猫さんの保健室


 猫によく見られる腫瘍4-扁平上皮癌

 猫の扁平上皮癌は、皮膚の腫瘍としては比較的多くみられます。一般には中高齢の猫に多くみられますが、比較的若齢の猫でもまれに発生を見ることがあります。皮膚腫瘍と大まかにくくっておりますが、皮膚だけでなく、その付属器官(口腔、鼻腔、目、耳道、などなど)や、皮下織(皮膚の下の軟部組織)にも発生が見られます。扁平上皮癌に限らず、猫の腫瘍は、犬に比べかなり発生は少ないのですが、総じて悪性であるモノが多いです。

<どんな腫瘍ですか?>
 扁平上皮癌は皮膚やその付属器官に、腫瘤を形成しますが、この腫瘤の発生は自然発生的に生じる場合もありますが、以下のような症状が誘因となって、長年経過するウチに腫瘍化してくる場合もあります。
・外に出る猫では紫外線が刺激になって、耳、顔面、眼瞼、鼻梁などに強い炎症を起こし、それが誘因となって癌化する場合があります。これは毛の色の薄い猫や白い猫でよく見られます。
・外耳炎が慢性化したような場合、分泌される耳あかに刺激物質があり、それが癌化を促すとの報告もあります。(うちの猫で慢性外耳炎のあった猫で、このような症例がありました)
・まれにですが、慢性の口内炎から癌化した例もあります。鼻腔内に発生した例もあります。

<どんなところにできますか?>
 扁平上皮癌は、猫の場合は顔面の組織に多く発生する傾向があります。耳介、耳道、内耳、鼻梁、鼻腔、眼球、眼瞼、口腔、咽頭、舌、などなど、顔面の重要な組織すべてに発生する可能性があります。

<どんな症状?>
 腫瘍の初期ではしこりがあるだけで自覚症状がない場合が多いですが、炎症性の疾患が元になっている場合は痒みなどの不快感を伴っている場合もあります。症状が進んでくると、その周辺の組織に浸潤し、機能を障害することがしばしばあります。転移するものもありますが、その部分の浸潤のみが強く現れる場合もあります。経過については早いものや遅いものなどいろいろです。末期にはその組織の機能障害を強く起こすとともに、腫瘍性の悪疫質を伴ってきます。

<どんな検査でわかるの?>
 皮膚腫瘍は普通はその組織の一部(あるいは全部)を切除して、病理検査することで、良性、悪性などのいろいろな情報を得ます。扁平上皮癌もその組織を調べることで診断可能です。

<扁平上皮癌を見つけた場合は?>
 扁平上皮癌であることがわかった場合は、外科的に切除する処置が望ましいのですが、顔面の器官に腫瘍が発生した場合、その多くは切除すると生活レベルに問題の出る重要な器官である場合が多いので、切除不能である場合も多々あります。耳介、耳道、眼球、下顎などの切除が可能な組織である場合は(切除しても生活レベルが維持できるような組織)、切除が望ましいです。しかし、それを取ることで生活レベルが著しく低下する可能性のある組織では残念ながら切除が不能である場合もあります。ただ、状況によっては(腫瘍が著しく大きいなど)腫瘍を一時的に減量するなどの処置は行うことがあります。切除不能である場合は、出来るだけ栄養状態を良好な状態に維持し、感染を押さえるための抗生物質などの投与が必要となってきます。
 治療として確立はしていないのですが、切除不能な場合に放射線療法、抗ガン剤による治療などが選択される場合もあります。インターフェロンなどの投与も報告されていますが、確実に効く治療法にはなっていないようです。

<予後について>
 切除が完全に行われた場合の扁平上皮癌においては、比較的良好で余命を長く得ることもあります(たとえば、耳介先端が癌化した場合で、耳を完全に切除した場合や、眼球に発生して眼球摘出した場合、など)しかし、切除不能な例では、様々な経過を取りますが予後は悪い場合が殆どです。(経過の長い例では1年以上かけてゆっくり侵襲していく場合もありますし、早い例では1,2ヶ月の経過で侵襲が進んでしまうこともあります)クオリティ・オブ・ライフを多少よくするために、最近ではサプリメント類なども使われますので(アガリクスやサメ軟骨など)栄養状態を出来るだけ良好に維持するとともに、これらのサプリメントの使用もある程度有効かもしれません。

<予防?>
 猫では紫外線の刺激、外耳炎などからの発生例が報告されていますので、外に出さない、外耳炎の治療をきちんと行う、などは、発生を押さえるのにはたぶん有効だと思われます。あと、もしかなり小さいウチにしこりを見つけた場合は、出来るだけ早期に動物病院で診察を受けるようにオススメします。

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