めてしまうという手法をGS美神で行っていきましたが、
それではうまく表現できそうもないと思っていたんです。
ずまんが特有の間を作り出すために、リズムパターン中心で音の空間を広くとっている楽曲が、
これまたうまくはまっているんですね。

さらに、栗原さん率いる栗コーダーポップスオーケストラの普通の楽曲が、妙に画面にはまっていくんですね。
今回の音楽を作る作業が楽しくて仕方ないとライナーノーツに書いているくらいですから、
この楽曲がはまらないはずがないと言っていいでしょう。

それにしても、新学期というタイトルで6つもバージョンを作っているんですが、
楽器の数はそれほど変えていないのにこれだけ違って聞こえてくるというんですから、音楽というのは奥が深いなぁ…と感じつつ、
あずまんが大王の底知れない妙な「間」の世界にも引きずり込まれていってしまうような音楽だったりします。


第179回 栗コーダーカルテット
(初出 2012/12/12)


取りあげるサントラは、
つり球 オリジナル・サウンドトラック (Aniplex SVWC 7856)

栗コーダーカルテット(栗原正己さん、川口義之さん、近藤研二さん、関島岳郎さん)の4人それぞれがこのサントラの楽曲の作曲を担当してまして、それぞれの方の曲調を楽しむのも結構楽しいかもしれません。

日常的な場面を表現する楽曲は、栗コーダーらしくカルテットでやっている毎度の楽器を使っていますが、普段使わないストリングスや管弦楽セクション、ピア ノなどオーケストレーションしている楽曲もあり、そういった部分がサウンドトラックらしいといっていますが、でもそんなに栗コーダーらしさからは離れるこ となく、ちょうどいいボリューム感のある編成でつくられている感じがします。(なにせ、日常的でない「釣りで地球を救う」なんてことを後半やりましたから ねぇ)

でも、基本まったりとした作品ののどかな雰囲気ですから、そんな雰囲気の(かつてのサントラやアルバムなどでの)栗コーダーカルテットの楽曲を期待してい る方にとって、その期待に沿った楽曲のサントラに仕上がっているといっていいと思います。ただ、「キョロちゃん」と同じように作品に寄り添っている感じで すので、汎用性はちょっと薄いのかなぁ…と思ったりもしました。


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第84回 高浪敬太郎さん
(初出:2002/07/27)

紹介するサントラは、

ちょびっツ オリジナルサウンドトラック001 (ビクターエンタテインメント VICL-60886)

元ピチカート・ファイブの といった方が高浪さんについては分かりやすいかもしれませんね。
往年の曲調が再現されているという感じの曲という風にいうと、今回のサントラの曲としてはしっくりいくかもしれません。
普通、パソコンが出てくる話というのなら打ち込み系の曲を選択しそうなものですが、たいがいの場合人とパソコンとの関係を提示する作品のほとんどは、
アコースティックな曲を選択していまして、そういう意味では順当な選択ともいえます。

1970年代の音楽というのは、旋律や編曲のクオリティーが高いため、今でも古びることなく聞かれる曲が多いのではないでしょうか。
それは、一般ウケするものもあるのですが、音楽好きにも好かれる要素が盛り込まれているということにもなるんでしょう。
そういった意味で、現在のサントラのトレンドとしてはかなりかけ離れた、ソフトロックとよばれていポップな音楽がこのサントラでは聞くことができます。

このため、場面を表現する曲というもので構成されていて、キャラクターをイメージした曲というものは、このサントラではあまり感じられなかったという印象があります。
強いていうと本須和くんとちぃちゃんをはじめとした人とパソコンとの関係をイメージしていると言っていいでしょうか。
それは、やはりアコースティックな音楽が似合っているように感じます。

そうはいっても、最近のトレンド(というよりビクターエンタテイメントのアニメサントラだけかもしれませんが)ともいえる、
コーラスやハミングなどの人の声が入っている劇判音楽でもあります。
また、初回特典がレコードジャケット風仕様ということで、徹底してアナログ感にこだわっているサントラといえるでしょう。
 

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第86回 保刈久明さん
(初出:2002/08/12)

紹介するサントラは、
ココロ図書館 オリジナル・サウンドトラック (ビクターエンタテインメント VICL-60819)

かわいらしい姉妹が、人がほとんど訪れない図書館の司書としての日常やそこにある本の中の世界を落ち着いたタッチで描いた「ココロ図書館」。
かわいらしい主人公たちの絵的な印象とは違ってキャラクター萌えするような話は全くなく、落ち着いた日常にちょっとした嬉しくもあり・ちょっとさみしくもある出来事を淡々と描いた、
最近のアニメではちょっと風変わりな作品でした。

ピアノ・オルガン・アコースティックギター・リコーダーなどが主旋律を奏で、それらにストリングスがアレンジとして織り込まれていくという
室内楽のような曲は、やはり派手さがなくて聞き過ごしそうになってしまいます。そういった曲というのは、作曲者や作品をどうしても選ばないと使えないのですが…
アニメのサントラとしては、なかなかいい感じの巡り合わせにはならないようです。

保刈さんは、確かアニメサントラはこの前に1作程度つくられているはずです。今回のものも1つの曲自体結構長目に作ってあって、
あまり劇判としての曲の作られ方をしていないようです。むしろ、ニューエイジミュージックのアルバムとしての曲といった風にサントラアルバムが作られていますし、
作品での利用も曲のほとんどを流しているような感じでした。
どうも、ある一つのストーリーごとに曲を作っているというもののようで、劇判にありがちな細切れな曲調の変化はなく、
保刈さんの曲のオリジナリティーを十分織り込んだ曲になっているようです。このため、主題歌のアレンジバージョンがいくつかある程度で、
メインテーマとなって劇判が作られるという形態にはなっていないようです。

「ほんのちょっとの出来事」に感動できるような余裕を思い出させてくれるような、日常のどこにでもある光景にスポットを当てているような、
そんな室内楽としても良質な曲がつまっているのが、ココロ図書館のサントラと言うところでしょうか。
 

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第90回 斎藤恒芳さん
(初出:2002/11/22)

紹介するサントラは、

朝霧の巫女 幻想音楽・第一集 幽世 (キングレコード KICA583)

斎藤さんといえば、葉加瀬太郎さんとともにクライズラー&カンパニーとして楽曲を発表していたことの方で知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。葉加瀬さんはどちらかというとクラシックをよりポピュラーな形にするものの洋楽としての属性を活かす方ですが、斎藤さんの方はポピュラーではあるもののむしろ邦楽としての属性に近づけていく感じが近いという気がします。

闇の末裔というアニメ作品の音楽を担当したときは、斎藤さんの持つ邦楽的な要素が遺憾なく発揮されている楽曲にはなっていました。ただし、作品が持つものが和の要素よりもキャラクターの端麗な姿を強調したものになっていましたので、音楽がそれほどうまく活かされているといった印象にはなりませんでした。それでも、楽曲としての良さから比較的サントラ好きな方々には評価が良かったようです。

今回取り上げたサントラも、闇の末裔での和を基調とした楽曲の品の良さを保ちつつ、作品の場面を引き立てる劇判としてもしっかりとできているものになっています。和を基調となると比較的単調な旋律を重ねるような気がするのではないかと思いますが、思いの外メロディアスに旋律が流れていくのですね。(まあ、最近の純邦楽もそういったテイストが多くを占めていますが)曲調として劇判で近いとすると、久石譲さんの「はるかノスタルジー」がそれにあたるのかな?今回取り上げたサントラでは、そういった落ち着いた日常をちょっと劇的に見せるような曲が多いです。(まあ、幽世(かくりよ)とサブタイトルがついていますからねぇ…)
そういえば、三味線を使うアニメサントラの楽曲といえばほとんどがコミカルな曲なんですが、このサントラではしっかりとしたコミカルでない場面向けの曲でしたね。それに、尺八かな?と思ったらフルートでの主題曲のアレンジだったりしますからねぇ…

実は朝霧の巫女ではこれとは違ったテイストの曲調も多く、その曲も含めてかなり幅広く劇判音楽が作られているのですが…それはその後発売されるサントラが出たら語りたいと思います。

第94回 斎藤恒芳さん
(初出:2003/01/26)

紹介するサントラは、

朝霧の巫女 幻想音楽・第二集 現世 (キングレコード KICA593)

この前紹介した第一集 幽世の方が思いのほか多くのTV番組で使われていたのを確認できたんですね。どちらかというとサントラとしては派手さがない落ち着いた情景描写の音楽が多かったので使われるということは、今回紹介する方なんてもっと…と思えてなりませんね。

今回紹介する第二集 現世(うつしよ)の方は、「現世の音色-allegroアレグロ-」「現世の音色-adagioアダージョ-」「光風霽月-こうふうせいげつ-」とボーナストラックの4つに分かれています。

アダージョは、幽世の落ち着いた日本的な曲調のものを集めていて、サントラでも場面展開にあわせるベースとなる曲が多く収録されています。妖怪との対決とそれに伴う心情の揺れを表現する曲とメインテーマのアレンジバージョンですので、この辺の説明は第一集と同じになるでしょう。

第二集として際立つのは、アレグロとしてまとめられている最初の部分。
斎藤さんの音楽が持っている日本的ともいえるテイストはあるんです。でも、それらに一般的に学園もののアニメでは必須とされる、リズムを多少高めたりして変化させて日常の出来事の描写をする、バリエーションの異なる音楽が収録されています。ポップな感じのものやコミカルに聞こえるもの、いかにも妖怪もののようなものなど、かなり映像への汎用性がある曲がまとまっています。フォークやカントリーっぽい曲もあるし、比較的最近の他のサントラでは作られていないテイストのものだから、使い勝手がいいのではないかと思います。

光風霽月の部分は、場面の最初や最後でまとめるような感じの曲を3曲集めています。ここで気になるのは、Track27 友情 という曲。ギターとフルートの旋律が印象的でして、鉄道などからの車窓の風景とその車両を映した映像なんかにこれまた合いそうな曲でして…現に朝霧の巫女の中でもそういった使われた方をしていましたから、そういったTV番組での使われ方に合いそうな気がして仕方ないです。

第118回 斎藤恒芳さん
(初出 2005/09/19)

紹介するサントラは、
劇場版xxxHOLiC真夏ノ夜ノ夢 オリジナル・サウンドトラック(ポニーキャニオン PCCG-000687)

斉藤さんの場合、ストリングスが印象的な楽曲を多く作っていますが、それとは対照的にパーカッションはあまり楽曲から聞こえてこなかったりするんです。打ち込み系などの比較的ポップな楽曲の場合は、パーカッションでリズムを刻むことが多く、クラシック系の場合は金管楽器でリズミカルな印象を与えることが多いんですが、クラシック系と思われる楽曲ですが、オーケストラに近い楽器編成でも、力強い部分よりもどちらかというとストリングスや木管楽器で流れる柔らかい印象のある楽曲提供が多かったりします。
そのことは、コミックスとして描かれる世界が重なる部分があるツバサ・クロニクルのサントラと比較すると、その違いが顕著になるかもしれません。

xxxHOLiCのサントラは、映画向けとしては楽曲が比較的短く、そのため流れる印象の楽曲にある展開がある時間で同じように感じられるといったこともなく、適度に場面のイメージがしやすくなっています。斉藤さんのサントラでは「朝霧の巫女」に近い感じになっていると言っていいでしょう。このため、比較的場面への汎用性のある楽曲となっているかと思います。

第135回 斉藤恒芳さん
(初出 2007/06/09)

紹介するサントラは、
電脳コイル サントラ音楽集(徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-73185)

5月開始のアニメで、5月にすでにサントラが発売されているということは、かなり異例なはず。それだけ、しっかりと音楽が作られた状態から作品が作られているということになっているはず。

斉藤さんの作品で評価が高いのは、「蒼穹のファフナー」や直近だと「劇場版XXXHOLiC」になると思いますが、室内楽など多少重い感じのものは、案外作品に寄り沿っていて使いづらいという感じでしょうか。だからといって、派手な感じのものは斉藤さんの得意な旋律を軽みに感じさせてしっかりと伝えていくという部分を減少させるようで、あまり私としては、好ましいものになっていない感じです。そういったところから、バランスよくできたという感じがしているのは、霧のなかの落ち着いた雰囲気と学園での出来事を代表する青い空のようにスッキリと感じさせるものが重なった、「朝霧の巫女」がではないかと、思っていたりします。実際、今書いている途中見ていたある旅番組でも使われていたりしていますし。(そりゃ、鬼気迫るテンションの高い楽曲もありますが)

「夕焼けの美しさと寂しい感じ」が、この作品でのキーワードとのこと。ストリングスを中心に、クラシックをベースにした楽曲が並んでいます。劇場版 xxHOLiCのような室内楽の楽器編成でありながら、楽器数は少なめに、重くならない、でも軽くならないというかなり微妙な、雰囲気をつけていくという劇判音楽に徹した作りになっています。ただ、場面描写の旋律として、どうしても朝霧の巫女に似たような楽曲がいくつかあるのですが…これは、同じ作曲家ということで、許容できる範囲ではないかと思います。

