▲対向式ホームの津軽今別駅

同じ場所にあるのに駅名が別々の駅・津軽今別駅
                       津軽二股駅

下車日-2002.8.7

 津軽線蟹田駅から快速「海峡」に乗車し、新中小国信号場から津軽海峡線に入ります。津軽トンネルを抜け、蟹田駅を出発して17分で、津軽海峡線最初の駅・津軽今別駅に到着します。
 津軽今別駅は、対向式ホームと小さな待合室があるだけの無人駅ですが、実は地上駅としては、唯一本州にあるJR北海道の駅なのです。「本州にあるのに、なぜJR北海道の駅なんだ!?」と、思われる方もみえるかもしれません。それに、「津軽」と駅名についているわけですから、いきなり「北海道です」といわれても、訳がわからなくなるかもしれません。
▲「JR北海道」の文字入りの津軽今別駅名板
 実は、津軽海峡線(正式には海峡線)は、JR北海道の路線だったのです。海峡線は、新中小国信号所より蟹田寄りの中小国駅が、起点となっており、中小国駅が、JR東日本と北海道との境界駅となっています。そのため、津軽今別駅は、JR北海道所属となっているのです。そのためか、ホームの駅名板には、ご丁寧に「JR北海道」の文字が入っています。
 また、津軽今別駅は、JR北海道の駅の中で唯一「津軽」が付いた駅であるとともに、JR北海道最南端の駅でもあります。そして北海道から本州へ向う場合、津軽今別駅が地上駅としては本州最初の駅となります。ただ列車本数が少ないため、なかなかそこまで思う人はいないかもしれませんね。

 さてさて、海峡線は、昭和63年3月13日開業と、JR線の中では、新しい部類に入ります。そのため、路線は全線複線電化、地上部分は基本的に高架化されています。津軽今別駅も、築堤の上に設置されています。そのため、道路に出るには、築堤を下りなければなりません。
▲この階段が道路とホームを結びます
 ホームを函館側へ歩くと、ホームを下りる階段があります。それを下りて20mぐらいコンクリートの上を歩くと、屋根付き階段があります。これがホームと道路を結ぶ階段です。
 おそらく冬になると、この辺は雪がたくさん積もるのでしょう。津軽今別駅は無人駅のため、基本的に除雪作業をする人がいません。階段に雪が積もってしまうと、大変危険です。そのためにスノーシェルターがあるのだと思われます。
 スノーシェルター内部は、出入り口付近はやはり雨水などが入りやすいため、錆び付いてしまっている部分が、多数あります。が、地元の人にとっては、重要なものです。実際私が訪れた時は、大雨が降っていましたが、スノーシェルターのおかげで、随分助かりました。

 さてさて、そろそろ階段を下りましょう。階段自体はそんなに長くなく、角度も急ではありません。リズミカルに下りていき、出口に出ると、そこには・・・。
▲なぜか築堤したにも駅が・・・
 なんと線路があるではないですか!そして遮断機の無い踏切があり、ホームや立派な駅舎まであります。いったいどうなっているのでしょうか?津軽今別駅からは、もう一つ鉄道が走っているのでしょうか?
 しかし、ホームの駅名板を見てみると、そこには「つがるいまべつ」ではなく、「つがるふたまた」と書かれているではありませんか。何も知らずに初めて来た人ならば、パニックに陥るかもしれません。

 実はこの線路は、JR津軽線の線路なのです。そしてこのホームは、津軽線津軽二股駅のホームなのです。時刻表の路線図を見てみると、津軽今別駅と津軽二股駅は近くにはあるものの、別々の駅として掲載されています。しかし実際は、築堤上と地平という差はあるものの、同じ場所にある駅なのです。
▲階段を下りると、そこは津軽二股駅だった
 全国に目を移すと、JR駅と私鉄駅が同じ場所にあるのに、駅名が違う、または二つ以上の私鉄が集まっているが駅名が違う、といったパターンは、たまにですが見かけます。例えばJRの大阪駅と阪急・阪神の梅田駅、JRの尾張一宮駅と名鉄の新一宮駅といった具合です。しかしJR同士となると全国どこを見渡しても、ここ一箇所だけです。

