猫さんの保健室

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 猫さんの健康を守るための食事-病院食いろいろ

 猫さんの病気にはいろいろありますが、中には、食事をコントロールしないとより重症になってしまうような病気がたくさんあります。だけど、そんな猫さん達のために食事をそれぞれに会わせて作ることは、大変手間もかかることで、飼い主さんの負担も大きくなります。そんなときに非常に重宝するのが、動物病院で用意されている各種の病院食-処方食です。病院食は、通常のキャットフードを与えるように与えるだけで、その猫さんに必要な食事をきちんと与えることができる、大変優れたモノなのです。食事、と言うよりは、薬と食事をかねたようなものなので、中には厳密に量の管理が必要なモノもありますが、それさえ守れば、それを食べているだけで健康管理のコントロールが大変やりやすくなるモノなのです。病院食、というと、味気ないモノと感じるかもしれませんし、経済的にも大変と考えられるかもしれませんが、先に述べたように、薬と食事をかねたようなモノ、と考えていただければ、長期的な健康管理が必要な猫さんにとっては、決して高いモノではないと思います。味についても、今はいろんな会社からたくさんの種類のフードができており、その猫さんの好きなフードを選ぶことは十分可能と思います。もし、おうちの猫さんがそういう健康管理が必要になったらば、是非積極的に使っていただきたいと思いまして、今回いろんなフードを紹介することにします。

どんな種類の病院食があるか?

 猫さんの病気が多様化しているので、病院食の種類もどんどん増えてきています。それらを現在販売されている範囲で紹介していきます。(注:ワタシの勤め先はヒルズとウォルサムとアイムスの処方食が中心なので、他のメーカーの食事(明治、三共など)については、申し訳ありませんが、資料不足なので今回の初稿では割愛します。それらについては後々調べて追記していくようにします)

おしっこの病気(下部尿路疾患)の時の食事

 猫の尿道結石や膀胱結石などの下部尿路疾患は、食事管理がかなり重要な病気の一つとなっており、かなり昔からこの病気のための食事が販売されております。昔は種類も少なく、余り選択幅がありませんでしたが、今はかなりの種類の食事が出ていますので、猫さんの好みのモノを選んであげられると思います。
・ヒルズ c/d、s/d
・ウォルサム phコントロール(チキン、フィッシュ、スターター)
・アイムス 低ph、中ph
・三共 フェリスター ローミネラル
・明治製菓
・武田 

 これらの食事の特色は、泌尿器疾患の原因となる結石の生成を押さえるために、ミネラル分が適切に押さえられていること、尿量を増やすようにするために、水を飲むために多少ナトリウムが多いこと、尿のphを結石ができにくい弱酸性尿に調整するための成分にされていること、など、猫に多く発生する泌尿器疾患に最大限配慮され、治療するのにもっとも適した食事内容となっております。 

上記の他に、ヒルズでは他用途の処方食ですが泌尿器疾患に対応できる処方食として、w/d、r/d、p/dをあげております。また、一般的には、他の用途の処方食であっても、泌尿器疾患の原因になりやすいミネラル分については、適切に調整されている場合が多いので、下痢用の食事とか心臓病、腎臓病用の食事でも、健康維持レベルでは問題ないとのことです。

 ところで、一般的に売られている食事でも「泌尿器疾患に配慮」とか「マグネシウムを押さえた、、、」などと記述してあるフードもあり、じゃあそれで十分なんじゃないかと思われている方も多いと思います。しかし、一般的に市販されている食事は、あくまで「配慮されている」食事なだけであって、完全な予防、治療ができるという食事ではありません。ですから、もしこの病気にかかってしまった猫さんが居ましたら、食事に関しては、発症以後は病院食のみに切り替えるようにしていただくのがもっとも良いと思います。(実際に、せっかく治療して治った猫さんが、病院食は高いからと言って、市販の「配慮されている食事」に戻して、再発する例というのは、ものすごくたくさん見ておりますので、、、、(^^;))

下痢の時の食事

 下痢については、単純なモノだと食事をわざわざ選ばなくても薬や絶食で治ってしまう場合も多いのですが、治りにくい慢性の下痢や、特殊な病気による下痢、子猫さんの下痢、アレルギー性の下痢などは消化吸収しやすいように処方された下痢用の食事を使うことで、治療効果が高まることが多いですので、食べれるならば使用すると良いかと思います。ただ、下痢の時には食欲もなくなっていたりする場合も多く、処方食が嫌いでよけい食べないと言う場合も多いので、そのあたりの選択は猫さんの容態を見ながら、主治医の先生と相談して決めてくださいませ。