この作品が音楽的に凝っている点としては、確か直近では「かみちゅ!」でも行われたように、楽器ごとにトラックを分けたものも納品してあり、場面によって楽器の数を減らすといったことができるようにしていること。音楽制作では手間がかかるのですが、より音楽を映像に対して適切に使うためにはいい形であります。

かなり無理をすれば1枚でも入る時間容量ですが、音楽としてしっかり聴けるように、さらにシリーズ後半付け加わるにもかかわらず、あえて2枚組のサントラとして発売されています。それは、直近で取り上げた「あさっての方向。」のように、使われなかったが作品を形成する音楽として作られたものをしっかりと収録して、聴いてもらおうという意識が感じられます。それは、最近のサントラにありがちなキャラクターソングカップリングしたり、DVDの特典として載るのではない、音楽として完成形でありながら、しっかりと作品に寄り添っている立ち位置を表明しているようにも、思えたのであります。
 

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第93回 ショーロ・クラブ
(初出:2003/01/24)

紹介するサントラは、

ヨコハマ買い出し紀行-Quiet Country Cafe- オリジナル・サウンドトラック (SMEビジュアルワークス SVWC 7149)

ニューエイジミュージックなどの棚で、ショーロクラブの名前は存じ上げていましたし、ある程度楽曲も聴いたことがありますが、なかなかアルバムを買うまでに至らなくてねぇ…こういった形でようやく購入したことになります。

バンドリン、ガット・ギター、コントラバスが織りなす南米リオデジャネイロ生まれの「ショーロ」というインストゥルメント音楽。聞き慣れない音楽のはずなのですが、楽器の編成でも分かるようにすんなりと室内楽として心地よく聞こえるんじゃないでしょうか。

ヨコハマ買い出し紀行という作品自体、かなり雰囲気と間(というより空間)を描いているものですから、こういったゆったりとしていながらしっかりとメロディーが立っている楽曲というのがしっくり来るようです。

OVAとして発売されているDVDの方で、じつは台詞もなくこの音楽だけの音声モードがあるんですが、違和感なく見ることができたりします。

ちなみに、このショーロ・クラブが作った楽曲をオーケストラにアレンジしたものも、このサントラには収録されています。オーケストラへの編曲は岩崎琢さんが担当。これはこれでなかなかいい感じに仕上がっていて、ひょっとするとこのアレンジの方が、(ヨコハマ買い出し紀行ではちょっと無理だけど)場面への汎用性があるかもしれないと思ったりもしました。

第123回 Choro Club・妹尾武さん
(2005/11/23)

表記上はChoro Club feat. Senooとなっていますが、説明する都合このような表記としました。

紹介するサントラは、
ARIA The ANIMATION ORIJINAL SOUND TRACK (ビクターエンタテインメント VICL-61795)

Choro Clubさんも妹尾武さんも、TVドラマや映画のサントラなども手がけられており、確かにいい感じのテイストの楽曲を提供されているんですが、なんか作品の世界観を表現するのにとらわれていて、いまいち「これ!」って感じの楽曲が少ない印象があるんです。ゆえに、す〜っと感じのいい曲が流れてしまっているというのか。

それゆえ、ARIAというアニメ作品が持つテイストがChoro Club feat. Senooとしてかなり自らの楽曲との親和性が高いんじゃないかと、期待していたんです。少なくとも、Choro Clubとしてはヨコハマ買い出し紀行でかなり評価の高い楽曲を提供してもらったという実績がありましたから。

たぶん、原作のコミックスを元にした楽曲製作という感じになっていて、実はアニメではかなり原作より複雑で、でもそれを感じさせないストーリー構成となっているはずですが、きちんと作られた楽曲が収まっているんですねぇ。これが。それは、急きょ発売が決まったということと、収録楽曲に与えられたタイトルとがかなり楽曲の持つイメージと一致していることからも分かります。

落ち着いたゆったりとした場面の表現を中心に、バンドリン・ギター・コントラバスが織りなす音楽は、Choro Club。他のストリングスやピアノで起伏のある展開は妹尾武さん。このような感じで、アレンジなどが割り当てられていて、きちんと一つの楽曲としての物語展開もあり、作品トータルとしての統一感も保たれていたりします。

もともとこの方々は、それほど音源をたくさん使う方ではなさそうですし、同じような旋律を1つの音楽では使い続けていくんですが、それらをうまく並べていって表情をふくらませたり展開を感じさせたりするんです。そのバランスが崩れると、単調に聞こえてくることが多かったりするんですが、その凝り方はかなりのものだと思いました。

ただ惜しむらくは、Track15のARIAでメロディ部分をボイスでスキャットさせて表現して、他の楽曲と比べてバランスを欠いている印象を与えたことでしょうか。メロディ部分はAQUA(Track04など)という楽曲とほぼ同じなんですが、もともとリズミカルに刻んでいく音源の方が周囲のゆったりとした音とバランスしていたんですが、ゆったりと伸びやかに表現する声をメロディ部分にしたためために、かなり違和感を感じられたもので。

第127回 Choro Club・妹尾武さん
(2006/06/16)

紹介するサントラは、
ARIA The NATURAL ORIGINAL SOUND TRACK due (ビクターエンタテインメント VICL-61935)

前作からかなり早く次のシリーズが始まったARIAですが、それにもましてこのサントラの発売もかなり早く、放送開始2ヶ月目ですからね。さらに、発売数日でTV番組に収録曲が利用されていたことからも、相当前評判も高く、かつその評判に違わぬ作品となったようです。

前作は、比較的表現する場面や情景をたくさん取り上げるため、緩急交えた多様な曲調のものが多く、サントラ楽曲という印象もある程度ありました。今回は、比較的落ち着いた聴かせる楽曲でして、インストゥルメント曲のテーマをつけたアルバムといってもいいくらい、一つ一つの楽曲がある程度の複数の場面に変わりながら物語を表現しているものが多いです。前作のアレンジ曲も、メロディラインは確かに同じようなのですが、ずいぶん雰囲気を変えた編曲ものとなっていたりします。

たぶんジャケットを見せずにChoro Clubのアルバムとか妹尾武のアルバムといっても、納得されるくらい。ただし、ARIAを知っている方が聴くと、ARIAのサントラ楽曲だと分かるくらい、その世界観を示すメロディラインがくっきりとあったりすると言っていいでしょう。(The Animation Track-5 夏便り など)

前回も書いたように、落ち着いたゆったりとした場面の表現を中心に、バンドリン・ギター・コントラバスが織りなす音楽は、Choro Club。他のストリングスやピアノで起伏のある展開は妹尾武 ということは変わりないようです。ただ、同じ人による楽曲の場合楽器や選択する曲調をそれほど変えない場合、どうしても似た雰囲気のアレンジに収まってしまうのですが、この作品に関しては、そういったことが無く、異なる雰囲気の曲という印象を与えてくれます。また、前作よりもやや楽曲の長さは短めになっているのですが、それを感じさせないゆったりとしたリズムにより楽曲ごとに一つのおおくくりの場面を表現しているようです。

確か、この最初のサントラのたすき(フィルム開封後に分離できる紙の部分)には「泣きたくなるほど、幸福な音楽」というキャッチが書かれていました。実際そう思えるほどの楽曲でありましたし、たびたびいろんなTV番組でも聞こえてきまして、泣きたくなるほど別の映像が脳裏に出てくることも多かったように思えたのでありました。

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第181回 妹尾武
(初出 2014/12/11)

取りあげるサントラは、
いなり、こんこん、恋いろは。 オリジナルサウンドトラック(flying DOG VTCL-60365)

妹尾武さんは、アニメサントラとしては共作が多かったんですが、この「いなり、こんこん、恋いろは。」では単独で音楽を担当されています。妹尾さん自身のアルバムのようなやさしく、落ち着いた楽曲が多くなるかなぁ…と思いましたが、そんな感じに仕上がっています。
しっかりと、学園ものとしてのいろいろな場面にあわせた楽曲や、京都・伏見の雰囲気を感じさせる楽曲も取り混ぜています。なんといっていいのか…ある種の幸福感を持って聴くことができるサントラに仕上がっているように、個人的な感想としては思いました。

作品世界としての音楽や単独の劇判としての音楽は、直近もいろいろサントラとして使われている(作られている)のですが、一方音楽としてのおもしろみが結果として他の映像にも合わせられるといった汎用性を持ったサントラは減ってしまっているように感じられます。そのような状況の中で、このサントラはその文脈に沿った数少ないものではないかと思うのでした。



 

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第95回 西田マサラさん
(初出:2003/02/23)

紹介するサントラは、

L/R オリジナルサウンドトラック INSIDE SIDE (VICL-61085 ビクターエンタテインメント)
L/R オリジナルサウンドトラック VOCAL SIDE (VICL-61076 ビクターエンタテインメント)

西田さんの前作になる あぃ・まぃ・みぃ ストロベリーエッグは、サントラの個別の楽曲としては表現力もあり興味深いものでしたが、作品自体の世界感に飲み込まれすぎて、クールというのかある種の格好良さが埋没した印象がありました。

もともと西田さんの作る楽曲は、楽器を重ねて旋律を作り出すインストゥルメントというより歌などのくっきりとした旋律に音を重ねていく方が得意な感じです。今回のL/Rは、ボーカル曲を徹底して使い切ることを選択したため、得意技をいかんなく利用して作れたんじゃないでしょうか。

テーマとなっているインストゥルメントの楽曲とVOCAL SIDEに収録したもののkaraoke Ver.がINST SIDEとして収録されていますが、たぶんそんなことを気付かないくらい、一体のサントラとしてテーマ性を持って聞こえるのではないでしょうか。ボーカル曲をサントラとして利用した例は、菅野よう子さんや梶浦由記さんがありますが、いずれも挿入歌としてシングルカットされたりしたものを除きボーカルソングからちょっと外した部分があるんです。ところが、西田さんの楽曲はわざわざボーカルアルバムを作れるくらい、個別の楽曲としても聞けるものだったりするんです。

L/Rという作品自体、他のアニメ以上に台詞が結構多い感じでして、それゆえ際立った(最近のTVドラマでは多く行われている)歌をサントラとしても違和感なく利用されることができる土壌があるようです。それだけに、作曲家が持つ属性を存分に発揮して、さらにサントラアルバムとしても聞かせてくれるというのは、なかなかいい感じに仕上がったなぁ…という感想です。
 

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第96回 羽毛田丈史さん
(初出:2003/03/14)

紹介するサントラは、
魔法遣いに大切なこと オリジナル・サウンドトラック (パイオニアLDC PICA-1271)

羽毛田さんといえば編曲者としての仕事はサウンドトラックも含めてかなりお見かけしているものですが、TVアニメシリーズでの仕事はほとんどなかったようです。

品のよいアレンジ、というのでしょうか。楽曲で使われている楽器や旋律もコミでバランスがとれていて、いろんな風景がイメージされるのですが、それでいてきちんと基準となるような場というものが感じられるんです。
ゴンチチ・遊佐未森・太田裕美・鬼束ちひろ・Vlidge・原田知世・元ちとせなどのアレンジ・プロデュースを手がけているといえば、なるほどということになりますね。

個人的には、NHK 地球に乾杯などのテーマ曲などの仕事に引かれるものがありまして、透明感のある作品の音楽を担当しないかな…と思っていたら、ようやくこの「魔法遣いに大切なもの」という作品の音楽を担当されることになりました。もう、この時点で個人的には「買い」を決めていましたからね。

発注側の角川大映プロデューサーの藤田さんが、
自分が企画段階からイメージした劇判は、ピアノ、チェロ、ヴァイオリン・弦楽の『きれいな音』-『澄んだ音』がいいなっていうのがあったんです。それも特定のシーンだけに合うような短い曲を並べるのではなくて、曲として取り出しても、じっくり聴ける音楽を、と考えていたんです。

と、コメントしているんですから、かなりどんぴしゃりということなんでしょう。

個人的にこのサントラについてコメントするより、ブックレットから引用した方が適切なので、今回は引用しまくります。

羽毛田さんも、この作品に対してどうイメージしたかというと、全曲解説の1曲目 この空と大地が出会う場所<メインテーマ>(下記の文)を見ると分かります。

僕がこの作品に対して最初にイメージした、風景、かおり、色彩。
どこかヨーロッパ中世の雰囲気が残る田園地帯、懐かしさと透明な少し草のにおいがする風。目を閉じて、あなたの絵をイメージしてください。

全曲シンセをほとんど使わず、最近のサントラとしても贅沢な作り方をしております。(なぜ、これが深夜に放送…といいたいくらい)

ベースとなる話が東京で繰り広げられていて、本当ならそこのイメージに合うようにするならもっといろんなくすんだ色を加えてもよさそうなのです。でも、主人公である遠野から出てきたユメの澄んでいてかつ芯の強いものを表現するかのごとく、サントラもそして映像も素直で美しく透明感があるものに仕上がっています。

第145回 羽毛田丈史さん
(初出 2008/10/13)

紹介するサントラは、
魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜 オリジナル・サウンドトラック (Geneon GNCA-1164)

