猫さんの保健室


   猫の老年病について(1)

 人間が年をとるのが当たり前なように、猫さんも年をとっていきます。老化の程度は個体差がありますが、一般的には7歳以上の猫さんは老齢期と見ていった方がよいかと思います。                              飼育環境の改善(食事、住環境)、予防医学の浸透などによって、猫さん達の寿命は、昔に比べてかなり伸びています。(はっきりした統計はありませんが、昔の猫さんの平均寿命は5、6才だったらしい。今は8から10才くらいらしい。)これは動物医療が進歩しただけでなく、飼い主さんの猫さんに対する意識や接し方が変わってきたことにもよると思います。老齢になった動物とうまく暮らして行くにはどうしたらよいか、という問題は、今後ますます重要になってくることと思います。                                                       そこで、今回は猫の老年病について、書き込んでみることにしました。老年病と言っても人間同様一様ではないので、何回かに分けて、病気のことや、老猫さんとの暮らし方、生活環境などについて書いていって見ます。今回は、その総論みたいな形です。

猫が年をとったときに現れる変化

 老化による変化は、色々な形で現れます。外貌では、猫は目の変化は出にくいですが(白内障などの疾患は猫ではかなり少ない)歯石が蓄積して歯が衰えたり、毛づやが悪くなったり毛の生え代わりが悪くなったり、毛に白髪が混じったりします。体の動きは若い時期よりかなり不活発になります。また、生理的機能はだんだん衰える傾向にあります。内蔵にも機能低下の兆候が現れ始めます(消化器、泌尿器、循環器、運動器等など)。また免疫力も低下し、感染症やストレスに対する抵抗性が弱くなってきます。                                                また、人間ではいわゆる「ボケ」という問題が起こってくることがありますが、猫でもこのような行動問題が現れることもあります。猫においては、不適切な場所での排泄、攻撃行動、破壊行動、鳴き声、恐怖心の増大、異常摂食、食欲減退、自己損傷(自分で自分を咬んで傷つける)等という形で現れてくるようです。                        しかし、老化それ自体は病気ではなく、健康管理がきっちりしてある程度身体のレベルが保たれているならば、病気な状態を引き起こさずにすみますので、出来るだけ日常の管理で病気にしにくい状況を作って上げるのはとても大切なことですね。 主な対策としては、食事管理(ナトリウム、リン、蛋白質の摂取量の制限、カロリーの管理、消化吸収の良い食品の選択)、定期的な健康診断、予防注射の継続、居住環境の改善(高くて落ちやすい場所に行かないようにする)などです。

一般に見られる老年病について

 老年の動物の病気は、若い頃と明らかに違うモノがいくつか在ります。また、上記の老化とも違う病的変化も色々起こります。よく見られる猫の老年病としては、慢性腎不全、口腔内疾患(特に歯石)、肥満、糖尿病、慢性の腸疾患(便秘、炎症性の下痢)、身体各所の腫瘍(癌)、肝臓疾患(肝不全)、心臓疾患、神経疾患(運動失調、聴力や視力の変化)などがあります。特に心臓や腎臓、肝臓などの内蔵の問題、糖尿病などの内分泌系の問題については、猫の場合はっきりとした症状は初期ではわからないことが多く、かなり進行した状態でやっと発見されることも少なくありません。そのため、出来るだけ初期で病気を見つけるためにも、日常の少しの変化にも注意を払う必要があります。食事量、体重の増減、水を飲む量、一日の猫の動き(活動性)など、出来るだけ把握するようにして上げると良いですね。

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