03/1/8 作成  07/07/13 加筆修正

串駅

山と海と青空に挟まれた海辺の小駅   ここで佇む一時は、雑多の日常を忘れさせてくれるだろう

    

“串”という不思議な名前を持つこの駅に、時刻表を眺めながら貴方はどんな駅を想像していただろうか?  ホームから少し高台に上ると瀬戸内海の絶景が!


  訪問日記  2001年11月15日 訪問

  この駅は、四国は愛媛県の予讃線にある。 “串”という不思議な名前を持つ駅に、少年時代の頃に時刻表を眺めているのが無性に好きだった(現在もだが…)
 その頃の私は、見果てぬ夢を馳せながら一体ここはどんな駅なんだろう… と密かに想像していた。 その当時は勿論国鉄時代であり、ここは四国の大動脈と言われる
 予讃本線として、特急「しおかぜ」、急行「うわじま」をはじめとする数々の優等列車が長大編成を連ねて日夜行き交っていた。 しかしこの海岸線を忠実にトレースして
 いた線形は当然如く勾配やカーブが多く、高速化の障害となっていた。 しかし昭和61年3月3日を持って、今まで伊予大洲から細々と延びていた盲腸線であった
 内子線が、向原まで一部新線切り替えと同時に延伸された。 今まで使われていた路線は、名前こそ予讃線と名乗ってはいるが、実際には普通列車が細々と走る
 ローカル線へと成り下がってしまったのである。
 
 しかし、そんな高速化されて長いトンネルだけで突き抜けてしまう路線には、当然車窓を眺めながらノンビリ行く楽しみなどは存在しない。 何が良くてそんなに先を急ぐ
 のか。 忙しく生きて忙しく死んで行くような、虚しい人生の縮図みたいなものを垣間見てしまうようで、そのような生き方… もとい旅はしたくないと思っている今日この頃
 である。 さて、話が少々脱線してしまったが、この駅の素晴らしさはそんな忙しい人生を送る貴方には是非とも訪れて欲しい駅である。 この小さな待合所のベンチに
 座りながらノンビリと読書したり、ちょっとした高台(実はお墓へ行く道だが…)へ上って瀬戸内海を眺めたりしながら、命の洗濯をした方が今後のことを含めて自分の
 タメになるのではないかと思う。 年がら年中こんなことをしている自分は、いささか世間ズレしてしてしまうという副作用に最近、悩まされているのであるが…(笑)

 さあ、真面目に駅のレポートをしよう。 周囲に人家は4軒ほどが確認できるが、そのうちの1軒は国道沿いにある小さな商店である。 列車本数は以外に多く、上下線で
 1時間に1本はあるので比較的列車での訪問は容易い方だ。 すぐ近くを走る国道378号線は交通量も比較的少なく、人通りもほとんど無いので実に閑静な雰囲気を
 保っている。
 
 さて、私事の話で恐縮なのであるが、私は生まれてから今までの人生を東京都の八王子市で34年間暮らしてきた。 しかし、サラリーマンの修行と言われる“転勤”を
 言い渡され、この2001年10月25日を持って広島県は東広島市へと引っ越して来たのであった。 そんな当初は慣れない土地での新生活に、右往左往しながら脇目も
 触れず邁進していたのであったが、ちょっと慣れるともう遠出がしたくなってしまった。 今回は日帰りであったが、バイクで四国へと渡る旅に出発した。
 当初、「しまなみ海道」で今治入りする予定であったが、通行料がバイクで4200円もすることが判明した為、急遽フェリーで渡ることにした。 竹原港から波方港まで
 1時間10分でバイク込みで1900円と半値以下である。 瀬戸内に浮かぶ数々の島を眺めながらゆったりと上陸した。 海辺の国道を南下すると、坊ちゃんで有名な
 松山市を通って伊予市へと抜けた。 ここからは国道378号線で小さな峠を越えて、まず“高野川駅”を探索した。 駅までの道が道標も無い上に、細くて解りづらかったが
 何とか到着。 そこは“みかんの木”が茂った民家の下にひょっこりと現れた不思議な駅でだった。 ただ秘境駅としては、そのレベルに達していなかったため敢えて
 紹介していないが、なかなか素晴らしい駅である。 機会があったら訪問してみては如何であろうか。

 そして、青春18きっぷのポスターでおなじみの“下灘駅”にも寄って見る。 未だ古い駅舎が残り、ホームにある背の高い屋根の雨除けが印象的であった。 
 ちょうど小学生らしき子供達の集団が下校のために列車待ちをしており、このホームは格好の遊び場となっていた。 まあ、くれぐれも列車には注意してもらいたいもの
 である。 まあ、海に最も近い駅とその名が知られてはいるが、実は海との間に国道が走っていたり、他にもそんな触れ込みにより自慢している駅も全国にあるため、
 そんなに特出した存在ではないと思われた。 しかし、その下灘駅もかつては海岸沿い走る新国道ができる前までは、駅の下のコンクリートの壁が岸壁だったそうで、
 線路から海までの距離は文字通りゼロの状態であったそうだ。

 そんな寄り道をしながらようやくこの串駅へと到着した。 駅へは国道から細い道を入って行くとあっけなく発見できた。 バイクを降りてホームに上がるとそこから細い道が
 とある家の“お墓”へと続いている。 その途中に瀬戸内海を大きく展望できる場所があり、夕暮れに潮風に吹かれながら黄昏てみるのも一興であろう。 しかし、時間は
 既に16:00頃に迫っていたため、いい加減に本州へと戻らねばならない。 往きと同じルートを辿り松山市へと出て、帰りのフェリーは堀江港から呉港(安芸阿賀)へと
 渡ることにした。 こちらはバイク込みで2700円で1時間50分の船旅だ。 運良く出港5分前滑り込みギリギリセーフで間に合ったのはラッキーだった。 そんなフェリーを
 使って日帰り旅が出来るのも、今までは叶わぬ夢であったが、ここ広島へ来て現実のものとなった。 これはしばらく旅の虫が収まりそうにない・・・