直近にアニメサントラとしてバンパイヤ騎士や西洋骨董洋菓子店〜アンティーク〜、TV番組としてはROOKIES、NHKスペシャル 病の起源 といった、引き出しの多い羽毛田さんらしく作品世界に寄り添ってフィットした楽曲を作っていたりします。それらは、メインとなる旋律は思いの外聞こえてこなくて、そつのないサウンドトラックという感じが強かったりします。それは、たぶんCDでまとめて聴いてみると、テーマ性に書いた雰囲気を感じてしまうというものになるのではないか、と思えたりします。

その点から前作である 魔法遣いに大切なこと は、作品のコンセプトから受けた印象を元にしつつ、かなり自由に自らの楽曲として作ったという印象が強かったですし、それが作品にもいい影響を与えたと思えるものになっていたりします。その点は、今回の〜夏のソラ〜でもアイルランド系のものという一つの柱ではいかんなく発揮されています。ただし、メインテーマとなる旋律とそのアレンジが多くを占めており、楽曲としてのバリエーションの多さにつながっていないのは、前作を気に入っていた人にとっては不満が多少残るものになっていると思います。

もう一つの柱であるロックなものというのは、直近ストリングスの大きな編成やオーケストラ系のきれいな感じとは対極を成すものですが、実はこれも羽毛田さんの得意分野といえるものだったりします。いわゆるアメリカン・ロックといったものは、それほど旋律にキャッチィなものはないのですが、この〜夏のソラ〜では、作品の映像表現にもぴったりと合っていたりします。しかし、作品にあっているものは、作品自体の評価も良くないと楽曲としてあまり評価されないという前例通り、あまり評判は芳しくないかもしれません。

アイルランド系のものとロックなもの。このちょっと合わさらない2つのコンセプトの楽曲が、一つのサントラとしてきちんと並び立って響いているというのは、個人的には気に入っていたりするのでした。

第151回 羽毛田丈史さん
(初出 2009/08/28)

紹介するサントラは、
Sweet (Glory Heaven LASA-5009)

CDやジャケットをかなりじっくり見ないと、これが「青い花」という深夜アニメのサントラであることが分からないくらいのものです。Glory HeavenというレーベルはLantisから出ていますが、これまでよく見てきたLantisから出たアニメのサントラというより羽毛田さんのアルバムといった装いが感じられています。
そういったアルバムの見かけ同様に、たぶん黙って聞かせれば、心地よいインスト曲が並んだ感じのものに仕上がっています。op,ed曲もインストゥルメント(Sweet ver.と表記)で収録されているくらいですし、作者紹介に出ている「魔法使いに大切なこと」のサントラのような、場面を表現するより、場面の周囲に流れていくような楽曲が並んでいるように思えました。

このSweetというサントラはピアノ曲が多用されていて、室内楽っぽい音源が少ない中で、ゆったりとそれぞれの楽曲ごとで物語となる多様なメロディーが作り込まれている感じになっています。羽毛田さんといえば、サントラ絡みだと「魔法使いに大切なこと」でメインだったヨーロッパを感じさせる楽曲をまず思い浮かべそうですが、それとはずいぶん趣が違って感じられるはずです。

「青い花」という作品は、鎌倉あたりが舞台で登場するのは女子高生が多くを占める、ある意味日常的な風景や出来事の中で、登場する娘たちの心情を台詞にして見せていくというものです。そのため、風景や出来事と同様に、場面の中で登場する人たちのいろいろな思いの中に寄り添って、長めの楽曲で場の雰囲気を形成していくための楽曲が必要になるといっていいかと思います。
そうすると、メリハリがあってイメージしやすい場面にあった楽曲よりも、メロディーを際立たせて、でも全体として室内楽的な落ち着いた曲調のもので作られたといえそうです。また、このためメロディーを同じくして、音源などのアレンジを変えた楽曲もそこそこあるのですが、それを感じさせないくらい曲調が違った別の楽曲と思わせることが出来ていたりします。
これまでの羽毛田さんのサントラは、比較的テーマとなる曲調やメインテーマ曲があったりと、透明感があっても輪郭がはっきりしたものが多かったように思うのですが、それとは違った、かなり淡い印象の楽曲になったかなぁ…と、思ったのであります。
 
 

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第103回 TRY FORCE(須藤賢一さん・河野陽吾さん・影山ヒロノブさん・栗山善親さん)
(初出:2004/03/12)

紹介するサントラは、
「妄想科学シリーズ ワンダバスタイル」オリジナルサウンドトラック This is Wandabastyle (Lantis LACA-5170)

TRY FORCEは、須藤賢一さん・河野陽吾さん・影山ヒロノブさん・栗山善親さんのユニット。いろいろとつくられているようですが、この作品が異常に引っかかりがありましたかねぇ。もともと、無国籍サウンドをよくつくられていたようでして、そういった流れから見ると、ある意味自然な作品ではあるんですが…そもそも作品自体が吹っ飛んでいる設定ですからねぇ。売れないアイドル4人組を、いかにもうさんくさい科学の力で宇宙にとばしちゃう話ですから。

そんな作品の設定はともかく、サントラ曲の方はサイケデリックな世界を見事に表現しております。60年代ポップスを懐かしむ世代がつくったような作品なんだろうねぇ。映像のかわいらしいキャラと吹っ飛んだ設定に、合わないかと思ったら、これがしっかり音楽が包み込んじゃっている感じなんです。濃いもの通しで、よくこれだけあったものです。

まあ、劇判そのものとして考えてみると、サイケデリックな曲というジャンル自体、あまりつくられていなかったような気がしますし、そのころの気分を使って表現できそうな映像が、1990年代はあまりなかったようです。それを知っていて使いこなせる世代が、映像をつくったりする側に出てきたことと、時代の気分がこういった曲を受け入れやすい映像を呼んでいるように、私には思えました。ある意味、お約束となる部分が増えてきたということも、影響しているんじゃないかと。TRY FORCEの面々のライナーノーツは、昔語りのオンパレードでしたし。

でもねぇ。この曲が聞こえてくると、あの妙なグループ みっくすJUICEのメンバーやキクちゃんの絵が見えてくるもんで…なんだかなぁ。サイケの方の絵が浮かびにくいのは、作品を見てしまっただけに困った話であります。

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第111回 渡辺俊幸さん
(初出2004/12/25)

紹介するサントラは、
「アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル」オリジナル・サウンドトラック (ワーナーミュージックジャパン WPCL-10111)

よくよく考えると、こういった静的な場面を表現するアニメというのは最近少なくなっているんですね。かわいらしくキャラクターを見せる一見静的なアニメも、実はちょっとしたアクセントのような動きのためのキャッチィな曲やブリッジといったものが多用されて、案外動的なものだったりするんです。

とにかく淡々と、場面のどこにおいても無理なくおくことのできる音楽というのは、作り手としてかなり難しいものではないかと思うんです。それでいて、場面やキャラクターをイメージできるように表現するというのは、ゲームやアニメ音楽のように特徴を際だたせるものというより、映画音楽に近い手法でつくる必要があるようです。

渡辺俊幸さんの過去のアニメ音楽の仕事を見ると、作品の割に音楽があまり浮かびにくいのです。それは、映像にあまり邪魔にならないように注意してつくられているからではないかと思うんです。それと、リズミカルなメインテーマものよりメロディアスな感じのものが多いがゆえに、きれいに聞こえてとどまることなく流れてしまっているのかもしれません。

そういった流れてしまう部分が、この名探偵ポワロとマープルという作品の音楽では、逆に作品の世界観込みでイメージをふくらませることに寄与しているようで、作品の場面とあわせてサントラが思い出されるようになっていると思います。

良く聴いてみると分かるはずですが、楽器の編成など結構アニメサントラとしてはぜいたくなものになっています。ただ、それをさらっと聴いただけでは分からないくらい上品につくられているようでして、そういった部分からも作品の持つイメージを凝縮したものになっているように感じられたのでした。

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第115回 梁邦彦さん
(初出 2005/07/16)

今回は梁邦彦さん。

紹介するサウンドトラックは、
英國戀物語エマ オリジナルサウンドトラックアルバム Silhouette of a Breeze (ポニーキャニオン PCCG-00679)

梁さんがサントラ楽曲として注目されたのは、いろいろな楽器を使って壮大な世界観を構成する音楽を作り出した「十二国記」ではないかと思います。楽曲としてのスケール感があり、いろいろな引き出しをお持ちの方だという印象がありましたが、映画のサントラに近い壮大だが作品世界だけでしっくりと使われるという楽曲だった印象があります。

「十二国記」オリジナルサウンドトラック1 十二幻夢組曲(ビクターエンタテインメント VICL-60891)

あくまでここで取り上げるのは”汎用性”があるサントラ楽曲を基本としているので、このときは楽曲の良さがあったんですが見送ったという経緯があります。

話をエマのサントラに戻しますが、
元々落ち着いた日常描写が多く、かつ台詞自体もあまり多くない作品のため、舞台となる背景映像とマッチした、ゆったりとした複数の大きなくくりなメロディの曲と、主となって印象に残るメロディを構築する必要があります。今回主となるメロディがかなりうまく作り込めたんじゃないでしょうか。

他の場面を演出するためのメロディは、引き出しが多いこともあってうまく作れているという感じですが、その水準が高いがゆえに素直に聞こえてしまい、印象にはなかなか残りにくい感じがします。その中で、リコーダーやギターをメインにたてた楽曲は、多層的にメロディを配している形になっているため、案外楽曲として印象に残りやすい感じがします。

主題曲となっているSilhouette of a Breezeは、たくさんのアレンジバージョンを作っていて、作品の場面に応じて適度に使われやすいようになっています。それでも、弦楽を中心としたものは聴き応えもあるし、たぶん十二国記から入った人にとっては梁さんらしい楽曲であると感じられるんじゃないかと思います。まず、19世紀末のイギリスが舞台ということで、きちんとしたリズムの中に落ち着いた印象を作るメロディを作り込んでいます。それが、1楽章・変調した感じの2楽章・メロディラインの若干異なる3楽章と実は短い中に複雑に構築していて、心地よいタイミングで並んでいて、飽きさせない感じになっていたりします。

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第119回 渡辺剛さん
(初出 2005/10/08)

紹介するサントラは、
苺ましまろ オリジナルサウンドトラック (ジェネオンエンタテインメント GNCA-1035)

小学生くらいの子供を描くアニメの音楽は、とかく作りにくいようです。自分か過去に子供だったときはどうだったっけ?と思いながら、作っているということをサントラCDの作曲家のライナーノーツのコメントでよく見かけます。

子供の頃というのは、あんまりたくさんの楽器を重ねてもよく聞き分けられていなかったりするからなぁ…ということもあるんでしょうが、案外心理描写がシンプルだったりすることもあって、楽器はそんなに多く使われなかったりします。この作品、ミュージシャンにはキーボード・ギター・アコーディオン・バイオリンしか載っていなかったりするんです。でも、きちんとサントラとして興味深いものになっていたりします。

何となく日常にある出来事を音楽にするのはなかなか難しく、雰囲気を音にするわけでして、主旋律で複数の異なる主題の旋律を並べて表情をつけるようなものと異なり、直感的な音を編み出すことが必要になってきます。
その主軸としてのメインテーマがくっきりとしたものとして作曲家が生み出せるかどうかがポイントになるのですが、この作品ではいい感じにそれが仕上がっていたりします。本編ではあまり使われていないんですが、text commentaryで渡辺さんが述べているように、確かにこのメインテーマがあっての苺ましまろの音楽という感じになっています。あとは、実際にサントラCDを購入してtext commentaryを眺めつつ、なるほどなぁ〜と思って聞いていただければよいかと思います。

第153回 渡辺剛さん
(初出 2009/10/02)

紹介するサントラは、
咲-Saki- オリジナルサウンドトラック (Glory Heaven LASA-5018)

作品が学園もので部活動を描いたものということで、日常的な雰囲気を演出する楽曲と試合を盛り上げるための楽曲という2つに音楽として表現すべき場面の違いがあります。ただし、部活動といってもスポーツものではなく麻雀であることと、女子がメインの話なので、この2つの演出すべき場面も楽曲としてそんなに大きな違いがなくつくられている感じです。

渡辺剛さんは、以前に苺ましまろを作られた時と同様に、打ち込み系でありながら音源はシンプルでそれほど数を使わず、主旋律はメリハリをつけて作り込んでいて口ずさめる感じのやさしい感じで作られていたりします。それは、日常的な場面の楽曲だけではなく、試合を盛り上げるための場面の楽曲でも同様に作られている点が、このサントラの特徴ではないかと思うのです。麻雀で戦うというより、試合の中で少女たちが舞っているような雰囲気を形成し、優雅に戦っている風に感じられるように作り込まれている感じです。(たぶん、似たような事例は、田中公平さんの機動天使エンジェリックレイヤーがあるかな)

苺ましまろ同様に、メインテーマとなる楽曲はなく、一部アレンジを変えたのものもありますが、比較的楽曲ごとに旋律をきちんと作り込んでいるという感じで仕上がっています。意外と(場面の音楽として)ベタな感じの曲も今回はあったりしますが、メリハリのあるパターン化されたサントラというよりは、柔らかな感じの曲調でバリエーションをそろえて、作り込まれた汎用性のある音楽という感じのものになったのではないかと思います。

