01/11/30 作成 07/08/20 加筆修正
武田尾駅
福知山線 “武田尾駅” 周囲は山深く、ホームの半分がトンネルの中にある不思議な駅だった
駅周囲に人家はないが、徒歩で5分ほどの渓谷沿いにひっそりと温泉がある 駅はトンネルに挟まれた狭い空間に存在している
トンネル内には待合室があるが、何だか薄暗くて居心地が悪い 複線電化された過密ダイヤ路線を、都会仕様の201系電車が行き交っている
訪問日記 2001年11月15日 訪問
この“武田尾駅”は、大阪方面から山陰方面へと向かうメインルートの福知山線にある。 その起点となる尼崎駅より、この駅を通って途中の篠山口駅までは複線電化されており、
電車の本数が非常に多い。 また、ここで使われている車両は、快速には最近まで新快速として使われていた221系近郊型、そして各駅停車は201系通勤型電車で、大阪近郊の
ベッドタウンを控えたこの路線を毎日多くの乗客を乗せて頻繁に行き交っている。 そんな地域事情からは到底想像し難いかも知れないが、ここはこの路線にある他の駅とはかなり
様子が異なっている。 駅は双方をトンネルに挟まれた渓谷上にあって、橋の上に造られたホームは長さが足りないため、半分くらいはトンネルの中に存在しているという変わった
構造をしている。 当然、このような場所にある小駅なので特急や快速電車は通過してしまうが、それでも15分に1本はやって来る各駅停車のお陰で、この駅へ到達するのは非常に
容易いと言えるだろう。
大阪という西日本を代表する大都会の駅を出た電車は、幾つかの駅をやり過ごしているうちに、歌劇で有名な宝塚へと着く。 引き続き乗車していると、しばらく続いていた住宅地が
突然ぷっつりと切れてしまった。 そして、西宮名塩駅を発車すると長いトンネルに入り、そこをようやく抜けると、突然深い渓谷へと出た。 そう、まさしくここが“武田尾駅”だった。
電車を降りると、いきなり広がる絶景を目の当たりにして、思わず「やっほぉぉぉ〜っ」などとは決して叫ばないが、自然と背伸びをしている自分がいた。 先程まで鉄とコンクリートの
人口物に囲まれていた我が身は、突然大自然の真っ只中へと放り出されてしまった状況に、体感的にもかなり戸惑っているように感じる。
関西圏のこうした駅は、この駅以外にも山陰本線の保津峡駅、そして神戸電鉄の菊水山駅など大都会から至近な距離に位置しているため、その気になればいつでも気軽に豊かな
大自然が体験できるのである。
さて、列車を降りて周囲を探検してみよう。 ホームからは薄暗い階段で降りて行き、紅葉が始まりかけた渓谷沿いに歩みを進めてみる。 一般家庭とおぼしき人家は一切存在せず、
遠くに数軒ほどの温泉旅館が見えるだけだ。 この駅を日常的に利用する者は非常に限られていると見え、その大半は休日を利用してのハイキング客か、この"武田尾温泉”の
宿泊客が主な利用客ではないかと思われる。 仮に私がこの近辺の住んでいて、大阪中心部の会社へ勤めていたとしたら、恐らく“仮病連絡付き現実逃避王”に輝いてしまうかも
知れない(冗談) そんなのんびりとした時の流れの中で、この駅は豊かな自然と温泉という甘い誘惑を撒き散らしながら、ラッシュに身を揉まれながら忙しい日常を送る人々を今日も
見送っているのである。