2016/04/24 作成

韓国の秘境駅訪問 その2

8200形ELに牽引される急行ムグンファ号  汾川(ブンチョン)駅で  


    旅程3日目 2016年4月17日  栄州からソウルまで

    早朝6:00に起きてホテルの窓から眺める。昨晩の大雨は上がった様子で幸先良さそうだ。6:40頃に朝食を取ろうと下に降りる。エレベーター内にはモーニングが6:30〜
   8:00と書いてあったが、食堂に客の姿はない。給仕の人に英語で聞くと、?という感じで、韓国語で答えてくるが、今度はこちらが、?。カレンダーの17日の7を差してようやく
   合点がいった。ふと、昨日買ったサンドイッチを思い出し、もったいないけど部屋で朝食を摂った。冷蔵庫にあった清涼飲料水が2本(無料みたい)が入っているので、貧乏性
   ゆえ2本とも空けると満腹になってしまった。いまさら食堂で食べる気も起らず、何もすることがないので早めに駅へ行くことにする。もちろんタクシーで(笑)

   フロントで、Plese,Call a Taxi for me と言ったが、表情は? 私の英語ダメ?って凹むが、彼は“タキシ?”って答えるので、Yes,Thank You と返して何とかしのいだ(滝汗;;)。
   タクシーは数分ほどで来るが、おじさんの運転手。駅へ行きたいと英語を使ってもダメ。ヨンジュステーションがダメって・・・ 途方に暮れそうになったが、ふと中国語の“站”を
   思い出して、紙に書いたら
“チーシャー”と聞くので、これに頷いてランゲージコネクションが成立。台湾を訪問しておいて正解だったと胸を撫でおろした。

 

         

    栄州駅 こちらではガラス張りが流行っているのだろうか? 今日お世話になるV-Trainの車両     ボロボロの客車も放置されている    おっフランス製のゲンコツELがこんな所に!

         

    おぉぉぉ〜 ゲンコツの廃車が13両もあるではないか!   EF66も真っ青なモノ凄い造形!    日本人には到底出来ないようなデザインだ    アルストム社製の銘版がある

   
   駅に着くとさっそく窓口で昨日釜山駅で取れなかった、道渓(トゲ)→清涼里(チョンニャンニ)のムグンファの指定席をチケットを入手する。これでチケット類はコンプリート。そして、
   ホームに入ると、昨夜見れなかったトンでもない光景が目に飛び込んで来た!まさに全身に交流25000Vが流れたような錯覚を受けた。あのフランス製の電気機関車が構内に13両
   も集結しているではないか!この機関車は、フランスでTGVが運行される以前、特急列車を牽引した花形機関車と同型である。パリからニース行きのル・ミストラル、ボルドー行き
   のアキティーヌ、ツールーズ行きのキャピトールなど、子供の頃とてもじゃないけど乗れなかった憧れの名列車を牽いた機関車たちである。この独特なデザインから、様々なあだ名
   を持ち、日本では“ゲンコツ”、本国フランスでは“壊れた鼻”、そしてここ韓国では“マジンガー”と呼ばれていたらしい。そもそもマジンガーとは昔、日本で放映されたTVアニメのマジ
   ンガーZに登場する戦闘ロボットのことで、こちらで翻訳されたTVアニメが元になったというから可笑しさも倍増である。

   夢中になって撮影していると、いきなり「ピッーーーーーーー!!!」と笛が鳴る音がした。そちらを見ると駅員がこっちへ来いと怒っている。マジでヤバい!頭を下げて行くと、待合
   室へ出ていろと言っている様子。プラットホーム上から撮影していたので問題はないと思っていたが、どうやらマズかったらしい。いやはやスミマセン。言葉が通じないと解ると、これ
   以上突っ込んで来ることはなく、素直に待合室へ退散したのであった(再び滝汗;;;)
 

         

    急行ムグンファがDLに牽かれてやって来た  ここから電化区間なのでELに付け替える   1日上下1往復しか停まらない林基(イムギ)駅を通過   汾川(ブンチョン)駅で下車する