第172回 渡辺剛
(初出 2012/12/11)

紹介するサントラは、
咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A オリジナルサウンドトラック (GloryHeven LASA-5137)

咲-Saki-の第1期のサントラも、結構女子高生の日常をうまく表現した楽曲と、盛り上がってくる麻雀の試合の音楽の小気味よさがバランスよく作られて いたと思っていましたが、この「咲-Saki-阿知賀編」のサントラは、よりそれを進めていった感じがしていい感じに仕上がっています。

作曲を担当した渡辺剛さんは、このサントラを作るのに第一に考えたこととして

阿知賀女子や千里山女子面々の日常と日常試合時の音楽の対比。ポイントは園城寺怜と宮永照。この二人の試合のシーンが相当激しく描かれるだろうと思い、第1期よりもかなり重厚で内面が感じ取れるような曲になるよう心がけた。

とのこと。実際、作品中でも試合の場面での楽曲が演出上重要な位置を占めており、それに見合った楽曲がつくられた感じがしますねぇ。とにかく聴き応えのあ る楽曲に仕上がっていましたし、そういった部分を評価する人も、作品を見た人なら多いんじゃないかと思います。咲-Saki-のシリーズでは主役となる学 校の人たちではなく、登場する多くのキャラクターを含めて麻雀の試合の緊迫感を高めているので、いろんな場面全般でそういった雰囲気が感じられ、きっちり と楽曲として仕上がっています。実は第1期の楽曲も試合の場面で使われて「共演」しているんですが、それでも違和感が出ないくらいしっくりとくるものに なっています。

それに対比するように、日常の場面では、しっかりと普通の高校生の明るさを前面に感じられるようにしており、それは第1期と変わらない渡辺剛さんらしい良さが出ているように感じました。

渡辺剛さん自身が作品の魅力を音楽で表現した自信作として言ってのけるくらいですから、それに違わない楽曲がサントラCDとして収録されていると、いいきっていいものではないかと思います。

 

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第123回 池頼広さん
(初出 2005/11/23)

紹介するサントラは、
かみちゅ! オリジナル・サウンドトラック (Aniplex SVWC 7291)

そもそも、こういった落ち着いたトーンの作品の曲というのはかなり凝って作られているんですが、それを感じさせないくらい心地よく流れてしまうので、購入してもらえない例が多いんですね。幸いなことに、アニメ作品自体ある程度ヒットしたので、きっとサントラも予想以上に売れているんじゃないかと思っております。(いや、ブックレットに池さんが自分で5枚ほど予約するなんて書いているし…)それくらい、サントラを作った人が手応えを感じて気に入っているのに限って、良すぎて売れないということが多いんだよなぁ。

そりゃともかく、
かみちゅ!の作品自体、結構ある場面をずっと見せながらゆったりとストーリーを進めている感じなので、音楽も一定の場を表現しつつ、それでありながらストーリーとともに動かしていく部分が必要なわけで、かなり凝った感じになっていたりします。1つの音楽の時間も、通常のTVアニメに比べて長いですし。(むしろ、劇場版の作りに近い)

さらに、音楽スタッフにオーケストラセッションとバンドセッションが表記しているくらい、普通はかなり色合いの違うはずの音楽を同居させて、同じ作品の世界観を表現するという相当凝ったことをやっていたりします。

作品の時代が1980年代になるんでしょう。そこでの落ち着いた日常を描いているはずですし、設定そのものは突拍子もないはずなんです。その微妙なバランスをうまく音楽にすると、それほどたくさんの音源を重ねることなく、ベースとして流れる旋律と展開して変わっていく旋律がうまくバランスして流れている感じがします。作品が持つ時代テイストを取り込みすぎると、もっと変化に欠ける感じで単調なものが作られそうなんですが、そこがうまくいっている気がします。

それと、池さんはこれまでダークな部分を表現することが多いアニメサントラが多かった印象があるんですが、このかみちゅ!のようなゆったりとしたトーンの作品に巡り会って、結構いい感じにし上がったことが分かっただけでも、良かったのではないかと思ったりもしました。作曲家と作品との相性がいい巡り合わせというのは、実はそうそうなかったりするものですから。

第147回 池頼広さん
(初出 2008/11/10)

紹介するサントラは、
テレパシー少女蘭 オリジナルサウンドトラック (COLUMBIA COCX-35133)

他の映像でも合わせられる汎用性のあるアニメサントラでは、一つのメインテーマとなる旋律である程度雰囲気を統一させ、そのアレンジ楽曲で構成していくという、いわゆる映画やTVドラマで多用される楽曲構成が多くあります。対照的に場面やキャラクターに合わせた楽曲を多数作るというのもあり、こちらはアニメサントラでは一般的な手法といわれています。

この2つの音楽構成のうち、場面や心情を表現する場面では前者、緊張する場面やコミカルな場面では後者が、とライナーノーツでは述べられているようですが、ちょっと疑問符がつくように私には感じられます。もともと、2分程度の楽曲が多く、アイキャッチやサブタイトルといった短めの楽曲を作らず、場面全体の雰囲気を複数に絡めて旋律を重ねていった感じに仕上がったという印象だったりします。ただ、その起点となる主人公の蘭のテーマの旋律ができるまでに結構時間がかかったようです。それだけに、蘭のテーマは印象的な旋律を作り出せており、それに沿うように他の楽曲も紡ぎ出されたという感じがします。

蘭のテーマとそのアレンジ楽曲は比較的ゆっくりだが軽快なのですが、それ以外はリズム的にはゆったりと進んでいくものが多かったりします。このため、思ったよりもキャッチィに楽曲を響くものにはなっていないので、引っかかりが少なく、すんなりと流れて聞こえてしまっています。この作品の楽曲としては適切なのですが、心地よすぎて印象に残りにくく、他の映像ではちょっと使いにくくなっているのではないか、と思ったりします。

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第128回 平野義久さん
(初出 2006/09/21)

紹介するサントラは、
桜蘭高校ホスト部 サントラ&キャラソン集≪前編≫(VAP VPCG-84841)
桜蘭高校ホスト部 サントラ&キャラソン集≪後編≫(VAP VPCG-84842)

サントラでよく言われるオーケストラの楽曲というのは、かなり多く聴かれるのですが、映像に合わせるということでどうも映像に寄り添った感じで起伏がつけられる例が多かったりします。確かに、第1主題・第2主題といった大きく変えた旋律と、それをつないでいく変調などによる変化をしているのですが、楽曲全体の調和をふまえるというより、時間の到達で変化しているというのか、どこか似たり寄ったりという感じがするんです。

平野さんのサントラは、どちらかというとスタンダードなクラシックの楽曲にその主題の並べ方は近く、それでもサントラとして楽曲が短めであるということをふまえて作られているという印象があります。それは、サントラでクラシックに近い楽曲というと、合わせる映像のカット割り(時間)に合わせて作るために主題の旋律や楽器がちょっと少なかったり、いろいろ詰め込もうとして必要以上に密度が濃かったりするんですが、そういった雰囲気が楽曲からは感じられないんです。普通オーケストラ向けとされる交響曲として作る実力もあるけど、サントラとしては協奏曲程度のバランスで楽器なり楽曲の長さを作り込んでいて、これがまた心地いいんです。

そういった協奏曲として楽曲の楽しみを凝縮したようなのが、桜蘭高校ホスト部のサントラなのではないでしょうか。それにしても、いろんなクラシックの楽曲の手法を持ち込んでいるなぁ…(楽曲名を見ると、そのことがある程度分かりますので、興味がある方はCDを買って確認してみてください)

このアニメ作品自体、映像自体まず現実とは思えないお金持ちの子女たちの世界観を表現しています。それゆえ、音楽もその雰囲気をきちんとサポートするように流れるように普段ならそんなに聞こえることのない、スタンダードなクラシックな楽曲と認識されるような楽曲に仕上がっていたりします。ただ、音楽なだけに結構オーバーな雰囲気のもあったりするわけで…後編 Track8 Theme for the "Zuka-bu" for orchestra はアニメ作品を見た方ならそう思えるんじゃないかと思いますが。

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第130回 大嶽香子さん
(初出 2007/01/28)

紹介するサントラは、
バーテンダー オリジナル・サウンド・トラック (Defstar DFCL 1321)

作品の舞台に流れる楽曲としては、ジャズなどの少ない楽器でゆったりと流れるものというリクエストが来そうだと思ったら、その通りのものが提供されたということでしょうか。大嶽さんがこれまで作ってきた楽曲のテイストそのままで、物語となる場面をそれぞれ作り込んできたという感じがします。

アニメの楽曲でよくありがちな、主題となる旋律をアレンジするという手法はとられておらず、きちんと場面毎に楽曲が作られています。ただ、過去にジャズっぽい楽曲やピアノなどの少ない楽器で構成された楽曲と、それほど旋律としての違いが感じにくいのは、まず場面をきちんと表現しようということで作られたからなのではないかと思われます。

それでも、作品ではきちんと場面を映像に邪魔することなく演出するように聞こえていますし、主題歌(op,ed)ではきちんと大嶽さんらしい旋律と思われる特徴的な楽曲となっています。アルバムとして聴き込んでみるとなかなかですが、場面と組み合わされた形だと標準的な感じでちょっと曲が浮かびにくいかもしれません。

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第132回 亀山耕一郎さん
(初出 2007/03/04)

取り上げるサントラは、
銀盤カレイドスコープ オリジナル・サウンドトラック(Aniplex SVWC 7435)

亀山さんのこれまでのサントラ作品は、無難に作品により沿った感じがあって、案外印象には残りにくいというものだったりします。ただ、ボボボーボ・ボーボボのようにコミカルでポップな感じのものもうまく作れているし、ポポロクロイスのようにきちんとバランス良く旋律を響かせることもできているわけで、曲自体のテーマ性がある楽曲でも、興味深いものが出てくるんじゃないかと思っていたのでした。

そういった、これまでの個別のサントラでバラバラに発揮していた能力を、うまくまとめた形でできたのが、銀盤カレイドスコープだったんではないかと思います。作品中に使われる音楽が、クラシックよりの演技の場面で使われるものとなるので、そういった楽曲に違和感なく合うスタンダードといえるものが当然中心となります。そういったものでも、作品のサントラらしいと感じられる旋律を組み合わせております。また、主人公たちのある意味表情豊かな部分をポップな曲調で、だからといって突拍子のないズレを感じさせることなく、表現しています。ただ、キャッチィなテーマとなる旋律を作り出せていないので、すーっと流れてしまい、いい感じに作られたサントラ音楽に収まってしまったのが、もったいないという感じだったりします。また、前半に多く収録されている落ち着いたクラシック基調の楽曲より、後半のポップな曲調の方が作品中では多用されていたようですから、もう少しポップなものを前面に出した方が興味深いものになったのではないかと思います。

さらにいうと、このアニメが2006年1-3月の放映だったにもかかわらず、サントラ発売が2006年12月というかなり遅れたものだったのです。使われた映像とともに売り込めなかったということで、いろいろな事情があるにしてもタイミングを逸したという感じがして仕方がないです。

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第133回 吉田潔さん
(初出 2007/03/10)

紹介するサントラは、
時をかける少女 Original Sound Track (ポニーキャニオン PCCR-00434)

シンセサイザーを活用した音楽で、テレビ番組やCMなどの音楽では結構活躍しておられる吉田潔さん。直近ではNHKの「日本人はるかな旅」のサントラで、スケール感がありながらすっきりとした旋律の音楽を提供していたことが、私としては印象に残っています。

アニメーションでは一般に、弦楽器とピアノを主としてシンセサイザーで複数の音源をカバーするという手法で作られた音楽がよく使われるように思われます。しかし、実際はシンセサイザーによる音源がポイントになったり主旋律を奏でることが多く、結果として場面によって似通った感じの曲になることが多かったりします。TV番組やCMの音楽では、むしろ同じ旋律をシンセサイザーで重ねつつ、転調したり別のテーマの旋律を組み合わせて、リズミカルな雰囲気を構築していきます。この作品では、Track 2 スケッチ Track 6 スケッチ(ロング・バージョン)が、そういった楽曲になるかと思います。

そのほか、協奏曲のアレンジバージョンや弦楽器とピアノを主とした協奏曲っぽい感じの楽曲で構成されておりますが、(作品を見たわけではないので推測ですが)映画のカット割りを考慮して音楽を作ったというより、場面に寄り添うように流れていく楽曲といった感じのもので仕上がっているという印象を受けました。
また、テーマ曲となる夏空(オープニングとエンディングなど複数のバージョンあり)は、吉田さんが持つスケール感のある伸びやかが感じで、夏の青い空をイメージさせるに十分なシンセと弦楽をうまく組み合わせたものに仕上がっています。

映画向けのアニメサントラとしては、実は楽曲の数もその収録時間も少ないのです。これは、たぶん映像化で必要とされる楽曲をきちんと絞って、これらの楽曲を聴くと一つの統一した作品のイメージができているサントラなのでしょう。もともと、当初の公開スクリーンもかなり絞って、いろいろな意味で最適化した形で作られたアニメ映画だけあって、音楽もそういったことを反映したものになっているようであります。それは、夏を場面としてイメージされた楽曲だけあって、そのイメージに近い場面では利用されやすいということを示しているかもしれません。

