久方ぶりに . . .

このところ大学の教学業務関連の執筆が多かったのですが、このたび久方ぶりにピュアな研究関心にもとづく著作を上梓しました。
『構想力と想像力: 心理学的研究叙説』です。「構想力」はわたしにとってここ20年来の研究対象のひとつです。その研究のはじめの一歩を記した仕事です。
 経済社会のグローバル化が進むなか、それぞれの国や地域の文化の特性、その独自性やそれらへの理解がますますたいせつなこととして実感されつつあります。イマジネーション=「想像」は寝ても覚めてもわたしたちがしていることとして、文化を越えて人類に普遍的な営みです。
 それに対して「構想」とその力への同定とこだわりは、この日本において独特のものになっています。わたしたちはこのことばをとても好いているので、そのことに気づきませんが、本書ではそのことをさまざまな証拠をもとにあきらかにします。そして「想像」とその力に関する諸言説を広範に振り返りつつ、「構想」とその力との差異と関係性をとらえ、日本人がこだわるその活動の正体に捜査の光を投じます。

そして今、気にしていること

プロジェクトマネジメントの世界にPMBOKという概念があります。そのBOKはBody Of Knowledgeの略で知識の体系と訳されることが多いようです。しかしより直訳的かつ素直にみれば、知識の(モノとしての)本体。その主体性、身体性……。えっ!、それじゃ、モノが知ることだけなのだろうか? 識ることは? 魂が抜けてやしないか? 生きている知識の生態が気になってきます。

その思い巡らしの場として、もう20年近く前になりますが、『知能環境論』という著作を出しました。まだ髪も豊かだった若げのいたりで書いたのですが、いまあらためて同名の授業をしながら、それを批判的に検証して『新』を付して問い直すことに意を致しています。

半田智久(HANDA Motohisa)

実験心理学から研究活動をはじめ、いまは人文学のフィールドを歩みつつ、リベラルアーティストを目指す途上にいるというところです。大学環境や情報環境の激変期にあって、若き知と交歓しながら、あらたな社会を牽引していくに足る学術の場の構想と、その基盤になる想像力の養いに関心をもっています。

日本構想塾

今世紀に入ってから日本構想学会を十年間運営してきました。その結果構想の営みにいっそう実践的なアプローチをしていく場への希求が高まりました。構想とその力が社会の実相と動態そのものに深く関与しているためです。そこで第一の活動目的を構想力の涵養においた塾へと発展させ、今年その活動を開始し、順調に歩んでいます。日本構想塾(jssi)のウェブページはこちらです。