・ヒルズ i/d、w/d、r/d
・ウォルサム セレクトプロテイン
・アイムス LRF成猫用、LB(缶詰のみ)

 市販食にある各種メーカーの「ラム&ライス」とか、ヒルズ、アイムスなどの一般食も、下痢にはかなり配慮された食事内容になっていると思います。日常的には、安定した質の良いフードを与え続けることが、下痢の予防管理にもなるので、そのためにもフードはきっちりとしたものを選んであげてほしいものです。

肥満、糖尿病の食事

 肥満については、問題視していない飼い主さんも多いのですが(ウチも以外とそうだったりして困りもんなんですけど、、、(^^;))、やはり糖尿病や心臓病など、肥満に関わる病気も増えてきていますので、過度の肥満の兆候がある場合には、厳密な食事管理をするために、治療食の使用を勧める場合があります。また、糖尿病などで厳密な食事(カロリー)管理が必要な場合も同様です。

・ヒルズ w/d、r/d
・ウォルサム ローカロリー
・三共 フェリスター ローカロリー

最近は市販食でもライトカロリーの食事がありますので、軽度の肥満とか体重が気になる場合には、まずそちらを使ってからでもいいと思いますが、治療した方が良いくらいの肥満の場合は、きっちりと量を量って、処方食だけを与えるようにしていきます。
 どんな食事でもそうですが、その食事を食べれば痩せる、という都合のいい物はありません(^^;)。低カロリーでもたくさん食べると太ります。ですから、ある程度目標体重を決めた上で、食事量を設定していくようにします。食事量も極端に減らすと肝臓などにかかる負担が大きくなりますので、長期間かけて少しずつ減らせるような設定をしていくことが大切です。

腎臓病の食事

 腎臓病は近年猫が罹患する病気の中で増えてきている病気です。一般的には、腎臓に負担になるタンパク質の制限をしていくのが勧められますが、この病気の猫さんの症状として「食欲がない」というのが非常に多いです。ですので、これらの食事を体にいいからと思って与えても、病気で口のまずくなった猫さんが食べてくれないことが多く、悩みの元となります。ですので、実際によく使うのは、かなり初期の腎不全が見つかった段階から、進行を抑えるために食事を食べてもらう、というふうにして管理するのが、今のところもっとも良い使い方かもしれないと思っております。(定期検診などで血液中のクレアチニンが2以上、尿素窒素が30以上ならば、予防的にも腎臓病食を使っていくのがよいのではないか、と思っております)。また、10年以上の猫さんは、健康そうに見えても、経年変化で腎臓は確実に負担がかかった状態になっていますので、やはりこういった食事に切り替えられるなら切り替えるのがよいかと思います。

・ヒルズ k/d、g/d
・ウォルサム ロープロテイン
・三共 フェリスター ローホスホラス
・アイムス 猫用KF 中ph(ごく初期の腎不全には使えるそうです)

最近では市販食でシニア食が出ておりますが、それらの食事も、適切なタンパクや脂肪制限がされているので、腎臓に問題がない状態の5歳以上の猫さんは、まずはシニア食に切り替えていっても良いかと思います。

肝臓病の食事

 猫さんには、長期管理するような肝臓疾患は割合少ないです。(というより、肝疾患が出る場合は、かなり予後が悪い場合が多いですので、、、)もし食事管理ができる状態であるならば、肝臓にかかる負担を押さえた処方になっておりますので、専用の処方食を使うのがいいかと思いますが、腎臓病と同じく、まずは「食欲がなくなる」事が多い病気ですので、食欲を優先にしてあげるのはやむを得ないかと思います。もし、定期検診などで、正常値を上回るような数値が出ている場合には、元気ならば是非こういう食事を使って管理した方がよいと思います。

・ヒルズ l/d

心臓病の食事

 心臓疾患は猫さんでは犬に比べて発生がかなり少ないのですが、損な中で比較的発生が多く、近年問題になっている病気に、突発的に起きる「猫の肥大型心筋症」という疾患があります。今のところ発生要因等が不明で、非常に難治性のやっかいな病気ですが、罹患してしまった場合は、心臓にかかる負担を押さえていくために、できるだけミネラルやカロリーを管理した食事が望まれます。