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第134回 松谷卓さん
(初出 2007/04/29)

紹介するサントラは、
のだめカンタービレ オリジナル・サウンドトラック(EPICレコード ESCL 2938)

松谷さんのサントラといえば、どうしてもピアノを主としたゆったりとした楽曲が際立っている印象が強いんじゃないかと思います。確かに、この「のだめカンタービレ」のサントラでも、そういった楽曲がありますが、それよりもクラシックの楽曲のアレンジとかキャラクターなどをイメージしたかなりコミカルな印象の強い楽曲が多くを占めていたりします。

松谷さんは、シンセサイザーによる楽曲制作からスタートしていることもあり、クラシックなど演奏家によるのりしろが大きい楽曲というより、キーボードを主とした作曲家によるコントロールが利いた楽曲になっている印象を受けます。それゆえ、主旋律に合わせて奏でる音源の属性から選んでいるということになっているようです。それが分かりやすく出ている例として、Track16木管のための「絶望」とTrack17ピアノのための「希望」を比較していただければよいのではないかと。

さらに印象的なのは、ポップに響かせて楽曲を作り上げているTrack1 OvertureとかTrack5先輩に会いたい!Track18ギャポー舞曲 などで、短めの楽曲で印象に残る旋律を組み込んで、似たような印象になりがちな場面表現の音楽を、そう感じさせないものとして作られていたりします。これは、もともと打ち込み中心で作られた、当初松谷さんが作られていた楽曲に近いものであることが、彼のアルバムなどを聴くと分かったりします。

「のだめカンタービレ」という作品は、TVドラマでもサントラが出ていまして、そちらは服部隆之さんが音楽を担当しています。どうしても、ドラマでは作中演奏されるクラシック以外の場面表現で音楽を使うのは少なくなってしまうことから、それほど特徴的な楽曲となっていなかったりします。
そういったドラマとアニメという違いといった部分の他、松谷さんのサントラでは打ち込みで作られたということで、クラシック楽曲のアレンジ曲も作られ、これがオリジナル曲のような印象を受けるようなものになっていたりします。そういった作り手の表現としての自由度の高いものとなっていることもあって、特徴を感じやすく興味深いサントラとして仕上がったということになったようです。

第165回 松谷卓
(初出 2011/10/08)

取りあげるサントラは、
うさぎドロップ オリジナル・サウンドトラック (EPIC RECORDS ESCL 3747)

「うさぎドロップ」という作品自体あまり派手な動きのあるような作品ではないので、一般的なサントラにありがちなキャッチィな楽曲というのはそぐわないようであります。そういったサントラは、注目されることもなく静かに発売されることになってしまいます。そのおかげで、むしろ落ち着いた感じの楽曲が並ぶことになるのですが、それでも場面ごとに異なる旋律を作り上げていくのは難しいものになるはずであります。

でも、松谷卓さんは映画などでよく作られるやんわりと落ち着いた室内楽として、くっきりと「うさぎドロップ」の作品世界を表現しているといってよさそうであります。ブックレットに音楽イメージノートとして楽曲ごとの場面(モチーフ)の説明があるので、それを参照しながら聴くのも一興かと思います。

「のだめカンタービレ」のようなキャッチィな感じの楽曲も、映画の劇判などのようなシーンにぴったりと合った楽曲もないが、アニメならではのアバウトな場面をきっちり想像させるような、静かな楽曲たちがいい感じで並んでいるという風に思っていただければよいかと思います。
 

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第136回 中川幸太郎さん
(初出 2007/10/21)

紹介するサントラは、
「ハヤテのごとく!」オリジナル・サウンドトラック 1(Geneon GNCA-1123)

中川さんを取り上げるのは、これが初めてだったのかと思うのが意外な感じだったりします。「プラテネス」「スクライド」「ガン×ソード」「コードギアス」など、結構注目すべき作品で音楽担当をされているからだったのかもしれません。
楽曲としてはクラシックをベースにした比較的スケール感のある楽曲が多く、比較的楽器を複数重ねることが多かったような気がします。そういったものでは、印象深い旋律となるテーマ曲は比較的印象に残るのですが、楽曲の映像への汎用性という部分はちょっと厳しいといったことになるようです。

「ハヤテのごとく!」では、最初に日常風景物から手をつけていったこともあり、メリハリのついた旋律よりもアレンジで印象をつけていく楽曲が多くなっていたりします。こういった場合、案外旋律の方は似たような印象のものが多く(パクリっぽく聞こえるでしょうねぇ)、でも作曲される方が持つ編曲のバリエーションが色濃く出るものです。それゆえ、自分の得意なテイストの曲調はあえて手を出さないことも多いようです。逆に、後回しにしたキャラクターイメージの曲で、バリエーションとして不足していた感じの雰囲気を加えるために、得意なテイストのものを使うことにつながったようです。ジャズっぽいものは、楽曲としては評価されるんですが、映像とあわせるということになると、結構似たような印象になりやすいです。こういった楽曲作りの経緯が、結果としてそれを回避することができたような気がします。

よく考えてみると、結構ゴージャスな場面での出来事が多い話なんですねぇ。そういった場面はクラシカルな感じのものを安定してつけ、キャラクターによるイメージを強くした出来事の場面では、徹底してコミカルに感じられるようにベタなアレンジをあえて選んでいます。それでも、使われている楽器(音源)はこれまでのアニメ作品と比べて少なめに感じられ、よりシンプルに、意図としている楽曲のアレンジが引き立つようにできあがったのではないかと思います。

第150回 中川幸太郎さん
(初出 2009/08/17)

紹介するサントラは、
「ハヤテのごとく!!」2nd season オリジナル・サウンドトラック (ジェネオン・ユニバーサル GNCA-1176)

元となるアニメの第2期用の音楽ですから、制作スタッフが大きく変わっても第1期の音楽を使うのを前提にしているかなぁ…と思ったら、意外と第2期の音楽を作品中で多用しているのが、まずこのサントラの大きな特徴になります。それは、いろんな場面に対応するだけの数の音楽を作っていて、かつベースとなる音楽のバリエーションは変わっていないんですが、当然メロディは異なり、さらに音の数(インタビューの中では演奏者の数)も減っているんです。それだから、あくまで「ハヤテのごとく」の作中音楽だと第2期を見ていなくても第1期を見ていれば誰もが認識してもらえるものに、仕上がっているといっていいでしょう。

この第2期の特徴として大きいのは、金管楽器系の音が前より減り、メロディもシンプルに、鍵盤楽器が多用されたという点だと、中川さん自身がブックレットの中のインタビューでも述べています。また、中川さん自身もピアノ曲が得意ということで、そんな偏り(というより特徴)が出たようでして、それはいろんな映像へ合わせやすい音楽の特徴にかなり合致したものになったといえそうです。

論より証拠、実際サントラが発売されたのが7月下旬で、8月に入る頃にはいくつかのTV番組での利用が確認されたくらいですから、アニメが開始してしばらくしてTV番組の音楽効果などの方々はサントラ発売を待っていた気がしますからねぇ。
いろんなシーンに対応した多くの音楽、メロディのシンプルさ またはメインテーマを中心としたバリエーションの多さ、作品が持つ日常的な場面が中心であること、比較的作曲家が持つ特徴がうまく表現されかつ作品世界と合致する
こと。そういった、汎用性のあるサントラの特徴が、結果としてたくさん要素として入ったことが分かりやすく出ているのが、このサントラだったんじゃないかと思ったのであります。

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第137回 村松健さん
(初出 2007/11/23)

紹介するサントラは、
サウンドスケッチブック (JVCエンタテインメント VTCL-60005)

村松健さんは、TV-CMなどでたぶん結構多くの方が聞いたことがあるピアノ楽曲を主として発表している方です。JR東日本のCMでは「春の野を行く」、アフラックの現在放映中のCMでは「光のワルツ」、天気予報でよく使われる「グリーン・シャワー」と「出逢いと別れ」…と、馴染みの心地よい音楽が多くあるはずです。ソニーミュージックで結構多くの楽曲を発表しており、その後アルファ、ビクター、コロンビアとレコード会社を移籍し、現在はKeenMoon レーベルを立ち上げて、楽曲発表しております。

ピアノ曲というと、広い音域を表現できることもあって、どちらかというとその元となるクラシック的なスッキリとしており、かつ比較的リズミカルな感じなものが多かったりします。村松さんの曲は、そういったところから離れて、日本のわらべ歌や島唄といったものやジャズといったものも取り入れた、自在な旋律が響きあっているような感じです。今年、ソニーミュージックからでたベストアルバム(といっても新録も多いですが)「森と海のあいだ」(ソニーミュージックダイレクト MHCL 1094〜5)というタイトルが示すように、森とか海といった自然の風景の中にあるものを自分なりに表現していった感じがします。リズミカルであるが、ゆったりとスウィングさせるように、旋律をきちんと響かせながら聴かせていく。そんな感じであるので、発表された楽曲の多くは5分から7分といった長めのものが多くを占めます。

このサントラの以前にも一度独立U局でご自身も出演している街道を旅する番組のサントラを作っております。そのときに、すでに短めの楽曲も作っているのですが、今回は20曲近くの短いバリエーションのある楽曲を作るという、ある意味トライアルなものだったようです。このために、自らのレーベルからのアルバム制作は先送りになりましたが、それ以上に得るものが多かったようです。

スケッチブックという作品は、福岡の田園風景の残る高校を舞台にした、ほんわかとした雰囲気を表現するというもの。日常にある何気ないことをピックアップして、その出来事を表現するということで、音楽はその場面に寄り添うようにゆったりと流れていくといった感じが求められたようです。それは、下記に示すサントラのたすきに書かれたキャッチにも示されています。

いつか見た青空、風が運んできた懐かしい草の匂い。飾り気のない素朴なピアノの響きが、忘れかけていた大切な想いの糸をたぐり寄せてくれる、最高にノスタルジックなアルバム

実際はピアノだけの楽曲は数曲だけで、一部のストリングやドラムを除き、村松さん自身が演奏したものとなっております。ソニーやアルファなどで発表した頃を知っている人にとっては、あの頃の楽曲の雰囲気を再現していると思うはず、と村松さん自身もおっしゃっていましたが、実際聞いてみるとそういったスウィートなナンバーも入っていて、嬉しかったですね。三線やウクレレを使ったもの、ピアノとパーカッションとストリングスが絡み合ったものなど、クラシック的なものや打ち込み系とは違った雰囲気が感じられるはずです。

村松さん自身のサイトに、作品のライナーノーツのようなものが書かれていますので、そちらも探して見てください。
http://www.ken-muramatsu.com/

第143回 村松健さん
(初出 2008/10/07)

紹介するサントラは、紅 オリジナルサウンドトラック(Lantis LACA-9117〜8)

村松健さんの楽曲が表現される場としては、自然や人が生活する街の中でそれでもゆったりとした時間の流れでいろんな出来事が過ぎている感じと、人の中でいろいろな出来事が渦巻いていて、その中でも人としてきちんと暮らしていることを現しているような感じの2つの場があるといえます。前者のような場は、すでにスケッチブックのサントラで表現されていて、今回は後者のような場であるといえそうです。かつて、そういった場を表現した楽曲では、闇にとらわれて楽曲としての表情に乏しい感じがしたのですが、この紅のサントラでは表現すべき作品のイメージに寄り添うことで、うまく表情をつけることが出来たのではないでしょうか。

前にも述べたように、どちらかというと普通のインストゥルメントアルバムの楽曲の作り方に近いため、一つの場面を表現するような楽曲にはなっていません。それでも、短めの楽曲にはなっていますが、スケッチブックよりは長めの楽曲が多いようです。そのことは、むしろ場面というより登場人物の心情やイメージを表現した曲に近いものになっているからかもしれません。

サントラとして特筆すべき点は、結構旋律が同じでアレンジした楽曲が多いこともあって、emotional sideとswingin’ sideの2つに楽曲を分けて収載しています。通常だと、結構中途半端にイメージ分けしてアルバムとしてのバランスを欠いている場合が多いのですが、かなりすっきりと分けられていてバランス良く作られ、それでいて2枚まとめて聴いても1つのコンセプトによるアルバムとして聴くことができていたりします。
その意図や楽曲ごとの解説は、CDのライナーノーツにご本人が書いておりますのでそこに譲るとして、ジャケットの絵とは対照的に気分に合わせてCDを選べる村松健のアルバムという感じになっていたりします。だからといって、作品の場面とあわせて違和感があるかというと、これがまたしっくりと来るものになっていますし、制作側からの要求を見事に取り入れたものになっていたりします。

第155回 村松健さん
(初出 2009/12/12)

紹介するサントラは、

うみものがたり〜あなたがいてくれたコト〜 オリジナルサウンドトラック
(Mellow Head LHCA-9005)

