01/07/28 作成 07/07/11 加筆修正
郷戸駅

只見線 “郷戸駅” 集落から離れ、闇夜にぽっかりと浮かび上がったこの駅に、集まってくるのは虫ばかり

石段を登り詰めると、林の中にポツリとカプセル型の待合室が出迎える 締め切りが可能だが、その窓は全く開かないため、内部はかなり蒸し暑かった
訪問日記 2001年7月20日 訪問
この駅は、只見線にある「郷戸」という小駅である。 駅の入り口は、砂利敷きの駅前広場より石段を登った高台にあり、比較的奥行きのあるホームには以前は駅舎が
建っていたと想像される。 駅は林に囲まれ国道からも遠く離れているため、とても閑静な雰囲気を保っている。 周囲は人家が疎らに2〜3軒点在しているが、田圃と畑が
広がっているだけで、人通りは殆どない。
今回、この駅の訪問はすっかり夜になってしまった。 信越本線の青海川駅、更に北陸本線の筒石駅まで足を広げ、それぞれの駅への訪問を果たした。
そして、この筒石駅から降り返して直江津駅へと戻ったが、この先は北越急行線に乗ることでショートカットをして行こうと考えた。 その運賃は犀潟-六日町間で950円だが、
ここで私は一大決心?を下す。 なんと特急“はくたか”を一気に越後湯沢まで乗って行ってしまうことにした。 特急料金とJR線の運賃を含めたその合計金額は2480円。
その差額は1530円だが、これで2時間に渡る大きな時間の捻出と、在来線の“150km/hの高速走行”が体験できるなら、その代価に見合うものだと判断したからである。
そしてやってきた列車は別名スノーウィング681系で、直江津を出るといよいよ“電車でGO!2&PRO”状態 (爆) ほくほく線に入るとジョイント音がしなくなって、
いよいよ150km/h走行だ。 確かに速いが意外にも素晴らしい乗り心地を感じ、まだまだ狭軌でも結構いけるのではないかと思った。
そのうち快適なシートに身を委ねた私は暫し眠ってしまい、車内放送で終点の越後湯沢到着を知らされ、気だるい体をようやく起こしてこの列車から降りた。
越後湯沢では駅併設の温泉に入ろうかと思ったが、この猛暑のために湯上りが地獄状態になることが予想された。 急遽予定を変更して、“ぽんしゅ館”で500円也を払って
お猪口5杯のほろ酔い気分を味わう。 さらにチューハイで仕上げ?をしつつ、冷房の良く効いた長岡行きの普通電車に乗りこんだ。 やがて列車は発車して、“うつらうつら”
しながらようやく小出駅へ到着した。 そこからは4分の乗り継ぎでいよいよ只見線に乗車することになる。
非冷房のキハ40系は、ほとんどの乗客が窓を全開にして、ゆらゆらと入りこむ心地よい風に身を任せ、窓際へとへたり込むのであった… やがて山間部へと入って高度を
増して行くと、その風は更に冷却され、非常に心地が良い。 大白川駅で対向列車との交換をして、車窓に迫る渓流を眺めつつ、難所である六十里越トンネル(6359m)に突入。
上り坂を延々とエンジンが焼き付いてしまうのではないかと心配するまで唸りを上げる。 それは耳の感覚が麻痺してしまうほど五月蝿い騒音だが、30Km/h程度でノロノロと
進むこの非力な列車にとっては“断末魔の叫び”にも思えて、ただならぬモノを感じ取ってしまった。
そしてスノーシェッドに囲われた深山の秘境駅である田子倉駅で2人の登山者を降ろし、一路只見の街へと下って行く。 更に会津川口までの1日3往復区間をそのまま乗り
通して行く。 そして日もとっぷりと暮れた中、ようやく目的であった郷戸駅へ到着した。
列車を降りて、辺りの散策をするにも街灯一つ無いので、持参した懐中電灯を持って恐る恐る階段を降りていく。 砂利敷きの駅前広場には人家は全く無く、その真正面には
細長い建物のトイレがあった。 普通こういったものは、その敷地の端っこにひっそりと有る物なのだが、何故か真正面に建っている。
デリカシィーが無いのかどうかは知らないが、この無人地帯といえる界隈ではそんな些細なことは関係ないのであろう。
そしてこのカプセル型をした待合室に戻るが、扉を開けると熱気がムンムン… 特急列車のような固定窓は気密性は高いが、当然エアコンなど有るわけも無いので蒸し暑い
こと甚だしい。 更に電灯に集まる数々の虫。 なまじこの建物の色が真っ白なので、彼らを集める効果は抜群だ。 蛾は勿論のこと、クワガタムシ、カナブン、コガネムシ、
カミキリムシ、セミなどそのレパートリーは数多かった。
やがて、会津川口行きの列車がやって来たので乗車する。 次に降りるのはいよいよ今夜の宿となる早戸駅だ。 漆黒の山中をエンジンを唸らせて、ゆっくりと歩みを進め、
この虫たちで賑わう駅を後にして行った。