99/10/16 作成 07/08/20 加筆修正
田本駅

絶壁の駅と呼ばれる飯田線の“田本駅”

絶壁にホームが張り付いている ところで上にある岩は大丈夫なのか? 田本駅への歩道入り口 ここから10分ほど急坂を降りる
訪問日記 1999年9月29日 訪問
今回の“秘境駅訪問への旅”は、本来であれば列車で訪れるべき所を、私のもう一つの趣味であるオフロードバイクでの林道ツーリングを兼ね、残暑厳しい秋の休日を利用して
やってきた。 この駅は噂には聞いていたが、集落から駅までの道が暗く細い獣道のような道しかなく、その高低差も200mもあるというから、その地形たるや相当な崖地であろうと
想像していた。 そして実際にここを訪れてみると、想像をはるかに超えている険しい地形であった。 これはもう、崖の途中に無理やりホームを取り付けたようなとてもスリリングな
駅であった。
この駅までは長野県南部の山中を曲がりくねって縫うように走る県道をやっとの思いで泰阜村の中心部である、飯田線の“温田駅”へと到着した。 ここも以前は有人駅だったが、
約1年前に無人化されてしまい、言無しか街全体が沈んでいる様に感じた。 ここでガスと食料を補給して、今やって来た道を2Km程引き返して“田本駅”への入り口を探す。
しかし、駅への看板らしき物は一切無く、仕方が無いので栗拾いをしていたオバチャンに駅への道順を聞く。 オバチャン曰く、「あと少し行くと“奈川さん”って食堂があるから、
そこから左に曲がって降りていく道があっから…」との事だった。 そこで時間はどれくらいかかるか? との問いに更にオバチャンは「7〜8分て所だと言ってるね」?? …んん???
そしてこう付け加えた。 「私は行ったことが無いきに…」 あぁぁぁーこの駅は地元から見捨てられているのかぁ〜 暫し呆然としてしまった。
こうしてオバチャンに礼を言って、教えられた通りに左方向へ延びる細い歩道へと入っていった。 途中に栗が落ちているので土産にすることにして、のんびりと道草をしながら狭い
歩道を降りて行く。 やがて、林の中に突入して行き、まるでハイキングコースの様子を呈していた。 ハッキリいうと「獣道」とは大げさな表現だ。 歩道の中央部はアスファルトで
舗装してあり、雨の日でも泥濘から防いでくれる。 確かに街灯の類は一切無いので、夜中はそれこそ迫力のある恐ろしい体験が出来そうだ。 そして10分程歩いたところで、
目的としていた“田本駅”がトンネル上のポータルから見えてきた。 うをおおぉ〜っ! 確かに凄い場所だ! 噂に聞いた通りの凄まじい駅だ。 白いホーム上の待合室へ入るが、
そこは雨宿り程度の簡素な造りで狭かった。 駅ノートもしっかり完備しており、書きこみの儀式を済ませる。 結構、物好きが多いなー なんて自分なんか物好きの代表みたいな
奴が感じたのだから、思わず笑ってしまう。
お菓子を食べたりコーヒーを沸かしたりして暫しノンビリとくつろぐ。 時折正面の天竜川に魚が跳ねるのか「バシャッ!」と音がする。 う〜ん なんて長閑なんだ。 幸せな時間は
やがてトンネル入り口付近の線路上に落ちていたある物体を目にした時から壮絶な一時へと変貌した! あ゛あ゛あ゛〜っ 哀れ狸が、電車に轢かれて首と胴体が分離している…。
ううう… 可哀相に(合掌)。
しばらくすると、遠くから子供達の声が響いて来て、やがて中学生の10人位の集団が到来した。 落ち着きが一気に無くなり、電車の客でではない私はここに居る資格など無いので、
そそくさと荷物をまとめて退散する。 そしてトンネル同士に挟まれた絶壁駅に電車がやって来ると、中学生達はそれに吸い込まれて行った。 電車が発車するとほぼ同時に元の
バイクを停めてある場所へ、登坂を開始する。 ……暑い。 (汗) (大汗) (滝汗) と続き、20分くらいかけてやっと到着。 ヘルメットは被りたくはなかったが仕方ない。
バイクを発進させるとやがて涼風で気持ち良くなってきた。