01/12/17 作成  07/07/12 加筆修正

辛皮駅

北近畿タンゴ鉄道“辛皮駅” 人家も稀な山間にある駅に、爽やかな朝が訪れようとしている…

            

ホームには小さいながらも密閉性の高い待合室が備わっており、中々の居心地   駅前には広い駐車場もあるが、ここを通る車はほとんど見当たらない

            

周囲は真っ暗。 駅だけに薄っすらと明かりが灯る  さあ、もう寝ようか…      特筆すべきことに、この駅には水道が生きている 
  

  訪問日記  2001年11月16〜17日 駅寝訪問

  この駅は、北近畿タンゴ鉄道という第三セクターの鉄道にあり、現在では宮津線(西舞鶴〜豊岡)と宮福線(福知山〜宮津)の2路線が営業している。 宮津線は旧国鉄から
 JR西日本へと経営母体が代わったが、第3次特定地方交通線の烙印を押されて廃止対象になりかけた路線を、平成2年4月1日にこの会社が引き継いでいる。 一方、宮福線は
 計画そのものは古くからあったが、旧国鉄の財政悪化で工事が凍結されていたものを引き継いで、昭和63年7月16日に開業した。 そしてこの宮福線は平成8年3月にめでたく
 電化開業されて、現在では京都・新大阪から天橋立へ向けてJRの直通特急が数多く運行されている。 そしてこの辛皮駅は後者の宮福線に属しており、その歴史は以外に浅い。
 また、新設路線のためかトンネルが非常に多く、こうした深い山の中にポツンと残されたような駅は、全国のこうした路線には少なからず存在しているものである。
 周囲には人家が7〜8軒散在しているだけで、細くカーブした道路にもほとんど車が通らず、およそ人気の無いような場所にある。ホームは一面一線の単純なものだが、狭い
 ながらもぴったりと締め切りができる待合室があり、中々居心地が良いものだ。 
 
 さて、私は今回この北近畿地方へ秘境駅訪問として、先に紹介した武田尾、保津峡と並んでこの駅へやって来た。 計画の段階からこの駅の情報をあれこれ調査していたが、
 Webサイトでは全く情報が得られず、掲示板へも呼びかけてみた。 すると、ある読者の方からの情報が寄せられたが、あまり期待は出来ないという結果だったので、諦め半分の
 気持ちであったが、取りあえず訪問してみようと考えていた。 そして、保津峡駅の訪問を終えた私はまず京都へと出て一大決心をするのであった。 なんと特急「サンダーバード
 21号」で敦賀までワープして、電化開業目前の小浜線で北近畿周遊ゾーンの入り口である小浜まで進もうという計画である。 件の特急は非常に混雑していたが、運良く自由席の
 一席に座ることが出来た。 暫し琵琶湖を眺めつつ湖西線を爆走する681系の同特急は、「はくたか」で使われているものと同系列であり、なかなか快適な車両だ。

 かなり金額的に嵩んでしまったが、余った時間で夏に訪問した“南今庄駅”も再訪できたし、小浜線もこれで最後となったDCも、なんと絶滅寸前のキハ23に当たったことは、
 鉄道ファンの私にとっては大きな収穫であった。 こうして、すっかり暗くなった頃にようやく東舞鶴へ着き、すぐに隣の西舞鶴へ進む。 宮津線の乗り換え時間に余裕があったので、
 吉野家の牛丼でお腹を満たし、垢抜けない町並みをフラフラと真新しく立派な駅へと歩みを進めた。 そして宮津まで進み、宮福線へと乗り換えていよいよこの駅へ到着した。
 誰も居ない夜のホームに降り立った私を、車掌はきっと不審人物?と思ったであろう。(自認) そして、次の列車までの約1時間を使って辺りを徘徊した。 だが、辺りは真っ暗で
 一向に様子が判らない。 駅寝の設備は大丈夫そうなのを確認しつつ、結局やって来た福知山行きの列車に乗り込んで後にしてしまった。 これで終わりにしてしまっていいのか?
 いいや、気が変わった。 福知山駅に着いた私は、缶コーヒーを片手に折り返していく列車へと乗車していた。 懲りない奴め…(笑)

 自分にそう言い聞かせながら、またもやこの辛皮駅へ舞い戻って来たのであった。 当初の予定では山陰本線を延々と餘部まで進んで、2泊目も同じ駅で駅寝しようとしていたが、
 今夜の宿はここしか無い! そして列車が行ってしまい、一人ポツンと深い山の中の駅に取り残された。 久々に感じた新鮮な孤独感。 勿論、携帯電話(J-Phone)は圏外である。
 騒がしい日常からは想像出来ないほどの安堵感にも似た気持ちも入り混じって何だか妙な心境を感じつつ、この駅が明るくなって様子が判るようになる明朝へ期待しながら、就寝の
 準備を始めた。 外は寒い… 一人寝れば一杯のこの狭い待合室は、熱気も大したて逃げたりはせず、丁度良い大きさだ。 今日一日の疲れで、ウトウトと寝ていたら、23:30頃に
 本当の最終列車が停車し、何やら車掌がこっちへ向かって降りて来るのが判った。 不味い! 運転士と何か話している・・・ 「宿も無いのかぁ かわいそうにぃ〜 まあ、行こうっ」 
 って感じで半ば同情にも成っていない言葉を残して列車は去って行った (ふぅ〜) かなり不味い状況であった。 もしかしたら警察にでも通報されるのかと内心ビクビクしたいた。
  “まあ、何とでもなれ” 図太い神経は私の中で確実に育っているようであった(心配…)

 そして何事も無く、平和な朝はやって来た。 何故あるのか判らないが、この駅には水道がある。 そこで顔を洗い、改めて周囲を散歩してみた。 やはり期待通りの雰囲気に
 一人悦に入りながら写真を撮っていく。 そして、7:25の列車でこの山間にある駅を立ち去った。 また何年かしたら覗いてみようか? 
 恐らく何も変わってはいないと思うが、もう一度訪れてみたい。 そんな気持ちにさせる駅だった・・・