01/07/26 作成  07/08/21 加筆修正

筒石駅



北陸本線 “筒石駅” トンネルから地上へ上がって来ると、深い山の中に出で来てしまう

       

頚城トンネルの中にある駅のホームは上下線が斜向かいに設置されている   階段は下り線ホームからは、290段を上がってようやく地上へ出る

       

駅の待合室には、この時期“涼”を誘う風鈴があって、列車が来る度にトンネル内から吹き上がる風で鳴り響く    周囲に人家3軒、駅への道は左折する

   訪問日記   2001年7月20日 訪問

  この駅のホームは、上下線とも北陸本線の11353mにも及ぶ長大な頚城トンネル内に存在している。 ここと似たような存在として、上越線の“土合駅”も同じくトンネル内に
 ホームがあるが、そちらは下り線のみでこの筒石駅は上下線の両方にホームがある。 以前は地上に駅があったのだが、複線電化完成となった昭和44年10月1日に現在の
 場所へ移転してこのような形となった。 利用者そのものは1日に100人前後という少なさだが、トンネル内という特殊な環境でもあるため、乗客の安全確保を目的として、
 この駅は24時間体制で5名の駅員が配置されている有人駅でもある。 駅のホームからは上り線が280段、下り線に至っては290段の階段を登らねば、地上の駅舎には
 出ることが出来ない。 毎日のように通勤、通学をしている人は大変だと思うが、この駅に勤務している駅員は、列車が到着する度に、この階段を昇降しているのである。
 
 地上に出ると、小さな駅舎が出迎える。 そこには小さな待合室があり、この暑い時期に涼を呼ぶ風鈴が掛っていた。  当初は駅の軒先ではなく、何故この狭い待合室の中に
 あるのだろう? と不思議に思った。 暫くすると、その答えが判明したのである。 そう、トンネル内を列車が通過する際に押し出された空気が階段を伝わり、一気に涼しい風が
 吹き上がって来たので飾ってあった風鈴が一斉に鳴り響いた。 一時ではあるが、実に風流な情景が醸し出されて、暫しウットリとしてしまった。 
 そして、駅の周囲を少々歩き周って見たところ、人家は3軒程しか存在しない。 近くに50軒ほどの集落があるというが、やはり世間から隔絶された感が強い場所である。
 駅舎の脇は崖っぷちになっていて、その向こう側には、地層が剥き出しになっている場所が見える。 そこにはオレンジ色をした“岩ゆり”が可憐な姿を留めつつ、ところどころ
 咲き誇っていて、これこそ“高嶺の花”といったところであろうか。

 私は今回この駅へ訪れたのには、秘境駅訪問とは別の目的があった。 それは、この夏に実行しようとしている永年の夢であった18きっぷ使っての日本一周秘境駅訪問旅の
 事前準備として、“赤い青春18きっぷ”(常備券)を購入することであった。 この駅にその常備券があるという情報は事前にキャッチしていたので、予定通りに2枚の“赤い18
 きっぷ”を入手することが出来た。
 トンネル内のホームから降りたときから、色々とお世話になった駅員の清水さんから大層喜んでもらい、約40分間の列車待ちに、コーヒーと茶菓子をご馳走になった。
 駅でこのような“おもてなし”を受けるなんて、鉄道ファン冥利に尽きるというもので、有り難く頂いた。 初老の駅員である清水さんから、駅について丁寧な説明をしてもらって
 いると、あっという間に列車待ち時間は過ぎ去った。 そして彼と共に再び地下にある駅ホームに降り立つ。 そして、強風と共に直江津へと戻る列車がやって来た。 
 発車の合図を送ると、彼は優しく手を振って私を見送ってくれる。 今度また降りて立ち寄ってみようと、久しぶりにそんな気持ちにさせた素晴らしい駅であった…