・ヒルズ h/d、g/d
・武田

皮膚疾患のための食事

 皮膚病の中には食事に起因するアレルギーがあるため、もしそういった疾患であるとされた場合はアレルギーの原因になる成分を押さえた食事にしないと、症状の不快感が除去できません。そのため、いくつかのアレルゲン除去食が各社から出されています。その特色としては、アレルギーの原因になる動物性タンパク質を、原因になりにくい(というか、食べたことがないような)タンパク質を使った食事に変える、などの方法が用いられております。

・ヒルズ d/d(タンパク質が3種類用意されている)
     z/d(かなり低分子のタンパク質使用したアレルゲンフリー食品)
・ウォルサム セレクトプロテイン1,2(それぞれタンパク質の種類が違う)

後、市販食に「ラム&ライス」というものがあります。これもまた完全ではありませんが、アレルギーに配慮した食事内容になっています。

老猫のための食事

 猫さんの平均的な寿命は、おそらくここ10年で飛躍的に延びたことと思われます。飼育形態の変化、食事内容の変化など、いろいろあると思います。しかし、それに伴って、確かに老猫疾患もまた増えてきています。健康で快適な猫さんのシニアライフを助けるために、できる限り病気になる可能性を減らすために、老猫食というのは、今後もっと重要視されていっていい分野ではないかと考えております。

・ヒルズ g/d

 今のところ、老猫食とうたっているのはこれだけだったような、、、。で、どのように使ったらよいかと言うことですが、腎不全の初期(ネフロンの破壊度が60%ぐらいの猫)、軽度の肥満がある、下痢または便秘しやすい、などの猫さんは、是非使用されると良いかと思います。シニア食も一般には出ていますが、健康管理上で何か問題がある時には、シニアよりはこちらの方がよいかもしれませんね。

幼猫、子猫のための食事

 昔に比べて食事の質が非常に良くなったため、子猫が栄養の問題で病気を起こすことはかなり少なくなったのですが、それでもごくまれに栄養欠乏によるいくつかの病気を診ることがあります。そういった子猫時代特有の病気に配慮して、安定した栄養供給をはかるための食事、というふうに使っていただけると良いかと思います。

・ヒルズ p/d
・ウォルサム 高栄養

食事を取りにくくなった猫のための流動食

 事故や口腔疾患で自力で口から栄養がとれなくなったり、特殊な病気で固形食が食べられなくなったり、食欲が無くなって自分でほとんど口から食事を取らない猫さんに食事を取らせるために、いくつかの流動食が用意されています。特殊な場合を除いて、長期の維持には余り使いませんが、栄養的にはそれだけ食べていればちゃんとカロリーやミネラルが満たされる状態になっているので、そういった管理が必要な場合には治療の手助けになりやすいので、積極的に使っていってあげると良いかと思います。

・ヒルズ a/d
・クリニケア猫用
・アイムス NRF

食事を与える時の注意点

 どの食事についても、基本的には病気の治療を目的としていますので、極力その食事だけ与えるようにしていくことが大切です。単調だからといって他の食事を与えると、その成分がよけいな成分となって、今までの治療があだになる場合もありますのでもったいないです(^^;)。(例ですが、泌尿器疾患でc/dだけ食べていたはずの猫さんが尿が詰まって再来院したことがあります。聞くと、食事が単調だからと言うことで、おやつに煮干しを与えていたそうです。煮干しはミネラル分が非常に過多なので、治療食の治療効果を台無しにしてしまったわけです)もし、何か他のモノを、と思うならば、必ず獣医さんにちゃんと相談してからにしてくださいね。

食事管理中の猫の注意

 その食事だけ食べていればじゃあ健康が維持されるかというと、残念ながらそうとばかりもいきません。どの食事も基本的には長期管理に適した処方になっておりますが、何か猫さんが新しい病気を引き起こしていた場合、その食事が適切でなくなる場合もあります。(例としては、泌尿器疾患で処方食を食べていた猫さんが、年を取って腎疾患になった例があります)ですので、食事を食べていてこれでもう大丈夫、と安心するだけでなく、ちゃんと健康が維持できているか、定期的に検診を受けることもまた心がけていってくださいね。

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