2001/01/18 作成

楓 駅

                      石勝線 「楓 駅」 早朝に1日1往復の列車がやって来るだけという、存在意義に悩む駅…

   

 駅の周囲には集合住宅が4棟あって、秘境という風情には薄い。 (左の写真)右側が本線のホーム。そして、左側は行き止まりの、この列車の専用ホーム

   

 もう使われれる事の無い、本線ホームへの連絡階段。  一駅区間だけに掲げられたサボ。 1往復/日となった今、普通に利用するのは不可能と言える。

  訪問日記  2001年1月2日 訪問
 
 石勝線の「楓駅」である。 もう既にご存知の方も多いと思うが、この駅は石勝線の新夕張駅の隣に位置する駅で、同区間の数ある特急列車は全て停車し
 ない駅である。 そして現在では、早朝にたった1往復の普通列車だけが、この駅を終着として、行き止まりにある専用ホームに発着している。
 つい最近までは、夕方にも同様な運用があって、2往復/日となっていた。 しかし、去年7月のダイヤ改正で夕方の1往復が、とうとう減便されてしまった
 ため、このような形態となってしまった。  そのため、この駅への列車での訪問は、非常に困難であると言って良い。

 駅の周囲は、以外に開けていて集合住宅も4棟あり、その他にも遠くにチラホラと人家も散在していて秘境といった趣は無い。 その昔この一帯は良質な
 石炭を産出した所で、これを積み出すための長い貨物列車が引っ切り無しに往来し、沢山の人間で相当賑わったという。 エネルギー革命とは凄いもので
 これらの燃料をあっけなく石油に取って代わってしまった。 そして現在、その石油系の化石燃料も有害物質やCO2の排出による、地球温暖化の問題として
 同じ運命を辿っていくのであろうか…   話が横道に逸れたが、私ごときが語る話題では無いので、早速旅の話へ戻そうと思う。(笑)
 
 この楓駅構内の配線はまず、行き違い可能の本線が、それぞれの間隔が非常に広く保たれていて、そこに独立して設けられた相対式ホームがあり、現在
 では一切使われることはない。  そして、1日1往復の列車は、毎日同じ時間に、ゆっくりと左側にある片面の専用ホームへやって来て、8分のインターバル
 の後に、静かに発車して行くことを繰り返している。 また、待合室は殆ど居ないと思われる利用者とは裏腹に、内部は非常に広くて4人程度が座れるベンチ
 も6脚以上あって何だか違和感を覚えた。 駅寝には結構良い環境と思えるが、この列車ダイヤでは有効に活用することが出来ないので、仕方がない。

 今回、私は“なまらさん”との宗谷本線の秘境駅訪問を終え、名寄駅でまたも“F5さん”と再会。 暫し一緒に会談し、その後私は、旭川へ向かう特急「スーパ
 ー宗谷4号」へ乗車して別れた。 この新設されたキハ261系特急「スーパー宗谷4号」は、怒涛の加速力で軽々と塩狩峠を超えて、あっけなく旭川に到達した。
 その後、富良野線と根室本線を乗り継ぎ、深夜に新得駅まで到達。 翌日2:31発の夜行特急の「おおぞら14号」を追分まで乗車した。 そして始発の普通
 列車を新夕張で乗り換え、(実は追分から一緒に回送され来る)やっとこの1日1往復のこの列車に乗車できたのである。 朝が非常に早いので、殆ど寝る
 ことも出来ず、体力的にはかなり堪えた。 しかし、この列車に乗車するには、これが最良の手段となるため、ここは我慢するしか無い。

 そして、いよいよ目的の列車へ乗車できた訳であり、少々興奮した。 車両前部へ行って観察していると、運転士が「こっちへ来ていいよ」と声を掛けてくれ
 たので、お言葉に甘えて、助手席に座った。 そしてこの運転士から、衝撃的な事実を聞かされることとなった。 なんとこの列車の生命もあと僅かで、来年
 の3月のダイヤ改正には無くなるとのことであった。 そしてこの「楓駅」も約6000万円を掛けて解体され、信号場化されてしまうとのことであった。
 今まで、残っていたのは解体する費用が捻出できなかったからだそうである。 そのための布石として、昨年の7月のダイヤ改正で減便されたのであろう。
 そして私は、「あの本線のホームは一度も使ったことは無かったのか?」と問うて見た。 運転士は、出来た当時は急行の「狩勝」が停車していたが、直ぐ
 に特急化されたので、利用されたのは非常に僅かな期間であったとのことであった。

 ほんの数分であっけなく、「楓駅」に到着したので、折り返しの8分間を利用して、急いで周囲の撮影を行った。  だだっ広い待合室には、生憎駅ノートは
 存在していなかった。 心無い誰かに廃棄させられてしまったのであろうか… 発車・到着の時刻表には、かつてあった夕方の便に紙が張られ、寂しさを
 盛り上げていた。 やがて発車時間となったので、帰りも運転士と話をしながら新夕張へと向かう。 そこで私は、「現在の利用者はどれくらい?」との問い
 に、運転士曰く「集合住宅に住んでいる2名だけ」だそうだ。 そして夕方の便があった頃は、定期券を利用していたとのことだが、朝のみの乗車では殆ど
 使えないため、割高であるが回数券を使っているそうだ。 帰りは同区間を並走する夕鉄バス(4往復/日)を使っているらしい。 ただ、早朝は現在のところ
 列車だけなので、何とか使っているとのことだ。  また、付け加えると、私のような鉄道好きな人が時々乗って来るとのことであった。(笑)

 そして、鉄道の終わりという寂しい現実を目の当たりにして、何だか複雑な気持ちになったが、鉄道会社も慈善事業でやっている訳ではないので致し方無い
 部分もある。 私のようなこういった寂れ行く鉄道を趣味に持つ者達は、いつも不幸な結末と隣り合わせなのである… (泣)