2016/04/2 作成

台湾の秘境駅訪問 その3



枋山站を通過するDC特急の自強(ズーチャン)號 南国らしい色遣いだ。

    旅程2日目 2016年3月19日 新左營(シンズゥオーイン)站から瑞穂(ルイスイ)站の温泉宿へ

    枋山(ファンシャン)站から普快車3671次に乗車。車内は非冷房のため扇風機が装着されているが、窓をが空いているせいか、さほど暑くはなかった。そして、旧客ときたら最後尾にある
   鉄道マニア垂涎の特等デッキに向かう。ご覧の通り、安全対策なんか鉄棒と鎖だけしかない。30年ほど前の日本でもこんな列車がゴロゴロ走っていたのだが、もはや定期列車では絶滅し
   ている。しかし、お隣の台湾では現役で走っているのだ。ただし、この南廻線の1往復だけで、他は全て引退してしまい、ここも風前の灯だという。もしかしたら、来年は走っていない可能性も
   あるので、乗りたい方は急ぐべし!

            

    R100形DLに牽引された旧客の普快車    車内はレトロな雰囲気だがシートはゆったりしている    藍色の車体に白帯は、まさにブルートレイン      ここから見る、流れ去るレールは最高だ
  

    枋山站を発車すると、険しい中央山脈越えに挑む。しかし、ループやスイッチバックといった古典的な勾配緩和策を採るのではなく、8070mにおよぶ中央トンネルをはじめ、数々の長大トン
   ネルをくぐり抜ける。南廻線の全長97.15kmのうち、トンネル区間が38.9kmを占める近代路線だ。旧式のDLが急勾配にあえぐ姿を期待していたが、亜熱帯森林のなかを軽快に走っている。
   幾つかのトンネルを越えると、ポイントが現れゆっくりと停車した。ここが秘境信号場の枋野(ファンイェー)號誌站だ。基本的には乗降出来ないが、台東駅の自動券売機に“枋野”のボタン
  がある。真に不思議な存在だが、昔の日本でも北海道の信号場(常紋、上越、神路など)
では非公式ながら乗降を取扱った記録がある。今ここには、古き良き時代が流れているようだ。

            

    分岐器と信号機の取扱い小屋がある    中央は一線スルーで、両側に交換線を備える  線路に入った犬へ石を投げて追っ払う鉄道職員(笑)   対向する自強號と交換する


    信号場には鉄道職員が常駐しているが、そこで飼われているのか辺りに沢山の犬が遊んでいた。とある一匹が線路に入ってしまったが、職員は躊躇なくバラストの石を投げて追い払う。
   キャンキャンと漫画みたいな声で退散して行く、情けない犬の姿が微笑ましかった。そのうち対向する自強號がやってきて列車交換するが、あっけなく通過して行くかと思いきや、一線スルー
   の中線に停車した。恐らくタブレットを交換するためだろう。

            

    中央(チァタゥ)號誌站         中央トンネル(8070mの複線)に入る        漆黒の闇のなか、旧客のデッキに佇む           中央トンネルの内部


   中央(チァタゥ)號誌站を通過する。ここは職員は常駐せず、先ほどの枋野號誌站から遠隔操作されている。台湾ナンバーワンの秘境信号場で到達はほぼ不可能。地図で確認すると

   延々と林道らしきものが続いているが、どうやら自然保護区のため一般人は立ち入りが禁止されているらしい。日本人で許可を得て入った方もいるらしいが、中国語がまったく出来ない
   ゆえに諦めざるを得ない。非常に気になるスポットである。

            

     菩安(プーアン)號誌站(廃止)を通過するが閉塞は生きている様子    中央トンネルが単線で計画されたが、途中で複線になったため廃止された信号場だ    古荘(クゥージュアン)站に到着


    この菩安(プーアン)號誌站は、中央トンネルが当初は単線の予定で、線路容量を上げるために建設された。しかし、途中で複線に計画変更され不必要となった。付近に人家も無く、
   駅としての利用客も見込めないので廃止された経緯がある。中央とこの菩安が、もし站になっていたら間違いなく台湾で1、2を争うハイレベルな秘境駅になっていたかと思うと非常に
  残念である。


            

     古荘(クゥージュアン)站は立派な駅舎        駅名標もなかなか良い感じ          広いホームは誰もいなかった     1日2往復の(普快車と区間車)しか停車しない


   今回、残念ながらこの古荘での乗降は叶わなかったが、ここも内獅や枋山と同じく1日2往復の(普快車と区間車)しか停車しない秘境駅だ。鐡猫さんランキングでは4位になるので
  期待も高まる。次回は必ず訪れようと心に刻みながら、車内からゆっくりと見送った。ちなみに、隣の大武(ダーウー)站は、特急自強(ズーチャン)號や急行莒光(ジューグアン)
  號が停車するため、3.5kmほどを歩くか、タクシー(たぶん120元程度)
で訪問することも可能だ。少ない停車本数を克服するためには止むを得まい。

            

    大武站で普快3671次から自強號307次へ   車内は快適!中央のアーチ内は排気管が通っているらしい  台東駅は移設されたため比較的新しい  区間車のEMU600電車は韓国製


    大武で今回初めてDC特急自強號に乗車。車内は通常の2+2列のリクライニングシートでエンジンの騒音を除けば概ね快適。途中の金崙(ジンルン)、知本(ジーベン)といった温泉地に
   寄りたい気持ちを殺して、台東駅で下車。待合室で売られていた駅弁(パイコー飯)を食べるが、これがめちゃくちゃ旨い。脂っぽい肉かと思いきや、独特のスパイス(八角?)のせいか
   スッキリしている。何より飯がモチモチしていて、まるでコシヒカリのようだ。食欲に負けて写真を失念したが、掛け紙に“池上便當”とあり、80元(日本円で320円)程度なので、リピーターに
   なりそうだ。

            

    台湾でも有名な秘境駅の山里(シャンリー)站     典型的な田舎駅だが設備は立派だ     改札口はなかなか味わい深いものがある      小さなゴスペルチャーチ(教会)がある


    台東から区間車に乗って隣の山里(シャンリー)站で下車。台湾でも有名な秘境駅で、途中下車を楽しむ人達をちらほら見かける。対向式の2面ホームだが跨線橋はなく、構内踏切も
  整備中の様子。駅員によって鉄の蓋をしたホームの切り欠き部が開けられ、内部の階段を通行するかたちだ。そのため、基本的に列車の乗降時以外は、ホームへ立ち入ることが禁
  止されてはいるが、駅舎側の
ホームには散策する人もいる。規則が緩いのだろう。駅を出ると、のどかな農村で秘境といった風情ではない。主要道から離れているため、雰囲気こそ良い
   が、地元の方と観光客の姿がほぼ半分といった割合で、常に人の姿が見られる。列車の停車本数こそ1日あたり7往復と少ないが、日本の秘境駅レベルで判断するには、及第点に届
   かないため、ランク外と判断せざる得ない。鐡猫さんランキングでは堂々の3位になるが、感覚の違いは明らかであると言わざる得ない。

    今回の旅のプランで、この山里站のすぐ脇に鉄道職員用の官舎跡を利用した宿があることを知り、泊りたいと思っていたが、連絡手段が全く判らないため諦めた。そして現地に来て、
  初めて廃業していることを知った。残念!その後、再び区間車に乗って台東へ戻り、自強號435次で瑞穂(ルイスイ)で下車。駅前のレストランで夕食のあと、タクシーで郊外の温泉
  旅館(原郷温泉)へ向かった。