2001/06/25  作成

上幌延駅



宗谷本線 上幌延駅  ホームに高く積もった雪が利用者の少なさを暗示しているかのようだ

     
 
この宗谷本線に数多い、貨車(車掌車)を待合室に転用している   煙突はあっても肝心なストーブは無い   駅名標は深い雪に埋まる


   訪問日記   2000年12月31日 訪問

  ここは、宗谷本線の北部の拠点、幌延駅の隣だが、5.2kmも離れているため、“街”として形成されず、一面酪農地帯といった様相である。人家は駅前とその付近に3軒ほどあるが、
 何れも酪農家のようだ。かような周辺環境のため、普通列車でも通過が多く、停車するのは一日あたり下り2本、上り3本だけに留まる。けれども、隣の南幌延まで3kmという比較的
 近い距離にあるため、その気になれば駅間歩きで訪問することは容易い部類である。

 今回、私は3回目となった北海道秘境駅訪問旅のなか、この駅に到達するにあたり、やはり隣の南幌延駅から約3kmの距離をを歩いて来た。冬季の夕方は早いもので、辺りはすっか
 りと冷え込んでいる。列車を待つ間、貨車の待合室の中で今後の予定などを検討しているうち、大晦日となった今日、こうして独り北の大地でフラフラと放浪している自分の将来を
 少なからず不安が襲うのであった。“こんなところで何をしてるんだ…?”そんな心の声を何度となく聞かされて、未だに正当な答えを出せないでいる。自分の気持ちに正直に生きて
 いることで、ささやかな満足感を得ている自分がいる。順風満帆な出世街道を突き進む模範的なサラリーマンを生きられるほどの器もない。これを葛藤と呼んで良いものか?
 すっかり“世間ズレ”してしまった私は、このあと新世紀を迎えるのに、冬季閉鎖中の“智東駅”へ一夜を求めようとしていた。しかし延々歩いた結果に到達出来ても待合室が施錠され
 ていたら最悪な事態になる。ここは妥協して名寄でちゃんと泊まる場所を探そうか?だが、それは私らしくない旅だ。最悪、締め出されても死なないだけの装備は持っている。こうして
 決意を新たにして、ホームの上で列車を待っていると、雪壁の向こうから名寄行きの列車が静かにやって来た。列車に乗り込むが、私以外の乗客はたった2人だけ。やがて辺りは
 すっかり暗くなり、闇を切り裂く一筋の光を頼りに、列車は力強く加速していった。