2016/04/03 作成

台湾の秘境駅訪問 その4



人気の高いローカル線で知られる平渓(ピンシー)線 起点の三貂嶺(サンディアォリン)站にて


      旅程3日目 2016年3月20日 瑞穂(ルイスイ)站から北投(ペイトゥ)温泉へ

     東部幹線の瑞穂(ルイスイ)郊外の温泉に宿を取っていた。夕刻以後は雨が降ってしまい、あいにく写真を取っている余裕は無い。駅前の食堂で夕食を摂って、タクシーで
    “原郷温泉”という宿に向かい、部屋風呂に引かれた温泉を楽んだ。泉質は塩分の強い鉄泉で、日本では有馬温泉の金泉と瓜二つだとか。塩分が濃いせいか湯上りがベト
    付くのが気になるが、温浴効果は抜群で、身体の火照りがなかなか収まらないほど強力な湯であった。

             

     米どころの池上(チーシャン)付近を快走!    原郷温泉は豪華な宿だが、リーズナブルな値段だった   工事中の瑞穂(ルイスイ)    電化区間だがDCの自強號だ

    翌朝、当初の予定だった8:59発の普悠瑪(プユマ)號411次だが、残念ながら指定が取れなかったため、一本早い7:47発の自強號407次で北上することになった。宿の朝食
    時間が8時からと遅いためもあり、残念ながら見送ることに。宿の送迎車で駅まで送って頂き、コンビニでサンドイッチを調達する。しかし、硬いパンとやたら甘いバターにテン
    ションが下がってしまった。昨夜の食堂でも、奇妙に甘いお茶を出されて辟易しただけに、どうやら南東部は味覚が合わないようだ(笑)

            ←区間車のEMU600形電車

    スーパー特急の普悠瑪(プユマ)號 ↑ と 太魯閣(タロコ)號 ↑ は、JR九州の885系をベースにした振り子式の電車特急だ。この2列車は1か月前に予約が埋まるほど人
    気が高く、おまけに無座票がない=立席が認められない。日本人を含む外国人がジョイントパスで旅行しようとすると、直前の予約になるため、ほぼ絶望的な列車といえよう。
    それでも今回乗った自強號が、瑞穂を1時間14分前に発車しても、161km先の宜蘭(イーラン)での差が、わずか18分に縮まるほど俊足なのだ。その自強號もやたらに混雑し
    ていたが、指定を取っていたので比較的楽に移動出来た。その宜蘭站で区間車のEMU600形電車に乗り換え、ノンビリと秘境駅の三貂嶺(サンディアォリン)站にやって来た。

             

    台北方面のホームは崖が迫っていて狭い    駅名標の距離は修正されていた    駅と周辺のボロさは恐怖を感じるレベルだ   駅までの道は狭い歩道で車道は通じていない        


     この三貂嶺(サンディアォリン)站は首都の台北から40.6kmの地点にあり、平渓(ピンシー)線との分岐駅である。鐡猫さんランキングでは2位だが、私的にはここが台湾におけ
    るナンバーワンの秘境駅であると思う。渓谷のなかにある駅で、人家は離れる(秘境度12)。駅員こそ常駐するが、駅舎の古さや周囲の廃墟っぷりは凄まじい(雰囲気14)。停車
    する列車は、区間車のみだが、宜蘭線の上り下りのほか、平渓線を合わせると1時間に3本以上ある(列車到達難易度1)。駅までは渓谷沿いの歩道しかなく、車道は対岸でこち
    ら側には無い(外部到達難易度15)。駅の施設も路線が分岐するため、情緒はたっぷりで、古い保線小屋もある(鉄道遺産指数13)。総合評価の合計は55ポイントとなり、日本
    の秘境駅ランキングでは、23〜24位に該当するハイレベルぶりだ。もっともロケーション的には、三江線の長谷駅あたりが該当しそうだが、立地的にはもう少し険しく、南海高野
    線の紀伊神谷駅もしくは紀伊細川駅のレベルに達すると考えられる。

             

     駅前の春風食堂は廃墟につき閉店中     ボロボロの室内に入ったら、何とまあ趣味の悪い赤い便器が迎えてくれた(正直怖い…)    保線小屋上の急な歩道はいずこへ?


    駅前は一流の廃墟物件がてんこ盛り状態である。周囲は自然こそふんだんにあるが、湿度も高く、決して居心地の良いところでは無い。この放置状態は綺麗に整備した方が良く
    なるなんて生易しいものでは無く、むしろこの廃墟と自然が一体となって、玄人をも唸らせそうな恐怖の世界を構築していた。
    

             

    数百メートル歩くと対岸に民家と車道を発見!   駅舎の中は有人駅らしく出札口もある    駅の案内に「秘境車站」という文字を発見!!!    味わい深い通行禁止の看板
    

    この三貂嶺站は、台北から1時間ほどで到達できるので、台湾旅行のついでに訪問できるお勧めスポットではある。だが、この不気味さゆえに、決して夜間には訪れない方が良い
    だろう。ここから分岐している、平渓(ピンシー)線に乗車する。終点の菁桐(チントン)まで18km弱しかないが、とにかく路盤が悪いため低速でしか走れない。今回は全線乗り潰しで
    はないので、3駅先にある鐡猫さんランキング5位の望古(ワングー)站で下車することにした。
  

             

    天燈はここいらで買って、飛ばされている様子   いやはや頭が痛くなりそうな人混みだ(笑)   次回のターゲットは大華(ダーファー)站だ!   鄙び具合が良い感じ!


    ローカル線の平渓線は非常に人気があり、休日のせいか車内は大混雑だった。中には日本語も聞こえて来るほど、日本人旅行者にとってもメジャーな存在らしい。三貂嶺の隣に
    鐡猫さんランキングでも6位の大華(ダーファー)站が非常に気になるが、今回のプランでは惜しくも見送った。次回のターゲットとして温存しておこう。大華の次は十分瀑布(シーフェ
    ンの滝)で有名な十分站では多くの人が降りていく。お土産屋が線路ギリギリまでせり出していて、たくさんの観光客でごった返していた。
    

             

     平渓線の望古(ワングー)站は招呼(ピンイン)站といわれる無人駅だ   駅前通りは廃墟に見えるが、人が住んでいる様子    その昔、石炭の積み出しで使った遺構がある      


    ようやく車内に余裕が出来たが、すぐに隣の望古站で下車。先ほどの喧騒とは無縁の静かな世界が広がっていた。まるで日本のローカル線に見られるような、庇だけの簡素な待合
    所に親近感を覚える。しばらく、秘境駅であっても立派なものばかり訪問して来たせいか、やはりシンプル・イズ・ベストが基本だと意を強くした。例によってここを秘境駅ランキング
    に当てはめると、人家は3軒ほどだが人通りもそこそこ有る(秘境度2)。駅舎はないが周りは廃墟が目立つ(雰囲気3)。列車本数は1時間に1本以上ある(列車到達難易度4)。駅前
    の車道は整備され、車通りもそこそこ有る(外部到達難易度1)。その昔、近くに炭鉱があり、貨車への積み込みで使用した荷降ろし場(ホッパー)が残る(鉄道遺産指数11)。総合評
    価の合計は21ポイントになり、秘境駅ランキングの112〜116位に該当するため、なかなか健闘している。ロケーション的には只見線の郷戸あたりだろうか、歴史的には筑肥線の西
    相知あたりが該当しそうだ。