アニメサントラというより、前作のアルバムのテーマを拡張して作ったという方がふさわしい作品といえるかもしれません。村松さんは、2009年に「My Spiritual Home」という、在住している奄美大島の風景をテーマにしたアルバムを出しています。ピアノや三線とストリングスを交えた、懐かしくでも島の光や影をしっかりと浮かび上がらせる楽曲です。
「うみものがたり」というアニメ作品の舞台がその奄美大島でして、制作側が材料を提示する前に作られたこのサントラのメインテーマが、まるで奇跡のように(アニメの)プライベートビデオとして作られたどのシーンにもフィットしていたとのこと。人々の喜びも諍いも、悲しみさえも温かく包み込む空気感が、すでにその音楽の中に存在していたというくらい、のものだったそうです。こういった楽曲は、実際に作品を見るなりサントラを聴くなりして感じてもらうしかなかなか実感としてわきにくい「空気感」なので、サントラを購入して聴いて納得してもらった方が早い気がします。
今回のサントラは、以前紹介した「紅」同様2枚に分かれていて、Light Side track1などの永久の渚(メインテーマ)とShadow side track1などの”でぃだぬひきゃり”(島唄)の旋律が強く印象に残るものになっています。また、同じメロディでアレンジが異なる楽曲が連続した trackに入っていて、それぞれがきちんと聴き応えがあるものになっていることも分かるんじゃないかと思います。逆に言うと、奄美大島の空気感が詰まっているだけに、他の映像への汎用性は薄いかもしれませんが、あえて取りあげさせていただきました。
 

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第138回 菊谷知樹さん
(初出 2007/12/09)

紹介するサントラは、
「ひだまりスケッチ」オリジナルサウンドトラック(Lantis LACA-5631)

菊谷知樹さんは、歌詞付きの歌の方が楽曲提供多い方で、アニメサントラは最近いくつかつくられている感じのようです。劇的な場面の変化をする一般的なサントラ楽曲ではなく、少ない楽器でメロディーを流していくといった感じでして、かつスキャットなどメロディーを口ずさめそうなくらいのゆったりとした感じのもののためか、比較的楽曲それぞれの印象は薄い感じがします。

幸い、ひだまりスケッチという作品は、ある程度コミカルに場面を変化させて表現するところもあり、サントラとして表情をつけなければならない場面の数が多かったりします。このため、個々の楽曲の印象が薄くても、まとめた形では一つの作品世界を表す雰囲気を形成しやすくなっています。

日常的な雰囲気を表すためのサントラとしては、個々の楽曲が強くイメージされるのは、映像に当てはめる場合やっかいになることが多かったりします。そういった部分がないことに加え、一般的にサントラにありがちな凝ったメロディーがつけられていないこともあり、ちょっと違った印象をつけやすくなっていたりします。
さらに、もともとアレンジャーとしての実績もあり、表現すべき場面にあわせた楽器の選択も、かなりセンス良くできているんじゃないかと思います。また、キャラクターをイメージしたサントラが作られなかったことも、汎用性のあるサントラとしてはいい方向に作用したのではないかと思います。

第146回 菊谷知樹さん
(初出 2008/11/09)

紹介するサントラは、
「ひだまりスケッチ×365」オリジナルサウンドトラック(Lantis LACA-5817)

日常に近い場面を表現するアニメでは、あんまり劇的な変化を表現する楽曲を必要としないため、前作と作品世界が全くといっていいくらい変化しない場合、新たに書き起こされる楽曲はどうしても印象が薄くなってしまいます。それと、どうしても前作で作られた楽曲にない音楽を補完するものとなるため、サントラCDを通しで聞くと何か食い足りないものを感じたりするものです。

そういった印象を受ける場合は、前作と主旋律が似ていたりアレンジしたものが多くを占めたり、間合いとかがそんなに変わらないことによると思われます。それと、楽曲1つを切り離して聞いてもいまいちピンと来ないようです。

そういった印象を持ってしまいそうになったのですが、前作以上にいろんなジャンルのテイストを盛り込んでいて、菊谷さんの引き出しの多さをあらためて感じたのが、ひだまりスケッチ×365のサントラだったりします。
今回は、1つの楽曲にそれほど多くない楽器を使い、旋律がイメージするものにかなりマッチした楽器を選択しているという、かなり厳しい条件を強いて作られている印象です。それは、ブックレットの冨田明宏さんのTEXTにもあるように、絶妙なタイム感つまり”間”がうまく作り込まれていることにつながっているのかもしれません。映像表現や台詞、音楽をつける時の間は比較的意識されることがありますが、音楽自体が場面の雰囲気を作り出す場合、そういった間を作り出せるかどうかが重要です。それに前作と今回の作品いずれでも作り出せたことは、アレンジャーとして多くの作品を作ってきた能力のなせるワザということなのでしょう。

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第140回 吉森信さん
(初出 2008/07/06)

紹介するサントラは、バッカーノ! オリジナル・サウンドトラック スパイラルメロディーズ (Aniplex SVWC 7499)

作曲者のもともと持っているライブを中心として活動している時に身についたとおぼしき、ジャズやブルースっぽいテイスト。それが、作品が持っている多少昔のアメリカにマッチングした楽曲となって再現されていたというところでしょうか。

メインテーマとなっている楽曲の旋律は、結構小気味よく響くのです。しかし、メインテーマ以外の楽曲の印象に残りにくいのは、案外サントラとしてはベーシックなもので構成されているからかもしれません。下手をすると、類似の感じの良い酒場などで使われそうなサントラ楽曲と紛れてしまうくらい。それは、うまくアレンジが出来ているから余計目立ちにくくなってしまっているという風に思えてなりません。
それと、メインテーマはピアノ・ギター・バス・パーカッション・トランペット・サックスなどなど、かなり楽器を使い込んで作っていますが、その他の楽曲は結構楽器を絞っていることも、影響しているのかもしれません。

確か、学園アリスでもメインテーマとなる楽曲などは印象的な旋律はキーボードでうまく作り込んでいたはずですが、それ以外の場面を説明する楽曲はいまいち響かなかった記憶があります。今回もそんな感じで仕上がったように思えますが、それでも得意とする場面と合わさると、以前と別の方で取り上げたバーテンダーなどと同様に、アルバムとしては聴き応えのあるものとして作れているわけです。それでも、汎用性という部分はこの場合もメインテーマしかなかったという感じではありますが、それが飛び抜けて良いというわけで、ある種定番化しつつあったりするのです。

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第141回 菊地創さん
(初出 2008/07/06)

紹介するサントラは、true tears オリジナルサウンドトラック (Lantis LACA-5772)

すぱっと転調したりして、一つの楽曲で複数の旋律を組み合わせることに特徴あるようです。それでも、そんなに唐突な感じではなく、ベーシックな旋律を確実に固めていって繰り返し聞いても印象が崩れないのは、歌付きの楽曲やゲーム音楽がその中心だったから、と推測されます。

案外場面ごとにベタと思える旋律が来るのですが、作品全体で統一感を感じられるものになっているのは、アルバムとして聞き返しても心地よいものだったりします。作品自体が、メリハリのある場面を音楽も補完して盛り上げることが盛り上げることを求めており、そういった意味で適切だったかもしれません。

それより興味深かったのは、作品の舞台となっている地域の祭りなどで使われる音楽など、たぶんこれまでこの人の作ってきた作品の引き出しとは異なるものが、きちんと作られているという点。さらに、オープニング曲となっているリフレクティアが、インスト曲としてもしっかりと旋律で聴かせられるものになっている点。これは、前作双恋との大きな違いだったかもしれません。

でも、一番個人的に印象に残る楽曲は、track 02 入射光に、右手をかざす の、ポップでありながらスタンダードに旋律を構成し、ゆるやかな起伏でストリングスを響かせているものだったりしたのでした。この雰囲気が、他の楽曲にもうまく作り込まれているという風に、個人的には感じたのでした。
 

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第142回 菅野祐悟さん
(初出 2008/07/06)

紹介するサントラは、図書館戦争 original SOUNDTRACK (SONY MUSIC SRCL6813)

旋律としてのきれいさはあり、サントラとしての統一感もよいのであるが、そういった技法的な部分の質の良さで楽曲としての評価は高いのではないかと思います。でも、自らが好んでいる曲調以外は、イマイチしっくりしない部分もあって、これまた技法を使ってみたという感じにとどまっている気がします。このため、そこそこ評価されていたと思われますが、汎用性のある楽曲としてはいまいちという印象だったりしたのでした。

そういった中で、この図書館戦争という戦闘部分の表現はあるものの基本がラブコメという作品では、印象に残りやすい旋律を作り込んだものとしてのメインテーマが作り込めたようです。そのアレンジバージョンがサントラとして多くを占めておりますが、この多用なアレンジした楽曲というのがいい感じに仕上がっていたりします。

旋律やアレンジの両方を変え、巧みにいろいろな場面を表現する音楽を作るのは、確かに自らの音楽を作り出す引き出しを増やしていくことになり、作品を作る側の要求にも確かに応えることになります。しかし、作曲家の編曲(アレンジ)としてのスキルアップという部分では、多少難があると言わざるを得ません。その点から、今回のメインテーマ以外の楽曲は、力量があることは感じられるのですが、イマイチ旋律に響くものが感じられなかったりします。
しかし、メインテーマのアレンジバージョンには、これまでとは違った、編曲でも楽曲の印象を変えることを会得した風に感じられたのでした。そのための楽器の選択や音の重ね方など、たぶんこれまでのではあまり行わなかったこともやってきたように思え、それが興味深く聞くことにつながったと思われます。
 

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第148回 井内舞子さん
(初出 2009/07/29)

紹介するサントラは、
とある魔術の禁書目録 ORIGINAL SOUND TRACK 1(ジェネオン GNCA-1202)
とある魔術の禁書目録 ORIGINAL SOUND TRACK 2(ジェネオン GNCA-1203)

サントラ収録の楽曲全体を聞いていて、打ち込み系で一通りならした感じがあって引き出しが多いなぁ…と思ったら、I’veのメインコンポーザーの一人として活躍していたんですね。ゲーム音楽は多数の音を作り込む必要がありますが、TVアニメのサントラとなるとアレンジなどをかなり変えて作る必要がありますが、この初作となる とある魔術の禁書目録(インデックス)では、きちんと作り込めたんじゃないかと思いました。ただし、この紹介の趣旨である汎用性があるかというと微妙なところでして、気にかかったのでご紹介という感じのものだったりします。

もともと作品自体表情豊かで、日常的な場面があれば超能力や魔術による変化、戦闘シーンなどゲームより時系列に旋律で表情を変える必要が出ていましたからね。そういった意味で、作曲家の持つ引き出しを一通り出す必要が出るだけの大仕事だったのは想像に難くないです。でも、ライナーノーツの中で一つの芯として出た、「音楽的なノイズやシンセサイザーのデジタルな音、エフェクト、打ち込みの音をたくさん使うこと」。ゲーム音楽なら当たり前と思われそうなことだが、これを制作側から依頼され作れたというのは、彼女にとって幸せな作品との出逢いだったのではないかと思います。

サントラの曲調の種類としてはベタとまでは行かないけど、標準的な種類がでたように思いますが、意外とメインテーマとなるような旋律はなく、よくまあこれだけの種類の楽曲を作ったなぁ、と感心するくらいバリエーションに富んだものになっています。でも、まだオリジナリティを感じるほどの楽曲が目立つわけではなく、ぼんやりとした感じだったりするわけで、今後またサントラを作る時に別の楽曲の表情を見せてくれることに期待をしたいなぁ、と思ったのであります。

第156回 井内舞子さん
(初出 2010/02/03)

紹介するサントラは、
「とある科学の超電磁砲」ORIGINAL SOUND TRACK "SPARK!!"
(GENEON UNIVERSAL GNCA-1251)

以前紹介した「とある魔術の禁書目録」のサウンドトラックの曲目が一部入っていまして、作品同様新たに付け加えたという位置づけのものだったりします。でも、実は作品の色づけとしてそこそこの楽曲を新たに作っていまして、これが意外と学園ものっぽい(という意味でベタな)楽曲になっていたりします。また、ノリのよい打ち込み系の楽曲もあるのですがストリングスを使ったりして落ち着いた感じの楽曲も、このサントラでは作られているかな、という印象を持ちました。
さらにいうと、前作である「とある魔術の禁書目録」ではゲーム音楽からの引き出しを結構多く出していたという感じでしたが、「とある科学の超電磁砲」ではむしろメロディの方が前面に出ている印象が強く、落ち着いた感じと相まって汎用性が高い楽曲に仕上がったのではないかと思いました。(Track2 常盤台中学校 やTrack13 大切な友達 など)
それと、危機感を高める打ち込み系の楽曲も、比較的起伏がうまく作れて、前作とは違う緊張感を演出できていたんではないかと、個人的には聴いていて感じたのでした。(そう言う意味では、サントラタイトル通りSPARKしている)
 
 

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第149回 百石元さん
(初出 2009/08/12)

紹介するサントラは、
K-ON! ORIGINAL SOUND TRACK (ポニーキャニオン PCCG-00961)

2009年4月改編のアニメで、当初から終わってもいろいろとネット上で話題となった「けいおん!」。軽音楽部を舞台にしているから音楽も…ということではなく、アニメで表現している学園ものの部活動を結構リアルな感じを、音楽もきちんと補完していて、かつ汎用性があるなぁ…と思ったからご紹介ということです。