 さて、ここで両駅の生い立ちについて調べてみましょう。最初に開業したのは、津軽線津軽二股駅のほうです。昭和33年10月21日に津軽線が三厩駅まで開業した時に、津軽二股駅は開業しました。すでに函館本線に二股駅が存在していたため、地方名の「津軽」が、頭に付けられたのでした。
 現在はホーム一本だけで棒線化されていますが、かつては交換施設があったようです。「あった」とは断言できませんが、駅前後の線路形状をみてみると、不自然に曲がっており、ポイントが存在していたように思えます。
▲津軽今別駅から見た津軽二股駅

 一方の津軽今別駅は、先にも触れたとおり、昭和63年3月13日の津軽海峡線開業と同時に、開業しました。こちらは津軽線と違って複線・交流電化されており、立派な幹線のイメージです。
 津軽今別駅が開業した昭和63年は、すでに国鉄は分割民営化されており、海峡線は、先にも述べたようにJR北海道の所属となりました。仮に海峡線が国鉄時代に開通していたら、おそらく津軽今別駅は、津軽線同様「津軽二股駅」となっていたでしょう。
 では、なぜ別々の駅名となってのでしょうか。色々な本やホームページに取り上げられている理由が、「JR北海道であることをアピールするために、別々の駅名を付けたのではないか」ということ。なるほど、それなら納得しますね。しかし、私はもう一つ別の理由を考えました。
▲津軽二股駅から見た津軽今別駅
 先ほど、蟹田駅から快速「海峡」に乗って、津軽今別駅までやってきましたが、距離は17.4Kmで運賃は350円となります。一方、津軽線の普通列車にトコトコ揺られて津軽二股駅へやって来ますと、距離にして19.6Km、運賃は320円となります。
 おや?なぜ同じJRなのに、距離が短い方が、長い方より運賃が高くなるのでしょうか?本当にこの駅は、謎だらけです。もちろんそれには、ちゃんとした理由があります。そしてそこに、別々の駅名となった理由の一つが、隠されていると思います。

 時刻表の普通運賃表をみてみると、二つの路線とも、営業キロが16〜20Kmの範囲に入っています。津軽線、海峡線ともに地方交通線に当たるので、地方交通線の運賃表を見ます。そこには、やはり320円とあります。ではなぜ、津軽今別駅のほうが、料金が高くなるのでしょうか。
 実は本州3社と、JR北海道・四国・九州をまたがって乗車する場合、後者各社の乗車距離に応じて、「基準額」の他に「加算額」が必要となってくるのです。津軽今別駅の場合、基本額320円に、時刻表で調べた加算額30円(中小国〜津軽今別間13Km)を足した350円となるのです。
▲道の駅では両駅の時刻表が並ぶ
 皆さん、そろそろおわかりいただけたでしょうか?もう一つ例を出してみましょう。青森駅から津軽線で津軽二股駅へやってきた場合、営業キロ46.6Km。運賃計算では、小数点第一位は切り上げで計算するため、47Kmとなり、950円かかります。一方、快速「海峡」で津軽今別駅へ向うと、営業キロ44.4キロで基本額が820円、加算額30円を足して850円になります。なんと今度は、津軽今別駅のほうが安いではないですか!
 もうおわかりですよね。同じ駅名にしてしまうと、運賃計算の上で、少しややこしくなってしまうのです。混乱を避けるためにも、別々の駅名にしたのではないでしょうか。同じ駅名にしてしまうからややこしくなるわけで、別々にしてしまえば、別に関係ないですしね。

 さてさて、津軽二股駅ホームの裏に、駅舎がありましたよね。じつはこれは駅舎ではなく、道の駅いまべつ「半島ぷらざアスクル」なのです。鉄道駅に併設だれているのですが、現状では、鉄道駅が道の駅に併設してできた、と言ったほうがいいかもしれませんね。
▲入口には駅名がずらりと並ぶ
 道の駅の入口には、津軽今別・二股両駅の時刻表が並んでいます。見てみると、両線の接続は、あまり良くないようです。基本的には快速が停車する蟹田駅で、ということなのでしょう。もっとも、津軽今別駅に停車する列車が一日3往復(うち上り1本は臨時列車)では、利用したくても中々できないのが現状です。

 このように、随分変わった関係にある両駅ですが、ここに新幹線がやってきた際には、今度は「奥津軽駅(仮称)」が誕生する予定です。すでに大きな看板も建てられ、道の駅の入口にも、すでに駅名が入っています。
 そうなると、並行在来線の関係もあり、津軽線や海峡線の行方がどうなるのかが注目されます。利用客にはややこしいかもしれませんが、いつまでも変わった駅として存続してほしいものです。



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