2009/02/03 作成
於札内駅

どんよりと曇った朝。 雪に覆われた線路を見ながら列車を待った。

国鉄タイプの駅名標。おびただしい数のリベット留めで生き残ったか? スチール製の物置のような待合室。 一見すると寒々しいが、善意の座布団が嬉しい。
訪問日記 2009年1月19日 訪問
この駅は札沼線の末端区間の浦臼〜新十津川間にある。ここへやってくる列車は一日あたり3往復に過ぎず、列車での到達はとても困難だ。周囲は冬季のため、白いベール
に包まれているが、無雪期には田畑が広がる長閑なところである。そして、この辺りは人家が密集する集落はなく、7〜8軒の農家が散在しているだけ。そのため、駅の利用者は
限定的と思われ、隣の「南下徳富駅」と並び存続が危惧される。また、駅に至る道路の踏切には、冬期間通行止めの標識が立っている。この時期、当然ながら除雪されないため、
自動車での訪問は叶わない。
駅の構造は単純な一面一線。コンクリート製のホームの上にスチール物置のような待合室を従えている。そのため、“木の温もり”と言った風情は感じられないが、何も遮るもの
が無い、広大な平野を吹き抜けて行く風雪から、乗客を守る大切な“部屋”になっている。待合室の入り口には、錆び付いた国鉄タイプの駅名標が貼られていた。こうしたものは
JRになってから、古いものを刷新する流れで、車両のカラーとともに新しいタイプへ変更されていることが多い。しかし、この駅名標はおびただしい数のリベットを使い、待合室の
外壁へ直接打ち付けられている。そのため、剥がすことを諦めたのであろうか。こうして貴重なアイテムが現代に残されていることに、小さな喜びを感じてしまうのであった。
室内に入ると薄い木製ベンチに、地元の方の善意による座布団が敷かれていた。壁だけでは無く、床板も鉄板であるため、底冷えしそうな殺風景な雰囲気をだいぶ和らげている。
特にこの寒い季節には嬉しいものだ。更に駅ノートも置かれ、旅人たちの想いが綴られている。私も一筆書かせて頂き、暫し旅情に浸ることにした。
今回、隣の「南下徳富駅」から歩いてやって来た。線路を迂回したため2km余りになったが、距離的には大したことは無い。しかし、新雪の上でキャスター付きのバッグを引きずる
ことは、単なる雪集めな行為に成り果てる。そのため、ショルダーベルトを引っ張り出して担ぎ上げることにした。更に2台の一眼レフカメラにノートPCの入った重いカメラバッグを
首から提げるという、出で立ちになった。恐らく総重量は30kgを超えたであろう。これは正しく重労働である。既に周囲の景色を楽しむ余裕は無い。そして約40分後、ゼーゼーと
息を上げながら、この待合室のベンチへ転がり込んだ。朝飯前の運動にしては激し過ぎる。今朝方までタクシーを使っていたくせに、一体何をやっているのか?我ながら不可解
な行動に、思わず笑いが込み上げて来たのだった…