01/10/29 作成 09/06/10 加筆修正
八ツ森駅

仙山線 “八ツ森駅” 臨時駅であるこの駅の周囲に建物の類は一切存在しない 行政区が仙台市青葉区に有るというのは驚きに値する

カーブしたホームは割と長めであるが待合室は無い 駅前広場には何も無く、大自然そのままの深い森が待ち受けている
訪問日記 2001年8月14日 訪問 2008年12月1日 再訪
この“八ツ森駅”は仙山線の臨時駅として、JR化以降の昭和62年3月31日に開設された。しかし、仙山線が最後の区間(作並〜山寺)が開通した昭和12年11月10日には既に
仮乗降場として開設されている。いったい誰がこんな山奥にある駅を一体誰が利用していたというのか疑問が残った。後に知ったことだが、ここは冬季にスキー場(八森スキー場)
のために開設されたレジャー駅だったという。季節開業に限定されていたとしても、それなりに賑わった時代があったのは、驚きに値する。
しかし現在では駅の周囲に人家は勿論、待合室などを含め建物の類は一切存しないという深い森の中だ。駅前はご覧の通り、アスファルトとは無縁の世界が広がり、大自然その
ままの雰囲気をたっぷりと堪能できる。ここに辿り着くには鬱蒼とした山林の中に未舗装の林道が通っているだけで、隣の作並駅からは何とか車でアクセスできるようだ。しかし、
奥新川側はハイキングコースしか存在せず、その距離も5km以上あり、険しい山道はたっぷりと2時間以上掛かる。
一方、列車でのアクセスは、時刻表の仙山線のページを見る限り、この八ツ森駅は全ての列車が通過扱いとなっている。このように到達方法が非常に限定される駅だが、更に
追い討ちを掛けるように、2002年の秋の「ホリデー快速もみじ号」を最後に、ただの一本も停車しなくなった。以前は春のシーズンにも同様な臨時列車もあって僅かながら停車して
いたが、よほど利用者が居なかったのであろう。わざわざ行楽シーズンに専用列車を仕立てて運行したにも関わらず、利用者が全く見込めないのであれば、いつ廃止されても
不思議はない。これはもう北海道にある函館本線の“張碓駅”と同じ扱いと同様で、もう2度と列車が停まることは無いと思われる。
私自身、こうした“秘境駅”を歩くことを専門としており、ランキングのなかでも到達難易度は一気に上昇するものだが、一本も列車が停車しなくなった現在、いつ廃駅になっても
おかしく無いと思われる。
そんな哀れな駅へ今回私は真夏の炎天下の最中、作並駅からタクシーで途中の作並小分校前まで行った。そこから約1.5kmを徒歩でこの駅を目指すことにする。しばらく歩くと、
林の中の未舗装路に変わり、「熊出没注意」の看板に躊躇しながらも、ようやくこの駅へ辿り付いた。ベニア板で葺かれた簡素なホームに上がるが、辺りを見回しても何も無い。
ホームの先から見える鉄橋からは、断崖がそびえる深山幽谷の絶景が望める。
ここは、まったく不思議な存在の駅。謎を解き明かすために訪れることは困難を伴うが、それだけに到達出来た時の満足感は格別のものがある。