    栄州からELに付け替えられたムグンファで嶺東線(ヨンドンソン)に入る。途中、いくつかの休止駅や1日1往復しか停まらない林基(イムギ)、同じく2往復の懸洞(ヒョンドン)などを通
    過して行く。これらの駅は秘境駅といった風情ではなく、ふつうの農村にあるが、とにかく冷遇されていることが気にかかる。両駅の間には線路に沿った道路がない様子で、実際に
    乗降して駅間歩きをすれば、非常に困難になることが予想された。こうしてクリスマスデコレーションで装飾された汾川(ブンチョン)駅で下車。ここは街ごと完全に観光化されていた。

         

    メルヘンチックな汾川駅。幼稚園と見間違わんばかりだ  駅前からの風景はなかなか良い    白虎が居る どうやらV-Trainのモチーフのようだ   V-Trainを牽引するDL

         

    これまた派手なデザインだこと    近距離のため車内のシートはベンチ風     ペレットストーブが設置されている     天井には畜光シールが貼ってあり、トンネルに入ると…


    汾川駅からV-Trainに乗る。vallyの頭文字をとったV-trainは峡谷列車の意味だそうで、景色良く見えるように全面がガラス張りの派手なピンク色の車体が3両。白頭大幹を練り歩く
    白虎をモチーフにデザインされたDLが牽引する。車内のシートはベンチ風で、中央部には木炭ペレットストーブが設置され、時折カーボーイ風のコスチュームを着た乗務員が燃料
    のペレットをくべていた。当初、ガラガラだったが発車間際になって観光バスが到着するやいなや、あっという間に満席。アジュマ(おばさん)達のうるさい話し声がとにかくノイジーで、
    なるべく外を見て気分を和らげるのであった。後で訪れる、トレッキング用に設置された肥洞(ピドン)駅をやり過ごし、2駅目の両元(ヤンウォン)駅で下車した。

    

         

   両元(ヤンウォン)駅に到着すると乗客は屋台に一目散(笑)   乗客が去ってしまうと、店員も奥に行って小休止   雨元に見えるが両元である    “追憶の化粧室”だそうです!

         

    ノスタルジックな待合室 表札には“両元駅待合所”と書いてあるそうだ  待合室内はキレイで快適に駅寝が出来そう!  隅には古いTVが放置してあった   両元駅方面の遠景
  

    川に面した狭い平地に人家が数軒余りが見えるだけ。しかし、10分あまりの停車時間にホーム裏に軒を連ねた屋台に乗客が集まっていく。何でも地元の農産物を使った食べ
    物を売っているそうで、貴重なものだそうだ。とはいえ、すっかり観光化されてしまったようである。恐らく日本人で最初に訪れたと思われる、知り合いのフォトライター栗原景さん
    によると、以前はとても閑静な雰囲気で、韓国を代表する秘境駅だったという。ちなみに、彼は韓国に留学経験があるため、ネットの写真で不可解なハングル文字を訳してもら
    うと同時に様々な情報を頂いた。
    
    韓国で一番小さい駅と紹介されているここは、何と付近の住民が勝手に造った駅だという。あまりにも不便な立地であるため、列車を停めるために自分たちでホームを造成し、
    待合室を設置したそうだ。まさに既成事実化された駅である。本来、日本の国鉄時代にも仮乗降場というものが存在したが、それは管轄する鉄道管理局が設置したものであっ
    て、常識ではあり得ない手段に脱帽。良い悪いは別にして、昨今どんどん廃止されて行く秘境駅のことを想うと、地元民の心意気には頭が下がる思いである。

    さて、この両元駅だが、秘境駅ランキングに当てはめてみると、秘境度8、雰囲気3、列車到達難易度10、外部到達難易度12、鉄道遺産指数10で、総合評価は43ポイントに達
    する。ランキング順位は43位の道後山か、同ポイントで44位の釧路湿原クラスに該当する。なかなかの健闘ぶりだが、惜しむらくは栗原さんが最初に訪れた頃であれば、おび
    ただしいほどの観光客は皆無だったと見られ、特に雰囲気ポイントに関しては、かなり上がったものと考えられる。