百石(ひゃっこく)さんは、スタジオミュージシャン/アレンジャーとしての仕事が多いこともあって、どちらかというと歌詞のある歌に添えていくという仕事が目立つようです。そのため、メロディラインはしっかりと作り込んでいる感じですし、打ち込みが中心の楽曲なのですが、それほどたくさんの音源を使わず、のほほんとした日常にマッチしたものが作られているという印象です。

ライナーノーツでは、「おまぬけ」&「少しいもな感じ(いい意味での)」というのが今回のサントラのキーワードだそうです。日常生活を描くという意味で、壮大になるような音楽はなく、本当にキーワード通りの音楽が作られていると感心いたしました。個別の楽曲すべてにライナーノーツで百石さんのコメントがついているので、どんな雰囲気の音楽として作られたかはそちらに任せましょう。

個人的に感じたのは、1990年代やそれ以前ではよく使われたであろうベタなサントラの旋律が、この作品では結構ふんだんに使われていたように思いますし、そのちょっと古くさいともいえる曲調が、逆に最近のサントラと比較すると新鮮に感じられたのかもしれません。意外と最近のサントラは、自分の音楽の引き出しを総ざらいしてバリエションは多様なものがありますが、どうも旋律自体は似たように感じたりするんです。そういった感じのちょうど逆の位相に、けいおん!のサントラはあると思ったのでした。

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第157回 S.E.N.S. Project(勝木ゆかり、深浦昭彦、森英治)
(初出 2010/02/07)

紹介するサントラは、
君に届け オリジナル・サウンドトラック (VAP VPCG-84901)

TVシリーズのアニメサントラは、透明感のあるきれいな旋律で作られたテーマとなる音楽とそのアレンジで構成できる映画やTV番組の音楽と異なり、比較的短いカットで変わることもあり、場面やキャラクターを表現した音楽をある程度の種類そろえる必要があります。前者のテーマとなる楽曲はS.E.N.S.は得意としていますが、後者のような場面などを表現した音楽はちょっと不得手ということか、森英治さんを加えたS.E.N.S. Projectとしてアニメサントラには取り組んでいるようです。

具体的には、雰囲気とかイメージになる英語のタイトルの曲はS.E.N.S.の勝木ゆかりさんが作曲、場面の具体的な日本語のタイトルの曲は森英治さんが担当しています。こういった役割分けをしていますが、サントラ全体で聞いてみると、S.E.N.S.らしい透明感のある音楽館というかコンセプトから外れることなく作られているという印象があります。そういった一体感のあるサントラとして、S.E.N.S. Projectということをかなりうまく活用しているのではないかと思って聴いたのでした。
 

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第158回 蓮実重臣さん
(初出 2010/03/01)

紹介するサントラは、
「ささめきこと」オリジナルサウンドトラック ささめきおと
(flyingDOG VTCL-60178)

蓮実さんは、(実写映画の音楽を作る仕事では)映像を見てから音楽をつけると言うことには慣れていた、ということのようです。それは、見たイメージに合う音楽を作り上げればいいわけで、そう大外れになることもないわけです。逆に、極端にずれた作曲者の意図を投影した音楽が作りやすいということでもあります。ところが、TVドラマやTVアニメでは、映像が無く設定などの骨格だけで音楽を作らなければなりません。蓮実さんは、この想像力を膨らませるのにずいぶん苦労したと、ライナーノーツとしてコメントしています。そこで、たぶんいくつかのアニメサントラの例を参考としたような気がします。「青い花」とか「ARIA」などの音楽が、私としてはすっと出てきたんですが、それでなんとなく曲調が分かるんじゃないかと思います。

蓮実さんは、登場人物をちょっと突き放して距離を持って音楽を作る、という選択をしたとのこと。音源は少なく、メロディをかなりしっかりと響かせている感じの曲がその多くを占めます。それでも、いろんな音源を使って作ったこともあって、音楽のジャンルとして特徴的なものにはならず、それでいてきれいな旋律は、意外と個別の曲ごとに際立つことなく、全体として「ささめきこと」という作品の中でまとまっている印象を与えています。それは、意外とシーンと一体になると印象が残る音楽であることが多く、「ささめきこと」でなくても使える汎用性を持ち得たかもしれません。

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第159回 はまたけしさん
(初出 2010/03/08)

紹介するサントラは、
「こばと。」O.S.T.1 春のうたかた
(FlyingDOG VTCL-60185)

アニメサントラでは、一定のパターンのような感じが楽曲の旋律なりアレンジにあるのですが、そういったテーマ付けをした楽曲と言うより、クラシックの室内楽みたいにテーマ付けした感じの楽曲が並んでいるなぁ…というのが、「こばと。」のサントラを聴いた時の感想だったりします。それくらい、品のいい室内楽のアルバムといっていいくらいのものに仕上がっています。
あと、合唱なんかで使われそうな旋律で、主人公が挿入歌として歌っている楽曲の印象も、アニメを見た人には強いかもしれません。いずれにしても、打ち込み系とは対極のアコースティックな印象が使われている楽器も楽曲の旋律にも感じられるものに仕上がっています。

このサントラ、ブックレットに楽曲一つ一つに楽器と演奏者が記されているという意味でも、特筆すべきものだったりします。それは、クラシックの室内楽のようにどんな楽器を使って演奏されている曲か、というのを味わうというのに便利になっています。クラシックの楽曲などを聞き慣れている人ではなくても、これだけの楽器でこんな場面が浮かび上がる音楽が紡ぎ出されていることが分かる、というのは、実際アニメを見ていない人でも十分サントラをインストアルバムのように楽しめる工夫という風に、私には感じられました。
 

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第161回 中島ノブユキさん
(初出 2011/02/14)

紹介するサントラは、
たまゆら オリジナルサウンドトラック (フライングドック VTCL-60234)

たまゆらという作品自体、ARIAのスタッフを集めて作るというのがウリだけあって、音楽もARIAに似た雰囲気のものを期待されていたんじゃないかと思います。ただし、それは同じ作曲家に依頼するのではなく、あくまでも作品のイメージに合った楽曲を作れる作曲家を選択することだったと、このサントラを聴いて納得したのでした。

「旋律は、ドラマよりも目立たない程度にシンプルで、でも一度聴いたら頭の中に回りつづけるくらい印象に残って、聞いたひとがみんな懐かしさを感じて、それとあとかわいい曲、そんな感じでお願いします。」という、佐藤順一監督の無茶なオーダーに、中島ノブユキさんは、個々の曲に必要な色や時間帯や空間の広さといった「大まかな場面のイメージ」を質問したそうです。
そういった形で作られた音楽たちは、ライナーノーツでの紹介にもあるように「多種多様な音楽的造詣に目指したエレガントかつスリリングなアンサンブルを構築」しているといっていいかと思います。

個別の曲は中島ノブユキさんが全曲解説していますので、そちらを参照してもらうとして、長尺の短いアニメ作品でもおおむね1〜2分でしっかりと旋律を響かせた音楽をつくっています。作品中ではもう少し短くなって使われているのですが、それがもったいないくらい、キチンと、でもゆったりとした世界観を奏でているという感じです。また、きっと中島さんのもともと作る音楽と、このアニメ作品との世界観が合っているんじゃないかとも思えたのであります。

あと、興味深いのはTrack20の曲で、もともとはドヴォルザークのピアノソロ曲をヴァイオリン、チェロ、バンドネオン、ギターで編曲したんですが、これがうまい感じで仕上がっているんです。もちろん、Track03のメインテーマもうまくできていると思います。

約60分のOVAで、27曲収録されているのはそこそこかなぁ…と思ったんですが、TVアニメ化が決まったとのこと。そうするとこれだけでは足らないわけで、もっと多くの楽曲が作られるという期待がわき起こるわけで…そんな期待をさせてくれる、いい感じのサントラになっていると思います。


第176回 中島ノブユキさん
(初出 2012/12/12)


取りあげるサントラは、
たまゆら〜hitotose〜オリジナルサウンドトラック (Flying DOG VTCL-60279)

OVAですでにサントラが作られていると、TV版だからそんなに収録しない…ということは、このサントラではなかったですね。25曲サントラが収録されていまして、その中にはOVAですでに使われているものも入っていたりします。

「たまゆら」というアニメのサントラとしては、ぶれなく作られているし、中島ノブユキさんの曲調もしっくりと来るというのか…とにかくいい感じで1枚のサ ントラとして仕上がっていますので、これだけでも楽しめますが、OVA版のサントラとあわせて、ちゃんとコンセプトのあった2枚の連続したサントラ集とい う感じに仕上がってますので、是非どうぞ。



 

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第162回 MONACA
(初出 2011/03/02)

紹介するサントラは、
「WORKING!!」オリジナルサウンドトラック (ANIPLEX SVWC-7737〜7738)

MONACAは、アニメサントラなどを作る作曲家グループですが、なかなか単独でサントラ発売されて来なかったような気がします。今回は岡部啓一さんを中心に石濱翔さん、帆足圭吾さんが作曲した楽曲で、オールドロックテイストをトータルコンセプトにしつつ、WORKING!!らしいキャラクターたちをイメージできるものに仕上げたとのこと。(神前さんはOP,ED曲のみ参加)ただ、サントラブックレットにも、楽曲ごとにどなたかが主になって作曲・編曲したかは分からずMONACAの3名が書かれているだけなので、どの方の曲調かといったものは分かりにくい感じになっています。

メロディーラインも結構おぼえやすく、すっきりとしたバンドサウンドといった感じで作られているのかなぁ…という感じでしょうか。インスト曲だった「大切な一日」は、アレンジされた歌詞付きの楽曲(ゴールデン・デイ)になっているように、意外と口ずさめるサントラという感じがするかもしれません。DVD完全生産限定版収録の19曲をそこそこ上回る曲数ですから、ほぼ作品に使われた楽曲を取りあげられたんじゃないかなぁ。店内BGMやジングルもこんなに作っていたのか…と、感心することしきりです。

とにかくMONACAは、アニメ作品に合わせたコンセプトのしっかりしたサントラを作っているなぁ…と思いますし、それゆえ結構日常的な場面にも違和感なく流れることが出来るものだと思っています。だからこそ、DVDなどの特典ではなく単独のサントラCDとして出て欲しいと思う作品があるんですが、なかなかそうはいかないものばかりですねぇ。(直近では放浪息子も該当するか)ゆえに、今回のようにあらためてサントラCDが発売されたことは、個人的には素直に喜びたいなぁ、と思います。

第163回 MONACA,神前暁
(初出 2011/08/03)

紹介するサントラは、
Aチャンネル おりじなるさうんどとらっく(Aniplex SVWC 7770)

「Aチャンネル」という作品自体、女子高生の何気ない日常の中にあるキラキラした瞬間をまとめたようなものなので、それに沿うことが自然とMONACAのメンバーのサントラ制作の方向性になっていたとのこと。それゆえ、過度でコミカルでなく、センチメンタルでもなく、主張しすぎない楽曲を作るのに苦労したとのこと。

アコースティック楽器を中心に出来るだけ音数を減らしてシンプルにまとめるという、これまでのMONACAのサントラとは逆の感じなんでしょうかねぇ。ただ、キャラテーマの曲のようなものがないだけに、いろんな旋律が使われていて、同じ感じの曲がほとんどないような…さすが楽曲名の最初を"a"にしてもイメージが重複しないように作られています。4人(神前さん、石濱さん、高田さん、帆足さん)で楽曲を作っていますが、これだけ楽曲に引き出しがあるというのもすごいなぁ…と、素直に思ったりします。

個人的には、日常の風景にしっくりと合わせられる楽曲たちが登場したわけで、他の映像場面でも使われるのに期待しちゃったりします。(曲のタイトルは思い出せなくても、こんな場面で使ったAチャンネルの曲、とはいいそうな…)

それとは対称的に、OPは「始まり」「駆け出していく疾走感」「新鮮さ」をイメージしているし、EDは個人的な趣味の世界(The Beaties + QUEEN)とは、神前さんのコメント。こちらも聴き応えがあるものに仕上がっています。

第166回 神前暁さん
(初出 2011/11/12)

紹介するサントラは、
俺の妹がこんなに可愛いわけがない オリジナルサウンドトラック (Aniplex SVWC 7736)

このサントラが、神前暁さん単独での初の発売となるサントラだったりするわけですが、それまで作っていたサントラとはちょっとベクトルが違って作っているように、まず思いました。

ブックレットで神前氏が述べているように、「スカ」とは1950年代にジャマイカで生まれた音楽ジャンルで、裏拍子を強調した「ンチャ・ンチャ」というリズムが特徴的とのこと。これと神前氏が個人的に好きな管楽器をとことん使ってみたというのが、「俺妹」のサントラとのこと。これまでは、どちらかというと作品にあわせて音楽ジャンルをチョイスしてつくっていた感じでしたから、それとはちょっと異なるものになったんじゃないかと。

