00/11/17 作成  07/07/20 加筆修正

尾盛駅

大井川鉄道・井川線 “尾盛駅” 人家は勿論、車道や歩道も存在しないという駅に果たして乗降客は居るのであろうか…

      

使われていない駅のホームに狸の置物が出迎える     戸締りされた物置の軒下で、暫し雨宿りをする      深い山中で、人間の営みを一切感じない… 

  訪問日記  2000年11月16日 訪問 (Tommyさんの情報を元に訪問して来ました)

  今回は大井川鉄道・井川線の秘境駅訪問として、この地へ車を使いやってきた。 本来、駅訪問とは列車を使って行うのが正道であることは重々分かっている。 しかし、
 天候の悪化や交通の便や時間的制約のほか、比較的近いものの以外とかかる費用等でやむなく列車での訪問は叶わなかった。 お昼前に八王子を出発し、厚木I.Cから
 清水I.Cまで東名高速を使って早々と静岡入りを果す。 コンビニでざっと食料調達をして、いよいよ奥川根路を目指すことにする。 クネクネと山岳路特有の狭い国道と県道を
 経て、だいぶハンドルを回す腕が疲れた頃にやっと、大井川鉄道のある笹間渡へと抜けた。 早速、笹間渡駅へと向かうと、なかなか渋い駅舎があるではないか! そして
 偶然にもC56が牽引する“SL急行”がやって来た。 オハ35などの旧客を従え威風堂々とした編成に独特の汽車の香り! 木造の内装が光る本物の渋さ! 乗りたい… 
 そんな衝動を堪えるのに必死だった。 今度は必ず乗車しようと心に決めた。 そして、他に数駅を訪問した後ですっかり暗くなってしまい、井川線の接阻峡温泉駅前の露天
 風呂に入った。 疲労も吹き飛ぶ気持ち良さで、それ以降の行動はビールを優先させたため中断した。 降りしきる雨の中、荷室にマットを敷いて寝床を造り、資料館の駐車場
 で車の中で泊った。

 やがて朝となり軽い朝食を取り、始発列車の出る前に尾盛駅の一つ先にある“閑蔵駅”への訪問を果たす。 そして再度接阻峡温泉へと戻って駅前に車を駐車した。 そして、
 前置きともども非常に長くなってしまったが、いよいよ井川線に乗車して、あの“尾盛駅”への訪問となった訳である。 しかし、この駅への到達は困難を極める。 それは車道は
 おろか、そこまで連絡する歩道さえも一切無いという凄まじさで、北海道は室蘭本線にある“小幌駅”とほぼ同等の条件ともいえる場所であるためだ。 ただ、列車本数は多客期
 であればソコソコ出ている為、その気になれば以外に訪問するのは簡単な方である。 勿論周囲に人家は一切無く、その昔は林業が盛んだった頃は集落もあったとのことだが、
 その面影はもはや無い。 当然、利用者は皆無に等しく、山仕事をする人、付近の山々を知り尽くしたマニアックなハイカー?、そして極稀に私みたいな物好きな駅訪問家が
 訪れるだけだと思われる。

 さて、このような場所だから、4×4でもオフロードバイクは勿論、へっぽこ登山家級の私の足でも刃が立たない。 生憎の雨だし、遭難騒ぎでも起こしたら洒落にならないので、
 潔く? 例のDLが押すタイプのミニ列車に乗って、ガタガタとノンビリやって来た。 朝一番のDLを除く3両の客車には、3人ほどの乗客しか居らず、閑散としていた。 若い車掌
 に尾盛駅までの切符を求めた。 氏に聞けば、この駅を利用する人は殆ど居ないそうだ。 道も一切無いので、井川から折り返してくる列車を小一時間待つこととして、礼を言って
 降りた。 手動のドアを開けると、そこにはホームと呼べるものは無いが、地上との高度差は大して無いので不要だ。 ただ、トップの写真に有るような“砂場”を思わせるような
 土盛りがあり、そこが正式なホームとなっているようだ。

 興奮冷めやらぬ気持ちを抑えつつ、早速周囲を探索する。 そして一言で感想を言うと…  “ここに人間の居場所は無い…” 近くに廃墟化した不気味な保線小屋らしきものが
 あって、中は古い家財道具が散乱していた。 現在ではホーム上のプレハブ製の小屋が保線機具置き場となっているようだ。 一通り写真を撮ると、雨が激しく降ってきたので
 探索を中断。  例のプレハブ小屋の左側に開いている軒先で雨宿りとなってしまった。 これからの訪問する駅などを検討しながら小一時間の列車待ちの最中、野犬の遠吠えが
 聞こえてきた。 しかし、何だかだんだんと近づいて来る気がする! 殺気が走る! 小屋には鍵が掛かっていて入れず、身を守る唯一の手段は… “攻撃”しか無い! 
 適当な棒切れを用意して、しばらく身構えていたが、とうとう奴らがやってくることは無く、杞憂に終わった。 

 そうこうしているうちに、定時キッカリに井川から折り返して来た列車を見て正直ホットした。 こんな小さな列車でもこの時ばかりは逞しさを感じたほどだ。 それでも、このズクゾク
 するスリルいっぱいの駅へまた訪れたいと考えている。