00/12/07 作成 07/07/11 加筆修正
土本駅

大井川鉄道・井川線の土本駅 古くて簡素な待合所があるだけの駅が、晩秋の雨に濡れている

この先100m程で車道は途切れる ここに初めて自動車の姿を見たのはつい10年ほど前のことだ 夜間に訪問した時は何が何だか解らない状態
訪問日記 2000年11月15・16日訪問
この“土本”という駅は、大井川と支流との三角地帯にあり、周囲は深い山と渓谷に囲まれた険しい地形に存在している。 そんな僅かな場所にも猫の額程の土地に
人家が4軒あり、狭い畑を耕して細々と生計を成り立てているようだ。 そして、そこはなんと10年程前まで車道という物が全く無い“陸の孤島”と呼ばれ、この井川線だけが
唯一の交通機関であった。 以前ここで夜間、急患が出た時に医者が隣の沢間から井川線の線路を歩いて駆け付けたというエピソードがあるといった凄い場所だ。
そんな辺鄙な秘境でも永年の請願が叶ってか、つい10年程前に深い渓谷を跨ぐ“土本橋”が開通してからは車道が通るようになった。 ただ、駅の先100m程であえなく
車道は終点を迎えるため、クネクネと屈曲した狭い山道を延々と引き返すことになった。
今回、私はこの地方へ車で訪問した。 それは金銭的問題と悪い天候、更に短い休みの中で効率良く多くの駅を回る必要性から止む無く選択した結果である。
そして第1日目はすっかり辺りは暗くなってしまってからの訪問だったことと、この駅が非常に解りにくい場所にある為、そこへ到達する迄に散々迷ってしまい相当な時間を
費やしてしまった。 途中、地元の人に場所を聞いて何とか場所は解ったのだが、既に日が落ちて真っ暗だったため、周囲の状況は非常に解りづらかった。
翌日、井川線にある主だった秘境駅を訪問し終えた後で、帰りの途中に再度この駅へ寄ってみた。 改めて来てみると、やはり凄い場所にあると実感する。
井川線に見られる低いホームと低規格の細い線路が独特な雰囲気を醸し出していた。 駅の周囲にはゴミ一つ落ちていないし、自販機や広告の類も一切無いので、
現代文明から取り残されたような、ある種の不思議な空間が広がっている。 そんな純粋無垢のようなこの駅へ静かにトロッコ列車がやって来る。
そんな可愛らしいトロッコ列車であるが、周囲の住民にとって大切な足としては頼もしい存在なのであった。