オタクカルチャーを扱ったアニメにもかかわらず、音楽はそこそこ厚みを持たせた実写ものとは異なる主張の強い曲をぶつけてきたとのこと。いわれてみると、リズミカルでそれでいてメロディーが映える感じの、粒ぞろいの楽曲がそろったということでしょうか。まあ、劇判ですからゆったりとのほほんとした楽曲もしっかりとあり、スタンダードなアニメサントラとしてのポイントもしっかりとおさえているところでしょうか。
それでも、しっかりと「俺妹」のサントラとして仕上がっているといっていいでしょう。

ベクトルといえば、ある意味ROUND TABLEの手がけた「それでも町は廻っている」(flyingDOG VTCL-60233)のサントラとベクトル的に似ている部分もあるので、聴き比べてみるのも興味深いのではないかと思います。

第169回 MONACA
(初出 2011/12/11)

紹介するサントラは、
放浪息子 オリジナルサウンドトラック (Aniplex SVWC 7787)

日常を描いた場面の楽曲というのは、耳にやさしく心地よく聞こえるためか、楽曲としてキャッチィなものにはなかなかならず、サントラを購入するまでの評価に至るのが厳しいかもしれません。でも、「放浪息子」という作品に寄り添ったこのサントラは、CDアルバムとしてしっかり聴けるものになっているんじゃないかと、個人的には思っています。

今回MONACAは岡部啓一さん、神前暁さん、帆足圭吾さんが作編曲しています。一つ一つの楽曲は派手さがなくても、イメージされる場面通りの楽曲にはしっかりと仕上がっているんじゃないかと思うのです。そういう意味では、直球勝負でMONACAらしいサントラといっていいでしょう。(WORKING!!に比べると、音楽的なコンセプトが希薄ですし)DVD,BD初回特典収録分を差し引いても35曲は、サントラとしてはそこそこ十分な楽曲数ではないかと思います。
 
第173回 MONACA
(初出 2012/12/11)


取りあげるサントラは、キャラソン集のサントラつきという変わりもの。
邪神曲たち(サントラつき) (DIVEII AVCA-49837〜8) のDISC2

Disc1のキャラソン60分(といっても、1曲30分のがありますが…)にさらに約60分42曲のサントラがDisc2についています。MONACAら しい普通の劇判がまず続きます。これだけでも、結構行けるサントラじゃないか、と思えるくらいのスペックかな、と過去の楽曲も知っているので思えました。

まああるとこまでは普通の劇判ですが、だんだん実は元の曲があるんじゃないか…という怪しげな曲も所々登場してきたりするんですねぇ。(期待するくらい で、意外とそう多くないかも…)でも、基本的には這いよるニャル子さんによく使われていた楽曲が、きちんと収録されている感じでしょうか。収録時間も曲数 も普通のサントラCDと変わらないですから、これだけでも十分お得感があります。(確かこれで2625円だったはず。安いなぁ。)

 


 

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第167回 浜口史郎さん
(初出 2011/12/11)

紹介するサントラは、
湯乃鷺メモリィズ(TVアニメ「花咲くいろは」オリジナルサウンドトラック) (Lantis LACA9217〜8)

浜口史郎さんは、比較的シンプルな楽曲をたくさんつくっていくことで、劇判としての曲全体を引き立てるというのが得意という印象があります。TV版とかの「ああっ女神さま」では、いかんなく発揮されていたのですが、どうしても軸になるメインテーマのような曲が希薄だったこともあり、なかなか取りあげにくかったという印象があります。それゆえキャッチィな目立つ楽曲はそんなにないので、そんな意味では損をしているようにも思えます。リアルに描かれている「花咲くいろは」では、ギターとピアノ中心の小編成は登場人物のストレートで繊細な感情と呼応して、より深い共感を得ることが出来たと、浜口さんも述べております。

実は2枚組で60曲以上の曲が収録されております。意外と日常的な場面を表現することも多いことから、汎用性の高いものに仕上がっているではないかと、個人的に思っていたりします。ただし、印象が希薄な旋律が多い楽曲は、それなりに作品に思い入れのある人でないと気づきにくいということになってしまっているようにも思います。
 

第180回 浜口史郎
(初出 2014/01/09)

取りあげるサントラは、
ガールズ&パンツァー オリジナルサウンドトラック (Lantis LACA-9256〜7)

浜口史郎さんは、(劇場版以降の)「ああっ女神さまっ」とか「大きく振りかぶって」とか、結構スタンダードな弦楽を中心とした輪郭の穏やかな楽曲が得意かなぁ…直近だと「花咲くいろは」とか「TARI TARI」とかありますね。そのイメージからすると「昔の戦争映画の音楽のようにしてください」という輪郭のくっきりした陽気な音楽は、どうかなぁ…と最初は思ったんですが、これが結構ぴったりのイメージといった感じのサントラ楽曲になったようです。

1小節聞いただけであのメロディーだとすぐ想起できるように”フレーズ”よりもっと小さな単位で特徴のある“音形”を入れてメロディーを組み立てるという風に、いろんな曲調にもアレンジできるように工夫しているのは、さすがという感じです。

アレンジ曲を複数作るのはよくありますが、10曲も作るのはすごいことですねぇ。よく音楽の引き出しがあると感心しきりです。それに、金管楽器を中心とした吹奏楽マーチと思いきやライバル学園のテーマ曲以外は弦楽器も使っているとのこと。「え、気づかなかった」とさらに驚かされること。
それ以外にも、原曲がある替え歌がこれがうまく作っていて…こちらを評価する人、結構多かったんじゃないかと思います。

サントラ楽曲として、普通なら汎用性がなく、他のマーチ曲に埋没しそうなんですが、なにせ作品自体が目立ったことと、それによってメロディーをおぼえてもらえて聞き慣れてしまった人にとっては、ある種聞き慣れさせられてしまって頭から離れないものになって、結果としてよく使われる(たとえば、ガルパンの舞台茨城県大洗町を紹介するとこのサントラ曲がかかるとか、戦車ものだと使われる、など)ことになったようです。

とにかく、あらためて音楽だけ取り出しても、興味深いところが出てくる「ガールズ&パンツァー」。アニメとしての作品で楽しんだ人はもちろん、吹奏楽などの音楽にちょっとでも興味がある人にも十分楽しめるものに仕上がっていますので、是非お手にとって聴いてください。




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第170回 山下康介さん
(初出 2012/2/25)

取りあげるサントラは、
「ちはやふる」オリジナル・サウンドトラック&キャラクターソング集 第1首 (VAP VPCG-84916)

直近は、耳に残るメロディがアニメサントラから聞きづらくなっているなぁ…と思っているんです。ベーシックでも、メインテーマになる楽曲で骨格を作り、それをアレンジしたりしてうまくサントラ楽曲群となるものを構築していく…そんなものではなく、とってつけたような似たような楽曲がいろんなアニメで聞こえてきます。それではBD・DVDに限定版と銘打ってつけられても仕方ないかなぁ…と、ふと思ったりします。そうではなく、きちんとメインテーマを響かせているサントラを紹介します。

山下康介さんは、デジモンなどのサントラを作られていますが、今回の「ちはやふる」は以前の作品ではたぶん「しおんの王」あたりが近いのかなぁ、と思います。ある程度楽器の数を絞って、メインテーマを中心としたメロディーラインをくっきりとさせ、ある種のテンションを高めた感じの楽曲が多いという印象を受けます。vol.2もでますが、たぶん今回の第1首に収録されるのがメインで使われるものになるんじゃないかと思わせるくらい、テンションが高い気がします。

特に耳に残る楽曲は、track03高ぶるキモチ、track07「ちはやふる」メインテーマ、track08かるたの目、track21「ちはやふる」メインテーマ〜p.f.ver.〜などといったところでしょうか。

ストリングスと管弦が交互にメロディーを流麗に響かせていて、作品のもつ登場人物の心理状態をうまく引き立てているなぁ…これまで目立ちにくかった山下さんの楽曲が、この作品と出会って生き生きとしてきた感じがしてきます。

ついでに、キャラクターソングも入っていますが結構きかせてくれますし、まさかedの「そしていま」がフルバージョンで入っているのは、ある意味いい楽曲だけにずるいです。(その辺は、ラストエグザイル〜銀翼のファム〜 O.S.Tに近い)
 
第175回 山下康介さん
(初出 2012/12/11)


今回は、山下康介さん。

取りあげるサントラは、厳密にはサントラとキャラソン集が合わさったもの。
ちはやふる オリジナル・サウンドトラック&キャラクターソング集 第2首 (VAP VPCG-84917)


第1首と比較して第2首は、うって変わって厚みのある楽器をそこそこ使ってきているなぁ…と思ったら、ミュージシャンとして20人程度の名前がスタッフ欄に挙がっていましたねぇ。なるほど、と納得するわけでした。

後半になって実際に競技かるたを行う場面が多くなり、いろいろな場面やモノローグの部分が増えてきたこともあって、それに合わせるための楽曲が第2首には 結構並べてきたなぁ…という感じでしょうか。実際、そういった楽曲群はメロディーが生き生きしていたりします。(当然、落ち着いた感じの曲もありますが) そういう意味で、とにかく聴き応えのあるサントラに仕上がったように感じられます。(メインテーマとなる楽曲が目立った第1首と対照的に)

キャラクターソングは、3曲収録ということで、これもサントラメインにしてこちらは抑え気味にしていたのはバランス的に今回もしていて、それはいいんじゃないかと思いました。


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第171回 石黒ひとみさん
(初出 2012/2/26)

紹介するサントラは、
LASTEXILE -FAM, The Silver Wing- O.S.T. (flyingDOG VTCL-60286)

サントラ自体のパッケージの表記は英字ですが、日本語のラストエグザイル-銀翼のファム- O.S.T.と表記しているサイトが一般的なような気がします。

石黒ひとみさんは、8年前の「LASTEXILE」ではDolce Triadeとして音楽に参加し、その後「コードギアス 反逆のルルーシュ」で音楽を担当しつつ、自らオリジナルのアルバムをリリースするなど、結構活発に活躍しています。自ら歌う時は「Hitomi」としている「Angel Feather Voice 2」と同時リリースしたサントラが「LASTEXILE-銀翼のファム-O.S.T」となります。

楽曲数は25曲と少なめに感じるかもしれません。しかし、楽曲自体が結構サントラとして長めに作られていて、その作品の中でいろんな場面が複雑に織り込めるように作られています。前作LASTEXILEではアイルランド風の風の音を中心に構成したが、LASTEXILE-銀翼のファム-では雰囲気の異なる国がでてくるのでいろいろなタイプの曲(オーケストレーション、打ち込み、民族音楽など)が統一することを考えずにジャンルを横断した曲を作ってきたとのこと。それでも、LASTEXILEとしての世界観を新たに作りだしてきたということになるのでしょう。(…で、2枚目もでるんじゃ無いかと思ったら、やっぱり3月に発売するとのTV-CMが流れていましたね)

ed曲もフルで収録されています。その「Over The Sky」は、雄大な空を感じさせ、LASTEXILEの世界観そのものを表現しているというとのこと。それを感じるだけでも1度聞いてみる価値のあるサントラです。
 
 
 
 

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川井憲次 16 17 18 24 26 42 78 87  98  根岸貴之 11 38 52 99 100  増田俊郎  44 51 71 81 97 120 125  久石譲 31 48 80 佐橋俊彦 25 43 102
菅野よう子 15 21 60 67 92 178  大島ミチル 27 34 104 107 108 160  田中公平 14 50 65 68  野見祐二 33 47 和田薫 59 110
大谷幸 01 91 174  若草恵 デビット・シルビーズ 千住明 4 106 安田毅
岩代太郎 淡海悟郎 山本はるきち 鷺巣詩郎 片倉三起也
服部克久 13 66 村山達哉 杉山卓夫 ゴンチチ 森英治
奥慶一 服部隆之 松岡直也 松浦晃久 `島邦明
星勝 松尾早人 岩崎文紀 村瀬恭久 鈴木豪 朝倉紀行
長谷川智樹 41 139  冨田恵一   有澤孝紀 坂本龍一 美和響
武藤星児  安部純 45 72 97 109 154  七瀬光 70 79 82 88 122 164  梶浦由記 63 85 117 152  光宗信吉 64 73 76 116 129  寺嶋民哉
是永功一 岩崎琢 89 101 105 121 126 131 168 177   栗原正己 83 栗コーダーカルテット 179  高浪敬太郎 保刈久明
斎藤恒芳 90 94 118 135  ショーロ・クラブ 93 124 127  西田マサラ 羽毛田丈史 96 145 151  TRY FORCE
渡辺俊幸 梁邦彦 渡辺剛 119 153 172  池頼広 123 147 妹尾武124 127 181
平野義久  大嶽香子 亀山耕一郎  吉田潔  松谷卓 134 165  
中川幸太郎 136 150  村松健 137  143 155  菊谷知樹 138 146  吉森信  菊地創 
菅野祐悟 井内舞子 148 156  百石元  S.E.N.S. Project(勝木ゆかり、深浦昭彦、森英治)   蓮実重臣  
はまたけし   中島ノブユキ 161 176  MONACA,神前暁 162 163 166 169  173    浜口史郎 167 180   山下康介170 175   
石黒ひとみ  

 
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